親が亡くなったら、悲しみに暮れる間もなく、さまざまな手続きをしなければいけません。
特に、相続手続きは早めにおこなわないと相続関係が複雑化し、紛争につながる可能性があります。
この記事では、親が亡くなった際に必要な手続きについて解説します。
死亡宣告をされてから火葬までの大まかな流れは、以下のとおりです。
さらに、その間に葬儀社を選定しなければいけません。
少なくとも死亡してから24時間が経過するまで火葬は認められていないので、最短でも「死亡当日に納棺、翌日に通夜、翌々日に葬儀と火葬」となります。
親が病院で死亡した場合は、医師が臨終の確認をします。
死亡が確認されたら、葬儀の日まで故人を自宅で休ませるのか、それとも専用の安置施設で休ませるのかを決めます。
自宅または安置所まで移動させるための寝台車の手配は、葬儀社に依頼します。
このとき、葬儀社に葬儀などの手続きまで依頼してもよいですし、寝台車の手配のみ依頼しても構いません。
親が自宅で死亡した場合には、かかりつけの医師に死亡診断書を作成してもらいます。
死亡診断書を受け取ったあとは、病院で死亡した場合と同様に「故人をどこで休ませるか」を決めて、必要に応じて寝台車の手配をしましょう。
自宅で突然倒れて死亡した場合や自殺した場合など、不慮の事故の場合はすぐに警察に連絡をしなければいけません。
警察が検視をおこない、事件性の有無を判断します。
検視によって事件性の有無が判断できない場合には、医師による検案がおこなわれ、それでも死因がわからない場合には行政解剖がおこなわれます。
遺体の搬送や火葬までのスケジュールは、葬儀社と相談して調整します。
そのためには、葬儀社を選ばなければいけません。
最近では、「終活」といって自分の葬儀について事前に決めておく人も増えていますが、そうでなければ故人の死後に迅速に葬儀社を選定しなければいけません。
通夜と葬儀の日程が決まったら、故人と親交のあった人に告知をします。
通夜や葬儀には弔問客が訪れるので、受付を誰にするかなども決めておく必要があります。
親が亡くなったとき、まずやらなければいけないのは「役所に死亡届を提出して火葬・埋葬の許可証を受け取る」ということです。
死亡届は原則として死後7日以内に提出する必要があり、正当な理由なく届出が遅れた場合は5万円以下の過料が科されます(戸籍法第86条)。
死亡届の届出人になれるのは、以下のような故人と関係のある人にかぎられます。
※1:親権者のいない未成年者の身上監護、財産管理をする人
※2:精神疾患などにより、十分な判断能力が認められない被保佐人の財産上の法律行為を保佐する人
※3:被保佐人よりも比較的軽度ながら、精神疾患などにより十分な判断能力が認められない被補助人の財産上の法律行為を補助する人
※4:被後見人本人の判断能力が十分なうちに選任された将来的な後見人のことで、被後見人が認知症などを発症した際には代わりに財産管理などをする
死亡届を提出したら火葬許可証と埋葬許可証を受け取り、火葬許可証は火葬のとき、埋葬許可証は埋葬のときに担当者に渡します。
お通夜とは、故人と最後の夜を一緒に過ごして別れを惜しむ儀式です。
通常、通夜は自宅または斎場でおこなわれます。
かつては文字どおり眠らずに夜通しおこなわれていましたが、現在では夕方頃から始めて数時間程度で終わらせることがほとんどです。
葬儀は葬儀場でおこない、そのまま火葬場に移動して火葬をおこないます。
ここでは、相続が発生した際に必要な手続きについて解説します。
葬儀が終了したら、相続手続きをおこなう必要があります。
相続手続きには「いつまでにやらなければいけない」というような期限はありません。
しかし、相続手続きをせずに放置した場合、新たに相続が発生した際に相続関係が複雑になり、相続人間での紛争に発展する恐れがあります。
できるだけ早い段階で相続手続きを完了させましょう。
相続手続きは、まず相続人を確定することから始まります。
「相続人はわかっているから問題ない」という人もいるかもしれませんが、相続人を確定するためには戸籍を収集しなければいけません。
なぜなら、戸籍を収集することで新たな相続人が判明することもあるからです。
また、戸籍を収集して相続関係を明らかにしないと、相続登記や預金口座の解約などの手続きができません。
戸籍は、役所に請求して取得します。
相続関係が複雑な場合は多くの戸籍を集めなければならず、全部揃えるまでに時間がかかることもあります。
戸籍を収集して相続人が確定したら、相続関係についてまとめた「相続関係説明図」を作成します。
相続人を確定させたら、相続の対象となる財産を調査します。
相続財産のひとつである預金については、さまざまな調査方法があります。
たとえば、故人の預金通帳や郵便物を調べる・金融機関の預金通帳やキャッシュカードを探す・役所で名寄せ帳を取得するなどの方法があります。
故人がメモなどを残している場合には、それに基づいて調査できます。
金融機関に照会しなければいけないこともあり、特に相続財産が多い場合は時間のかかる作業です。
調査によって、プラスの財産だけでなく負債が判明することもあります。
負債の方が大きい場合には、相続放棄も検討する必要があります。
相続手続きを進める際に重要なのは「遺言書があるかどうか」です。
故人が遺言書を残していたかどうかを調査しなければいけません。
1989年以降に公正証書で作成された遺言書であれば、日本公証人連合会の遺言書検索システムを使用して検索できます。
なお、遺言書検索システムを利用するためには、必要書類を準備して公証役場へ持参する必要があります。
故人が自分で作成した自筆証書遺言の場合は、故人の持ち物の中から探すことになります。
自筆証書遺言の場合、遺言書が見つかった際は開封せずに家庭裁判所の検認手続きを受けなければいけません。
ここでは、遺産分割の進め方について解説します。
相続人と相続財産が確定して遺言書がない場合には、相続人同士で遺産分割の方法について話し合います。
話し合いは本人同士でおこなってもよいですし、弁護士を代理人として立てておこなうこともできます。
遺産分割協議がまとまったら、遺産分割協議書を作成します。
遺産分割協議書とは、遺産分割の内容をまとめた文書です。
基本的に遺産分割協議書の作成形式は自由ですが、最低限記載すべき事項などはあり、遺産分割後のトラブルが不安な場合は弁護士にサポートしてもらうことをおすすめします。
遺産分割の方法について話し合いがまとまらない場合には、裁判手続きによって決めます。
遺産分割に関する裁判手続きには、調停と審判があります。
調停とは、裁判所で調停委員を交えて話し合いをする手続きです。
調停でも遺産分割の方法が決まらない場合には、裁判官が遺産分割の方法を決定して言い渡す審判に移行します。
遺産分割協議や裁判手続きによって遺産分割の方法が決まったら、財産の相続手続きができます。
たとえば、相続財産のなかに不動産がある場合は登記所で名義変更の手続きをおこない、預金がある場合は口座解約の手続きなどをおこないます。
親が死亡したときには、さまざまな手続きをおこなわなければいけません。
特に、相続では複雑で面倒な作業が多く、相続人が自力で対応するのは難しい場合もあります。
相続手続きをトラブルなくスムーズに済ませたい人は、弁護士に依頼して手続きを代行してもらうことをおすすめします。
遺産相続では相続人ごとに優先順位が定められており、相続人の組み合わせによってそれぞれの取り分が異なります。本記事では、相続順位・相続割合のルールや、パターンごと...
遺産相続にあたって遺産分割協議書をどのように作成すればよいのか、悩んで方も多いのではないでしょうか。本記事では、遺産分割協議書の必要性や具体的な書き方を解説しま...
兄弟姉妹が亡くなり、兄弟姉妹に親や子どもがいない場合には、残された兄弟姉妹が遺産を相続することになります。そこで、本記事では相続における兄弟姉妹の相続順位や割合...
法定相続人の順位が高いほど、受け取れる遺産割合は多いです。ただ順位の高い人がいない場合は、順位の低いでも遺産を受け取れます。あなたの順位・相続できる遺産の割合を...
親等は親族関係の近さを表したものです。この記事では親等とは何か、親等をどうやって数えるかといった基本的なことのほか、親等早見表、親等図を記載しています。親等でよ...
遺産相続を依頼した際にかかる弁護士費用の内訳は、一般的に相談料・着手金・成功報酬金の3つです。相続の弁護士費用がいくらかかるのかは、依頼内容や希望するゴールによ...
養子縁組を結んだ養親と養子には、法律上の親子関係が生じます。養子には実子と同じく遺産の相続権が与えられるうえに、相続税の節税にもつながります。このコラムでは、養...
特定の相続人に遺産を相続させない方法を知りたくはありませんか?夫・妻・兄弟はもちろん、前妻の子・離婚した子供に財産・遺留分を渡したくない人は注目。悩み解消の手助...
株式の相続が発生すると、株式の調査や遺産分割、評価や名義の変更などさまざまな手続きが必要になります。この記事では、株式を相続するときの手順について詳しく解説しま...
法定相続分とは、被相続人(亡くなった人)が遺言で財産の配分を指定しなかった場合に適用される「遺産の相続割合」のことです。本記事では、法定相続分の配分や計算方法を...
生前、被相続人に対して一定の貢献を果たした相続人は、遺産相続の際に「寄与分」を主張することができます。本記事では、遺産相続で寄与分の主張を検討している相続人のた...
遺産相続は、資産の特定や分け方などが複雑で、金額や相続人が多いほどたいへんです。本記事では、配偶者になるべく多くの遺産を相続させたい場合にできる適切な準備などに...
遺産分割は共同相続人全員でおこなう必要があり、遺産分割に先立って漏れなく共同相続人を把握しなければなりません。本記事では、共同相続人とは何か、および共同相続人に...
家庭裁判所の調停委員が、相続人全員が遺産分割方法など合意を形成できるようなアドバイス・和解案を提示。遺産分割調停を控えている方や、遺産分割協議が思うように進まず...
遺言書の有無や、親族の数などによって、相続できる財産は異なります。また、相続をしないという選択もあります。本記事では親が亡くなったケースを中心に、親族が亡くなっ...
遺産分割調停での解決できなさそうな状況であれば、遺産分割審判に移行します。本記事では、遺産分割調停と遺産分割審判の違い、審判に向けて準備しなければならないこと、...
代償分割をする場合、遺産分割協議書をどのように作成すればよいのでしょうか。この記事では、代償分割の概要や遺産分割協議書の書き方、代償金の決め方について解説します...
今回は、相続分の譲渡のメリットや、相続分の譲渡の諸手続き、手続きを進めるにあたっての注意事項をわかりやすく解説します。ベンナビ相続では遺産相続問題に力を入れてい...
配偶者居住権は、2020年4月より適用されるようになった権利をいいます。本記事では、配偶者居住権の概要や設定の要件、メリット・デメリットなどを解説します。手続き...
一人が全て相続するケースでも、状況によっては遺産分割協議書が必要になることがあります。 本記事では、遺産を一人が全て相続する際の遺産分割協議書の書き方や注意点...
Powerd by HOME4U