ホーム > 相続コラム > 土地・不動産相続 > 相続した田舎の家を手放す2つの方法|相続放棄するかの判断基準も解説
公開日:2019.12.17  更新日:2021.8.31

相続した田舎の家を手放す2つの方法|相続放棄するかの判断基準も解説

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事
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相続によって田舎の家を相続した場合、所有しているだけでも固定資産税が発生します。

空き家の状態で放置してしまうと、自身が不動産の権利を相続しているのであれば、所有者として近隣住民の苦情に都度対応して必要な手入れ、補修などの管理をしなければなりません。

どこかしらの業者にそのような管理を頼めるのであればそれもよいかもしれませんが、やはりその都度費用がかかります。

また距離的な問題もあり、自分で不動産を管理・処理しようにも、自宅から遠く離れている場合には手続が煩雑で、結局何も進まないということはあり得ます(交通費もかさんでしまいますね)。

親が代々受け継いできた土地だからできれば相続したけれど、いざ相続すれば毎年お金が出ていくだけで、どんどん貯蓄が目減りしてしまう。

手放したいけれど買い手も引き取り手も見つかず、これからどうしようと途方に暮れてしまってはいませんか?

もしくは、これからそういった田舎の家を相続する予定だけれど、相続すべきか相続放棄すべきか迷われているのではないでしょうか。

田舎の家を相続すると、全部とはいえませんが、多くの場合はなかなか簡単には売却することができません。けれど、ただお金が出ていくだけで、完全な『お荷物』となってしまった田舎の家を、無料でもいいから引き取ってほしいという思いを持たれる方も少なくありません。

しかし、まったく手がないわけではありません。売却以外にも田舎の家を手放す方法があるからです。

この記事では、お金が出ていくだけの田舎の家を何とかして手放す方法を紹介します。

参考:いらない土地を放棄したい!手放すための4つの方法

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この記事に記載の情報は2021年08月31日時点のものです

相続した田舎の家を手放す方法

早速、相続した田舎の家を手放す方法を確認してみましょう。ただし、ここで紹介する方法を利用したからといって、必ず手放せるという保証はありません。

また、家や土地がいらないからといって、所有権を放棄することはできません。所有権を放棄し、国に引き取ってもらうことはできないのです。

参考:不要な不動産の所有権は放棄できるのか|富士通総研

ただ、田舎に空き家や所有権不明の土地が増えたことから、法務省では家・土地の所有権を放棄することを可能とする法整備について検討しています。

どうしても田舎の家を手放せないのであれば、法律が変わるのを待つしかありません。

参考:所有者不明土地問題についての法務省の検討状況:法務省

寄付する

家や土地は売却だけでなく、次のように寄付することも可能です。

  • 個人へ寄付する
  • 自治体へ寄付する
  • 法人へ寄付する

ここでは、それぞれの相手に寄付をするときの手順について確認してみましょう。

個人へ寄付する

最も受け入れてくれる可能性が高い相手は、個人、特にあなたの家に隣接している人です。

隣人であれば土地が活用しやすいでしょうし、合筆(※)できるのは隣接している土地だけだからです。

「子供のために広い庭が欲しい」「物置のために新たに土地が欲しい」といったニーズがある場合には、寄付を受け入れてもらえるかもしれません。

ただ、空き家をそのまま渡すのではなく、解体費用はこちらで負担するなど、金銭面での交渉に関しては柔軟に対応しましょう。

※合筆とは

合筆とは、互いに隣接している土地を、一つの土地にまとめることを言い、法務局で合筆申請登記を行うことで実施できます。

贈与契約書を作成する

寄付に応じてもらえたとしても、やっぱりいらないといって土地を返されるなど、のちのちトラブルに発展しないとも言い切れません。

寄付する場合は、贈与契約書を作成するほうが適切です。

贈与契約書には、法律等で規定されたフォーマットはありません。次のような内容を記載しておいてください。

【贈与契約書に記載する内容】

  • 贈与者(あなた)と受贈与者(土地を寄付してもらった人)で、贈与契約をしたこと
  • 贈与した土地の情報(所在や地籍について、登記事項証明書の通りに記載)
  • 贈与した建物の情報(所在や構造などについて、登記事項証明書の通りに記載)
  • 所有権移転登記についての取り決め
  • 収入印紙(200円)の貼付

寄付された人には贈与税が発生する

贈与した財産には贈与税が課税されます。贈与税には110万円までの基礎控除があり、家と土地の評価額が110万円以下であれば贈与税はかかりません。

110万円を超えた部分に関しては、評価額から110万円を引いた金額に、次の税率を掛け、控除額を差し引いた金額を贈与税として納めます。

基礎控除後の課税価格

税率

控除額

200万円以下

10%

-

300万円以下

15%

10万円

400万円以下

20%

25万円

600万円以下

30%

65万円

1,000万円以下

40%

125万円

1,500万円以下

45%

175万円

3,000万円以下

50%

250万円

3,000万円超

55%

400万円

例えば、家と土地の評価額が500万円だった場合、納める贈与税額は次の通りです。

贈与税額=(500万円-110万円)×30%-65万円

    =55万円

所有権移転登記をしておく

所有権移転登記とは、寄付だけでなく売買などによって不動産の所有権が変わったとき、『不動産登記簿』に記載されている所有者の情報を変更する手続きを言います。

この手続きをしていない場合、たとえ当事者間では贈与がされていても、外形的な所有者はあなたのままですので、固定資産税の請求が送られ続けてしまいます。また、家屋の火災や倒壊によって近隣住民に損害を与えた場合、賠償責任を負いかねません。

所有権移転登記は法務局に行き、相談員に必要書類や手続き方法について教えてもらいながら行うとよいでしょう。

自治体へ寄付する

自治体によっては、家や土地の寄付を受け入れている場合もあります。寄付に応じてもらうための条件は自治体によって異なりますので、まずは窓口で相談してみましょう。

自治体への寄付にも登記事項証明書(登記簿謄本)や現況写真などいくつか必要な書類があります。どのような書類が必要になるかは自治体によって異なるので、確認してみてください。

なお、自治体への寄付はほとんどが認めてもらえないでしょう。固定資産税が目減りしますし、管理費として別途費用が発生するからです。

固定資産税は市区町村が課税する税金で、各自治体の貴重な財源です。「住民税も納めているのに…」という気もしますが、家や土地といった不動産は人口の変動の影響を受けない安定した税収なのです。

また、管理・維持には人件費がかかります。防災のための広場など、公共性が高い方法で利用できない限り、何の価値もない土地を管理することは、税金を垂れ流す行為にほかなりません。

自治体が寄付に応じることはあまりないことを覚えておいてください。

法人に寄付する

最後の方法は、法人への寄付です。法人といっても、営利法人と公益法人とに分けられますが、寄付をするのであれば公益法人をおすすめします。

営利法人が家や土地の寄付を受けた場合、不動産を取得した際に発生する不動産取得税や登録免許税のほか、法人税も支払わなければならないからです。

特に活用する方法もなく、税金も支払わなければならず、寄付以降、管理費が発生するようでは、営利企業側としては寄付してもらうメリットがありません。

一方、公益法人であれば維持管理費などが発生したとしても、保養目的といったニーズも考えられます。

寄付を受け入れている公益法人

2019年1月現在、寄付を受け入れている公益法人は『認定NPO法人カタリバ』と『あしなが育英会』の2つが確認できました。

それぞれのホームページを閲覧して、あなたの家や土地が寄付に応じてもらえるか問い合わせてみましょう。

認定NPO法人カタリバ

あしなが育英会

法人に寄付をすると『みなし譲渡所得税』が発生する

みなし譲渡所得税とは、寄付のような無償の譲渡だったとしても、譲渡所得があったものとして寄付した側に課せられる税金です。

寄付した場合でも、相手が法人の場合には、家や土地をいったん売却し現金を取得したあとに、その現金を寄付したとみなされるため、税金が課せられているのです。

課される税率は『譲渡所得』と同じです。詳しい税率や計算方法については、国税庁のホームページを確認してください。

みなし譲渡所得の計算方法を確認する

売却する

寄付ができなければ、売却を検討してみましょう。ただし、寄付も受け付けてもらえないような土地を売却することは基本的に難しいと思われます。売却が可能な土地であれば、そもそも寄付を拒否することなどありません。

上記はとりあえず置いておくとして、仮に売却できたらという前提で話を進めます。売却といっても2つの方法があります。1つは不動産会社に仲介を依頼して、個人に売却する方法。そしてもう1つが不動産会社に直接買い取ってもらう方法です。

不動産会社に仲介してもらい個人へ売却すると、時間はかかりますが比較的高く売れる可能性があります。一方、不動産会社に直接買い取ってもらう場合は、売却までの期間は比較的短くて済みますが、値段は下がります。

そのままの状態で買い手がつかないようなら、必要に応じてリフォームをするなど、買い手にとって魅力的な家にしなければならない可能性もあります。ただ、繰り返しになりますが、寄付できない土地が売れるということはまずありません。土地は必ず売れるものではないということに注意してください。

参考:田舎の土地を売却する5つのコツ|売れない理由も併せて解説

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家いちばを活用する

『家いちば』とは、家を売りたい人・買いたい人のための掲示板サイトです。

売りたい家の情報を掲示板に記載しておけば、買いたい人から直接問い合わせがありますので、仲介をするよりもシンプルに売却が可能です。

引用:家いちば

売り出し価格が決まっていなくても、売ることを決めておらず金額によっては売りたいという状態でも、利用は可能なのでおすすめなサイトです。

田舎の家が売却できた例も数多くあり、売却までの体験談も記載されていますので参考になるでしょう。

家いちばに行く

田舎専門の不動産会社もある

一般的な仲介業者や査定サイトで売却ができないからといって、諦める必要はありません。

実は、田舎の物件に特化した不動産会社もあるからです。

近年では、Iターン(都市部で生まれ、田舎に移動し、定住すること)を希望する若者も増加傾向にありますので、田舎に特化した不動産会社に依頼すれば売却できるかもしれません。

参考:地方移住等地方へのヒト(定住人口)の流れ|国土交通省

インターネットの検索画面で、『田舎 専門 不動産会社』などと検索し、田舎の不動産に特化した仲介業者を探してみましょう。

空き家バンクを利用する

引用:空き家情報|一般社団法人 移住・交流推進機構

空き家バンクとは、空き家の情報を地方公共団体のホームページ上などで提供する仕組みのことをいいます。

各地方公共団体側は、広報誌やホームぺージ上などで空き家情報を公開し、移住者や交流者に宣伝しています。

空き家バンクに登録方法は、各地方公共団体によって異なりますが、大まかに次のような流れが一般的です。

  1. 必要書類の提出
  2. 現地調査
  3. 空き家バンクへの登録
  4. 募集の開始

地方自治体が仲介を代わりに行ってくれるわけではありませんので、買い手との交渉などはあなた自身で行わなければなりません。

ただ、どうしても田舎の家が売れないという人は、登録しておくべきかと思います。

相続田舎の家をそのままにするデメリット

親の大切な家だからといって、特に理由もなく田舎の家を相続することはおすすめできません。なぜなら、次のようなデメリットがあるからです。

  • 固定資産税がかかる
  • 近隣からの苦情が発生する
  • 管理のコストが発生する

これから「田舎の家を相続する可能性がある」人は、相続すべきか手放すべきか、迷っている人もいるでしょう。

安易に相続したばかりに、田舎の家が不動産ではなく『負動産』となってしまわないためにも、これから相続される方は、発生するデメリットについてよく注意しておく必要があります。

固定資産税がかかる

あなたが住んでいなかったとしても、不動産は所有しているだけで固定資産税が発生します。

固定資産税は【固定資産税評価額×1.4%】で計算し、毎年送られてくる固定資産税の課税明細書で具体的な金額を把握できます。

なお、固定資産税には特例が設けられており、住宅1戸について200㎡までは課税標準が1/6に、200㎡越えの部分については1/3に減額されています。

空き家の管理が面倒だからといって更地にすると、固定資産税が高くなってしまうので注意が必要です。

特定空き家に指定されると6倍に

2014年に『空家等対策の推進に関する特別措置法』が施行され、以下の基準を満たすと『特定空き家』に指定され、固定資産税の優遇が受けられなくなります。

  • そのまま放置すれば倒壊など保安上著しく危険となる恐れのある状態
  • 適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
  • 周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる状態

つまり、更地にしてもそのまま放っておいたとしても、固定資産税が6倍になってしまう可能性があるということです。

近隣からの苦情が発生する

空き家を所有するデメリットは固定資産税だけではありません。もし管理できていない場合、近隣からの苦情が発生する可能性があります。

空き家に不法投棄があれば、臭いや土壌の汚染などが発生することが考えられますし、倒壊すれば近隣の家を壊してしまう可能性もあります。

また、空き家があるだけで景観が損なわれてしまうということもあるでしょう。

近隣からのクレームに対応しなければならないだけでなく、場合によっては損賠賠償責任を負う可能性もあります。

管理のコストが発生する

近隣からの苦情を避けるためには、しっかりと管理しなければなりません。

普段住んでいない地域に定期的に行くことは、時間的に大きな負担となります。最寄り駅から遠く離れている場合にはなおさらでしょう。

また、家や土地を手入れする手間もあります。

あなた自身が行う余裕があればいいですが、シルバーセンターなどに頼むと別途費用が発生します。

固定資産税もかかり、手入れにもお金がかかる。自分で手入れするには定期的に時間を割かなければならない。

田舎の家(誰も住んでいない)を相続する場合には、時間とお金が必ず発生するということは覚悟しなければなりません。

田舎の家を相続するか相続放棄するかの判断基準

田舎の家を相続すべきなのか、それとも相続放棄すべきか、迷われている方もいるでしょう。

先祖代々受け継いできた思い入れのある土地の場合、そう簡単に手放す決断もできないはずです。

しかし、上に挙げたように、何も考えずに田舎の土地を相続してしまうとデメリットも多いため、難しい判断を迫られることになります。

田舎の家を相続すべきかどうかの判断基準として、次の4つを参考にしてください。

➀金融資産とのバランスを見る

②自治体が寄付を受け付けてくれるか確認する

③不動産の立地や状況を確認する

④売却できるか確認する

ここでは、それぞれの判断基準について詳しく解説します。

金融資産とのバランスを見る

金融資産とのバランスを見る場合には、次の2つを確認してください。

  • 相続する金融資産が500万円以下
  • 相続財産全体に占める不動産評価額(固定資産税評価額)の割合が2割以上

固定資産税や家の管理コストなどで、500万円程度であれば5~10年程度で簡単になくなってしまいます。

また、相続財産のうち不動産の評価額(固定資産税評価額)が何割を占めているかも確認しておきましょう。

2割を超えている場合には不動産の管理・維持に必要なお金を相続した預金などで支払う可能性もあり、資産を食い潰し、最悪の場合生活を圧迫しかねないからです。

売却できるか確認する

金融資産とのバランスが悪ければ、まずは売却を検討したいはずです。売却すれば家を手放すこともでき、現金も得られるからです。

ただし、田舎の家は売却が困難なことであることも事実です。

そのため、まずは相続前に家が売却可能か確認しておきましょう。

確認の方法はいくつかありますが、一括査定サイトから査定を申し込んでみてもよいですし、田舎専門の不動産会社に仲介の相談をしてみてもよいでしょう。

参考:相続した土地を売却するときに必要な準備とその流れまとめ

自治体が寄付を受け付けてくれるか確認する

あなた自身で管理できなければ、売却するか自治体に寄付するしか方法はありません。

まずは、寄付できないか事前に自治体に確認しておきましょう。確認は各自治体に窓口がありますので、職員の方に相談してください。

家の立地や状況を確認する

もし、売却も寄付も難しいようであれば、土地を活用して利益を生み出すという方法も考えられます。

マンション・アパート、店舗、駐車場やトランクルーム、太陽光発電…選択肢はさまざまにあります。

ただし、利益を生み出すには立地などを十分に勘案し、検討している土地活用方法にニーズがあるかを見極めなければなりません。

家屋を利用する場合は、立地以外に、老朽化が進んでいるかなども確認しておきましょう。

近くに観光地があるなど、いくら立地がよかったとしても、家の老朽化が進んでいれば借り手は現れにくいです。また、リフォームなどをすれば別途費用が発生してしまいます。

活用して利益を生み出すためには、家の立地と状況を確認しておかなければなりません。

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相続放棄するときの注意点

もしも田舎の家を相続したくない場合には、『相続放棄』をしなければなりません。

ただ、相続放棄には注意点が2つありますので、ここで確認しておきましょう。

特定の財産だけを放棄することはできない

相続放棄とは、被相続人(財産を残して亡くなった人)の財産を放棄することを言いますが、このとき、特定の財産だけを放棄することはできません。

例えば、相続財産が田舎の家と預金1,000万円だったとしましょう。

預金の1,000万円だけを相続し、田舎の家だけ相続放棄できればよいですが、そういったことは認められていないのです。

つまり、相続放棄をした場合には、田舎の家だけでなく預金に関しても一切相続ができなくなってしまうのです。

法定相続人の全員が相続放棄しなければならない

相続放棄をするには、相続開始(被相続人が亡くなった日)から起算して3ヶ月以内に家庭裁判所に申し立てる必要があります。

そうすることで、あなたは相続開始時から相続人ではなかったという扱いになり、相続放棄ができるのです。

しかし、あなたが相続放棄をすると、別の人が相続人になる可能性があるので注意が必要です。というのも、順位の低い法定相続人に相続権は移行するからです。

法定相続人の順位と範囲は次の通りです。

法定相続人の順位

被相続人との関係性

被相続人の配偶者

常に法定相続人

被相続人の子供(直系卑属)

第1順位

被相続人の親(直系尊属)

第2順位

被相続人の兄弟

第3順位

例えば、被相続人があなたの父で、被相続人の配偶者(常に法定相続人)や両親(第2順位)はすでに亡くなっていたとしましょう。

上の表に照らせば、あなたは第1順位の法定相続人です。

このとき、あなたの父に兄弟(第3順位)がいた場合、あなたが相続放棄をするとその兄弟が第1順位となりますので、兄弟が田舎の家を相続しなければなりません。

誰も田舎の家を相続したくない場合には、法定相続人全員が相続放棄する必要があるのです。

全員が相続放棄をしたら『相続財産管理人』の選任が必要

すべての法定相続人が相続放棄をした場合、そのままでは放棄された家や土地を管理する人がいなくなってしまいます。

そこで必要になってくるのが『相続財産管理人』の選任です。

相続財産管理人とは、相続した財産のうち売却できるものは売却し、残ったものは管理を行う人のことで、弁護士などが就くことが多く見られます。

相続財産管理人を選ぶには予納金として相当額(20~100万円程度)の金員を用意する必要もあります。

ただし、相続財産管理人は必ず選任しなければならないというわけではありません。誰も選任しなければ、相続財産を管理する人間がいないまま、財産は放置され続けるだけですし、相続放棄をした相続人が当然に第三者に対して放置された財産の責任を負うということもありません。そのため、実務的には相続財産管理人が選任されているケースはそこまで多くはありません。

相続財産管理人の予納金は相続財産から支払える

相続財産管理人を選任するために支払う『予納金』は、相続放棄をした場合でも、相続財産から支払うことが可能です。

家以外に相続した財産がプラスであれば利用できますので、うまく活用できるかもしれません(この場合はそもそも相続放棄が必要ないのではない場合もあると思いますので、慎重に検討しましょう。)

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どうしても手放せないときは不動産の活用を検討

どうしても家を手放せない場合には、活用して利益を生み出すことを検討しましょう。

利益を生み出すには大きく分けて、『建物を活用』するか、建物を取り壊して『土地を活用するか』の2種類があります。

ここでは、それぞれの活用方法について簡単に紹介します。

建物を活用する方法

どうしても売れないのであれば、リフォームして活用するといった方法も検討しましょう。

代表的な方法は、賃貸住宅として貸し出すか、民泊用に貸し出すかのどちらかです。

以下の記事では、『空き家ビジネス』について詳しく解説していますので、検討している人は参考にされるとよいでしょう。

参考:空き家ビジネスを始めたい方のための基礎知識と成功事例

なお、賃貸として貸し出す場合には管理だけでなく、集客もあなた自身で行わなければなりません。賃貸住宅の管理・集客にはさまざまなノウハウが必要となりますし、多大な時間もかかります。

あなた自身で管理・集客した場合、うまくクレームに対応できない、いつまで経っても空室のまま、という可能性も考えられます。

もし、自分自身で管理・集客するのが難しいようであれば、専門の管理業者への依頼を検討してみましょう。

ただ、ここでも売却処分がそもそも難しい不動産が賃貸で運用できるのかは疑問です。売却できない不動産は市場価値がないということを意味しますので、基本的にはほかにプラスとなるような財産がないのであれば、相続しないほうが賢明かもしれません。

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土地を活用する方法

家の老朽化が進んでいる場合には、リフォームするにもお金がかかりますので、思い切って更地にして活用するという方法もあります。

土地を活用するには『駐車場経営』『トランクルーム経営』などたくさんの方法があります。

どのような方法を選ぶべきかについては、次の関連記事を参考にしてください。

【関連記事】

人気の土地活用方法はこの8つ!収益性やコスト以外にも注目すべき点あり

なお、近年人気がある活用方法として、太陽光発電が挙げられます。

太陽光発電であれば、近くに観光地などがなく、需要の少ない土地だったとしても、収益を生むことができるからです。

太陽光発電については、次の記事を参考にしてみてください。

参考:太陽光発電の土地活用をするメリット・デメリット|向いているのはこんな人

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みんなは空き家をどうしたいと思っている?

最後に、空き家所有者が今後、自分の持つ空き家をどうしたいと考えているか、調査したデータをご紹介します。

今後5年程度のうちの空き家の利用意向

このデータは、「平成26年空家実態調査|国土交通省」にある、空き家所有者の今後5年程度のうちの空き家の利用意向の調査結果です。すでに空き家を所有している人に対して実施した調査なので、相続放棄は選択肢に挙がっていません。

身近に利用者がいない場合、やはり売却や賃貸などの活用が、有力な選択肢のようです。一方で「空き家にしておく」など、必ずしも利用意向が明確でない人の割合もそれなりに高く、空き家の扱いの難しさが浮き彫りになっています。

この記事で解説してきた通り、空き家をそのままにしておくのはデメリットが大きいので、すでに空き家を所有しているなら、早めに何らかのアクションを起こしていくことが重要でしょう。

まとめ

不動産が『負動産』となってしまった場合には、できるだけ速やかに手放すか、収益化を図ることが必要になります。

一般的な仲介による売却ができなくても、掲示板サイトや空き家バンク、田舎に特化した不動産会社の利用で何とかなるかもしれません。

また、これから相続する可能性がある方は、本当に相続すべきか、思い切って相続放棄するべきかについて、考えなければなりません。

相続すべきかどうかの判断基準を参考に、十分に検討する必要がありますね。

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KL2021・OD・157

この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。

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相護士ナビ編集部

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