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離婚した父親が死亡したら?相続放棄の具体的な手続きと検討すべき3つのケースを解説

吉田 朋師
監修記事
離婚した父親が死亡したら?相続放棄の具体的な手続きと検討すべき3つのケースを解説
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  • 「離婚した父親が亡くなったが、借金があるようなので相続放棄したい」
  • 「相続放棄すべきケースや手続きの際の注意点は?」

このように離婚した父親の相続について相続放棄を検討しているものの、できるだけトラブルや損することを避けたいと思っている方も多いのではないでしょうか。

相続放棄には期限があり、その間に手続きをしなければ通常の相続と扱われてしまうため、早めの対応が必要です。

本記事では、離婚した父親が死亡したときの相続放棄の流れや放棄すべきケース、注意点について解説します。

「トラブルなく手続きを終わらせたい」という方は、ぜひ参考にしてください。

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離婚した父親が死亡した際に相続放棄をする流れ|5ステップ

離婚した父親が亡くなった場合、相続放棄の手続きは以下の流れでおこないます

  1. 相続放棄に必要な書類を用意する
  2. 家庭裁判所に相続放棄の申述をする
  3. 家庭裁判所から届く照会書に回答して返送する
  4. 家庭裁判所から相続放棄申述受理通知書を受け取る

それぞれのステップについて、詳しく見ていきましょう。

1.相続放棄に必要な書類を用意する

離婚した父親の死を知ったら、相続放棄に必要な書類を用意しましょう。

用意すべき書類は、被相続人と相続放棄をする人の関係性によって異なります。

相続放棄するのが父親の子どもなら、以下の書類が必要です。

  • 相続放棄申述書
  • 父親の死亡事項が記載されている戸籍・改製原戸籍・除籍謄本
  • 父親の戸籍附票または住民票除票
  • 申述人の現在の戸籍謄本(3ヵ月以内のもの)
  • 収入印紙(全国一律800円)
  • 連絡用の郵便切手(裁判所によって異なる)

相続放棄申述書の様式は全国共通で、裁判所のホームページからダウンロードできます。

また、戸籍は父親のものも含めて最寄りの市区町村役場で取得可能です。

ただし、一部の戸籍や除籍、戸籍附票に関しては、本籍地の市区町村役場でなければ取得できません。

父親の住民票除票を請求する際は、本人確認書類や父親との関係がわかる戸籍を添えて請求すれば、窓口や郵送でも取得可能です。

ただし、市区町村によって対応が異なる可能性もあるため、父親の最後の住所地を管轄する市区町村役場に確認してから請求するとよいでしょう。

そのほか、収入印紙と連絡用の郵便切手が必要です。

収入印紙は全国一律800円ですが、郵便切手は裁判所によって異なるため事前に確認してください。

なお、相続放棄の必要書類は、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせて参考にしてください。

2.家庭裁判所に相続放棄の申述をする

必要書類が揃ったら、父親の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に提出し、相続放棄の申述をします

手続きは原則として相続人本人がおこないますが、相続人が未成年であれば代わりに親などの法定代理人が申し立てます。

そのほか、管轄裁判所が遠方の場合は、郵送での申述も可能です。

郵送での申述の場合は普通郵便ではなく、書留郵便やレターパックといった追跡が可能な方法を利用しましょう。

また、投函した日ではなく裁判所に書類が到着した日が受付日になる点にも注意が必要です。

相続放棄には自分のために相続が開始したことを知ったときから3ヵ月という期限があるため、期限間近に投函すると期限に間に合わないおそれがあります。

そのため、余裕をもって準備することが大切です。

3.家庭裁判所から届く照会書に回答して返送する

申述を提出したあと、家庭裁判所から照会書が届く場合があります

照会書は、相続放棄の意思や手続きが正しくおこなわれているかどうかを、家庭裁判所が申述人に直接確認するための書類です。

以下の質問事項に回答し、期限内に返送しましょう。

  • 相続放棄の申述が自分の意思によるものか
  • 撤回する意思はないか
  • 財産を処分していないか

なお、相続放棄をすると相続権を失い、被相続人の遺産を一切相続できなくなります

相続放棄は原則として撤回できず、取消しも認められない場合があるため、慎重に検討するようにしましょう。

4.家庭裁判所から相続放棄申述受理通知書を受け取る

書類に問題がなければ、相続放棄申述受理通知書が送付されます。

受け取った時点で手続きは完了し、相続放棄が成立します。

相続放棄申述受理通知書は、相続放棄が受理されたことを証明する書類です。

多くの場合必要になることはありませんが、債権者から請求を受けた場合に提示すれば、相続人でないことを証明できます。

再発行できない書類であるため、大切に保管しておきましょう。

紛失してしまったときは、150円の交付手数料はかかりますが、相続放棄申述受理証明書という別の書類を家庭裁判所で発行してもらえます。

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離婚した父親が死亡した場合に相続放棄したほうがよいケース3選

離婚した父親が死亡したと聞き、相続放棄すべきか迷うこともあるでしょう。

以下のいずれかに該当するなら、相続放棄を検討することをおすすめします。

  1. 父親が借金などをしていた場合
  2. 父親が財産を持っていない場合
  3. ほかの相続人と関わりたくない場合

それぞれのケースについて、詳しく見ていきましょう。

1.父親が借金などをしていた場合

父親に借金があり、プラスの財産よりもマイナスの財産のほうが多ければ、相続放棄を検討したほうがよいでしょう。

相続放棄すればプラスの財産を取得できなくなりますが、借金を引き継がずに済むからです。

なお、プラス・マイナスどちらの財産が多いのかわからないときは、相続放棄ではなく限定承認を選択する方法もあります。

限定承認とは、プラスの財産の範囲内でマイナスの財産を引き継ぐ相続方法です。

プラスの財産のほうが多ければ、マイナス分を清算して残った財産を受け取れます。

ただし、限定承認を選択する場合は、相続人全員で共同して手続きしなければなりません。

自分ひとりでは申し立てられないため、ほかの相続人と関わりたくなければ単独でおこなえる相続放棄を選択したほうがよいでしょう。

なお、相続人が連帯保証人になっているときは、相続放棄をしても保証人としての責任が残る点に注意が必要です。

2.父親が財産を持っていない場合

借金はなくても、父親に財産がないなら相続放棄を検討したほうがよいでしょう。

相続しても実際に受け取れる資産がなければ、公共料金や家賃の清算、不用物の処分など、負担だけが発生してしまいます。

また、父親が賃貸物件で孤独死した場合、物件の大家や管理会社から特殊清掃の費用を請求されることがあり、父親に財産がなければ相続人が自分の財産から工面しなければならなくなります。

3.ほかの相続人と関わりたくない場合

ほかの相続人と関わりたくないときにも、相続放棄は有効な選択肢です。

相続人が自分や母親のもとに残った兄弟姉妹だけであれば問題ありませんが、離婚した父親が再婚していた場合、再婚相手や異母兄弟が相続人になることがあります。

相続すれば、再婚相手や異母兄弟と遺産分割協議をおこなわなければならず、会ったこともない相手とのやりとりが発生するでしょう。

しかし、相続放棄をすれば自分は最初から相続人でなかったものとみなされるため、遺産分割協議に参加する必要もなく、ほかの相続人との連絡や協力も不要です。

また、自分の意思だけで手続きを進められるため、無用なトラブルを避けたい方や精神的な負担を軽減したい方に適した方法といえます。

離婚した父親の死亡後に相続放棄の手続きをする際の3つの注意点

離婚した父親の死亡後に相続放棄をするときは、以下の3つに注意しましょう。

  1. 財産を一切相続することができなくなる
  2. 相続放棄の期限を過ぎると認められなくなる
  3. 相続放棄が認められたあとは撤回ができなくなる

これらのポイントを知らずに進めると、思わぬ損失やトラブルにつながるおそれがあります。

注意点を理解したうえで、相続放棄をするかどうか判断することが重要です。

1.財産を一切相続することができなくなる

一度相続放棄をすると、父親の財産を何ひとつ相続できなくなります

例えば、相続放棄をしたあとで多額の遺産が判明した場合でも、すでに相続権を失っているため相続できません。

ほかの相続人が遺産を隠していたり遺産総額を偽っていたりした場合は取り消せることもありますが、必ずしも認められないため慎重に決める必要があるでしょう。

相続放棄をするなら弁護士に相談し、遺産を調査してもらったうえで進めることをおすすめします。

2.相続放棄の期限を過ぎると認められなくなる

相続放棄の期限は「自分のために相続が開始したことを知ったときから3ヵ月」です。

つまり、ほかの相続人や警察などから連絡が来て、父親が亡くなったことと自分が相続人になったことを知ってから3ヵ月が期限です。

期限を過ぎると相続放棄できなくなり、プラスもマイナスも引き継ぐ「単純承認」を選択したことになります。

なお、3ヵ月の期間内に相続財産を調査しても相続方法を決定できないときは、家庭裁判所に申し立てることで期間を伸長してもらえる場合があります

しかし、必ず認めてもらえるとは限らないため、原則は3ヵ月以内の手続き完了を目指しましょう。

期間内に申述するためには、早めに弁護士などの専門家に相談し、余裕をもって手続きを進めることが重要です。

3.相続放棄が認められたあとは撤回ができなくなる

相続放棄が認められたあとは、原則として撤回ができません

ただし、申述が受理される前に取り下げることは可能です。

また、ケースによっては取り消しが認められる場合もあります。

撤回とは、相続放棄の申述が受理されたあと、その効力を無効にすることです。

一方取消しは、申述が受理された時点で問題が発生しており、本来であれば受理されるべきではなかったというようなケースが該当します。

取り消しが認められる可能性があるのは、例えば以下のような場合です。

  • 未成年者が自分で手続きをした
  • 錯誤によって相続放棄をした
  • 「遺産はない」とほかの相続人に騙されて相続放棄した

ここでいう「錯誤」とは、勘違いや思い込みのことです。

取り消しができるかどうかは、この「錯誤」が判断にどの程度重大な影響をおよぼしたか、財産調査に重大な過失がなかったかなども考慮したうえで判断されます。

ただし、取り消しが可能かどうかの判断には専門知識が必要であり、本当に錯誤や詐欺があったかどうかを立証しなければなりません。

自分で対応するにはハードルが高いため、あとから相続放棄を取り消したくなったときは早めに弁護士に相談するとよいでしょう。

さいごに|離婚した父親の財産を相続したくないなら相続放棄をしよう

離婚した父親が死亡した場合の相続放棄の手続きや、検討すべきケースについて解説しました。

父親の死を知ったら相続放棄の必要書類を用意し、家庭裁判所に申述しましょう

照会書を返送したあと、書類に問題がなければ相続放棄申述受理通知書が届きます。

相続放棄すべきかわからないときは、借金や財産の有無、ほかの相続人と関わりたくないかといったところで判断するとよいでしょう。

ただし、相続放棄は、一度認められたら撤回できません

また、財産を一切相続できなくなるので慎重な判断が必要です

期限も設けられているため、おこなうのであれば弁護士に相談し、アドバイスを受けながら進めるとよいでしょう。

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この記事の監修者
修善寺法律事務所
吉田 朋師 (静岡県弁護士会)
『修善寺法律事務所』は、静岡県密着型の法律事務所で、その中でも相続トラブルに注力しております。 生前対策~相続発生後まで幅広くご対応いただけますので、是非ご連絡してください。
ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)編集部
編集部

本記事はベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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