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【ひな型付】相続登記の委任状が必要か否かの判断基準や書き方を解説!

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事
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不動産を相続したら相続登記する必要があります。

相続登記しないで放っておくと、無権利者が不動産を勝手に売却してしまう可能性がありますし、将来また相続が起きたときに権利関係が複雑になり混乱してしまう恐れもあるので、必ず手続きをしましょう。

自分で相続登記しない場合は、委任状を作成して渡すことで他人に手続きを依頼できますが、そもそも委任状がどのような書類なのかわからない人も多いでしょう。

この記事では、相続登記で委任状が必要なケース・不要なケースや、委任状の作成方法などを解説します。

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この記事に記載の情報は2024年03月07日時点のものです

相続登記とは

不動産の相続登記とは、「相続した不動産を相続人の名義に書き換えること」です。

相続が起きた時点では、相続財産である不動産は被相続人名義になっています。

相続登記をしないと、いつまでも不動産が被相続人名義のままとなり、名義人と実際の所有者が異なる状態が続いて混乱の原因になります。

したがって、相続が起きたらできるだけ速やかに相続登記をすべきです。

相続登記には、以下の3パターンがあります。

  1. 遺言によっておこなう場合
  2. 遺産分割協議に基づいておこなう場合
  3. 共同相続人全員の共有にする場合

遺言によって相続登記する場合は「遺言で指定された相続人や受遺者の名義」、遺産分割協議に基づいて相続登記する場合は「遺産分割で不動産を相続することになった相続人の名義」に書き換えます。

共同相続人全員の共有にする場合は、それぞれの法定相続分に応じた持分割合にして、共有名義に書き換えます。

委任状とは

相続登記するときに、委任状が必要になるケースがあります。

委任状とは、何らかの事務手続きを他人に任せるときに作成し、他人に代理権を与えることを明確に示すための書類です。

相続登記で委任状が必要になるのは、「自分で相続登記をせずに他人へ任せる」というケースです。

委任状が必要かの判断基準

ここでは、相続登記で委任状が必要なケースや不要なケースなどについて解説します。

必要な場合

基本的に、他人に相続登記を依頼するときには委任状が必要です。

委任状がない場合や委任状に不備がある場合などは、依頼を受けた第三者が法務局に登記申請をしても認められません。

たとえば、遺産分割協議によって不動産を相続することが決まり、「相続人本人が行けないため子どもに登記申請をしてもらう」という場合でも、必ず相続人本人から子どもへの委任状が必要です。

不要な場合

委任状が不要なのは、本人が登記申請するケースです。

たとえば、遺言によって長男が不動産を取得するよう指定されており、長男本人が登記申請をおこなう場合は委任状は不要です。

ほかの人の登記申請をする際、例外的に委任状が不要なパターン

委任状が必要かどうかは、基本的に「本人が登記申請するかどうか」で判断します。

ただし、例外もあり、他人が登記申請をする場合でも委任状が不要なケースがあります。

それは「法定代理人が登記申請する場合」です。

法定代理人とは、法律上、代理権が認められる代理人のことです。

委任状は「他人に代理権を与えたことを証明するための書類」であるため、法律上当然に権利が認められる法定代理人の場合は、わざわざ作成する必要がないのです。

法定代理人になるのは、以下のような人です。

親権者

親権者とは、未成年者の親です。

たとえば、親が子どもの代わりに相続登記する場合、子どもから親への委任状は不要です。

なお、子どもが成人になると親権はなくなるので、その場合は子どもが自分で登記申請するか、親に任せる場合は委任状が必要です。

成年後見人

成年後見人とは、十分な判断能力がなくなった人のために、代わりに財産管理や身上監護などをおこなう人です。

成年後見人にも本人の代理権が認められるので、委任状がなくても登記申請できます。

未成年後見人

親権者などの身寄りがいない未成年者には、「未成年後見人」という代理人がつきます。

未成年後見人にも本人の代理権が認められるので、未成年者本人による委任状は不要です。

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委任状の書き方・ひな形

委  任  状

 

私は、以下のものを代理人と定め、下記に記載する物件の相続登記申請に関する一切の事項を委任します。

 

代理人 住所 〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇〇番〇〇号 

氏名 〇〇 〇〇(平成〇〇年〇〇月〇〇日生)

平成〇〇年〇〇月〇〇日

本人 住所 〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇〇番〇号

   氏名 〇〇 〇〇 印

 

 

登記の目的 所有権移転

原因 令和〇〇年〇〇月〇〇日 相続

相続人について (被相続人 〇〇 〇〇)

住所 〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇〇番〇〇号

氏名 〇〇 〇〇

 

不動産の表示

 

所在 〇〇市〇〇町〇丁目

地番 〇〇番

地目 宅地地積 〇〇.〇〇平方メートル所在 〇〇市〇〇町〇丁目〇番地家屋番号 〇〇番

種類 居宅構造 木造瓦葺3階建

床面積 1階 〇〇.〇〇平方メートル

    2階 〇〇.〇〇平方メートル

委任状を作成するときには、以下のようなことに注意する必要があります。

住所を正確に記載する

委任者・受任者・相続人などの住所を記載する欄には、「住民票上の住所」を正確に記載しましょう。

記載を誤ると、登記申請を受け付けてもらえない可能性があります。

住民票を取得して、正確に書きましょう。

不動産の表示を正確に記載する

相続登記する対象の不動産については、不動産の「全部事項証明書」を見ながら正確に書きましょう

これについても、間違いがあると登記申請を受け付けてもらえない可能性があります。

登記の目的

委任状には「登記の目的」を記載する欄があります。

被相続人が不動産を単独で所有していた場合には、上記のひな形のように「登記の目的 所有権移転」と書けば問題ありません。

一方、被相続人が不動産を共有していた場合には、所有権を全部移転できるわけではないので、「登記の目的 〇〇(被相続人の氏名)持分全部移転」と書きましょう。

もし被相続人に関する不動産の所有状況がわからない場合は、不動産の全部事項証明書を確認しましょう。

原因

所有権移転の原因は「相続」ですが、ここでは「相続発生日」まで明確にする必要があります。

委任状を作成する際は「原因 令和〇〇年〇〇月〇〇日 相続」と書きましょう。

相続発生日についても、誤りがあると登記申請を受け付けてもらえない可能性があるので、戸籍謄本や除籍謄本などで確認しておきましょう。

相続人情報

相続人情報とは、不動産の新しい所有者となる相続人の情報です。

委任状を作成する際は、被相続人の氏名と、相続人の氏名・住所を正確に記入しましょう。

複数の相続人と不動産を共有する場合は、それぞれの持分がわかるように書く必要があります。

 

東京都〇〇市〇〇番〇〇号

 

    持分2分の1 〇〇 〇〇

 

神奈川県〇〇市〇〇番〇〇号

 

    持分4分の1 〇〇 〇〇

 

千葉県〇〇市〇〇番〇〇号

 

    持分4分の1 〇〇 〇〇

不動産情報

不動産情報については、不動産の全部事項証明書の内容を正確に引き写します

相続登記を司法書士に依頼する場合

自力で相続登記できるか不安な場合は、司法書士に依頼するのが有効です。

ここでは、相続登記を司法書士に依頼する際の方法や費用などを解説します。

委任方法

司法書士に相続登記を依頼したい場合、まずは司法書士事務所へ相談に行く必要があります。

相続登記であれば、基本的にどこの司法書士事務所でも対応していますが、最近では業務の分散によって登記以外の業務に力を入れているところもあります。

依頼先を探す際は、インターネットなどで個人での相続登記の対応に力を入れている司法書士を検索するのがよいでしょう。

司法書士に相談して契約を交わし、委任状などの必要書類を渡して費用を支払えば、あとは自分の代わりに相続登記を進めてくれます。

被相続人の出生時から亡くなるまでの戸籍謄本などの必要書類も全て集めてくれるので、手続きにかかる負担を大幅に軽減できます。

相続登記が完了したら、「登記識別情報通知」や書き換え後の「全部事項証明書」などの書類も渡してもらえます。

費用

依頼する司法書士事務所や案件の内容にもよりますが、相場としては不動産1つあたり5万円~8万円程度です。

なお、戸籍謄本の取得費や登録免許税などの実費は別途かかります。

相談前に準備しておくべきもの

被相続人の死亡の事実が記載された戸籍謄本・遺産分割協議書遺言書などの権利者がわかる書類・相続人と被相続人の関係性がわかる相続関係説明図などがあれば、司法書士がすぐに相談状況を把握できてスムーズに相談が進みます。

また、登記申請を依頼するときには身分証明書が必要になるので、必ず持参しましょう。

司法書士への委任時は印鑑も必要になるので、実印を持参してください。

最後に

相続登記をするとき、自分で手続きをするなら委任状は不要です。

一方、自分で登記申請できないときは委任状が必要になるので、誤りがないように注意しながら作成しましょう。

司法書士に相続登記を依頼する場合は委任状の作成もサポートしてくれるので、指示どおりに対応するだけで済み、スムーズな相続登記が望めます。

相続が起きた際、相続登記せずに放置するのはリスクが高いので、司法書士などの力も借りながら速やかに済ませましょう

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)編集部
編集部

本記事はベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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