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【事例あり】孫に相続させるなら税加算に注意|税率を下げる贈与活用術

L&Bヨシダ税理士法人
吉田雅一(税理士)
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一般的な相続において孫は法定相続人にならないため、孫へ遺産を渡すには遺贈などをする必要がありますが、その際には相続税が増額されてしまいます。

相続で被相続人の配偶者や一親等の血族以外の人に財産を渡す場合、その人にかかる相続税額は2割加算されます。

(相続税額の加算)

第十八条  相続又は遺贈により財産を取得した者が当該相続又は遺贈に係る被相続人の一親等の血族(当該被相続人の直系卑属が相続開始以前に死亡し、又は相続権を失つたため、代襲して相続人となつた当該被相続人の直系卑属を含む。)及び配偶者以外の者である場合においては、その者に係る相続税額は、前条の規定にかかわらず、同条の規定により算出した金額にその百分の二十に相当する金額を加算した金額とする

  前項の一親等の血族には、同項の被相続人の直系卑属が当該被相続人の養子となつている場合を含まないものとする。ただし、当該被相続人の直系卑属が相続開始以前に死亡し、又は相続権を失つたため、代襲して相続人となつている場合は、この限りでない。

引用元:相続税法18

ただし、例外的に孫でも2割加算されないケースもあるほか、特例制度などによって税負担が軽減される場合もあります。

本記事では、孫にかかる相続税や相続方法、税負担を抑える方法などを解説します。

*本記事の専門家による監修日は2023年7月3日です。

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孫にかかる相続税とは

まずは、相続税の2割加算に関する基礎知識を解説します。

代襲相続人でない孫に相続等で財産を渡すと2割加算が行われる

たとえば、被相続人の兄弟姉妹・孫・相続税の2割加算は、被相続人の配偶者や一親等の血族以外の人が財産を取得した際に適用されます。

甥姪などは2割加算の適用対象になります。

原則として、被相続人の養子は実子と同様に一親等にあたるので、2割加算の対象ではありません。

なお、孫が被相続人の養子になっている場合は、「被相続人の子どもが相続開始前に死亡している」などの理由で代襲相続が発生していないかぎり、2割加算がおこなわれます。

相続税の課税例

たとえば「孫が相続で財産を取得し、本来孫が支払うべき相続税額が300万円だった」という場合、状況に応じて以下のように扱われます。

  1. 孫が被相続人の子どもの代襲相続人だった場合:2割加算は適用されないため、相続税は300万円のまま
  2. 孫が被相続人の養子だった場合:いわゆる孫養子に該当するため、原則として2割加算が適用されて相続税は360万円
  3. 孫が遺贈によって財産を取得した場合:原則として2割加算が適用されて相続税は360万円

相続税が少額であれば2割加算による負担分も小さく済みますが、多くの場合は数十万単位の負担がかかるため、孫への相続を考えている場合は2割加算についても考慮しましょう。

なお、子どもの配偶者や甥姪を養子にした場合は2割加算は適用されませんが、内縁の妻などに遺産を渡す場合は2割加算が適用されます。

孫に財産を相続させる方法

ここでは、孫が遺産を取得できる方法について解説します。

遺贈

孫に財産を渡す方法としては、遺言によって贈与する「遺贈」が一般的です。

遺贈に似たものとして、存命中に財産を渡す契約を結んでおき、亡くなったあとに契約どおりに財産を渡す「死因贈与」という方法もあります。

ただし、以下のように死因贈与では受贈者の合意なども必要であり、遺贈であれば受贈者の合意は不要です。

 

遺贈

死因贈与

内容

遺言による贈与

死亡を原因とする贈与契約

法的性質

単独行為
※受贈者の合意は不要

契約
※両者の合意が必要

相続税

課される
※孫の場合は2割加算あり

課される
※孫の場合は2割加算あり

不動産の贈与にかかる登録免許税

原則2%
※法定相続人の場合は0.4%

2%

不動産の贈与にかかる不動産取得税

非課税
※法定相続人以外が特定の財産を受け取る場合は3%または4%

4%

養子縁組

孫に財産を渡す方法としては、「養子縁組をして法定相続人に加える」というのも有効です。

孫養子の場合も相続税の2割加算が適用されるものの、相続全体でみると「法定相続人が増えることで相続税の控除額も増える」というメリットがあります。

相続税については、全ての相続で適用される「基礎控除」のほか、生命保険金や退職手当金などにも非課税枠が設定されており、法定相続人が1人増えることで以下のように控除額が変わります。

基礎控除

 +600万円

生命保険金の非課税金額

 +500万円

退職手当金等の非課税金額

 +500万円

なお、相続税法上、税額計算に含めることができる養子の数には制限があります。

被相続人に実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は2人までです。

代襲相続

被相続人が亡くなる前に子どもが亡くなっている場合には、孫が子どもの代わりに法定相続人になります。

このような相続のことを「代襲相続」と呼び、代襲相続人となった孫には2割加算が適用されません。

代襲相続で孫が2人以上いる場合はそれぞれが相続人になり、相続分などの権利が等分されます。

なお、相続にあたっては、相続人に認められている最低限の取り分である「遺留分」などにも注意する必要があります。

たとえば、相続人が配偶者・子ども・死亡した子ども(2人の孫が代襲相続人)という場合、配偶者の遺留分は相続財産の4分の1、生存している子ども・死亡した子どもの遺留分は相続財産の8分の1です。

代襲相続人である2人の孫については、死亡した子どもの遺留分を2分割した「相続財産の16分の1」がそれぞれの遺留分となります。

孫にも財産を相続させつつ不公平な相続を避けたいのであれば、このような遺留分も踏まえたうえで取り分を考えましょう。

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孫への生前贈与を活用する方法

基本的に孫には相続税の2割加算が適用されますが、生前贈与などを活用することで税負担を軽減できる場合もあります。

ここでは、生前贈与の活用方法について解説します。

特例贈与

生前贈与をする際は贈与税が発生しますが、贈与状況によって計算方法が異なります。

祖父母が18歳以上の孫に贈与する場合は「特例贈与」に分類され、以下のように一般の贈与よりも税率が低く設定されています。

一般贈与

基礎控除後の課税価格

特例贈与

税率

控除額

税率

控除額

10%

なし

200万円以下

10%

なし

15%

10万円

300万円以下

15%

10万円

20%

25万円

400万円以下

30%

65万円

600万円以下

20%

30万円

40%

125万円

1,000万円以下

30%

90万円

45%

175万円

1,500万円以下

40%

190万円

50%

250万円

3,000万円以下

45%

265万円

55%

400万円

4,500万円以下

50%

415万円

4,500万円超え

55%

640万円

【参考】No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)|国税庁

たとえば「祖父が孫に1,000万円(基礎控除後の課税価格890万円)の贈与をした」という場合、それぞれの贈与税額は以下のとおりです。

  • 一般贈与の場合:890万円×40%-125万円=231万円
  • 特例贈与の場合:890万円×30%-90万円=177万円

孫に1,000万円の財産を遺贈する場合の相続税額も確認しておきましょう。

たとえば「相続財産:7,000万円、相続人:配偶者・子ども1人、配偶者の取り分3,000万円・子どもの取り分3,000万円・孫の取り分1,000万円」という場合、計算式は以下のとおりです。

①課税遺産総額

7,000万円―(3,000万円+1,200万円)=2,800万円

②相続税の総額

(2,800万円×1/2×15%―50万円)×2=320万円

③各人の相続税額

配偶者:320万円×3/7=約137万円←配偶者控除により0円

子  :320万円×3/7=約137万円

孫  :320万円×1/7×1.2=約55万円

上記のケースでは、孫は子どもの3分の1しか遺産を取得していないのに相続税額は子どもの4割近い金額になっており、相続税の2割加算の影響が表れています。

特例贈与については、贈与年の1月1日時点で孫が未成年の場合は対象外となり、一般贈与に分類されてしまうため注意しましょう。

教育資金の一括贈与

2013年度税制改正によって「教育資金の一括贈与の特例」という制度が新設され、これは「父母や祖父母が教育費の贈与をする際に1,500万円まで(そのうち学校以外に支払う場合は500万円まで)が非課税になる」という制度です。

教育資金の一括贈与の特例は、2013年4月1日から2026年3月31日までの贈与について適用され(租税特別措置法70条の2の2)、贈与者と受贈者が「教育資金管理契約」を締結することで利用できます。

その際、贈与者には「受贈者の直系尊属であること」という以外に要件はありませんが、受贈者は「教育資金管理契約を締結する日において30歳未満であること」という要件を満たしている必要があります。

主な手続きの流れとしては、贈与者と受贈者が教育資金管理契約を締結したのち、受贈者が教育資金非課税申告書を金融機関経由で税務署へ提出する、という流れで進めます。

このとき、基本的に受贈者は銀行・信託銀行・一部の証券会社などで専用の教育資金口座を作り、贈与者は信託日や預貯金の納入日または有価証券の購入日などを決定します。

受贈者が期限内に取扱金融機関の営業所に教育資金非課税申告書を提出し、金融機関にて受理されれば、受贈者の納税地の税務署長に申告書が提出されたものとして扱われ、手続きは終了となります。

通常の贈与税の申告手続きとは異なり、税務署ではなく取扱金融機関での申告になるため注意しましょう。

教育資金の範囲としては以下のとおりです。

学校等に直接支払われる入学金、授業料その他の金銭で一定のもの

  • 入学金、授業料、入園料及び保育料並びに施設設備費
  • 入学又は入園のための試験に係る検定料
  • 在学証明、成績証明その他学生等の記録に係る手数料及びこれに類する手数料
  • 学用品の購入費、修学旅行費又は学校給食費その他学校等における教育に伴って必要な費用に充てるための金銭

学校等以外の者に、教育に関する役務の提供として直接支払われる金銭その他の教育を受けるために直接支払われる金銭で一定のもの

(限度額:500万円)

  • 教育に関する役務の提供の対価
  • 施設の使用料
  • スポーツ又は文化芸術に関する活動その他教養の向上のための活動に係る指導への対価として支払われる金銭
  • 教育に関する役務の提供又はスポーツ等の活動に係る指導において使用する物品の購入に要する金銭であって、その役務の提供又は指導を行う者に直接支払われるもの
  • 上記の金銭であって、学生等の全部又は大部分が支払うべきものと学校等が認めたもの
  • 平成27年4月1日以降に支払われた「通学定期券代」又は「外国の教育施設に就学するための渡航費又は学校等(外国の教育施設を除く)への就学に伴う転居に要する交通費であって公共交通機関に支払われるもの(それぞれ1回の就学につき1回の往復に要するものに限る)」に該当するもの

【参考】教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税|文部科学省

なお、以下のような場合は特例の適用が終了します。

  1. 受贈者が30歳に達したとき(残高がある場合は贈与税の課税対象になる)
  2. 受贈者が死亡したとき
  3. 贈与した金銭などの残高が0円になった場合において、契約終了の合意があったとき

結婚・子育て資金の一括贈与

2015年度税制改正によって「結婚・子育て資金の一括贈与の特例」が新設され、これは「父母や祖父母が結婚や子育てのための資金を贈与する際に1,000万円まで(そのうち結婚に関する贈与は300万円まで)が非課税になる」という制度です。

結婚・子育て資金の一括贈与の特例は、2015年4月1日から2025年3月31日までの贈与について適用され(租税特別措置法70条の2の3)、贈与者と受贈者が「結婚・子育て資金管理契約」を締結することで利用できます。

その際、贈与者には「受贈者の直系尊属であること」という以外に要件はありませんが、受贈者は「結婚・子育て資金管理契約を締結する日において18歳以上50歳未満であること」という要件を満たしている必要があります。

結婚・子育て資金の範囲としては以下のとおりです。

結婚に際して支出する金銭

(限度額:300万円)

  • 挙式費用、結婚披露費用…婚姻の日の1年前の日以後に支払われること
  • 新居費用(家賃、敷金、転居費用など)…一定の期間内に支払われること

妊娠、出産及び育児に要する金銭

  • 不妊治療、妊婦健診費用
  • 分娩費用など産後ケアに要する費用
  • 子の医療費、幼稚園・保育所等の保育料(ベビーシッター代を含む)  など

【参考】結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置|内閣府

特例の適用を受けるためには、払い出した金銭に関する領収書などを一定期間内に金融機関等に提出する必要があります。

なお、以下のような場合は特例の適用が終了します。

  1. 受贈者が50歳に達したとき(残高がある場合は贈与税の課税対象になる)
  2. 受贈者が死亡したとき
  3. 贈与した金銭などの残高が0円になった場合において、契約終了の合意があったとき

注意点として、契約期間中に贈与者が死亡した場合には「受贈者が資金残額を相続または遺贈により取得したもの」という扱いになり、相続税の課税対象になります。

住宅取得等資金の贈与

住宅取得等資金の贈与の特例とは、20151月1日から2023年12月31日までの間に、父母や祖父母が18歳以上の子どもや孫に不動産購入のための資金贈与などをする際に、一定の金額まで贈与税が非課税になるという制度です。

贈与者の要件は「受贈者の直系卑属であること」というだけですが、受贈者は以下の要件を満たす必要があります。

引用元:「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」等のあらまし|国税庁

さいごに

代襲相続が発生しないかぎり、基本的に孫には相続税の2割加算が適用されます。

生前贈与を活用して特例の適用を受けることで税負担を軽減できる可能性がありますが、素人では制度内容を十分に把握できず、正確に税金計算できない恐れもあります。

税金に関する疑問や不安がある方は、一度税理士に相談してみましょう。

税理士であれば、状況に応じた税金対策のアドバイスが期待でき、孫に十分な財産を残せる可能性が高まります。

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相続時の税金をいかに減らすかなど、節税に関しては、税理士に聞くのが望ましいでしょう。

 

しかし、その相続にトラブルなどの問題が発生している場合、紛争を解決できる"弁護士"にご相談ください。

 

なお、相続を扱う弁護士の多くは税理士や司法書士とも連携しているため、良い相談先を紹介してくれることも多いです。

 

まずは、無料相談などを活用してあなたのお悩みが解決できそうか確かめてみましょう。


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この記事の監修者
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吉田雅一(税理士)
老舗のノウハウと最新のマーケティング手法を駆使し、税務のみならず「経営」全般のサポートをします。経営に大きく関わる売上アップ支援・組織作り・資金調達支援が得意。経理の自動化を積極的に進めています。
ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)編集部
編集部

本記事はベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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