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贈与税の無申告は、バレる可能性が高いです。
なぜなら、税務署は不動産売買などの高額資産の移動や相続発生のタイミングをチェックしており、贈与から数年が経過した後でも、入念な調査をおこなうためです。
本記事では、贈与税の無申告がバレるきっかけや、無申告がバレたときのペナルティ、贈与税を合法的に節税するコツなどについてわかりやすく解説します。
気付かないうちに贈与税の無申告状態が発生している可能性もあるので、この記事を読み、贈与税が発生する条件などを正しく理解したうえで、適正な納付手続きにお役立てください。
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贈与税の無申告がバレるきっかけやタイミングはさまざまですが、概ね以下の6つに大別できます。
【贈与税の無申告が発覚するきっかけ】
贈与税の無申告がバレる代表的なタイミングとして「税務署からのお尋ね」が挙げられます。
「お尋ね」とは、「税務署が個人に対して実施する確定申告内容に関する問い合わせ」のことです。
主に、不動産の取得時・売却時や、相続が発生したタイミングで、税務申告漏れの可能性がないかを確認する目的で書面または電話連絡の方法によっておこなわれます。
税務署が実施する「税務調査」とは異なり、「お尋ね」に対する回答義務は存在しません。
ただし、無回答や虚偽申告がバレると税務署からの印象が悪くなり、税務調査が実施される可能性が高まります。
その結果、贈与税の無申告がバレると、追徴課税などのステージに移行するなどのペナルティが課されるでしょう。
贈与税の無申告は相続税申告に係る一連の手続き・調査過程でバレることもあります。
そもそも、家族が死亡した場合には、亡くなった方の死亡地や届出人の住所地の自治体に死亡届を提出しますが、死亡届を受理した地方自治体は、税務署に死亡情報を送ることになっています。
そのため、家族が死亡して相続が発生した事実を税務署に隠蔽することは不可能です。
特に、一定の財産を保有していることが想定される人物が死亡した場合、税務署は、過去の確定申告の情報、証券会社が保有する有価証券情報、金融機関の預金口座情報、不動産情報、財産債務調書情報などを精査したうえで、相続人に対して「お尋ね」を送付したり、税務調査を実施したりします。
そして、相続税調査の過程において、課税対象になる生前贈与の無申告がバレると、贈与税の申告および納付を求められます。
贈与税の無申告は「不動産の登記情報」がきっかけでバレることも多いです。
そもそも、土地や建物について権利変更があった場合(売却・購入・共有名義変更など)、法務局において所有権移転登記手続き等を履践しなければいけません。
そして、不動産登記の権利関係に変動があった場合、法務局は税務署に当該情報を提供するので、土地・建物などの入手履歴はすべて税務署にバレます。
たとえば、不動産の取得資金の調達方法、不動産取得時の年齢・年収・職業、売買当事者の関係性などが隈なくチェックされます。
その結果、「お尋ね」への回答内容や税務調査で贈与税の無申告がバレると、追徴課税等の対象になります。
贈与税の無申告は「法定調書」がきっかけでバレることもあります。
法定調書とは、所得税法や相続税法などに基づいて税務署への提出が義務付けられている書類のことです。
生命保険や損害保険の満期保険金・解約返戻金を受け取ったとき、1回の取引で200万円以上の金やプラチナなどの貴金属を売却・換金したとき、1回につき100万円以上を海外送金したときなどでは、事業者側が法定調書を作成して税務署に提出するので、個人が取得したお金の流れが税務署にバレてしまいます。
たとえば、生命保険の契約者・被保険者・受取人が別々のようなケースは贈与税の対象になるので、贈与税が無申告の状態だと税務署に指摘されるでしょう。
贈与税の無申告は「ネットオークション」をきっかけにバレるケースも増えています。
たとえば、オークションで高額商品を落札した場合、落札に要した費用の調達方法を税務署が調査する過程で、資金の受け取りが発覚しかねません。
資金の受け取りが贈与税の対象価額に該当すれば、無申告を指摘されるでしょう。
なお、「匿名でインターネットを介しておこなわれるオークションが税務署にバレるはずがない」とお考えの人も少なくないでしょう。
しかし、高額資金が動いているケースや脱税が疑われるケースでは、税務署が運営会社に落札者の情報提供を要請するので、無申告を隠し通すのは難しいのが実情です。
国税庁は、メール・電話・手紙・面談の4種類の情報提供窓口を用意しており、第三者による通報や密告によって贈与税の無申告がバレる可能性があります。
たとえば、知人同士の他愛もない会話のなかで「祖父母から貰ったお金で新車を購入した」などと話しただけでも、話を聞いていた知人に密告されると税務調査に入られかねません。
もちろん、噂程度の話でいきなり税務署が具体的な行動に移すとは考えにくいですが、具体的かつ詳細な通報・密告がなされた場合には、贈与税の無申告がバレる可能性が生じるとご理解ください。
贈与税の無申告は時効完成(除斥期間の経過)によって追徴課税等のペナルティを回避できます。
ここでは、時効制度(除斥期間制度)を利用して無申告の贈与税を回避できるのか、について解説します。
贈与税の時効(除斥期間)は「原則6年」です(相続税法第37条第1項、国税通則法第70条)。
ただし、偽り、その他不正な行為によって贈与税の全部または一部を申告しなかったような悪質な事案では、贈与税申告の時効(除斥期間)は「例外的に7年」に延長されます(相続税法第37条第4項)。
贈与税の時効(除斥期間)の起算点は、「贈与があった日の翌年3月16日」です。
「贈与があった日」が起算点になるわけではない点にご注意ください。
贈与税は「贈与があった日の翌年3月16日から6年・7年」が経過することで納税義務が消滅します。
ただ、税務署は「納税漏れを回避すること」を職責とする機関です。
不動産の権利移転や高額取引、相続発生時など、贈与税の無申告が懸念される場面では、「お尋ね」「税務調査」などの方法で脱税や申告漏れを摘発するために執拗な調査がおこなわれるので、贈与税の納付義務を時効完成(除斥期間の経過)によって逃げ切るのは現実的には難しいでしょう。
贈与税の無申告がバレる理由は、不動産の権利移転などの高額取引や相続の発生といった「贈与が発生したことが疑われる事象を税務署が察知するから」です。
裏を返せば、贈与が発生した事実を税務署に知られなければ、贈与税の無申告が摘発されることもありません。
たとえば、贈与契約の当事者間で直接現金を手渡ししたような事例であれば、贈与税の無申告がバレる可能性は低いでしょう。
しかし、贈与税の納付義務の時効(除斥期間)は6年~7年であり、税務署は贈与から数年が経過しても納付漏れがないか調査している実態を踏まえると、仮に現金手渡しの方法で贈与をしたとしても、「絶対にバレない」とは言い切れないのが実情です。
たとえば、手渡しで数百万円の現金を受け取った後、その現金を不動産購入の頭金に使ったり、自分の預金口座にいきなり数百万円の入金をしたりすると、税務署の調査が入る端緒になり得ます。
したがって、贈与税の無申告をバレにくくする方法はあるものの、確実にバレない方法は存在しないと考えられます。
贈与税の課税対象になる贈与が発生した場合には、正直に申告して余計な不安を抱えないようにするべきでしょう。
贈与税の無申告がバレると、個別事案の状況を踏まえてペナルティを受けることになります。
以下で解説するペナルティの重さをご理解のうえ、適正な納税処理をおこなうようにしてください。
贈与税の無申告がバレた場合のペナルティは「延滞税」と「加算税」です。
また、「加算税」は「無申告加算税」「過少申告加算税」「重加算税」に分類されます。
まず、延滞税とは、未納付贈与税に対する「利息・遅延損害金」に位置付けられるペナルティです。
贈与税の申告期限~2ヵ月 |
年利2.4% |
贈与税の申告期限から2ヵ月経過後~ |
年利8.7% |
次に、加算税とは、贈与税の未納付状態に応じて科されるペナルティです。
【無申告加算税:うっかり贈与税の申告を忘れたケース】
|
贈与税額 |
加算税率 |
税務調査の連絡前に自主的に申告したケース |
区分なし |
5% |
税務調査の連絡後~指摘前に申告したケース |
50万円以下 |
10% |
50万円超 |
15% |
|
税務調査で指摘を受けてから申告したケース |
50万円以下 |
15% |
50万円超 |
20% |
|
短期間に繰り返して無申告または仮装・隠蔽がおこなわれたケース |
50万円以下 |
25% |
50万円超 |
50% |
【過少申告加算税:贈与税の申告をしたが納付額が過少だったケース】
贈与税の計算において、課税対象となる価格は修正後の課税価格から過少対象価額を控除した金額を基に計算されます。
|
贈与税額 |
加算税率 |
税務調査の連絡前に自主的に申告したケース |
区分なし |
なし |
税務調査の連絡後~指摘前に申告したケース |
50万円以下 |
5% |
期限内申告税額と 50 万円のいずれか多い額を超える部分 |
10% |
|
税務調査で指摘を受けてから申告したケース |
50万円以下 |
10% |
期限内申告税額と 50 万円のいずれか多い額を超える部分 |
15% |
【重加算税:贈与税の意図的な無申告、隠蔽などの悪質なケース】
|
過去5年以内にペナルティ歴あり |
過去5年以内にペナルティ歴なし |
悪質な無申告のケース |
50% |
40% |
悪質な過少申告のケース |
45% |
35% |
なお、贈与税の脱税に対しては刑事罰(脱税の罪)が科される可能性もあります。
たとえば、偽り、その他不正の行為によって贈与税を免れた場合には「10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金(併科あり)」の範囲で処断されます(相続税法第68条第1項)。
また、意図的に贈与税を申告しなかったケースでは「5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金(併科あり)」、意図的ではなくても正当な理由がなく贈与税を申告しなかったときには「1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金(併科あり、情状免除あり)」の刑罰が科されかねません(相続税法第68条第3項、同法第69条)。
延滞期間が長い、また、無申告発覚時の対応が遅れるほど、贈与税務申告時に課されるペナルティは重くなります。
特に、時効期間(除斥期間)が到来するギリギリに贈与税の無申告がバレてしまうと、かなり高額の延滞金を強いられるリスクに晒されるでしょう。
したがって、贈与税の無申告によるペナルティを少しでも軽くするには、「贈与税は適切なタイミングで申告すること」「無申告が発覚したときや指摘されたときにはすみやかに是正すること」が何より重要だと考えられます。
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贈与税の支払いを節約するには、「無申告」という違法な方法を頼るのではなく、合法的な節税方法を履践しましょう。
贈与税は、1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた財産の合計額から基礎控除額の110万円を差し引いた残りの金額に対して課税されます(暦年課税)。
したがって、1年間に贈与を受けた財産の合計額が110万円以下なら贈与税は発生しませんし、贈与税の申告も必要ありません。
贈与税は、以下の特例を活用することで節約できます。
特例 |
概要 |
相続時精算課税制度 |
原則として、60歳以上の父母・祖父母などから、18歳以上の子・孫などに対して財産を贈与した場合に、2,500万円を上限に非課税になる特例 |
贈与税の配偶者控除の特例(おしどり贈与) |
婚姻期間20年以上の夫婦間で、居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合に、上限2,000万円まで配偶者控除が認められる特例 |
住宅等資金の贈与税の非課税制度 |
父母・祖父母などから直系尊属に対して、居住用住宅の新築・取得・増改築等の対価に充てるための金銭を取得した場合に、最大1,000万円まで非課税になる特例 |
祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度 |
直系尊属から30歳未満に教育資金の援助を受けた場合に、1,500万円まで非課税になる特例 |
父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度 |
直系尊属から結婚費用・子育て資金の贈与を受けた場合に、1,000万円まで非課税になる特例 |
なお、各特例を利用するには、それぞれ個別に要件・手続きが規定されているのでご注意ください。
さいごに、贈与税がかかるケースや贈与税無申告がバレる理由などについてよく寄せられるFAQを紹介します。
贈与税は、1月1日から12月31日の1年間で110万円超の贈与を受けた場合に納税義務が生じます。
したがって、1年間で貰ったプレゼントの合計額が110万円を超えた場合、贈与税の申告義務が発生します。
ただし、貰ったプレゼントが社会通念上相当と認められるもの(香典や年末年始の贈答など)ならば、贈与税の算定範囲には含まれません。
現金手渡しでも税務署に発覚する可能性は否定できません。
たとえば、祖父母から数百万円の現金を手渡しされたケースにおいて、その後祖父母の死亡によって相続が発生したとき、預金通帳の履歴が細かくチェックされると、税務署から厳しい追及がおこなわれるでしょう。
その結果、数年前の現金贈与(生前贈与)がバレると、延滞金等のペナルティが加算された高額の追徴課税を求められます。
したがって、「現金手渡しだから大丈夫」と安易に考えずに、適正な形で贈与税の申告手続きを履践しましょう。
夫婦間の贈与も原則として贈与税の対象です。
つまり、年間110万円超の贈与が存在すると、贈与税の申告義務・納付義務が発生するということです。
ただし、年間110万円以内であればそもそも贈与税は発生しませんし、「生活費や教育費に充てるために通常認められるもの」は課税されないという運用が採られています。
また、おしどり贈与の特例を利用すれば居住用不動産に関する贈与税の節税を達成できるでしょう。
贈与税を申告しなければ、何かしらのきっかけでかならず税務署にバレます。
贈与税の脱税がバレると追徴課税による過大な金銭納付義務を強いられるだけでなく、悪質な事案であれば刑事罰が科される可能性も否定できません。
したがって、年間贈与税額や利用できる特例制度などを上手に活用しつつ、税務署のチェックが入っても怖くないように、贈与税の適正申告・期限内納付を心掛けましょう。
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