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葬儀後3年間で遺族がおこなう「お金」と「葬儀手続き」の全知識

弁護士法人ネクスパート法律事務所
柴田直哉 弁護士
監修記事
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人が亡くなると大抵の場合は葬儀が営まれ、遺族はしばらくの間とても忙しい思いをします。

少なくとも葬儀後数ヵ月はしなければならない手続きが山積みで、想像以上の負担になるのが相続といっても過言ではないでしょう。

一般的な葬儀後の行事といえば、初七日や四十九日などの法要が続き、一周忌を迎える頃にはある程度落ち着きを取り戻すものですが、実は、相続に関しては最長で10年ほど手続きに注意していなければなりません。

今回は、”葬儀後3年間で遺族がおこなう「お金」と「手続き」の全て”と題して、相続に関する社会的・法律的な知識をまとめて紹介いたします。

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葬儀後におこなうことは結構多い

葬儀後におこなうことは結構多い

故人が亡くなると、葬儀が済むまでは慌ただしい手続きが連続し、初七日の頃にようやく落ち着いてくるケースが多いかと思いますが、これで安心と気を抜いてしまうと大変なことになる危険性が高いことをご存知でしょうか。

葬儀後から本格的な相続手続きが始まるわけですが、この相続手続きには一部期間制限が設けられているものもあり、放置せずに早く取り掛かるのがよい手続きが沢山あります。

ここでは、葬儀後におこなう手続きについて、社会生活上の手続きと、法律上の手続きとに分類して紹介していきましょう。

死亡~葬儀後にかけて必要になる手続き

一般的に、人が死亡すると葬儀がおこなわれるわけですが、死亡から葬儀後までのざっくりとした流れを見てみると、手続きが山のようにあるのがわかります。

①死亡直後の手続き|死亡届の提出

たとえば同居の家族が亡くなった場合、絶対に速やかにおこなわなければならないのが「死亡届の提出」です。

死亡届とは、人が亡くなったことを市区町村役場に届け出るための書類で全国共通の用紙が役所等に準備されていますが、左半分を申請人が記入し、右半分の死亡診断書部分は医師に記入してもらう必要があります。

病院で亡くなった場合にはその場で書いてもらうことができますが、自宅等で亡くなった場合にはかかりつけ医や警察に頼んで死亡診断書を書いてもらって提出します。

また、死亡届の作成・提出と並行して、親族への連絡や葬儀の打ち合わせが始まります。

遺体の搬送場所・方法や火葬スケジュールを決めなければならないので、ハッキリ言ってとても忙しくなります。

②葬儀前の手続き

葬儀社を決めれば安心というわけではなく、葬儀前にも遺族がしなければならないことは沢山あります。

親族や友人・知人への連絡はもちろんですが、故人を安置し葬儀のための準備をすることから、喪主は多くの打ち合わせが必要になりますし、それ以外の家族も遺影を選んだり、故人の好きだったものを集めたり、納棺に立ち会ったりといった手続きが求められます。

また、故人の死を知った親類等からの枕花・供花・花輪への対応や、喪服の準備などもおこないましょう。

③葬儀中の手続き

通夜や葬儀が始まっても遺族にはさまざまな手続きが待っています。

受付自体は自治会や親類がおこなってくれることも多いですが、僧侶への応対や参列者への挨拶、会食(通夜ぶるまいや精進落とし)などは遺族が積極的に働かなければなりません。

④葬儀後の手続き

葬儀が無事に済んだら、その日のうちにある程度経費の精算をおこなうのがおすすめです。

香典を取りまとめたり、業者等への支払いを行っておくと後の手続きが楽になります。

また、葬儀の際に花や篭、弔電をいただいた人に対しての挨拶回り・礼状送付なども速やかに準備しますが、それと並行して法的な手続きも始まっていくため、領収書などの保管には細心の注意が必要になります。

故人の身辺整理が本格的に始まるタイミングになりますので、職場への挨拶などは概ね初七日までに済ませることと、基本的な相続関係書類を確認しておくのがよいでしょう。

葬儀後の法要のスケジュール

宗派や慣習などによって異なりますが、人が亡くなり葬儀が終わると、仏教の多くの宗派では種々の法要が営まれることになっています。

初七日

死亡から七日後に営まれる法要ですが、参列者の負担を減らすため、葬儀や告別式と同じ日に済ませてしまう場合も多いです。

四十九日

四十九日法要で納骨をおこなうのが一般的ですが、きっちり四十九日後に法要をおこなうわけではなく、その前後の週末を利用しておこなうケースが多いです。

新盆(初盆)

故人が亡くなってから初めて迎えるお盆には、僧侶を招いての法要をおこなうのが一般的です。

まだ四十九日が済んでいない場合は次の年のお盆が新盆となります。

一周忌

一周忌が済むと忌が明ける(喪が明ける)ので、概ね通常どおりの生活に戻るのはこのあたりかと思います。

三回忌、七回忌等の法要

回数が増えるごとに規模が小さくなっていきます。

三十三回忌または五十回忌で弔上げとなる宗派が多いですが、そこまで法要をする家庭は少数派です。

葬儀後から始まる本格的な相続手続き

まずはこちらの表をご覧ください。

主な事象

要求される手続き

期限の目安

※起算点に注意

被相続人の死亡

死亡届の提出

死亡を知ったときから7日以内

死体火葬許可申請書

親族等への連絡

適宜(概ね当日~2日以内が一般的)

葬儀の準備

年金受給権者死亡届(報告書)

※被相続人の年金受給停止手続き

死亡日から数えて国民年金は14日以内、厚生年金は10日以内

未支給年金請求の届出

受給権者(被相続人)の年金の支払日の翌月の初日から5年以内

被相続人の介護保険資格喪失届

死亡日から14日以内

世帯主の変更届

※被相続人が世帯主かつ残された世帯員が2名以上の場合

死亡日から14日以内

相続するか否かの選択

遺言書の有無の確認

できるだけ速やかに

遺言書の検認手続き

※自筆証書遺言・秘密証書遺言があった場合

法定相続人の確定

相続財産の調査

遺産分割協議の着手

限定承認の申述

自己のために相続があったことを知ったときから3ヵ月以内

相続放棄の申述

税金関係の手続き

被相続人の所得税の準確定申告

死亡日の翌日から4ヵ月以内

相続税の申告

死亡日の翌日から10ヵ月以内

相続財産に関する手続き

遺産分割協議書作成

できるだけ速やかに

遺留分減殺請求

(遺留分侵害額請求)

相続の開始および減殺すべき贈与または遺贈があったことを知ったときから1年以内、相続開始から10年以内

相続登記

適宜

税金等の還付手続き

相続税・準確定申告の還付請求

相続税:法定申告期限から5年以内(死亡から5年10ヵ月以内)

準確定申告

遺族年金等の請求

支給事由が生じた日(被相続人の死亡)の翌日から5年以内

国民年金の死亡一時金の請求

国民年金死亡一時金請求書)

死亡日の翌日から2年以内

高額療養費(医療費)の還付請求

還付の対象となる支払い月から2年間以内

これは、大抵のケースで必要になる法的な相続手続きの概略です。

あくまで最低限の内容をピックアップしただけなので、場合によってはさらに多くの手続きをおこなうことになる方もいます。

相続手続きは、相続人間で話し合っておしまいというわけではなく、役所や金融機関等の第三者への手続きも絡んできますから、それぞれの手続内容や期限をよく把握して、順序よく片付けていく必要があります。

初七日までにおこなうこと

初七日まで

それでは、具体的な相続手続きを詳しく見ていきましょう。

まずは死亡から7日間以内におこなうべき手続きについての概要ですが、主に葬儀といった社会生活上で必要な手続きが多くを占める時期といえます。

死亡届の提出

先ほども述べたとおり、死亡後速やかにおこなうべき法的手続きが「死亡届の提出」です。

死亡届は戸籍法86条・87条で規定された届出で、親族・同居人、家主等や後見人等の人が届け出ることができ、同時に届け出の義務を負う手続きです。

ただし、喪主など特定の人が届け出なければならないというわけではないので、手の空いた親族が届出をおこなったり、葬儀社が代行してくれるケースが多いです。

死亡届が受理されると、火葬許可証が取得できるようになるため、このタイミングで火葬場の予約をおこなうのが一般的です。

なお、死亡届は一度提出すると返却されないため、あらかじめコピーを取っておいたほうが何かと役に立ちます。

病院・葬儀社への支払い

入院中の故人が亡くなった場合、遺体の搬出前に必ず病院へ費用を支払わなければならない、というケースは実はあまり多くありません。

基本的に、多くの病院では入院費用などの後日精算ができるようになっていますし、死亡した日時によっては精算処理に時間がかかることは珍しくありませんので、病院への支払いに関しては遺体の搬出前までに会計担当窓口と相談しておくのがよいでしょう。

では、葬儀社も後日精算になるかというと、これに関しては会社によって大きく異なります。

当日精算が基本の会社もあれば、後日振込等の方法で支払いをおこなう会社もありますので、契約の際に支払い方法をきちんと確認しましょう。

また、死亡届を提出すると、故人の銀行口座等はすべて凍結されてしまうことになるので、葬儀費用をどこから工面するか、誰かが立替える場合には領収書の保管方法などを、相続人間で共有しておくのがおすすめです。

なお、入院費用に関しては原則として相続財産からの控除が認められていますが、葬儀費用の場合は控除できる費用とそうでない費用がありますので、こちらも併せて確認ください。

支払い続けているものの契約解約・変更

故人が世帯主だった場合や賃貸住宅等に済んでいた場合には、各種公共料金や電話会社、賃貸住宅等の契約を確認しましょう。

そのうえで、不要なものは解約し、誰かが引き継いで利用するものに関しては名義変更手続きが必要になってきます。

これらの手続きは厳密に言えばあまり急がなくてもよいのですが、料金が口座引き落としになっている場合には、口座凍結により故人名義の口座からの引き落としができなくなるので、ライフラインが止められてしまったり延滞金が発生する危険があります。

また、遺産の話し合いの際に、クレジットカードやローン等の残債務なども考慮する必要がありますので、このあたりの確認はきちんとおこなうべきでしょう。

そのため、できれば初七日までに一通り確認をして、取捨選択していただくのがおすすめです。

遺言書の有無の確認

遺言書とは、故人が自己の死後の財産処分等に関して法定の方式に則って作成した書面のことをいい、法的には遺書と区別されます。

正しく作成された遺言書は、故人の意思通りの相続を実現させるためのツールになることから、これを無視して遺産分割をおこなうことは原則としてNGで、遺言書と異なる内容の遺産分割をおこなうためには相続人全員の合意が必要になってきます。

そのため、初七日を終えて遺産の話し合いが始まる前に、遺言書の有無を確認しておくのがよいでしょう。

なお、公正証書以外の遺言書に関しては、勝手に開封するとペナルティが科されるので、検認手続きの準備も必要です。

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四十九日までにおこなうこと

四十九日までに

初七日が過ぎると、四十九日までの間は比較的穏やかなスケジュールで過ごすことができます。

とはいえ、役所絡みの手続きに関しては、死後14日~1ヵ月以内におこなうべきものが多くあるので、整理して紹介します。

気をつけるべき法的手続き

特に故人が高齢者だったケースでは、一定期間内におこなうべき手続きに注意が必要です。

たとえば故人が年金の受給者だった場合、その停止のための手続きは国民年金で死亡から14日以内、厚生年金は10日以内と決められています。

また、未支給年金や遺族年金の請求の可否の確認をしておくと、遺産についての話し合いをおこなう際にも役立ちます。

なお、被相続人が介護保険資格を有していた場合にはその喪失届を、世帯主であった場合には「世帯主の変更届」を、それぞれ14日以内に提出しなければならないので、まずはこれらの手続きを確認しましょう。

生命保険・死亡一時金・葬祭費の請求

初七日が済んだら遺産についての話し合いが始まってくると思うので、生命保険等の証書を確認し、誰がどの程度を取得することになるのかを把握するとともに、請求手続きを始めましょう。

保険金等の請求期限は3年以内になっていることが多いので焦っておこなう必要はないのですが、請求のための書類を集める手間や、放置して忘れてしまう危険、遺産分割で保険金等の取得額を考慮して話し合う可能性がありますので、先に請求手続きを始めるのが吉です。

また、被相続人が国民健康保険の加入者だった場合、死亡一時金や葬祭費を受給できる場合がありますので、これに関しても併せて確認しましょう。

遺品整理・形見分け

遺品整理や形見分けは、四十九日頃におこなわれることが多いかと思います。

そのため、相続に関する話し合いもこの頃までにある程度まとめてしまうのがおすすめですが、もし話し合いがこじれてまとまらない場合には、遺品整理や形見分けを急いでおこなおうとせず、遺産の具体的な分割方法が決まった時点でおこなったほうがトラブルが少なくて済むでしょう。

財産的価値の低い遺品であっても相続トラブルに発展しかねないので、相続の状況に応じてタイミングをずらしていくのがポイントになるかと思います。

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3ヵ月以内におこなうこと

さて、故人が亡くなってから3ヵ月というのは、法的手続きのうえで非常に重要な期限と言うことができます。

相続人は相続する権利を有した人ということができますが、逆に考えると相続しない権利も有しているということになります。

そして、相続をするか否か、また相続するとしてどこまでの権利義務を承継するかを選択する期限が、自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヵ月とされているので、この手続きには特に注意を払いましょう。

限定承認・相続放棄の手続き

相続には大きく3種類の方法があり、各相続人はこのうちどの方法で相続するかを選択することができるようになっています。

①単純承認

これは、相続をすべて承認するという内容で、プラスの遺産も借金も全部相続するという方法です。

3ヵ月の期限内に後述する②③の意思表示をしない場合や、②③の意思表示の前に相続財産の処分などをしてしまった場合には、自動的に単純承認をしたものとして扱われるようになります。

なお、単純承認の場合は、相続財産よりも負債の方が大きかったケースでも、相続人の責任で負債を支払う義務が生じます。

したがって、明らかに借金の方が多い場合には、おすすめできない方法といえます。

②限定承認

限定承認は、相続した財産の範囲内で借金も相続するという方法で、たとえば借金のほうが多くても、相続財産の範囲内でしか相続人は責任を負わないという相続内容になります。

限定承認は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヵ月以内に、相続人全員で家庭裁判所に申述をおこなう必要がありますが、誰か一人でも反対する相続人がいる場合には利用できないので、そういった場合には③相続放棄を検討することになるでしょう。

③相続放棄

相続放棄は、相続自体を一切しないという方法で、限定承認同様に自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヵ月以内に家庭裁判所で申述をおこなう必要があります。

ただし、相続放棄の場合は放棄したい人が単独で申述すればよく、申述が受理されればその人はその相続で最初から相続人でなかったものとして扱われます。

このため、明らかに借金のほうが多い場合や、家業存続などの理由で誰か1人に財産を集中させたい場合によく利用されており、一般的な認知度も高い方法と言えるでしょう。

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10ヵ月以内におこなうこと

相続をするか否かの選択が済んだら、次は税金関係の手続きが待っています。

ここでは、10ヵ月以内におこなうべき税金の手続きについて紹介します。

所得税の準確定申告(死亡から4ヵ月以内)

こちらは必ず必要になるわけではありませんが、被相続人が納税者であった場合や、医療費などの控除を受ける場合には、相続人が代わりに所得税の準確定申告をしなければなりません。

通常の確定申告は2月~3月におこなわれますが、相続による準確定申告に関しては「被相続人が亡くなった次の日から4ヵ月以内」に申告・納税を済ませなければならないという特徴があります。

所得税の準確定申告が必要なケースは、被相続人が以下の項目に該当する場合です。

  • 個人事業主または給与所得が2,000万円を超えていた
  • 高額な医療費を支払っており、確定申告をすることで還付が受けられた
  • 不動産収入があったり、前年度以降に不動産等を売却して資産を得ていた
  • 1つの会社から所得を得ているが、その他にも20万円以上の所得があった
  • 生命保険等の満期金などを受け取っていた

所得税の準確定申告をおこなうべきケースで相続人等が複数いる場合には、原則として連署での申告手続きになりますが、ほかの相続人の氏名を付記して各相続人が別々に提出することもできます。

この方法で申告をおこなうときは、提出した申告書の内容を他の相続人に通知する必要がありますので、忘れないようにしましょう。

相続税の申告(10ヵ月以内)

相続税の申告も、必ずおこなわなければならないわけではありませんが、相続税の各種控除や特例を利用する場合には、納税額が0円であっても申告の必要があります。

相続税の申告は、相続財産を取得した相続人が各自でおこなうものですが、遺産分割等が未了の場合には、一旦法定相続分で相続したものとして「未分割の申告」をおこない、その後3年以内に修正申告をおこなうことで申告漏れや延滞税を防ぐことができます。

葬儀後1年以内におこなうこと|遺留分減殺請求

葬儀後1年以内に

一周忌の頃には心の整理もつき、身辺はほとんど元通りに落ち着いているかと思いますが、法的な相続手続きの面ではまだ気が抜けません。

ここでは、一定の法定相続人が有する「遺留分」についての手続きを紹介します。

遺留分とは

故人が遺言書で「愛人に全財産を譲る」などといった内容を残していた場合、故人と近しい相続人がまったく遺産を手にできないのでは不公平過ぎるということで、民法では兄弟姉妹を除く法定相続人(配偶者・子ども・直系尊属)について、最低限の遺産の取り分を保障する「遺留分」という制度を設けています。

遺留分減殺請求とは

この遺留分制度ですが、実際に遺留分を侵害された遺留分権利者が、侵害者に対して個別具体的に請求しなければ、遺留分が侵害されていることを知った時から1年で権利自体が消滅してしまうことになっています。

この侵害者に対して遺留分を返すよう請求する権利を「遺留分減殺請求権」といい、民法1042条以下に具体的な規定が置かれています。

遺留分減殺請求をおこなう場合、遺留分が侵害されていることを知ってから1年間かつ相続開始から10年以内に手続きをおこなわなければならないので、この時期まで遺産に関する話し合いがこじれている場合には特に注意して、利用するか否かを決めてください。

※法改正(2019年7月1日施行)により、遺留分減殺請求は「遺留分侵害額請求」と呼ばれるようになりました。

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葬儀後から5年以内におこなうこと

遺留分減殺請求までの相続手続きさえ終わっていれば、その後ほとんどトラブルは起こらないとは思いますが、さまざまな相続手続きをこなすうちにうっかり忘れてしまう手続きも出てくることでしょう。

ここではうっかり忘れてしまいがちな、比較的請求期間の長い相続手続きをまとめてみましたので、大体の相続手続きが終わった時点で再度確認していただければと思います。

各種年金等の請求

被相続人が国民年金または厚生年金の加入者であった場合、被相続人と遺族が所定の要件を満たすと遺族年金が受け取れるようになっています。

そのため、相続手続きがある程度落ち着いたら、各種年金等の受給ができるのかどうかを調べるのがおすすめです。

国民年金の場合は遺族基礎年金・寡婦年金・死亡一時金のうちのどれか1種類、厚生年金の場合は遺族厚生年金が(条件を満たすと遺族基礎年金も)受給できる可能性があります。

これらの請求権のうち、死亡一時金は死亡日の翌日から2年以内、その他の年金請求権は被相続人の死亡の翌日から5年以内に行使すればOKですので、ある程度ほかの手続きが終わったら年金のことも考えましょう。

税金等の還付請求

相続税や準確定申告の還付請求が受けられる場合には、法定申告期限から5年以内に手続きをしましょう。

また、高額療養費の還付請求権は、還付対象となる支払い月から2年で消滅時効にかかるので、念のため被相続人の過去の医療費を確認し、請求漏れがないか調査するのがおすすめです。

遺産分割とは|相続開始後は何をするのか?

遺産分割とは

相続が始まり、遺産の分け方を決めることを遺産分割といい、この話し合いを「遺産分割協議」と呼ぶことがあります。

遺言がある場合には遺産分割は不要のようにも思えますが、実は、相続人全員(遺贈がある場合には受遺者を含む)の遺産分割協議での合意が取れれば、遺言と異なる内容の分割をしても何の問題もありません。

そのため、相続では遺産分割協議が非常に重要な手続きとなるのです。

ここでは、遺産分割(遺産分割協議)について、概要や効果を紹介するとともに、遺産分割協議がまとまらない場合の対処法をまとめてみました。

遺産分割は何をするのか

遺産分割は、基本的には相続人全員での話し合いによっておこなわれます。

遺言がある場合でも、遺言どおりの分割をするか否かを話し合うことができるので、相続人が複数いる場合の大抵の相続では遺産分割協議がなされることになるかと思います。

さて、遺産分割協議には、進行方法や結果をまとめる書面の作成方法についての決まりがありません。

原則として、相続人全員が合意できればどんな方法でおこなってもよく、必ずしも顔を合わせて会議をする必要はないのです。

遺言で細かく分割方法が指定されていたり、相続人間で遺産に対する争いがないような場合には、代表者が遺産分割案を作成して合意をとるといった方法でも問題ないでしょう。

ただし、遺産分割協議に合意するということは、決まった内容に従う義務が生じるということになるので、あとから協議の無効を訴えたり、協議のやり直しを求めるということが難しくなることは覚えておいてください。

そして、遺産分割協議が終わったら、結果を書面にして相続人等の参加者全員が署名し実印を押します。

この書面を「遺産分割協議書」といい、金融機関等での名義変更手続きなどの際に提出していくことになります。

遺産分割の効果

前述のとおり、遺産分割協議というのは遺産分割協議書を作成し具体的な相続財産の帰属を決めるためにおこなわれる話し合いのことなので、その効果は相続開始時に遡って発生し、合意した関係者を拘束します。

その結果、あとから協議自体を無効にしたり、取り消したりする場合には、それを主張するだけの事由が要求されることになるのです。

たとえば協議に参加していた相続人の1人が財産を隠匿していたことがわかったり、新たな相続財産が見つかったり、騙されて合意するに至ったなどの理由がある場合には、例外的に遺産分割協議をやり直すことができる可能性があります。

もっとも、遺産分割協議をやり直す場合は、取得した財産の額によっては贈与税を支払う必要が出て来るケースがありますので、できるだけやり直しを考えず、当初から慎重な検討を重ねるほうが無難でしょう。

遺産分割協議がまとまらない場合

相続人間でいくら話し合っても遺産分割協議がまとまらない場合には、裁判所での手続きを検討することになります。

このとき、遺産分割事件については、法律上、「調停前置主義」という話し合いからスタートする原則が採用されているので、まずは「遺産分割調停」を申し立てることになるでしょう。

遺産分割調停とは

裁判所を介しての話し合いの手続きで、当事者が個々に裁判官・調停委員等に自己の考えや主張を伝え、それをもとに全員の主張をすり合わせていく作業になります。

そのため当事者同士が顔を合わせる機会は少なくて済みますし、第三者が間に入ることで冷静に相続を見つめ直すことができるでしょう。

調停でも協議がまとまらない場合は、審判という裁判手続きに移行して、法廷での決着という流れになります。

審判まで移行してしまうと、裁判官を納得させられるだけの論理的・法的な主張をおこなわなければならないことから、弁護士を代理人にして勝率を上げるという方も多いです。

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まとめ

葬儀後には、葬儀に関わる事務処理はもちろん、本格的な相続手続きが遺族を待っています。

このとき、社会的な儀礼・行事も要所要所で必要になってきますので、思うように相続が進まないケースも少なくありません。

もしあなた自身で相続手続きをするのが難しい場合には、弁護士に相談してみるのをおすすめします。

弁護士は、相続を始めとする法律のプロであるうえ、相続人間でのどんなトラブルでもあなたの代理人として対処することができます。

実際に依頼するかどうかはともかくとして、無料相談などであなたの悩みを打ち明けるだけでも肩の荷が少し軽くなるかと思いますので、相続で行き詰まってしまったら、是非無料相談を利用してみてください

本記事が、少しでもお役に立てれば幸いです。

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相続トラブルを解決し遺産を多く受け取る方法とは?

相続トラブルで一番多い金額は5,500万円以下です。

 

これは相続トラブル全体の約75%にあたり、さらに1,000万円以下だけに絞って見ても、全体の32%を占めています。

 

相続トラブルはお金持ちや、ましてテレビの出来事では決してないのです。

 

<参考資料:平成25年度司法統計>

 

さらに、下の表を見ると遺産分割調停、すなわち遺産分割トラブルが右肩上がりで増えてきていることがわかります。

 

遺産分割に関する調停事件の推移

<参考資料:平成25年度司法統計>

 

 

相続における自己解決と弁護士介入の違いとは?

相続するのはあなただけではありません。相続人の平均人数は3名程度です。

 

相続人の数

<参考資料:国税庁 統計年報>

 

相続人が多いほど、相続トラブルが発生しやすく複雑になるのは避けようのない事実です。

 

トラブル回避のために重要なのは、早めに専門知識のある第三者を介入させることです。一般的に専門知識を持つ代表格といえば相続問題を得意とする弁護士です。

 

弁護士を介入させると費用が高くつくイメージがありますが、結果的にはトラブルを解消できるだけではなく、相続面でも優位に働き、金銭的にもメリットを得られることが多くなります。

 

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相続に強い弁護士の選び方と相続相談の具体例

相続に際し、雇うのは弁護士なら誰でもいいというわけではありません。
最大のメリットが得られる弁護士の選び方は、以下を参考にしてください。

 

 

  • 1、相続が得意な弁護士を選ぶ

    相続トラブルの解決実績が豊富だったり、相続問題に注力していたりする弁護士を選びましょう。

  • 例えば、医者に「内科」「外科」「皮膚科」「耳鼻科」…と専門分野があるように、弁護士にも「相続」「離婚」「借金」「企業法務」…といった得意分野があります。

  • 相続があまり得意でない弁護士に依頼しても十分なメリットを受けられない可能性があるため、相続を得意とする弁護士に依頼することが大切です。

  • 2、初回相談料の安い弁護士を選ぶ

    初回相談は自分と相性の良い弁護士を選ぶチャンスですので、1件だけではなく複数と話をしてみましょう。

  • 件数を重ねるために初回の相談料を必ず確認しましょう。(相談無料〜3000円程度をオススメします)

  • 3、近隣の弁護士を選ぶ

    相続の弁護士は全国対応していることも多いのですが、やはり対面での関係性構築や急な事態に対応できる近隣の弁護士事務所が最善策といえるでしょう。

 

 

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EMEAO

4.8
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遺品整理110番

4.6
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この記事の監修者
弁護士法人ネクスパート法律事務所
柴田直哉 弁護士 (神奈川県弁護士会)
年間500件以上の相続に関するご相談をいただいており(2016年3月~2017年2月)複雑なご相談でも対応が可能です。また、横浜、東京、神戸と3つの拠点があり、ご希望の地域にてご相談ができます。
ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)編集部
編集部

本記事はベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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