実子を連れて再婚したり、再婚相手に子どもがいたりする場合、あなたが亡くなったあとに子どもたちが相続問題で悩むことになるかもしれません。
養子と実子の関係性が悪ければ、どちらが多くの遺産を手にするのかでトラブルになってしまう恐れがあります。
また、高齢者が節税対策として自分の孫と養子縁組を結ぶケースもありますが、実際のところどれほどの節税効果があるのかは気になるところでしょう。
この記事では、相続における「養子」の扱いについて解説します。
養子には相続権が認められるのか、実子との差はあるのか、節税対策として有効なのかなど、本記事で養子に関する疑問を解消しましょう。
養子に相続権が発生するかわからないあなたへ
養子に相続権が発生するかわからず悩んでいませんか?
結論から言うと、養子にも相続権は発生します。
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養子縁組とは
養子縁組とは、血縁関係とは無関係に、人為的に親子関係を発生させる制度です。
これまで他人同士の関係だった人たちについて、法律上の親子関係を認める制度だと考えればよいでしょう。
養子縁組を結んだ場合、親を「養親(ようしん)」といい、子どもを「養子」と呼びます。
養子となった女性のことを「養女」ということもありますが、本来は養子に男女の区別はありません。
養子縁組には2つの種類があります。
ここでは、それぞれの違いをみていきましょう。
普通養子縁組
普通養子縁組とは、親と子どもの双方に「養子縁組を結んでよって親子になる」という意思があれば親子関係が発生する制度です。
普通養子縁組で養親・養子になるケースには、以下のようなものがあります。
- 後継者がいないので血縁関係のない孤児を養子にした
- 相続対策のために孫を養子にした
- 再婚相手の子どもを養子にした
普通養子縁組を結ぶ要件は、特別養子縁組と比べると厳しくありません。
詳しい条件は以下のとおりです。
普通養子縁組のる条件
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条件の意味
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①双方に養子縁組の意思があり、それが合致していること
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- 当事者に養子縁組をして親子と認められる関係を成立させようとする意思があること
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②縁組ができない場合に該当しないこと
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- 民法792条~第798条にて定められている「養子縁組ができない場合」に該当しないこと。
- 養親が成年に達していること(婚姻による成年擬制も含む)
- 養子が養親の直系尊属または年長者でないこと
- 後見人が被後見人を養子とする場合で、家庭裁判所の許可を得ていること
- 配偶者のある人が未成年者を養子とする場合は、他方配偶者の同意を得て夫婦が揃って養親となること
- 15歳未満の子を養子とする場合に、その法定代理人の承諾を得ており、父母以外が法定代理人の場合はその子の父母の同意を得ていること
- 未成年者を養子とする場合に、家庭裁判所の許可を得ていること
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③養子縁組の届け出がなされていること
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- 戸籍法の定めに基づいて、養子縁組の届け出がなされていること
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なお、結婚の際に夫が妻の姓を名乗ることを一般的に「婿養子」といいますが、婿養子は養子縁組ではありません。
旧民法では、養子縁組と同時に養親の娘と婚姻を結ぶことを婿養子と呼んでいましたが、戦後の民法改正によって廃止されています。
特別養子縁組
特別養子縁組とは「子どもの福祉の増進」を目的に養子縁組を結ぶ制度です。
特別養子縁組では、実親と実子の親子関係を法的に解消し、養親と養子で親子関係を結びます。
- 子どもが実親から虐待を受けている
- 子どもが経済的に著しく困窮した環境で育てられている
- 保護者のいない子どもを施設などから引き取りたい
このような状況を解消するために結ぶのが特別養子縁組で、普通養子縁組に比べると厳しい条件が設けられています。
特別養子縁組の条件
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条件の意味
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①家庭裁判所の審判により許可を得ていること
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②民法第817条の3~第817条の7で定められている要件を満たしていること
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【養親の要件(民法第817条の3、817条の4)】
- 養親になろうとする人に配偶者がいて、配偶者とともに養親になること
- 養親になろうとする人が25歳以上であり、夫婦の一方が20歳には達していること
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【養子の要件(民法第817条の5)】
- 家庭裁判所の審判を請求する際に、15歳未満であること
※ただし、16歳・17歳で本人の同意があった場合には可能
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【実親の要件(民法第817条の6、第817条の7)】
- 特別養子縁組について、養子の実親が同意していること
- 実親による監護が著しく困難または不適当であるなどの特別な事情があること
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③養子縁組の届け出がなされていること
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- 戸籍法の定めに基づいて、養子縁組の届け出がなされていること
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特別養子縁組を結ぶには厳しい要件が設けられているため、成立件数は多くありません。
引用元:特別養子縁組の成立件数|法務省
近年は増加傾向にありますが、この数字をみれば積極的に活用されている制度だとはいえないでしょう。
養子の相続権
養子縁組は、養親と養子との間に法律上の親子関係を築く制度です。
民法第887条1項の定めに従って、養子でも法定相続人になることができます。
しかし、普通養子縁組と特別養子縁組では、認められる相続権が異なります。
普通養子縁組の場合は、養子は実親・養親の両方の相続権を有しますが、特別養子縁組では子どもと実親の親子関係は解消されるため、実親の相続権は認められません。
ここでは、それぞれの養子縁組における養子の相続権について詳しく解説します。
普通養子縁組の相続権
普通養子縁組を結んだ養子には、養親との間に親子関係が発生します。
法律上の親子なので、実子との区別なく法定相続人となり、法定相続分も実子と同じく与えられます。
遺留分についても実子と同じように認められます。
遺産分割の話し合いにおいてほかの相続人から「遺産は相続させない」「養子だから取り分は少なくてもいいだろう」などと言われたとしても、そのような不利益を受け入れる必要はありません。
また、普通養子縁組では、養親と養子の親子関係が発生するほか、実親と実子の親子関係は解消されません。
つまり、普通養子縁組を結んだ養子には、養親と実親の両方から遺産を相続する権利が与えられているのです。
特別養子縁組の相続権
特別養子縁組を結んだ養子も、養親との間に親子関係が発生します。
実子との区別なく法定相続分や遺留分が認められ、不利益な扱いを受けることはありません。
ただし、特別養子縁組では、養親と養子で親子関係が発生する一方、実親と実子の親子関係は解消されます。
つまり、特別養子縁組を結んだ養子には、養親の遺産のみを相続する権利があります。
養子の代襲相続
遺産相続が発生した時点で法定相続人が死亡している場合などは「代襲相続」によって遺産が継承されます。
ただし、養子がいる場合は、実子だけの場合と比べると権利関係が複雑になるため、注意が必要です。
代襲相続とは
代襲相続とは、被相続人より先に法定相続人が死亡していたりして相続を受けられない場合、その子どもが代わりに相続権を得るという制度です。
たとえば、親が亡くなり、その子どもも亡くなっている場合は、子どもの子どもである孫が相続権を得ます。
代襲相続が認められるためには、代襲される人と被相続人の関係性などいくつかの条件があるため、複雑に感じる人も多いはずです。
代襲相続については、以下の記事で詳しく解説しています。
養子の子どもは代襲相続できない場合がある
養子の子どもによる代襲相続が認められるのは、子どもが「養子縁組を結んだあとに生まれた場合」に限られます。
なぜなら、養子縁組を結ぶよりも前に生まれた養子の子どもは、養親との間に親族関係が生じず、養親の直系卑属に該当しないからです。
- 養子縁組を結ぶよりも前に生まれていた養子の子ども→代襲相続はできない
- 養子縁組を結んでから生まれた養子の子ども→代襲相続ができる
養子の子どもは、生まれたタイミングによって代襲相続の権利関係が異なるため注意しましょう。
養子縁組のメリット
養子縁組を結ぶことで、相続人・被相続人の双方にとってさまざまなメリットが期待できます。
相続税の基礎控除が増える
相続税は、遺産総額から基礎控除として「3000万円+(600万円×法定相続人の数)」を差し引いて計算されます。
法定相続人の数が多いほど基礎控除額が増えて相続税が安くなるという仕組みです。
養子縁組を結べば、法定相続人の数はそれだけ増えることになります。
つまり、相続税の基礎控除額が増えて、相続税の負担軽減に効果を発揮するわけです。
生命保険の非課税枠が増える
被相続人が生命保険に加入していた場合は、死亡によって保険金が支給されます。
本来、生命保険の死亡保険金は被相続人が保有していた財産ではないため、遺産には含まれません。
ただし、被相続人の死亡によって発生した財産であるため、相続税の課税対象になります。これを「みなし相続財産」と呼びます。
死亡保険金は、契約者が亡くなってしまったあとの遺族の生活を支える大切な資金であり、遺産と同じように非課税枠が設けられています。
死亡保険金の非課税枠は「500万円×法定相続人の数」です。
養子縁組を結ぶことで法定相続人の数が増えるため、死亡保険金に対する相続税も軽減されます。
死亡退職金の非課税枠が増える
被相続人が会社に勤めていた場合は、将来受け取ることができたはずの退職金が「死亡退職金」として支給されます。
死亡退職金も、死亡保険金と同じくみなし相続財産であり、相続税の課税対象になります。
死亡退職金の非課税枠は「500万円×法定相続人の数」で、養子縁組を結ぶことで相続税の軽減が期待できます。
相続人以外を養子にすれば、遺贈よりも低い税率で財産を渡せる
基本的に、法定相続人でなければ、相続を受けることができません。
法定相続人ではない人に遺産を譲渡するためには、遺言書に遺産を渡す旨を記載しておくなどの対応が必要です。
遺言によって法定相続人以外に遺産を渡すことを「遺贈」といいますが、遺贈では贈与税ではなく相続税が課税されます。
つまり、遺贈を受けた人は相続税を支払わなくてはなりません。
法定相続人ではない人が遺贈を受ける場合、相続税額が20%加算されます。
被相続人と養子縁組を結んでいれば親子関係になるため、遺贈による相続税の加算を回避できます。
養子縁組によるデメリット
養子縁組を結ぶことで税法上のさまざまなメリットが得られますが、一方で、養子縁組によっても節税効果が期待できないケースがあります。
孫を養子にすると孫が支払う相続税が20%高くなる
孫と養子縁組を結んだ場合、孫が支払うべき相続税額は20%加算されます。
(相続税額の加算)
第十八条 相続又は遺贈により財産を取得した者が当該相続又は遺贈に係る被相続人の一親等の血族(当該被相続人の直系卑属が相続開始以前に死亡し、又は相続権を失つたため、代襲して相続人となつた当該被相続人の直系卑属を含む。)及び配偶者以外の者である場合においては、その者に係る相続税額は、前条の規定にかかわらず、同条の規定により算出した金額にその百分の二十に相当する金額を加算した金額とする。
2 前項の一親等の血族には、同項の被相続人の直系卑属が当該被相続人の養子となつている場合を含まないものとする。ただし、当該被相続人の直系卑属が相続開始以前に死亡し、又は相続権を失つたため、代襲して相続人となつている場合は、この限りでない。
引用元: 相続製法第18条
まず、相続税法第18条1項によると、一親等の血族や配偶者ではない人が相続または遺贈によって遺産を得た場合、相続税額が20%加算されます。
そして、相続税法第18条2項によると、一親等の血族には直系卑属が養子となっている場合を含まないと規定されているため、たとえ養子縁組を結んで親子関係が成立していても、孫は一親等から除外されるのです。
相続税の基礎控除や非課税枠の算定に含められる養子の人数には制限がある
民法の規定によると、法定相続人の数に制限はありません。
実子が何人いても、養子をたくさん増やしても、全員が等しく法定相続人になります。
ただし、相続税の基礎控除などの控除額を算定する際、法定相続人として加えられる陽子の数には制限があります。
(遺産に係る基礎控除)
第十五条 相続税の総額を計算する場合においては、同一の被相続人から相続又は遺贈により財産を取得した全ての者に係る相続税の課税価格(第十九条の規定の適用がある場合には、同条の規定により相続税の課税価格とみなされた金額。次条から第十八条まで及び第十九条の二において同じ。)の合計額から、三千万円と六百万円に当該被相続人の相続人の数を乗じて算出した金額との合計額(以下「遺産に係る基礎控除額」という。)を控除する。
2 前項の相続人の数は、同項に規定する被相続人の民法第五編第二章(相続人)の規定による相続人の数(当該被相続人に養子がある場合の当該相続人の数に算入する当該被相続人の養子の数は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める養子の数に限るものとし、相続の放棄があつた場合には、その放棄がなかつたものとした場合における相続人の数とする。)とする。
一 当該被相続人に実子がある場合又は当該被相続人に実子がなく、養子の数が一人である場合 一人
二 当該被相続人に実子がなく、養子の数が二人以上である場合 二人
3 前項の規定の適用については、次に掲げる者は実子とみなす。
一 民法第八百十七条の二第一項(特別養子縁組の成立)に規定する特別養子縁組による養子となつた者、当該被相続人の配偶者の実子で当該被相続人の養子となつた者その他これらに準ずる者として政令で定める者
二 実子若しくは養子又はその直系卑属が相続開始以前に死亡し、又は相続権を失つたため民法第五編第二章の規定による相続人(相続の放棄があつた場合には、その放棄がなかつたものとした場合における相続人)となつたその者の直系卑属
引用元: 相続税法第15条
この規定をわかりやすくしてみましょう。
被相続人の実子の有無
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基礎控除等の計算時に法定相続人として加えられる養子の数
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法定相続人の数え方
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法定相続人の例
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実子あり
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1人
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配偶者+実子+用紙(1人まで)
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相続人:配偶者・実子2人・養子2人の場合
→1+2+1=4人
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実子なし
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2人
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配偶者+用紙(2人まで)
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相続人:配偶者・養子4人の場合
1+2=3人
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つまり、相続税対策として養子を増やしても、実子がいる場合は1人、実子がいない場合でも2人までしか基礎控除の算定には影響しません。
さらに、養子を法定相続人の数に含めることで不当に相続税を減らしていると認められることもあり、その場合は相続税法第63条の規定により、法定相続人として参入できなくなる恐れがあります。
養子縁組による相続上の効果とは?
養子縁組は、養親と養子との間に法律上の親子関係が発生する制度です。
法律上の親子関係が生じれば、養子には相続権が発生します。
相続では「遺産をスムーズに譲りたい」「相続税を節約したい」などの理由で養子縁組を検討するケースも少なくありません。
ここでは、養子縁組による相続上の効果をケース別に確認しましょう。
孫を養子にする場合
被相続人が孫に遺産を相続できるのは、「第1順位にあたる子どもがすでに死亡して代襲相続が発生している場合」か「遺言によって相続内容を指定した場合」に限られます。
孫を養子にすれば第1順位の地位が得られるため遺産をスムーズに継承できますが、問題となるのは相続税の20%加算でしょう。
代襲相続によって相続する場合を除き、養子縁組を結んでも遺言にて指定しても、孫は相続税の加算から免れることはできません。
「どうしても孫にまとまった遺産を譲りたい」と希望する場合は孫を養子にするという選択肢も考えられますが、被相続人が存命中は暦年贈与を活用したほうが得策です。
暦年贈与とは、「年間110万円までは贈与税が課税されない」という仕組みを利用して、毎年110万円以下を贈与する方法です。
ただし、毎年同じ時期に一定の金額を贈与していると、「はじめからまとまった金額を贈与する意図があった」とみなされて、贈与額全体が課税対象となるケースもあるため注意が必要です。
養子縁組を結ぶのが得策なのか、ほかの方法で財産を譲るほうが賢明なのかの判断は難しいので、弁護士に相談して検討しましょう。
配偶者の連れ子を養子にする場合
配偶者に連れ子がいる場合は「結婚すれば自分の子どもになる」と思っている方もいるかもしれませんが、結婚したからといって自動的に実子になるわけではありません。
配偶者の連れ子は、配偶者の実子であっても、法律上はあなたとの血縁関係がない存在です。つまり、配偶者の連れ子には、あなたの財産を相続する権利はありません。
配偶者の連れ子に相続権を与えるためには、養子縁組を結ぶ必要があります。
なお、養子縁組を結んでから生まれた子どもでなければ代襲相続はできないため、あなたが親よりも先に亡くなってしまった場合、連れ子は親の遺産を代襲相続できないという点は心得ておきましょう。
子どもの配偶者を養子にする場合
なかには、献身的に介護をしてくれたりして、「子どもの配偶者に遺産をを譲りたい」ということもあるでしょう。
相続法の改正によって、2019年7月以降に開始した相続では「特別寄与料」の請求ができるようになりました。
これによって、本来は相続権のない子どもの配偶者にも遺産継承できるようになったものの、特別寄与料を請求するには、「無償の労務提供」や「被相続人の財産が維持または増加したこと」などの条件があり、容易には認められません。
また、遺言によって遺産を譲るという方法もありますが、遺贈の場合は相続税の20%加算があるため、税制面では不利です。
子どもの配偶者に遺産を譲るには、養子縁組を活用したほうが確実で節税効果も高いでしょう。
甥や姪、親戚や知人を養子にする場合
甥や姪のほか、親戚や知人などに遺産をを譲りたいということもあるでしょう。
通常、相続人以外の人に遺産を譲るには遺贈を選択するしかありませんが、養子縁組を結べば法定相続人として遺産を譲ることができます。
甥・姪・親戚・知人などを養子にした場合は、相続税の20%加算は受けずに済みます。
遺産の継承と節税対策が同時に叶うため、養子縁組を検討するとよいでしょう。
ただし、甥や姪などと養子縁組を結ぶことで、ほかの法定相続人が本来得るはずだった取り分は減少するため、養子と法定相続人の関係が悪化してしまう恐れがあります。
相続トラブルを避けるためには、事前に法定相続人の了承を取り付けるなどの配慮も必要でしょう。
養子縁組の相続の注意点
養子縁組を結ぶまでには、さまざまな事情があるでしょう。
たとえば「養子に財産を相続させたい」「相続税を節税したい」などの理由で養子縁組を結ぶケースが考えられますが、養子縁組を結ぶ場合は相続トラブルに発展しないよう注意が必要です。
実子と揉める可能性がある
養子縁組を結べば、養親と養子には法律上の親子関係が生じます。
養子は法定相続人となり、実子と同じ法定相続分を得るため、実子のなかには「自分の取り分が減る」と不満を感じる人もいるでしょう。
実際に相続が発生すれば、実子と養子の間で相続の内容や取り分についてトラブルになってしまう恐れもあります。
スムーズな遺産相続や節税のために力を尽くしても、相続トラブルに発展してしまうようでは努力が報われません。
養子縁組を結ぶ際は、実子への説明を尽くして理解を得ておく必要があるでしょう。
養子縁組の解消は難しい
相続などの都合で養子縁組を結んだものの、被相続人が死亡するまでに関係性が悪化してしまい「やっぱり遺産を譲りたくない」などと考えが変わるケースも想定されます。
養子縁組を解消するには、養親と養子の双方の同意が必要です。
もし、どちらかが同意しない場合は、裁判いんて離縁を請求して認められない限り、役所は離縁を受理してくれません。
なお、親の再婚にともない養子縁組を結んだ場合、親と再婚相手が離婚しても養子縁組は自動的に解消されないため注意が必要です。
明らかな節税目的は認められない可能性がある
相続税法第63条によると、「基礎控除などの算定時に養子を法定相続人として参入することで、相続税の負担を不当に減少させる結果になる」と認められた場合、養子は税務署長の判断によって法定相続人として算入できなくなります。
この点については、「税務署に節税目的だと発覚してはいけない」と考えがちですが「節税目的でもただちに養子縁組が無効であるとはいえない」と判断された判例などもあります。
節税目的で養子縁組を結ぼうと考えているなら、相続に関する法律や実務に詳しい弁護士に相談してサポートを受けるのが賢明です。
まとめ
養子縁組を結んだ養親と養子には、法律上の親子関係が生じます。
養子には、実子と同じく遺産を相続する権利が発生するため、通常であれば相続権がない人に遺産を譲りたい場合や、相続税の負担を軽減したい場合には養子縁組が有効です。
ただし、養子縁組を結ぶことで、養子と実子の間で相続トラブルが発生してしまう恐れもあります。
また、一定の間柄であれば相続税の20%加算を受けることもあり、必ずしも養子縁組が有益であるとはいえません。
養子縁組を結ぶかどうか悩んでいる場合は、相続問題の解決が得意な弁護士に相談してサポートを受けましょう。
身内同士で遺産をめぐって対立するのは、資産家のときだけで、一般人である自分には関係ないと思っていませんか。
遺産分割事件の総数6934件の内、遺産の総額が,1000万円以下で2,279件(約32%)、1000万円以上5,000万円以下で3037件(約44%)となっています。(令和3年 司法統計年報 3 家事編)
つまり相続争いは一般的な家庭でも、充分に起こり得るのです。
さらに>養子縁組を利用する場合は、養子と実子の間で争いが起こることも考えられます。
将来の相続について悩んでいる方は、弁護士に相談・依頼するのがおすすめです。
弁護士は、>相続させる側・する側両方に適切なアドバイスができます。
またそのまま弁護士に依頼をすれば、相続対策をすべて任せることも可能です。
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