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共有名義の相続登記ガイド|概要・メリット・手続き方法までわかりやすく解説

共有名義の相続登記ガイド|概要・メリット・手続き方法までわかりやすく解説
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  • 「相続した不動産が共有名義になっているけれど、このままで問題ないのだろうか?」
  • 「相続登記はどのように進めればいいのかわからない…」

このように悩んでいませんか?

不動産を複数人で相続した場合、共有名義で登記するケースは少なくありません。しかし、共有状態のまま放置してしまうと、将来的な売却や管理の場面でトラブルにつながる可能性もあります。

そこで本記事では、共有名義の相続登記の基本的な仕組みから、メリット・デメリット、具体的な手続き方法までをわかりやすく解説します。

最後まで読むことで、共有名義での登記を行うべきか判断するポイントや、スムーズに手続きを進めるための知識が身につくはずです。

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共有名義の相続登記とは?

共有名義の相続登記とは、被相続人が所有していた不動産を、複数の相続人で共同所有する形で名義変更する手続きのことです。

相続が発生した場合、不動産は遺産分割の内容に応じて単独名義または共有名義で引き継がれますが、相続人同士で公平に分けたいケースでは、共有名義が選ばれることも少なくありません。

たとえば、親の自宅を兄弟2人で相続する場合、それぞれの持分(割合)を「2分の1ずつ」といった形で登記し、共同で所有する状態になります。

このように、共有名義では各相続人が「持分」という権利を持ち、その割合に応じて不動産の権利を保有します。

なお、相続登記は2024年4月から義務化されており、不動産を相続した場合は原則として3年以内に登記をおこなう必要があります。なお、2024年4月1日より前に発生した相続についても、相続登記未了の不動産は義務化の対象となるため注意が必要です。

正当な理由なく手続きを怠ると過料が科される可能性もあるため、共有名義で登記するかどうかの判断も含め、早めに対応することが重要です。

共有名義の相続登記をするとどうなる?

共有名義の相続登記をしたときの法律関係については、民法第249条でルールが定められています。

(共有物の使用)

第二百四十九条 各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。

2 共有物を使用する共有者は、別段の合意がある場合を除き、他の共有者に対し、自己の持分を超える使用の対価を償還する義務を負う。

3 共有者は、善良な管理者の注意をもって、共有物の使用をしなければならない。

引用元:民法|e-Gov法令検索

まず、共有名義の相続登記をすると、不動産の共有者は、共有物の全部について、その共有持分に応じて使用できるようになります。

たとえば、不動産全体を第三者に賃貸して賃料を得た場合、各共有者は共有持分に応じて賃料を受け取ることができます。

また、自分の共有持分の範囲を超えて不動産を使用した場合、特段の合意がない限り、ほかの共有者に対して超過分の対価を支払わなければいけません。

たとえば、被相続人が所有していた実家に法定相続人のひとりが引っ越して居住するようになった場合、ほかの共有名義人に対して一定の賃料を支払う必要があります。

共有名義の相続登記は2種類ある

被相続人が不動産を単独で所有していたのか共有していたのかによって、共有名義の相続登記の種類が異なります。

被相続人の名義

相続登記の種類

具体例

単独名義

所有権移転登記

父親(被相続人)が単独で所有していた実家の土地・建物を、配偶者・長男・次男が共有で相続する場合。

共有名義

(被相続人氏名)持分全部移転登記

父親(被相続人)と母親が実家の土地・建物を共有している状況で、父親の共有持分を、配偶者・長男・次男が共有で相続する場合。

被相続人が不動産を単独で所有していたのか共有持分しか有していなかったのかは、登記事項証明書の権利部(甲区)で確認できます。

土地・不動産を共有名義で相続登記するメリット3つ

被相続人の不動産を共有名義で相続登記するメリットを3つ紹介します。

  1. 被相続人の不動産を公平に分割できる
  2. 被相続人の不動産から得られた収益を公平に分割できる
  3. 遺産分割手続きでトラブルが生じにくくなる

それぞれのメリットについて、詳しく見ていきましょう。

1.土地・不動産を公平に分けられる

共有名義で相続登記をおこなう最大のメリットは、不動産を公平に分けやすくなる点です。

遺産相続では「できるだけ平等に分けたい」と考える方が多い一方で、実際には不動産のように分割しにくい財産が含まれるケースも少なくありません。

たとえば、不動産と預貯金が同額であれば分けやすいものの、そのようにきれいに分配できるケースはむしろ稀といえるでしょう。

また、不動産の評価額をめぐって意見が対立することもあります。

このような場合でも、共有名義で登記をおこなえば、それぞれの相続人が法定相続分や合意した割合に応じて「持分」として権利を保有できます。

物理的に分けられない不動産でも、権利の面で公平性を確保できる点が大きなメリットです。

そのため、遺産分割で揉めたくない場合や、バランスよく分けたい場合には、共有名義の相続登記は有効な選択肢といえるでしょう。

2.土地・不動産の収益も公平に分けやすい

共有名義で相続登記をおこなうことで、不動産から得られる収益を公平に分配しやすくなる点もメリットです。

被相続人が所有していた不動産が賃貸アパートや駐車場などの収益物件である場合、「誰がどの程度収益を受け取るのか」といった点で意見が分かれ、トラブルに発展するケースも少なくありません。

しかし、共有名義で登記をしておけば、各相続人は自身の持分割合に応じて賃料収入などを受け取れます。

あらかじめ分配基準が明確になるため、収益の取り扱いで揉めにくくなる点は、大きなメリットといえるでしょう。

3.土地・不動産の遺産分割でもめにくくなる

共有名義で相続登記をおこなうことで、不動産をめぐる遺産分割のトラブルを抑えやすくなる点もメリットです。

不動産は分割しにくい財産であるため、遺産分割の場面では意見の対立が起こりやすい傾向があります。

たとえば、評価額の考え方や取得希望者の調整、代償金の金額、売却条件などをめぐって話し合いが長引くケースも少なくありません。

こうした場合でも、共有名義にしておけば、ひとまず各相続人が持分として権利を持つ形で合意しやすくなります。

共有名義の相続登記はおすすめできない

ここまで共有名義のメリットを紹介してきましたが、結論として、共有名義の相続登記は基本的におすすめできません。

たしかに、相続時には「公平に分けやすい」「話し合いをまとめやすい」といった利点があります。

しかし、それらはあくまでその場を収めるための一時的なメリットに過ぎず、長期的に見ると大きなデメリットやトラブルにつながる可能性が高いのが実情です。

たとえば、共有状態の不動産は、売却や活用をおこなう際に共有者全員の同意が必要となるため、意見が合わないと身動きが取れなくなるケースがあります。

また、相続が繰り返されることで共有者が増え、権利関係が複雑化する「共有の連鎖」が起こるリスクも無視できません。

このように、共有名義は短期的には便利でも、将来的な管理や処分のハードルを高めてしまう側面があります。

そのため、特別な事情がない限りは、単独名義や売却による現金化など、別の分割方法を検討することが重要です。

以下では、共有名義での相続登記がおすすめできない理由の裏付けとして、共有名義で相続登記するデメリットを詳しく解説します。

土地・不動産を共有名義で相続登記するデメリット4つ

被相続人の不動産を共有名義で相続登記したときに生じるデメリットを4つ紹介します。

1.土地・不動産の活用や処分が難しくなる

共有名義で相続登記をすると、不動産全体が共有状態になります。

ここで注意が必要なのは、不動産全体の処分をするには共有者全員の同意が、不動産全体の管理には共有者の過半数の同意が必要だという点です。

(共有物の変更)

第二百五十一条 各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。次項において同じ。)を加えることができない。

(共有物の管理)

第二百五十二条 共有物の管理に関する事項(次条第一項に規定する共有物の管理者の選任及び解任を含み、共有物に前条第一項に規定する変更を加えるものを除く。次項において同じ。)は、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。共有物を使用する共有者があるときも、同様とする。

5 各共有者は、前各項の規定にかかわらず、保存行為をすることができる。

引用元:民法|e-Gov法令検索

不動産の処分行為として挙げられるのは、不動産の売却や大規模修繕です。

この場合、共有者のひとりでも反対をすると、不動産全体の売却や大規模修繕ができません。

その結果、不動産全体について何の措置もできないまま資産価値がどんどん下落し、維持費の負担だけを強いられかねないでしょう。

また、不動産の管理行為としては、不動産の短期賃貸借などの有効活用が挙げられます。

しかし、共有者の持分価格の過半数の同意を得られないと、不動産が塩漬けになってしまいます。

2.土地・不動産の取り扱いについてほかの共有者と連絡を取り合わなくてはならない

共有名義の相続登記をした不動産の処分方法や管理方法を決めるときには、ほかの共有者と話し合いの機会を設けるなどして、意見を集約しなければいけません。

しかし、ほかの共有者と意見や考えなどが噛み合わないと、人間関係が悪化して、不動産の処分や管理について建設的に話し合うことさえ難しくなるでしょう。

また、共有者が引っ越しをしたり、さらに相続が発生して誰が相続人かわからなくなったりすると、話し合いのために連絡を取り合うこともできなくなる可能性があります。

3.土地・不動産の維持・管理にかかる費用負担でトラブルになりやすい

不動産を所有していると、以下のようなコストが発生します。

  • 水道代、電気代、ガス代などの公共料金
  • 町内会費
  • 庭の剪定費用、外壁の補修費用などの維持費
  • 駐車場代
  • 固定資産税
  • 都市計画税 など

そして、不動産を共有名義で相続登記した場合、これらの費用は、それぞれの共有持分に応じて負担をしなければいけません。

(共有物に関する負担)

第二百五十三条 各共有者は、その持分に応じ、管理の費用を支払い、その他共有物に関する負担を負う。

引用元:民法|e-Gov法令検索

第十条の二 共有物、共同使用物、共同事業、共同事業により生じた物件又は共同行為に対する地方団体の徴収金は、納税者が連帯して納付する義務を負う。

引用元:地方税法|e-Gov法令検索

しかし、共有者のなかに連絡がつかない人がいたり、一部の相続人が不動産を独断で使用していたりする場合には、管理・維持するための費用を誰が負担するのかについてトラブルが生じる可能性があります。

4.相続が発生するたびに権利関係が複雑化しやすい

不動産を共有名義で相続登記をしたまま時間が経過すると、共有者のなかに死亡する人が出てきて、その共有持分についてさらに相続が発生します。

そのときの相続状況次第では、共有持分を複数の相続人が相続した結果 、共有持分がさらに細分化する可能性があります。

すると、不動産全体を処分・管理するときの協議が面倒になったり、共有者の連絡先や所在がわからなくなったりするなど、権利関係が複雑化してしまうでしょう。

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共有名義の相続登記をおこなう流れ

共有名義の相続登記手続きの流れについて解説します。

  1. 相続人と相続財産を調査・確定する
  2. 遺言書や遺産分割協議にて遺産分割の方法を確定する
  3. 相続登記の必要書類を集める
  4. 法務局に申請書類を提出する
  5. 登録免許税を支払う

それぞれのステップについて、詳しく見ていきましょう。

1.相続人と相続財産を調査・確定する

被相続人が死亡して相続が発生したときには、誰が法定相続人として遺産分割手続きに参加するのか、被相続人に属していた権利義務は何なのかについて、真っ先に調査をする必要があります。

事案によって異なりますが、相続人の範囲は、被相続人の出生から死亡までの一連の戸籍謄本から特定するのが一般的です。

また、相続財産には、預貯金、不動産、株式、タンス預金、貴金属類、借金、ローンなどが全て含まれるので、漏れなくリストアップをしてください。

2.遺言書や遺産分割協議にて遺産分割の方法を確定する

相続人と相続財産の調査が終わったら、誰がどの財産をどのような割合で承継するのかを決めます。

遺産分割の方法は、遺産分割協議、遺産分割調停、遺産分割審判の流れで決めるのが一般的です。

相続人全員が参加した遺産分割協議で話し合いがまとまらなければ、家庭裁判所の調停・審判手続きを利用しなければいけません。

遺言書が残されている場合には、そこで指定された遺産分割方法などが尊重されることが多いですが、相続人全員の同意があれば、遺言書の内容とは違った方法で遺産分割方法を決められます。

3.相続登記の必要書類を集める

遺産分割手続きを経て、不動産を相続する人物が決まった場合には、相続登記手続きの必要書類を準備します。

事案によって提出するべき書類は異なりますが、一般的な相続登記手続きでは、以下の書類を用意する必要があります。

  • 被相続人の戸籍謄本(戸籍事項証明書)、除籍謄本、改製原戸籍
  • 被相続人の住民票の除票、戸籍の附票
  • 法定相続人全員の戸籍謄本(戸籍事項証明書)
  • 法定相続人全員の印鑑証明書
  • 固定資産評価証明書または固定資産課税明細書
  • 不動産を相続する相続人の住民票
  • 遺産分割協議書
  • 相続人関係説明図 など

これらの書類を準備するには、被相続人の本籍地の市区町村などに申請をしなければいけないので、時間に余裕があるタイミングで準備を進めましょう。

4.法務局に申請書類を提出する

相続する不動産の所在地を管轄する法務局の不動産登記窓口に、登記申請書とその他必要書類を提出します。

書類を提出してから審査が終わって登記識別情報通知書・登記完了証が交付されるまでには、1週間〜10日程度の期間を要します。

なお、相続登記の申請はオンラインでも可能です。現地まで訪問するのが難しい場合には、オンライン申請を検討してください。

相続登記のオンライン申請の方法や注意点については、以下の記事も参考にしてください。

5.登録免許税を支払う

相続登記の申請をする際には、登録免許税の支払いが必要です。

登録免許税は、不動産ごとに課税されます。

たとえば、土地と建物を相続する場合には、それぞれについて登録免許税を支払わなければいけません。

さいごに|共有名義の不動産相続に不安があれば弁護士に相談を!

被相続人が不動産を所有していた場合、共有名義で相続登記をするかどうかは慎重に判断をしてください。

確かに、共有名義で相続することにすれば遺産分割手続きはスムーズに終了しますが、不動産の共有状態が発生したあと、売却・管理がしにくくなったり、権利関係の複雑化によって不動産が塩漬けになったりするなど、さまざまなリスクに晒されるからです。

そのため、不動産の遺産相続手続きで揉めそうなときには、速やかに弁護士に相談・依頼をするべきだと考えられます。

遺産相続トラブルへの対応が得意な弁護士の力を借りることで、トラブルが生じにくい遺産分割案についてアドバイスをもらえたり、遺産分割手続きを代理してくれたりするでしょう。

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この記事の監修者
弁護士法人IGT法律事務所
小林 洋介 (東京弁護士会)
遺産分割トラブルなどの紛争案件はもちろん、生前対策にも力を注ぐ。 丁寧かつ具体的な解決策の提示に定評があり、一度だけでなくリピートで依頼する相談者もいるなど、厚い信頼を獲得している。
ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)編集部
編集部

本記事はベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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