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公正証書を無効にしたい!無効にできる6つのケースや無効化するための手順を解説

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公正証書遺言の内容に納得がいかず、なんとか無効にできないかと考えている方もいるでしょう。

公正証書遺言は公証役場という国の機関で作られているため、一般的には無効にするのが難しいです。

しかし、遺言者の遺言能力に問題がある場合などであれば、公正証書遺言を無効にできる可能性があります。

本記事では、公正証書遺言を無効にしたい方に向けて、以下の内容について説明します。

  • 遺言書を無効にしたいときの最初の対応
  • 公正証書遺言を無効にできる6つのケース
  • 遺言者の遺言能力を争う場合に役立つ証拠
  • 公正証書遺言を無効にしたい場合にできる対応 など

本記事を参考に公正証書遺言を無効にできるか、無効にできない場合は何ができるのかを理解しましょう。

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目次

公正証書遺言を無効にしたい方が取るべき3つの対応

公正証書遺言の内容に不満がある場合は、以下のような対応を取りましょう。

  1. 公正証書遺言が無効事由に該当するかを確認する
  2. 公正証書遺言が無効であることを証明できる証拠を手に入れる
  3. 相続や遺言書のトラブル解決が得意な弁護士に相談・依頼する

ここでは、公正証書遺言を無効にしたい方が取るべき対応をそれぞれ解説します。

1.公正証書遺言が無効事由に該当するかを確認する

遺言書は、形式的要件と実質的要件の両方を満たしていなければなりません。

  • 形式的要件:形式や様式など遺言書として有効と認められるための要件
  • 実質的要件:遺言能力や年齢など遺言をする際の障害がないという要件

このような要件を満たしていない遺言書は、公正証書遺言であっても無効になります。

公正証書遺言の内容に納得がいかない場合は、このような無効事由がないか検討するとよいでしょう。

2.公正証書遺言が無効であることを証明できる証拠を手に入れる

遺言の無効を主張する際には、証拠が必要になります。

たとえば、被相続人の遺言能力を争う場合は、医療記録や当時の映像記録などが重要となります。

このような証拠がない場合は、訴訟を起こしても無効にできない可能性が高いので注意しましょう。

3.相続や遺言書のトラブル解決が得意な弁護士に相談・依頼する

公正証書遺言は、国の機関である公証役場が作った遺言書なので、無効にするのが非常に難しいです。

そのため、遺言書を無効にしたい場合は、弁護士に相談して法的なアドバイスを受けるとよいでしょう。

また、弁護士に依頼をすれば、遺言書を無効にするための手続きや遺留分の請求などを任せることもできます。

相談・依頼をする際は、できる限り相続問題や遺言書のトラブルの解決が得意な弁護士を選ぶことが大切です。

まずはベンナビ相続で遺言書のトラブル解決が得意な近くの弁護士を探し、相談してみることをおすすめします。

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公正証書遺言を無効にできる6つのケース

公正証書遺言であっても、以下のようなケースであれば無効にできる可能性があります。

  1. 遺言者に遺言能力がなかった場合
  2. 適切な人物が証人になっていなかった場合
  3. 遺言者が口授をしていなかった場合
  4. 遺言者の真意と遺言の内容に錯誤があった場合
  5. 詐欺・強迫によって遺言書を作成していた場合
  6. 遺言の内容が公序良俗に反する場合

ここでは、公正証書遺言を無効にできる6つのケースについて紹介します。

1.遺言者に遺言能力がなかった場合

公正証書遺言を作成する場合も、遺言書に遺言能力が求められます。

そのため、認知症や精神障害などの影響で遺言能力がない場合は、遺言書が無効となります。

公正証書遺言を無効にさせる場合、通常、このような遺言者の遺言能力について争うことが多いでしょう。

第九百六十三条 遺言者は、遺言をする時においてその能力を有しなければならない。

引用元:民法 | e-Gov法令検索

2.適切な人物が証人になっていなかった場合

公正証書遺言を作成する際には、証人2人の立ち会いが必要です。

この証人には欠格事由が設けられており、未成年者や相続人などはなることができません。

公正証書遺言を無効にしたい場合には、適切な人物が証人になっていたかも確認しましょう。

(証人及び立会人の欠格事由)

第九百七十四条 次に掲げる者は、遺言の証人又は立会人となることができない。

一 未成年者

二 推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族

三 公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人

引用元:民法 | e-Gov法令検索

3.遺言者が口授をしていなかった場合

公正証書遺言を作成する際は、遺言者は遺言内容を口頭で公証人に伝えなければなりません。

しかし、中には公証人が遺言内容を伝え、遺言書が「はい」「いいえ」と回答しているだけのケースもあります。

このような方法は「口授した」とは言えず、要件を満たしていないため、公正証書遺言を無効にできる可能性があるでしょう。

二 遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること。

引用元:民法 | e-Gov法令検索

4.遺言者の真意と遺言の内容に錯誤があった場合

遺言者が残したい遺言と実際の遺言書の内容が異なる場合は、錯誤による取消しができる可能性があります。

たとえば、実子に財産を相続させようとしたのに、全く関係のない第三者に遺贈したケースなどが考えられます。

このようなケースで「真実だと知っていたらその遺言をしなかった」と言える場合には取消しが認められるでしょう。

第九十五条 意思表示は、次に掲げる錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる。

一 意思表示に対応する意思を欠く錯誤

二 表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤

引用元:民法 | e-Gov法令検索

5.詐欺・強迫によって遺言書を作成していた場合

公正証書遺言を作成するにあたり、詐欺や強迫があった場合はその遺言を取り消せます。

ここでいう詐欺とは「騙された」という意味で、強迫とは「脅された」という意味です。

遺言書は遺言者の自由な意思に基づき作成される必要があるため、詐欺・強迫があった場合は取り消せるのです。

第九十六条 詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。

引用元:民法 | e-Gov法令検索

6.遺言の内容が公序良俗に反する場合

公正証書遺言の内容が公序良俗に反する遺言は、無効にできる可能性が高いでしょう。

たとえば、妻子がいるにもかかわらず、愛人に全財産を譲るといった遺言などが考えられます。

ただし、当然に無効になるわけではなく、当事者の資力や相続人の立場などを総合的に見て判断されます。

第九十条 公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とする。

引用元:民法 | e-Gov法令検索

公正証書遺言を無効にするために遺言能力について争う場合に役立つ証拠

一般的に公正証書遺言を無効にする場合、遺言者の遺言能力について争うことが多いです。

そのときに役立つ証拠には、以下のようなものがあります。

  1. 主治医が作成した診断書やカルテ
  2. 遺言当時の遺言者の様子がわかる証言や動画 など

ここでは、遺言者の遺言能力について争う際に役立つ証拠を説明します。

1.主治医が作成した診断書やカルテ

遺言者の遺言能力を争う場合、以下のような医療記録が重要になります。

  • 診断書
  • カルテ
  • 治療記録
  • リハビリ記録
  • 画像検査記録
  • 心理学的検査結果 など

診断書やカルテなどの医療記録は、被相続人が通っていた医療機関に開示請求をすることでおこなえます。

医療機関によって異なりますが、開示請求から実際の開示までの期間は2週間程度が目安となるでしょう。

ただし、入手した医療記録を整理し、遺言者の遺言能力を争うためには時間がかかると予想されます。

できる限り早い段階で医療記録の開示請求をおこなうほうが望ましいでしょう。

2.遺言当時の遺言者の様子がわかる証言や動画

遺言能力を争う場合、以下のような遺言当時の遺言者の様子がわかる証拠も重要になります。

  • 同居家族や関係者の証言
  • 遺言当時の遺言者が映った動画
  • 遺言者自身が作成していた日記 など

これらの証拠も、遺言者の遺言能力を評価するのに役立つ場合があります。

遺言者の遺言能力を争う場合は、できる限りこのような証言・資料も集めるようにしましょう。

公正証書遺言の無効を主張する際の手順

公正証書遺言の無効を主張したい場合は、一般的に以下のような手順でおこないます。

  1. 相続人・受遺者全員と話し合う
  2. 合意が得られなかった場合は家事調停を申し立てる
  3. 家事調停でも解決しない場合は遺言無効確認訴訟を提起する

ここでは、公正証書遺言の無効を主張する際の手順について説明します。

1.相続人・受遺者全員と話し合う

公正証書遺言が無効だと思う場合は、まず相続人と受遺者全員に遺産分割協議をおこなうよう求めましょう。

相続人と受遺者全員が遺産分割協議に応じてくれる場合、公正証書遺言の内容に従わずに遺産分割を進められます。

ただし、遺産分割協議をおこなうよう求めても、ほかの相続人・受遺者が応じるとは限りません。

そして、誰かひとりでも公正証書遺言が有効だと主張する場合、遺産分割協議をすることができません。

話し合いで公正証書遺言を無効にできない場合は、調停や訴訟といった裁判手続きが必要になるでしょう。

2.合意が得られなかった場合は家事調停を申し立てる

当事者同士の話し合いで合意ができなかった場合、家庭裁判所に家事調停(遺言無効確認調停)を申し立てます。

家事調停とは、裁判官と調停委員が仲介役となり、当事者全員の主張や事情を聞いて助言をしてくれる手続きです。

この調停で相続人・受遺者全員が納得すれば、公正証書遺言を無効にできるでしょう。

しかし、あくまで話し合いであるため、誰かが反対した場合は調停が不成立となります。

調停が不成立となった場合は、地方裁判所に対して遺言書無効確認訴訟を提起する必要があります。

3.家事調停でも解決しない場合は遺言無効確認訴訟を提起する

調停が不成立になった場合は、地方裁判所(簡易裁判所)に遺言無効確認訴訟を提起します。

一般的な訴訟と同じで、原告・被告が互いに主張と立証を繰り返し、公正証書遺言の有効性を争います。

そして、審理を十分におこなったら、最終的に裁判所から公正証書遺言が無効か有効かの判決が下されます。

公正証書遺言が無効と判断された場合、あくまで裁判によって公正証書遺言が無効と判断されただけで、遺産分割自体は未了のため、その後、相続人全員で遺産分割協議をおこなうことになります。

一方、有効の判決が出された場合には、上級裁判所に対して控訴をするかどうか判断する必要があります。

また、公正証書遺言を無効にできない可能性が高いなら、遺留分侵害額請求を検討するのもよいでしょう。

公正証書遺言を無効にできないときは遺留分侵害額請求を検討する

不公平な内容の公正証書遺言に納得できない場合は、遺留分侵害額請求を検討するのもおすすめです。

遺留分侵害額請求とは、遺留分を侵害している人に対して。侵害額に相当する金銭を請求する手続きのことです。

これにより配偶者、子ども、直系尊属は、自身に認められた最低限の留保分(遺留分)を取り戻すことができます。

遺留分侵害額請求をする際は、まず自身の遺留分と侵害額を確認することから始めます。

そして、直接請求したり、協議が不成立になった場合は調停や訴訟をおこなったりして請求します。

なお、請求は遺留分の侵害があったことを知ったときから1年以内かつ相続開始の時から10年以内におこなう必要があるので注意しましょう。

第千四十八条 遺留分侵害額の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から一年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から十年を経過したときも、同様とする。

引用元:民法 | e-Gov法令検索

公正証書遺言の無効に関するよくある質問

最後に、公正証書遺言の無効に関するよくある質問に回答します。

Q.なぜ公正証書遺言を無効にするのが難しいのか?

公正証書遺言は、公証役場という国の機関で作られます。

そして実際に作成をするのは、公証人という法律の専門家です。

そのため、形式上の不備が生じにくく、無効にするのが難しい傾向があります。

Q.公正証書遺言を勝手に開封すると無効になるのか?

「公正証書遺言」と書かれた封筒を開封しても、公正証書遺言が無効になることはありません。

この理由は、公正証書遺言は公証人によって作成され、その原本は公証役場に保管されているからです。

そのため、遺言書の偽造・変造の恐れがないため、裁判所で検認を受ける必要はなく、すぐに開封できるのです。

Q.遺言無効確認の調停申し立てや訴訟提起に時効はあるのか?

遺言無効確認請求の調停や訴訟に関する時効はありません。

たとえ何年経過していても、遺言書が無効だと主張することは可能です。

遺言が無効であることが認められれば、遺産分割協議をやり直すことになるでしょう。

さいごに|公正証書遺言を無効にしたいときは弁護士に相談を!

公正証書遺言は国の機関である公証役場で作られているため、そもそも無効にするのは難しいです。

しかし、それでも公正証書遺言を無効にしたい場合は、無効にできる理由を確認し、証拠を集めしましょう。

また、調停や訴訟が必要になる可能性が高いため、早い段階で弁護士に相談・依頼することもよいでしょう。

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まずは近くにある相続問題が得意な法律事務所を探して、公正証書遺言を無効にできるか相談してみましょう。

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この記事の監修者
弁護士法人Bridge Rootsブリッジルーツ
小田 誠 (福岡県弁護士会)
当事務所は、その場しのぎの対応とならず、お客様それぞれのご事情やお悩みをきちんとお伺いするようにしています。その上で、トータルな視点からご相談内容に対するベストなご提案をさせていただきます。
ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)編集部
編集部

本記事はベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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