- 「葬儀後に、何から着手すればよいのかわからない」
- 「葬儀後にやるべき手続きの期限をあらかじめ把握しておきたい」
身近な親族が亡くなった場合、法要の段取りや各種手続きを担わなければならないこともあります。
しかし、葬儀は何度も経験するものではないため、知識がほとんどなく、何をどうしてよいのかわからず困っている方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、葬儀後の大まかな流れや早急に取り掛かるべき手続きなどを詳しく紹介します。
葬儀後に各種手続きを放置した場合のリスクについても解説しているので、ぜひ最後までチェックしてみてください。
葬儀後の一般的な流れ
葬儀後の大まかな流れをあらかじめ把握していれば、法要や各種手続きをスムーズに進められるはずです。
大きく分けて5つの段階があるので、それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.各種届出・手続き
葬儀後は、各種届出・手続きを速やかにおこなわなければなりません。
詳しくは後述しますが、死亡届・死体火葬許可申請書の提出や相続に関係する手続きなどを済ませる必要があります。
手続きの期限が設けられている場合もあるため、事前にスケジュールを立てたうえで確実にこなしていくことが重要です。
もし期限に遅れてしまうと、法律に違反したり、本来もらえるはずのお金がもらえなくなったりするおそれがあるため注意しましょう。
2.四十九日までに香典返し
葬儀後から四十九日法要までの間に、香典返しをおこなうことも忘れてはいけません。
香典返しとは、通夜や葬儀の参列者に対して返礼品を渡すことです。
香典に対して、3分の1から半分程度の予算で品を選ぶのが一般的といえるでしょう。
挨拶状とあわせて手渡しすることもありますが、今では宅急便などで送付するケースも多く見られます。
ただし、香典返しは地域性が強いので、葬儀会社などとも相談しながら、地域の風習を確認しておくことが大切です。
3.四十九日法要
故人の命日から数えて49日目には、四十九日法要をおこないます。
四十九日法要は故人の成仏を祈って執りおこなうもので、忌明けの区切りともなります。
親しい親族が集まり、僧侶を招いて読経・焼香・納骨などをおこなったあと、会食などを催すケースが一般的です。
なお、四十九日法要は必ずしも49日目にこだわる必要はなく、関係者の都合がつきやすいように、49日目前後の週末を利用して実施されるケースも少なくありません。
4.相続手続き
葬儀後は、相続手続きにも早めに着手しなければなりません。
相続放棄したい場合などは申述期限が定められているので、財産の相続方法を早めに確定させる必要があります。
基本的には、遺言・法定相続・遺産分割協議での話し合いなどによって、それぞれの相続分を決めていくことになるでしょう。
5.準確定申告・相続税の申告
準確定申告と相続税の申告も忘れずにおこないましょう。
準確定申告とは、故人が生前に得ていた収入に対する確定申告のことで、相続人が代わりに手続きしなければなりません。
また、故人の財産を相続する場合には、既定の税率によって算出される相続税の支払いが必要です。
準確定申告や相続税の申告には期限が設けられており、正当な理由なく遅れるとペナルティを受けてしまうので計画的に手続きを進めていきましょう。
葬儀後すぐにおこなうべき届出・手続き
次に、葬儀後すぐにおこなうべき届出・手続きを紹介します。
基本的には7種類の届出・手続きが必要になるので、一つひとつ確実にこなしていきましょう。
1.死亡届・死体火葬許可申請書の提出
葬儀後は、まず死亡届の提出が必要です。
死亡届を提出することによって、戸籍に死亡した旨が記載され、住民票が消除されます。
提出先は、故人の本籍地・死亡地または届出人の住所地にある役所です。
死亡の事実を知った日から7日以内に、医師が作成してくれる死亡診断書を添付して提出してください。
正当な理由なく届出が遅れた場合は、5万円以下の過料を徴収される可能性があります。
また、葬儀後に故人を火葬するためには、死体火葬許可申請書を役所に提出し、許可書を発行してもらわなければなりません。
提出期限は死亡の事実を知った日から7日以内とされているので、死亡届と同時に提出しておくことをおすすめします。
なお、自治体によっては、死亡届が死体火葬許可申請書を兼ねているケースもあります。
2.年金受給権者死亡届の提出
故人が年金を受け取っていた場合は、年金受給権者死亡届の提出が必要です。
年金受給権者死亡届は、日本年金機構のホームページからダウンロードできます。
死亡年月日や基礎年金番号・年金コードなどを記入し、年金証書と死亡の事実を明らかにできる書類を添えて、年金事務所または年金相談センターに提出してください。
なお、「死亡の事実を明らかにできる書類」には、以下のようなものが該当します。
- 戸籍謄本
- 住民票除票
- 死亡診断書の写し
- 死亡届の記載事項証明書
国民年金の場合は死亡日から14日以内、厚生年金・共済年金の場合は死亡日から10日以内が提出期限です。
年金受給権者死亡届の提出を怠ると、不正受給につながる可能性もあるので注意してください。
ただし、日本年金機構にマイナンバーを登録している場合は、年金受給権者死亡届の提出が免除されます。
未支給の年金がある場合は、未支給年金・未支払給付金請求書も提出しましょう。
日本年金機構のホームページなどから入手し、必要事項を記入のうえ、以下の書類を添付してください。
- 年金証書
- 故人と請求者の続柄が確認できる書類
- 故人と請求者が生計を同じくしていたことを証明できる書類
- 振込先金融機関の通帳
- 生計同一関係に関する申立書(故人と請求者の世帯が異なる場合のみ)
未支給年金の請求期限は5年と比較的余裕がありますが、年金受給権者死亡届とあわせて手続きするケースが一般的です。
3.健康保険証の資格喪失手続き
葬儀が終わったら、健康保険証の資格喪失手続きも早急におこなってください。
手続きの方法は、加入先によって異なります。
国民健康保険に加入していた場合は、最後に住所登録をしていた地域の役所に連絡しましょう。
全国健康保険協会や共済組合などに加入していた場合は、それぞれの加入先に連絡する必要があります。
加入先に連絡すれば具体的な手続き方法を指示してもらえますが、保険証を返納する程度で済むケースがほとんどです。
なお、故人に扶養されていた方は、健康保険への加入手続きも同時におこなわなければなりません。
4.介護保険資格喪失届の提出
死亡時の年齢や介護の有無によっては、介護保険資格喪失届の提出も必要です。
以下のいずれかに該当する場合は、速やかに手続きをおこなってください。
- 死亡時の年齢が65歳以上
- 死亡時の年齢が40歳以上65歳未満で、要支援・要介護認定を受けていた
介護保険資格喪失届の提出先は、故人の住所地がある役所です。
死亡後14日以内に、介護保険被保険者証を添えて提出してください。
なお、介護保険料を払い過ぎていた場合は役所から還付通知書が届くので、案内に従って還付手続きを進めましょう。
5.世帯主変更届の提出
故人が世帯主だった場合は、世帯主変更届の提出が必要です。
基本的には、新たに世帯主になる人または同一世帯の世帯員が手続きをおこないます。
世帯主変更届の提出先は、世帯が登録されている地域の役所です。
世帯主が死亡した日から14日以内に、住民異動届や本人確認書類などを添えて提出してください。
ただし、以下のケースに該当する場合は、世帯主変更届の提出が不要になります。
- 死亡した世帯主以外に世帯員がいない(世帯に誰も残っていない)
- 死亡した世帯主以外の世帯員が1人のみ
- 新たな世帯主となる人物以外の世帯員が15歳未満の子どものみ
世帯主変更届の提出が遅れると、5万円以下の過料を科されるおそれがあります。
届出漏れを防ぐためも、死亡届などとあわせて提出しておくのがよいでしょう。
6.支払い続けているものの解約手続き
故人が契約者となり、支払いが生じているものがあれば、解約や名義変更の手続きをおこなう必要があります。
具体的には、各種公共料金・携帯電話利用料・家賃・ローンの支払いなどが挙げられるでしょう。
料金の支払いが口座引き落としになっている場合は、口座凍結により引き落としがストップするため、ライフラインが止まったり、延滞金が発生したりする可能性があります。
そのため、速やかに契約内容を確認し、相手方に連絡することが大切です。
7.免許証やパスポートなどの返納手続き
葬儀後にやるべきことのひとつが、免許証やパスポートなどの返納手続きです。
いずれも返納期限はありませんが、保有したままにしていると紛失したり、悪用されたりするリスクがあるので早めに手続きを済ませておきましょう。
返納する場合、免許証の返納先は警察署または運転免許センター、パスポートなら旅券事務所で手続きをおこないます。
葬儀後すぐに始めたい相続手続き
葬儀後は、相続に関する手続きもおこなう必要があります。
時系列に沿って、やるべきことを解説するので参考にしてみてください。
1.まずは遺言書の有無を確認
まずは、遺言書の有無を確認してください。
遺言書がある場合、基本的には記載内容に沿って相続を進めることになります。
もし遺言書以外の方法で相続したい場合は、相続人全員の合意が必要です。
そのため、遺産相続の協議が始まるまでには、遺言書の有無を明らかにしておきましょう。
なお、遺言書を故人自身が保管していた場合、開封時には家庭裁判所での検認手続きが必要です。
勝手に開封しても遺言書が無効になることはありませんが、法律違反となり、5万円以下の過料を科せられる可能性があるので十分注意してください。
2.相続人調査・相続財産の調査
葬儀後は、相続人や相続財産の調査も速やかに着手しましょう。
相続人と相続財産が正しく整理されていなければ、遺産相続の話し合いをおこなっても無駄になる可能性があります。
まず、相続人は、故人の出生から死亡までの戸籍を全て取り寄せて調査するケースが一般的です。
誰が相続人にあたるのかを把握できている場合でも、相続人調査は基本的に避けられません。
金融機関などで手続きする際には、被相続人と相続人の戸籍を提示しなければならないためです。
また、故人が子どもを認知している場合や養子縁組をしている場合などは、正確に相続人を把握しきれていない可能性もあるので慎重に調査を進めることが重要です。
相続財産は一度に洗い出すことはできないため、一つひとつ地道に探していくことになります。
相続の対象となる主な財産は、以下のとおりです。
- 現金・預貯金
- 有価証券(株式・債券・小切手 など)
- 不動産(建物・宅地・農地 など)
- 一般動産(自動車・骨董品・貴金属・宝石・家財 など)
故人の財産が現金や預貯金のみであれば、それほど手間はかかりません。
しかし、相続財産に不動産が含まれている場合などは、権利情報や評価額の調査なども必要になるため、弁護士などの専門家に依頼したほうがよいケースもあるでしょう。
3.相続放棄・限定承認は3ヵ月以内に
相続方法には大きく分けて、単純承認・限定承認・相続放棄の3種類があります。
ここでは、各相続方法の手続き期限や注意点などを詳しく見ていきましょう。
①単純承認
単純承認とは、故人の財産を無条件で全て相続する方法のことです。
プラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も相続することになります。
単純承認は、以下のいずれかに該当する場合に自動的に成立するため、特別な手続きは不要です。
- 3ヵ月以内に限定承認・相続放棄の意思表示をしない場合
- 限定承認・相続放棄の意思表示をする前に財産を処分してしまった場合
故人に借金があることを知らずに単純承認してしまい、大きな負債を抱えるケースも少なくありません。
プラスよりマイナスの財産が多い場合は、後述する限定承認や相続放棄を選択するのがよいでしょう。
②限定承認
限定承認とは、プラスの財産の範囲内でマイナスの財産を引き継ぐ方法のことです。
先にプラスの財産を確定させるので、マイナスの財産が少なければ手元に財産が残ります。
たとえマイナスの財産のほうが多かったとしても、プラスマイナスゼロに抑えることが可能です。
そのため、限定承認は相続財産が正確に把握できていない場合や、債務の存在を知ったうえでどうしても相続したい財産がある場合などに用いられます。
限定承認をおこなうには、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3ヵ月以内に、相続人全員で家庭裁判所に申述しなければなりません。
誰か一人でも反対する相続人がいた場合は限定承認が成立しないので、相続放棄を検討することになるでしょう。
③相続放棄
相続放棄は、一切の財産を相続しない方法のことを指します。
明らかにマイナスの財産が多い場合や、特定の相続人に財産を集中させたい場合などに用いられるケースが一般的です。
相続放棄をおこなうには、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3ヵ月以内に家庭裁判所へ申述する必要があります。
なお、限定承認とは異なり、相続放棄したい相続人が単独で申述することが可能です。
4.遺産分割協議の実施
誰がどの遺産を相続するのかは、遺産分割協議によって決めていくケースが一般的です。
遺産分割協議での合意があれば、法定相続や遺言とは異なる方法で遺産相続することも認められています。
ただし、遺産分割協議には相続人全員が参加しなければならず、一人でも欠けていた場合は協議内容が無効になるので注意しましょう。
また、遺産分割協議で話し合った内容は、遺産分割協議書にまとめておくことも大切です。
相続人全員が署名・押印し、同じものを保管するようにしてください。
5.4ヵ月以内に準確定申告
相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヵ月以内に、所得税の準確定申告をおこなわなければならないケースもあります。
故人が以下に挙げたいずれかのケースに該当する場合には、準確定申告が必要です。
- 個人事業主だった場合
- 給与所得が2,000万円を超えていた場合
- 医療費の還付を受けられる場合
- 不動産の運用や売却による収入があった場合
- 会社からの給与以外に20万円を超える所得があった場合
- 公的年金が400万円を超えていた場合
- 生命保険の満期金などを受け取っていた場合
相続人が複数人いる場合は、連署で申告手続きをおこなうのが原則です。
各相続人が個別におこなうこともできますが、ほかの相続人に申告内容を通知する必要があります。
なお、期限内に準確定申告ができなかった場合は、無申告加算税や延滞税が課税されるおそれもあるので、早めに手続きを済ませておきましょう。
6.10ヵ月以内に相続税の申告・納付
相続内容次第では、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヵ月以内に相続税の申告・納付をおこなわなければなりません。
具体的には、以下の式で算出した課税遺産総額がプラスになる場合は、相続税の申告・納付が必要です。
- 各相続人の課税価格の合計額 - 遺産にかかる基礎控除額 = 課税遺産総額
「遺産にかかる基礎控除額」は、3,000万円+(600万円×法定相続人数)で計算してください。
実際に納める相続税を算出する際は、課税遺産総額を相続財産の割合に応じて各相続人に振り分け、所定の税率をかけることになります。
申告・納付の手続き自体も、各相続人が個別におこなってください。
遺産分割協議が難航し、申告期限に遅れそうな場合などは「未分割申告」をおこなうとよいでしょう。
未分割申告とは、一旦法定相続どおりに分割すると仮定して手続きを進める方法のことです。
遺産が分割されたことを知った日の翌日から4ヵ月以内に申告内容を更正すれば、相続税の不足を追加で納税したり、払い過ぎていた分を返してもらったりすることができます。
なお、準確定申告と同様に、申告が遅れると無申告加算税や延滞税が課されるため十分注意してください。
葬儀後早めにおこないたい期限のある手続き
次に、葬儀後にできるだけ早く済ませておきたい期限付きの手続きを紹介します。
ある程度の時間的な余裕はありますが、そのまま手続きを忘れてしまうおそれもあるので、早めに取り掛かるようにしましょう。
2年以内におこなわねばならない手続き
死亡にともなう手続きには、2年以内におこなわなければならないものがいくつかあります。
いずれも公的機関から金銭的な支援を受けられる制度なので、申請漏れのないように確実に手続きを済ませておきましょう。
手続きの種類 |
対象者 |
概要 |
手続き先 |
埋葬費支給申請 |
健康保険加入者 |
埋葬費として5万円が支給される |
全国健康保険協会・健康保険組合 |
祭葬費支給申請 |
国民健康保険加入者・船員保険加入者 |
祭葬費として5万円~7万円程度が支給される |
役所 |
死亡一時金の請求 |
国民年金に加入し、36ヵ月以上保険料を納付していた者 |
年金の受給開始までに死亡した場合に12万円~32万円が支給される |
役所 |
高額療養費の請求 |
国民健康保険加入者など |
ひと月で自己負担限度額を超える医療費を支払った場合に、超過分が支給される |
役所・健康保険組合など |
介護保険料過誤納還付金の請求 |
満40歳以上の方 |
払い過ぎた介護保険料が還付される |
役所 |
3年以内におこなわねばならない手続き|死亡保険金の請求
故人が生命保険に加入していた場合は、3年以内に死亡保険金の請求をおこないましょう。
保険金の請求権は3年で時効が成立するため、手続きを忘れると支払いに応じてもらえない可能性があります。
保険金の受取人本人が、生命保険会社の担当者やコールセンターなどに連絡してください。
死亡日や死亡の原因、保険証券の番号などを伝達すれば、生命保険会社から必要書類や請求書が送付されるはずです。
被保険者の住民票や受取人の戸籍謄本・印鑑証明などとあわせて請求書を返送し、生命保険会社のチェックが終われば、死亡保険金が支給されます。
5年以内におこなわねばならない手続き|遺族年金の受給手続き
遺族年金の受給手続きは、5年以内におこなわなければなりません。
年金を受け取る権利である「基本権」は、故人が亡くなった日から5年で消滅してしまいます。
遺族年金の受給手続きは、住所地の役所または年金事務所・年金相談センターでおこないます。
年金請求書や年金手帳、世帯全員の住民票の写しなどを持参してください。
手続き後、4ヵ月程度で年金の支給が始まります。
やむを得ない事情があり、5年以内に受給手続きができない場合は、書面で申し立てることで期限の延長が可能です。
その他、必要に応じておこなう手続き
人によっては、遺留分侵害額請求と相続登記の手続きもおこなわなければなりません。
ここからは、それぞれの手続きが必要になるケースを詳しく見ていきましょう。
遺留分侵害額請求 | 本来受け取れる分の遺産を受け取れなかった場合
遺産相続において、本来受け取れる分の遺産を取得できなかった場合は、遺留分侵害額請求をおこないましょう。
遺留分とは、法定相続人に保障されている最低限度の取得分のことを指し、法定相続分の2分の1と定められています。
たとえば、遺言に従って相続した結果、遺留分が侵害されている場合などは、ほかの相続人に対する返還請求が可能です。
遺留分侵害額請求は、相手方に対して直接おこないます。
話し合いで合意を得られれば「遺留分侵害額に関する合意書」を作成し、具体的な返還日などを確定させておきましょう。
話し合いがまとまらない場合は、内容証明郵便で請求書を送付してください。
相手方にプレッシャーを与えられるうえ、調停や訴訟に発展した際にも意思表示をおこなった証拠として役立てられます。
相続登記 | 不動産を相続した場合
不動産を相続した場合は、相続登記の手続きも必要です。
2024年4月1日からは相続登記申請が義務化され、不動産を相続したことを知ったときから3年以内に申請しなければ、10万円以下の過料が科せられます。
不動産の所在地を管轄する法務局で、相続人本人が手続きをおこなってください。
申請時には、「不動産の固定資産税評価額×0.4%」を登録免許税として納めなければならないため、相続する不動産によってはある程度まとまったお金が必要になることも覚えておきましょう。
葬儀後に各種手続きを放置する4つのリスク
ここでは、葬儀後に各種手続きを放置する4つのリスクを紹介します。
場合によっては取り返しのつかない事態に陥る可能性もあるので、それぞれの期限を把握したうえで、計画的に手続きを進めることが大切です。
1.年金の不正受給により返還請求を受ける可能性がある
年金受給権者死亡届の提出を怠ると、本来受け取るべきではない年金が支給され続けるため、あとで不正受給分の返還請求を受けることがあります。
意図的に不正受給を続けていた場合には、刑事事件に発展する可能性もあるでしょう。
年金受給権者死亡届の提出期限は、国民年金加入者なら死亡日から14日以内、厚生年金加入者なら10日以内です。
日本年金機構にマイナンバーを登録している場合は、死亡届の情報が役所から年金事務所に共有されるため、年金受給権者死亡届を別途提出する必要はありません。
2.もらえるはずのお金をもらえない
葬儀後に各種手続きを放置すると、もらえるはずのお金をもらえなくなります。
たとえば、埋葬費・祭葬費の支給申請や死亡一時金の請求などは、放置したからといってペナルティを受けるものではありません。
しかし、手続きを後回した結果、気づかないうちに期限が過ぎていて、数万円~数十万円を損してしまう人も一定数存在します。
葬儀後は忙しさのあまり期限の長い手続きを後回しにしがちですが、そのまま忘れてしまうケースも多いので、早めに処理しておくことが大切です。
3.借金を引き継いでしまう
故人が各種ローンの契約者となっている場合などに相続放棄の手続きが遅れると、相続人が借金を引き継いでしまうことになります。
相続放棄の期限は、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3ヵ月以内です。
期限を過ぎた場合は自動的に単純承認とみなされ、プラスの財産もマイナスの財産も引き継がなければならなくなります。
特別な事情がない限り、期限後の相続放棄が認められることはないので、早めに相続財産の調査や遺産分割協議をおこない、相続放棄するかどうかを判断するようにしましょう。
4.延滞税などが発生する
準確定申告や相続税の申告が遅れた場合は、延滞税や無申告加算税が発生します。
延滞税の計算式は、原則として以下のとおりです。
- 納期限の翌日から2ヵ月を経過する日まで:未納税額×期限翌日から完納日までの日数÷365×7.3%
- 2ヵ月を経過した日以後:未納税額×期限翌日から完納日までの日数÷365×14.6%
無申告加算税の計算式は以下のとおりです。
- 50万円以下の部分:追加納付額×15%
- 50万円を超える部分:追加納付額×20%
準確定申告の期限は相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヵ月以内、相続税の申告期限は被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヵ月以内です。
もともとの納税額次第では、延滞税や無申告加算税の負担がかなり大きくなるので、迅速に手続きを済ませることが大切です。
さいごに|葬儀後の手続きは上手に専門家を頼ろう
葬儀後には、やらなければならない手続きが数多くあります。
期限に遅れてしまうとさまざまな不利益を被るおそれがあるので、後回しにせず、できるだけ早く処理することが大切です。
しかし、中には煩雑な書類作成を求められたり、親族との調整が必要になったりする手続きも多いので、自力での対応が難しいケースもあるかもしれません。
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場合によっては、ある程度の費用を支払ってでも、手続きを全て一任したほうがよいケースもあるでしょう。
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相続トラブルを解決し遺産を多く受け取る方法とは?
相続トラブルで一番多い金額は5,500万円以下です。
これは相続トラブル全体の約75%にあたり、さらに1,000万円以下だけに絞って見ても、全体の32%を占めています。
相続トラブルはお金持ちや、ましてテレビの出来事では決してないのです。
<参考資料:平成25年度司法統計>
さらに、下の表を見ると遺産分割調停、すなわち遺産分割トラブルが右肩上がりで増えてきていることがわかります。
<参考資料:平成25年度司法統計>
相続における自己解決と弁護士介入の違いとは?
相続するのはあなただけではありません。相続人の平均人数は3名程度です。
<参考資料:国税庁 統計年報>
相続人が多いほど、相続トラブルが発生しやすく複雑になるのは避けようのない事実です。
トラブル回避のために重要なのは、早めに専門知識のある第三者を介入させることです。一般的に専門知識を持つ代表格といえば相続問題を得意とする弁護士です。
弁護士を介入させると費用が高くつくイメージがありますが、結果的にはトラブルを解消できるだけではなく、相続面でも優位に働き、金銭的にもメリットを得られることが多くなります。
相続に強い弁護士の選び方と相続相談の具体例
相続に際し、雇うのは弁護士なら誰でもいいというわけではありません。
最大のメリットが得られる弁護士の選び方は、以下を参考にしてください。
-
1、相続が得意な弁護士を選ぶ
相続トラブルの解決実績が豊富だったり、相続問題に注力していたりする弁護士を選びましょう。
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例えば、医者に「内科」「外科」「皮膚科」「耳鼻科」…と専門分野があるように、弁護士にも「相続」「離婚」「借金」「企業法務」…といった得意分野があります。
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相続があまり得意でない弁護士に依頼しても十分なメリットを受けられない可能性があるため、相続を得意とする弁護士に依頼することが大切です。
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2、初回相談料の安い弁護士を選ぶ
初回相談は自分と相性の良い弁護士を選ぶチャンスですので、1件だけではなく複数と話をしてみましょう。
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件数を重ねるために初回の相談料を必ず確認しましょう。(相談無料〜3000円程度をオススメします)
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3、近隣の弁護士を選ぶ
相続の弁護士は全国対応していることも多いのですが、やはり対面での関係性構築や急な事態に対応できる近隣の弁護士事務所が最善策といえるでしょう。
相続で弁護士が介入するデメリットは、あまりありません。
あえて挙げるなら、依頼に費用がかかる点でしょうか。
しかし、以下の費用対効果の例をご覧いただけば、実際には費用がデメリットとはならないことが、おわかりいただけると思います。
不公平な遺言書に対し弁護士を通じて遺留分を主張した例
3,000万円の遺産を遺して親が世を去った。全財産をほかの相続人に相続させる旨の遺言書があり、このままでは自分は一切遺産を受け取ることができない。
弁護士に依頼した結果
遺留分侵害額請求により、自分の遺留分割合である8分の1の遺産を受け取ることができた。
費用対効果
自分が受け取ることができた遺産は375万円。弁護士費用は84万円。そのまま泣き寝入りしていれば1円も受け取ることができなかったが、結果的に弁護士費用を差し引いても291万円を手にすることができた。
また、相続トラブルに関しては、初期費用(着手金)はかかるものの、費用の大部分は成果報酬方式です。
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