「相続税の申告が必要なのか」「いくらかかるのか」と不安を抱えても、どこに相談すればいいかわからず迷ってしまう方は少なくありません。
相続税は無料で相談できる窓口が複数あり、税理士事務所や税務署、税理士会の相談会など、それぞれ対応できる内容や費用が異なります。自分の状況に合った窓口を選べば、費用をかけずに疑問を解消できます。
この記事では、相続税を無料で相談できる6つの窓口と、それぞれの特徴や選び方を解説します。あわせて、相談前に準備しておきたいものや、遺産分割でもめている場合の相談先、費用相場などもまとめました。
相続税の無料相談窓口は主に以下の7つです。自分の悩みに合わせて、何を解決したいかを明確にすることが、最適な相談先を選ぶポイントです。各窓口の違いを以下の表にまとめました。
| 相談窓口 | 電話相談 | 対面相談 | 節税提案 | 特徴 |
| 税理士事務所 | ◯ | ◯ | ◯ | 個別の節税対策や申告代行を丸ごと依頼可能 |
| 税理士会の無料相談会 | ✕ | ◯ | △ | 地域の税理士に直接会って基本的な相談ができる |
| 所轄の税務署 | ◯ | ◯ | ✕ | 申告書の一般的な書き方や手続きの概要がわかる |
| 国税局電話相談センター | ◯ | ✕ | ✕ | 匿名・予約不要で、税法の基本的なルールを確認できる |
| 市役所の税務相談 | ✕ | ◯ | ✕ | まず何から始めるべきか、身近な窓口で助言をもらえる |
| 銀行・信託銀行 | ◯ | ◯ | ✕ | 預金の手続きと併せて財産の概要を整理できる |
以下では各窓口の特徴を詳しく解説します。
相続税の相談先としてまず検討したいのが、相続税に強い税理士が在籍する税理士事務所・税理士法人です。
税理士は税務の国家資格を持つ専門家で、税額の試算から申告書の作成・提出代行、小規模宅地等の特例を使った節税提案、税務調査への対応まで一貫して任せられます。
税務署でも相談はできますが、回答は一般的な手続きの説明にとどまり、個別の節税提案や申告書の作成代行はおこなっていません。状況に応じた節税まで踏み込めるのは税理士だけです。
各都道府県の税理士会では、一般向けの無料税務相談会を定期的に開催しています。相続税の相談にも対応しており、費用をかけずに税理士へ直接質問できます。
ただし相談時間は1回30分程度と短く、複雑な事情に踏み込んだ節税アドバイスまでは難しいケースがあります。担当税理士は当番制のため、必ずしも相続税に強い専門家に当たるとは限りません。本格的に依頼する税理士を探すお試しとして使うのが向いています。
相談会の日程は、日本税理士会連合会のホームページで確認できます。
相続税の申告先は、亡くなった被相続人の住所地を管轄する税務署です。税務署では、申告書の記載方法や必要書類、基本的な計算方法、申告期限といった一般的な相談を無料で受け付けています。
ただし、節税アドバイスや個別の申告書作成代行はおこなっていません。あくまで正しく申告・納税してもらうための案内が目的のため、納税者の立場に立った節税提案までは期待できません。
案内をもとに自分で作成した申告書に不備があっても自己責任となるため、複雑な財産構成がある場合は税理士への依頼が安心です。
国税局電話相談センターは、国税局が運営する電話専用の無料相談窓口です。予約不要・匿名で何度でも相談できます。
利用するには、国税相談専用ダイヤル(0570-00-5901)に電話し、音声案内に従って相続税・贈与税などの区分番号を選択すると、担当者につながります。
相談できるのは、申告義務の有無、基礎控除の計算方法、特例の要件といった基本的な税法の解釈です。資料を見ながらの詳細な相談や、個別の節税アドバイスには対応していません。受付は平日17時までで、申告期限が近い時期は混み合ってつながりにくいこともあります。
市区町村役場では、税理士や弁護士が対応する無料の税務・法律相談会を定期的に開催しています。身近な窓口で気軽に相談できるため、何から始めればいいかわからないという方に向いています。
ただし相談できる日時と回数は限られ、1回あたり30分以内が一般的です。担当者が相続に詳しい税理士とは限らないため、複雑な案件では、まず状況を整理する場として使い、その後あらためて専門家へ相談する流れが現実的です。
銀行・信託銀行では、相続税そのものの相談はできません。ただし、被相続人の口座がある銀行であれば、預金の解約・名義変更などの手続きと併せて、財産の概要を整理する入口として活用できます。
相談内容に応じて、提携する税理士や司法書士を紹介してもらえる場合もあります。あくまで手続きの入口として割り切って使うのが現実的です。

そもそも自分は相続税の相談をすべきなのかと迷っている方も多いでしょう。以下のような状況に当てはまる場合は、早めに無料相談を活用するのがおすすめです。
相続人になったら、相続税の申告が必要かどうかわからない段階で、まず無料相談を使うのがおすすめです。
相続税の申告には死亡を知った日の翌日から10ヵ月以内の期限があり、よくわからないからと後回しにすると、気づいたときには手遅れになりかねません。
特に、財産が基礎控除ギリギリのケースや、不動産の評価額がはっきりしないケースでは、自分で申告の要否を判断するのが難しくなります。自分は申告が必要なのかという疑問だけでも、無料相談で明確な答えをもらえます。
相続税がいくらかかるか自分で計算できないなら、無料相談で税理士に試算してもらうのがおすすめです。
相続税の計算は財産の評価方法が複雑で、不動産や非上場株式などが含まれる場合は専門的な知識が必要になります。自己計算でミスをすると、後から追徴課税が発生するリスクもあります。
概算でいくらかかるかを知りたいだけでも、初回の無料相談で税額を試算してもらえます。
生前に財産を特定の人へ多く渡したい・受け取りたいなら、相続が発生する前の段階で税理士に相談しておくのがおすすめです。生前贈与や遺言書の作成を通じて、将来の相続をスムーズに進める準備ができます。
税理士に相談すれば、贈与税と相続税のバランスを考えたうえで、最も手元に財産が残る方法を提案してもらえます。早めに動くほど選べる対策の幅も広がります。
遺産の分け方で相続人同士がもめているなら、税理士だけでなく弁護士への相談も視野に入れるのがおすすめです。税額の計算や申告は税理士の領域ですが、分割の話し合いがまとまらないトラブルは弁護士が対応します。
遺産分割が長引くと、10ヵ月の申告期限に間に合わなくなる恐れもあります。期限内に分割がまとまらない場合の不利益を避けるためにも、早めに相談しておくと安心です。
相続税には基礎控除があり、遺産総額がこの金額以下であれば、原則として相続税の申告は不要です。
| 基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数 |
例えば法定相続人が3人なら、基礎控除額は「3,000万円 + 600万円 × 3人 = 4,800万円」です。遺産総額が明らかにこれを下回り、相続人同士のトラブルもなければ、専門家への依頼費用が割に合わないケースもあります。
ただし、次のような場合は申告が必要です。
少しでも不安があれば、申告が必要かどうかだけでも無料相談で確認しておくと安心です。
相続税の問題だけでなく、遺産分割をめぐって相続人同士がもめているケースでは、弁護士への相談が有効です。弁護士はあなたの代理人として、親族間の交渉から法的トラブルの解決までを引き受けられます。
注意したいのが、相続税の軽減特例(配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例)の多くは、遺産分割が確定していないと使えない点です。10ヵ月の申告期限までに分割がまとまらないと、本来受けられる軽減を逃すおそれがあります。弁護士に交渉を任せて早期決着を目指すことが、結果的に相続税の負担軽減にもつながります。
相続トラブルを抱えている場合は、弁護士検索サイト「ベンナビ相続」が便利です。地域と相談内容で絞り込め、初回相談無料や休日対応の事務所も多数掲載されています。
無料相談は時間が限られているため、事前の準備が相談の質を大きく左右します。次の3点を持参すると、初回面談がスムーズに進みます。
ただし、全てを完璧に揃える必要はありません。資料が一部足りなくても相談に応じてくれる事務所は多いので、揃う範囲で持参すれば十分です。
固定資産税の課税明細書は、毎年5〜6月頃に市区町村から送付される書類です。
その年の1月1日時点で所有する不動産の固定資産税評価額が記載されており、専門家が相続税評価額を概算する際の出発点になります。不動産の評価は相続税額を大きく左右するため、この1枚があるかどうかで試算の精度が変わります。
紛失している場合は、市区町村役場で固定資産評価証明書を取得すれば代替できます。
| 欄 | 内容 |
| 価格(評価額) | 土地・家屋の評価額。相続税評価額を算出する基礎になる |
| 課税標準額 | 固定資産税の計算に使う金額。相続税の計算には使わない |
| 所有者 | 亡くなった方の名義になっているかを確認する |
被相続人が持っていた銀行口座の通帳(亡くなった日時点の残高が確認できるもの)、定期預金の証書、証券会社からの取引残高報告書などを用意します。これらは預貯金・有価証券の金額を把握し、相続財産の総額を試算するために必要です。
全ての原本が揃わなくても、「○○銀行に約○○万円」といったメモ書きでも十分に役立ちます。借金や未払いの税金などマイナスの財産は相続財産から差し引けるため、こうした債務がある場合も忘れずにメモに残しておきましょう。
誰が法定相続人になるかを専門家が把握するために必要です。被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本があれば理想的ですが、準備が難しければ手書きの家系図でも構いません。
離婚歴、認知した子ども、養子の有無などは相続分に直接影響します。相続税の計算にも関わるため、これらは隠さず正確に伝えてください。遺言書が見つかっている場合は、その原本またはコピーも持参します。
| 対象 | 記載する内容 |
| 被相続人(亡くなった方) | 氏名、生年月日、死亡日 |
| 配偶者 | 氏名、生年月日、存命か死亡しているか |
| 子ども(養子・認知含む) | 氏名、生年月日。亡くなっている場合はその子ども(代襲相続人) |
| 親・兄弟姉妹 | 子どもがいない場合に記載。氏名と生年月日 |
相続税の相談に関して、よく寄せられる疑問を一問一答形式でまとめました。気になるものがあればぜひチェックしてみてください。
できますが、対応できる範囲は限られています。
税務署では、申告書の記載方法や必要書類、基本的な手続きの流れといった一般的な相談に無料で対応しています。
ただし、個別の節税アドバイスや申告書の作成代行、二次相続を見据えたシミュレーションには対応していません。税務署はあくまで正しく申告・納税してもらうための案内機関で、納税者の立場に立った提案は行いません。節税や具体的な申告手続を任せたい場合は、税理士への相談がおすすめです。
税理士・弁護士とも、初回相談を無料とする事務所が多くあります。相談料が発生する場合でも、30分5,000円程度がひとつの目安です。
相続税の申告を依頼した場合、報酬の目安は遺産総額の0.5〜1.0%程度です。例えば遺産総額5,000万円なら25万〜50万円、1億円なら50万〜100万円が目安になります。不動産が多い場合や申告期限が迫っている場合は、加算報酬が発生することもあります。
遺産分割の交渉を依頼する場合、着手金は20万〜50万円程度が一般的です。最終的な費用の総額は、獲得できた遺産額の20%前後がひとつの目安とされています。
いずれも事務所ごとに料金体系が異なるため、複数の事務所で無料相談を受け、見積もりを比較したうえで選ぶと安心です。
税務署から「相続税についてのお尋ね」という書類が届くのは、税務署がその人を申告が必要な可能性があると判断したためです。これは税務調査ではありませんが、無視したり放置したりするのは避けましょう。
お尋ねを放置すると税務調査の対象になりやすく、無申告加算税や延滞税といったペナルティが発生するおそれがあります。
自力で回答書を作成することもできますが、財産の評価や申告義務の判断には専門的な知識が必要です。お尋ねが届いたら、関連資料を用意して税理士に状況を確認してもらうのが安全です。特に10ヵ月の申告期限が迫っている場合は、早めに動き出してください。
法テラスの活用を検討してください。収入や資産が一定の基準を下回る場合は、法テラス(日本司法支援センター)の民事法律扶助制度を利用すると、弁護士や司法書士に無料で法律相談ができます。
ただし、法テラスが対応するのは法律相談が中心です。相続人間のトラブルや遺産分割協議といった法律問題には活用できますが、相続税の申告や節税に関する税務相談には対応していません。
税金に関する相談は、別途税務署や税理士を利用する必要があります。利用には収入・資産の要件があるため、事前に法テラスの公式サイトで確認してください。
相続税の無料相談窓口は複数あり、それぞれ対応できる内容が異なります。目的に合わせて窓口を使い分けると、無駄なく相談を進められます。
相続税の申告期限は死亡を知った日の翌日から10ヵ月以内と意外に短く、準備に時間がかかることも少なくありません。気になることがあれば、早めに動き出しておくと安心です。
遺産分割のトラブルを抱えながら相続税の申告も進める場合は、法律と税務の両方に対応できる体制が整った専門家への相談が安心です。
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