親や配偶者が亡くなった際、遺産を相続することは知っているけれど、具体的な方法や条件がわからないという方は少なくありません。
遺産相続は、親族同士の関係性に影響しうる重要な手続きであり、適切におこないたいものです。
遺言書の有無や、親族の数などによって、相続できる財産は異なります。
また、相続をしないという選択もあります。
本記事では親が亡くなったケースを中心に、親族が亡くなった際の遺産相続の基本から正しい手続き方法などについて詳しく説明します。
まず、財産を遺して死亡した人つまり相続される人のことを、被相続人といいます。
一方、財産を受け取って相続する人のことを相続人といいます。
遺産相続には、主に3つの方法があります。
これらによって相続の内容がまとまらない場合には、裁判所で調停や審判を申し立てることになります。
また、財産を相続しないという選択肢もあります。
相続財産には、故人が遺した資産だけでなく、借金などの負債も含まれることになります。
そのため、マイナスの財産のほうが大きくなるような場合に相続放棄という手があります。
それぞれについて、具体的にみてみましょう。
相続においては、原則として遺言書の内容が優先されます。
これは、民法第964条に定められており、誰にどの財産をどれくらい相続させるのか、被相続人からの指示があれば、それに従うことになります。
ちなみに、遺言に従って財産を受け取る人を受遺者といいます。
気をつけなければならない点として、遺言書には民法で規定された形式があります。
形式が違えば遺言書は無効となるので、故人の遺言書に効力があるかどうか疑わしい場合には弁護士などに相談しましょう。
また、自身が遺言書を作成する際にも、弁護士などの専門家に依頼するのが望ましいといえます。
遺言書が有効である場合において、相続人として名前が記載されていない場合であっても、法定相続人には一定の財産を受け取れる権利があります。
法定相続人が受け取れる財産を遺留分といいます。
法定相続人であれば、たとえ遺言書に相続人として明記されていなかったとしても、一定の財産を受け取ることができます。
これは遺留分と呼ばれ、民法によって保障されている最低保障額です。
法定相続人とは、原則として配偶者と、子・親・祖父母などの1親等の血族を指します。
ただし、兄弟姉妹には遺留分が認められていません。
遺言書の内容が遺留分を侵害している場合、法定相続人は受遺者に遺留分を請求し、支払ってもらうことができます。
遺留分は、基本的には、法定相続分の2分の1です。
ただし、相続人が直系尊属のみの場合は法定相続分の3分の1となります。
直系尊属とは、父母や祖父母などの本人よりも前の世代の親族のことで、相続においては法的血族として養親であっても遺留分を受け取ることができます。
遺言書がない場合は、相続人による遺産分割協議で遺産をどのように分けるかを決める方法があります。
誰が、どの財産を、どれくらい相続するかを具体的に決める話し合いです。
遺産分割協議には相続人全員が参加しなければなりません。
相続人が1人でも欠席していれば、決まった内容は無効となります。
また、未成年者は遺産分割協議に参加することができません。
そのため、未成年者は相続人となる場合、親権者など法定代理人が参加しなければなりません。
協議に決まった形式はないため、全員が1ヵ所に集まる以外にも、電話・メール・LINEなどで実施することも可能です。
協議の結果は書類に残す必要があります。
遺産分割協議書と呼ばれる書面にまとめ、相続人全員が署名と押印することで完了します。
遺産分割協議書は、実際に預貯金や不動産を相続する際に必要となります。
相続人のあいだで揉めることがないようであれば、法定相続分のとおりに相続を進めるケースも多いです。
法定相続分については、のちほど詳しくお伝えしますが、たとえば配偶者と子どもがいる場合、配偶者は遺産の半分を受け取れます。
そして残り半分を、子どもたちで均等に分けることになります。
法定相続分の割合については、本記事内「法定相続人の間で相続する割合も決められている」を参照ください。
遺言書がなく、遺産分割協議で誰がどのくらい相続するかが決まらない場合、家庭裁判所に調停や審判を申し立てることになります。
調停では、調停委員が相続人それぞれの意見を聞き、アドバイスや解決案の提示をします。
遺産分割調停は、5~10回程度かかることが多く、その度に家庭裁判所に出向く必要があります。1ヵ月に一度おこなわれ、各1~2時間の所要時間と考えてよいでしょう。
遺産分割調停には、相続人全員の参加が必要です。
管轄の裁判所が遠方であっても出席を拒否することはできません。
相続人がさまざまな場所に住んでいて出席できないというケースでは、代理人の弁護士に調停へ出席してもらうことができます。
また、電話会議システムで参加することも可能です。
相続人全員が合意すれば調停が成立しますが、1人でも反対する相続人がいれば調停は不成立となります。
その場合、自動的に審判という手続きに移るため、改めて申し立てをする必要はありません。
審判では、相続人からの資料や意見は考慮されますが、最終的には審判官が遺産分割方法を指定します。
指定された分割方法には強制力があり、納得がいかない結果になったとしても拒むことはできません。
そのため、なるべく遺産分割協議や調停で納得のいく遺産分割方法を決めたほうがよいでしょう。
相続をする場合、基本的にはプラスの財産だけではなく、マイナスの財産も全て引き継ぐことになります。
プラスの財産とは、現金・不動産・有価証券などの資産価値があるものを指します。マイナスの財産とは、借金や保証人としての立場などを指します。
主に、マイナスの財産が多い場合に相続放棄を選択することになります。
相続放棄は、故人の権利や義務を一切受け継がない手続きです。
ただし、被相続人が亡くなったことを知ったときから3ヵ月以内に家庭裁判所へ申し立てる必要があるので、注意が必要です。
相続放棄をおこなうために、ほかの相続人の同意を得る必要はありません。
故人にマイナスの財産がどのくらいあるかわからないときは、プラスの財産を限度に債務を引き継ぐ限定承認という手続きをふめば、後日マイナスの財産が見つかったとしても引き継がなくて済みます。
ただし、限定承認は全ての相続人による家庭裁判所への申し立てが必要です。
法的には、遺産相続ができる人のことを法定相続人と呼びます。
民法では、法定相続人の範囲や相続できる順位を定めています。
たとえば、親が亡くなった場合に相続人になるのは、被相続人の配偶者と子どもです。
配偶者がいないときは、子どものみになります。
家族の人数や状況は、各家族によって異なるため、どのような場合には誰が相続人となるのかなどが細かく決められています。
ここからは、法定相続人の範囲や順位について説明します。
相続において最優先となるのは、被相続人の配偶者です。
つまり、夫にとっての妻、妻にとっての夫は最優先となります。
配偶者以外の法定相続人については第一順位から第三順位までが決められていますが、配偶者は順位とは無関係で、必ず相続することが定められています。
ただし、配偶者として認められるのは、相続時に入籍している状態である場合に限られます。
そのため、内縁の妻や夫、離婚した元配偶者など、相続時に戸籍に入っていない方は相続人になることができません。
亡くなった人に、配偶者のほかに子どもがいる場合は、子どもが第一順位として優先され、相続人として遺産を相続することができます。
配偶者の場合は離婚していれば相続できませんが、子どもについては離婚して離れて暮らす親が亡くなった場合でも相続ができます。
そのほか、養子や認知した子どもであっても相続が認められます。
子どもが亡くなっていて孫がいる場合には、孫が子に代わって相続人となります(代襲相続)。
また、その孫もすでに亡くなっていてひ孫がいる場合には、ひ孫が相続人となります。
このときの孫を代襲相続人、ひ孫を再代襲相続人と呼びます。
ただし、本来相続人となる子どもが、被相続人の養子であった場合で亡くなっている場合には、孫が代襲相続人となるかどうかは子どもの出生時期によって異なります。
このようなケースの場合、詳しくは弁護士などの専門家に相談しましょう。
第二順位は、父と母です。
また、父母が亡くなっている場合には祖父母が、父母も祖父母も亡くなっている場合は曾祖父母が第二順位の相続人となります。
第二順位の方々は、第一順位の相続人がいないときにのみ、相続人になることができます。
第一順位の相続人が亡くなったなどの事情のみならず、第一順位の相続人全員が相続放棄をした場合にも第二順位の方々が相続人となります。
つまり、第一順位の方がいるときは、第二順位または第三順位の方が相続人になることはありません。
第三順位は、被相続人自身の兄弟姉妹です。
配偶者の兄弟姉妹は、法定相続人にはあたりません。
また、第一順位の相続人も第二順位の相続人もいないときにのみ、相続人になることができます。
つまり第一順位または第二順位の方がいるのであれば、第三順位の方は相続人にはあたりません。
故人の兄弟姉妹が亡くなっている場合には、代襲相続となり、甥や姪が第三順位となります。ただし、親や兄弟姉妹、祖父母などもおらず、さらに甥や姪が亡くなっている際などに甥や姪の子にまで代襲相続がおよぶことはありません。
被相続人の親族であっても、法定相続人でなければ、原則として遺産を受け取ることはできません。
たとえば、次のような方が該当します。
この場合、遺言書によって遺産の受取人として指定されていれば遺産を受け取ることができます。
基本的には、遺言書に記載がなければ、被相続人と懇意にしていた方であっても遺産を1円も受け取ることができません。
ただし、特別縁故者としての手続きによって相続財産を引き継げる可能性もあります。
また、2019年7月からは民法の改正によって、嫁・婿・姪・甥などの立場で被相続人の介護や看病を無償で担っていた際には、相続人に対して金銭請求ができるようになりました。
相続できる割合は、法定相続分として、民法で定められています。
主な相続の割合は、下表のとおりです。
法定相続人 |
各法定相続人が相続する割合 (法定相続分) |
配偶者のみ |
配偶者100% |
配偶者と子 |
配偶者2分の1、子(全員で)2分の1 |
配偶者と父母 |
配偶者3分の2、父母(全員で)3分の1 |
配偶者と兄弟姉妹 |
配偶者4分の3、兄弟姉妹(全員で)4分の1 |
子のみ |
全員で100% |
配偶者しかいない場合は配偶者が全て相続します。
配偶者に加えて、子どもがいる場合であれば、配偶者は半分を受け取れます。
そのうえで、残り半分を子どもたちで均等に分けるかたちになります。
また、親が亡くなったという場合、もう片方の親がすでに亡くなっていることや不慮の事故などで当時に亡くなられることもあります。
そのようなケースでは配偶者がいないという状況であるため、第一順位の子どもが相続をします。
たとえば、子どもが3人いるなら、3分の1ずつの割合です。
たとえば、父親が亡くなった場合、各ケースによって次のような法定相続分の割合となります。
たとえ配偶者や子などの法定相続人であっても、遺産を相続できない場合があります。
相続権がなくなる主なケースについて、確認しておきましょう。
法定相続人であっても相続欠格事由があれば、相続人になる資格を失い、相続することはできません。
相続欠格とは、該当者の相続権を手続きなく剥奪する制度です。
主に、被相続人の意思にそぐわない方法で相続しようとした場合、相続人としての資格を失います。
相続欠格にあたるケースとして、具体的には以下のような事由が挙げられます。
故人が生前に相続廃除の手続きをおこない、家庭裁判所で認められた場合、その対象者は相続人になることができません。
相続廃除の対象となるのは、配偶者・第一順位の相続人・第二順位の相続人のみです。
相続廃除とは、家庭裁判所が被相続人の請求によって相続人の相続権をはく奪することです。
たとえば、次のようなケースで相続廃除が認められます。
相続廃除が認められた場合は、戸籍謄本にその旨が記載されます。
ただし、家庭裁判所は慎重に相続廃除の審議をしているため、相続廃除が認められるケースは多くはありません。
相続権の放棄をした場合も、相続人にはなりません。
相続放棄が認められると、そもそも相続権がなかったとみなされます。
そのため、相続する予定であった法定相続人だけでなく、代襲相続人となる予定であった方の相続権もなくなります。
たとえば、子どもが相続放棄をすれば、孫が子どもに代わって相続人になることはできません。
ちなみに、相続放棄は相続順位の順番に則っておこなわれる必要があります。
そのため、第一順位の全員が相続放棄の手続きを終えてから、第二順位の方々の相続放棄の手続きが可能になります。
遺産相続をする際、遺産の総額によって相続税が発生するケースがあります。
ここでは、相続税の概要と、どのような場合に相続税が課されるのかについて解説します。
相続税とは、被相続人の財産を相続した方が国に納める税金です。
基本的には、お金に換算できる全ての財産がその対象です。
たとえば、次のようなものが該当します。
相続税法上、相続税の課税対象とならない財産には、たとえば次のようなものがあります。
相続税の税率は、相続人が引き継ぐ財産の額に応じて変わります。
このあと、計算手順を紹介しますが、計算に慣れていない方にとっては容易な作業とはいえません。
そのため、弁護士や税理士などの専門家に依頼するのがおすすめです。
相続税の申告と納付の期限は、相続開始を知った日の翌日から10ヵ月以内です。
葬儀や相続に伴う各種調査などをおこなうことをふまえると、決して10ヵ月は長い期間ではないため、早めの手続きが必要です。
相続財産への課税に関しては、基礎控除額が設定されています。
遺産の総額が基礎控除額を下回っていた場合には、相続税はかかりません。
相続税の基礎控除額は、次の式で計算します。
つまり、法定相続人が1人であった場合には3,600万円となります。
法定相続人が一人増えるごとに600万円が加算されるため、法定相続人が多くなるほど基礎控除額は大きくなるということです。
相続税がかからない場合、相続税に関する申告をおこなう必要もありません。
相続税を計算する大まかな流れとしては、財産を受け取った相続人ごとに相続財産の金額を集計し、それぞれの金額を合計することからはじまります。
そのうえで、相続税の基礎控除額を計算して差し引き、相続税が課税される金額を導き出します。
それをもとに相続税の総額を計算し、実際に財産を受け取った割合によって各人の税額を算出します。
さらに、そこから各種控除額を控除し、それぞれの納付税額を算出します。
各ステップについて、具体的にみてみましょう。
まずは、相続人ごとに相続財産の合計額を計算します。
預金はわかりやすいですが、株や車、不動産などは、相続が発生した日の時価で評価することになります。
たとえば、合計額が次のような場合、相続税がいくらになるのか次のステップから順番に確認していきましょう。
まずは、各人の相続財産を合計します。
すると、合計額は1億1,000万円となります。
次に、国で定められている基礎控除額を、相続財産の合計額から差し引きます。
国が定める基礎控除額は【3,000万円+(600万円×法定相続人数)】です。
そのため、今回の事例の場合は次のようになります。
相続税が課税されるのは、基礎控除額を超えた部分のみです。
この事例では基礎控除額の4,800万円を上回る6,200万円が相続されているため、課税対象となります。
つまり、課税遺産総額は6,200万円となりました。
次に、課税遺産総額に対する相続税の合計を計算します。
実際に相続した財産とは関係なく、法定相続分で相続したものとして計算しなければなりません。
6,200万円を法定相続した場合、それぞれが相続する額は次のようになります。
これに、相続税法によって定められているとおり、税率をかけて控除額を引きます。
相続税の税率と控除額は、それぞれの課税遺産総額金額に応じて変わります。
課税遺産総額金額が多いほど、税率や控除額も高くなります。
今回の場合、税率は母20%、長男と次男15%です。
控除額は母200万円、長男と次男50万円です。
ここから、さらに計算は続くため、この時点では各相続人の仮の相続税額とします。
仮の相続税額をまた合計し、相続税の総額を算出します。
この事例では785万円となりました。
次に、各相続人の算出税額を導き出します。
これは、相続税の総額を、実際に財産を受け取った割合で分けるステップです。
これで、それぞれの納付すべき相続税額が決まりました。
ここから、さらに控除できる要素がある場合には、それらをふまえて実際の納付税額を算出することになります。
算出税額から控除できる要素があれば、控除をしたうえで、実際の納付税額が決まります。
各種控除額のなかでも大きく軽減できるのが、配偶者の税額軽減です。
配偶者は、取得した財産のうち1億6,000万円までの財産については相続税を課税されません。
故人の財産が大きい場合、それ以上の財産についても相続税が課税されない場合もあります。
今回の事例では、配偶者である母が相続した財産は1憶6,000万円未満です。
そのため、算出税額の約357万円は課税されません。
長男と次男に控除できる要素がない場合、最終的なそれぞれの課税額は次のとおりです。
具体的に計算したい方は、以下の記事も活用してください。
親が亡くなった際、遺産を相続するには、どのような手順をふめばよいのでしょうか。
ここまで紹介してきた手続きも含め、改めて遺産相続手続きの流れを説明します。
遺言書があれば、基本的には遺言書で指定された方法に従って相続を進めることになります。
そのため、まずは遺言書があるかどうかを確認しましょう。
遺言書の保管場所としては、次のようなところが考えられます。
また、弁護士や親族が預かっているケースもあるでしょう。
これらのうち、法務局または公証役場で保管されていた場合を除き、遺言書がある場合には遺言者の死亡を知ったあと、速やかに家庭裁判所へ申し立てる必要があります。
遺言書によって相続内容が決まっていない場合は、遺産分割協議などの手続きに進みます。
そのため、誰が相続人にあたるのかを確定させる必要があります。
法定相続人が全員揃っていなければ、遺産分割協議は無効となってしまいます。
また、調停となる場合であっても全員の出席が必要です。
法定相続人になるのは、ふだん連絡を取り合っている親族だけであるとは限りません。
たとえば、故人の養子や離婚した配偶者の子も相続人になりえるため、調査が必要なのです。
調査方法は通常、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を全て集めて、両親や子や兄弟姉妹を明らかにしていきます。
法定相続人となる方の出生から死亡までの戸籍謄本も取得することで、その方が存命かどうかを確定することも大切です。
戸籍謄本は、それぞれ本籍がある役所でしか取得することができません。
居住地から遠い場所にあると不便なだけでなく、自力では収集し忘れてしまうこともあり、管理が大変です。
そのような場合には、弁護士に依頼して必要な書類を代わりに集めてもらうことをおすすめします。
次に、遺産を調査して全ての財産を正確に把握することが大切です。
全容がわからなければ、相続人で公平に遺産を分け合うことができません。
相続税の額も変わってしまいます。
また、プラスの財産のほうが多いと思って全てを相続したのに、あとからマイナスの財産が出てくるリスクもあります。
遺産を調査していなければ、そのようなことがないよう相続放棄をするかどうかの判断にも支障がでることになります。
現金や預金通帳はもちろん、不動産の登記事項証明書や証券会社の取引報告書など、もれなく調査しましょう。
自分たちで把握しきれそうにない場合は、専門家に依頼することも検討してください。
遺産の調査をふまえ、相続放棄をすべきかどうか判断しましょう。
遺産には、マイナスの財産も含まれます。
そのため、プラスの財産よりもマイナスの財産が大きい場合には、全ての相続を放棄することができます。
ほかの相続人の同意はいりません。
相続放棄をするのであれば、相続開始を知った日から3ヵ月以内に、管轄の家庭裁判所に申し立てます。
相続放棄をしない相続人は、遺産分割協議へと進みます。
遺産の調査や相続放棄などが完了したあとは、遺産分割協議をおこないます。
全ての相続人が参加し、遺産の分け方について話し合いましょう。
全員の合意があれば、合意内容を遺産分割協議書にまとめます。
遺産分割協議書は弁護士に作成してもらうこともでき、あとから万が一トラブルが起きてしまわないよう依頼するのがおすすめです。
遺産分割協議がまとまらないときは、家庭裁判所で調停や審判をおこなうことになります。
遺産が基礎控除を超えていた際には、相続税の申告と納付が必要です。
相続開始を知った日の翌日から10ヵ月以内におこなわなければなりません。
万が一、期限内に遺産分割協議がまとまらないときであっても、いったん法定相続割合で分割したものとして申告し、納付する必要があります。
不動産と相続した場合には、相続登記をおこなう必要があります。相続登記は、相続を原因とする所有権移転登記です。
期限はありませんが、所有権移転登記がされていなければ売却ができません。
また、ローンを組みたい場合などに担保とすることもできません。
また、二次相続や三次相続が生じた場合に処理が困難になってしまいます。
そのため、誰が相続するのかが確定した時点で、速やかに相続登記をおこなうべきです。
相続手続きについて、さらに詳しい手順やそれぞれの期限について知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
本記事で解説したように、親や家族が亡くなったら、相続のためにおこなうことは数多くあります。
また、遺産の調査や相続税の計算は、場合によっては複雑です。
手続きや手順について、わからないことや不安なことがあるなら、迷わず専門家に相談しましょう。
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