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このように考え、孫への遺産相続方法を調べている方もいるかもしれません。
しかし、孫は法定相続人ではないため、例外的な場合を除いて何もしなければご自身の遺産が孫に渡ることはありません。
孫に相続させたければ、何らかの方策を講じる必要があります。
この記事では、孫に財産を相続させる5つの方法を紹介するほか、孫に遺産相続させるメリット・デメリットなどについても紹介します。
孫にご自身の遺産を相続したければ、何らかの対策をしておかなければなりません。
その理由と、例外的に孫が法定相続人になる場合について解説します。
法定相続人とは、被相続人の財産について相続権を有すると民法で定められた人のことをいいます。
被相続人の配偶者は必ず法定相続人となりますが、それ以外の人については以下の相続順位に従って相続権を得ます。
| 相続順位 | 法定相続人 |
|---|---|
| 第1順位 | 被相続人の子など直系卑属 |
| 第2順位 | 被相続人の親など直系尊属 |
| 第3順位 | 被相続人の兄弟姉妹 |
孫は直系卑属にあたりますが、被相続人の子が健在である限り、法定相続人にはなれません。
そのため、何も対策しておかなければ、遺産を孫に相続させられないのです。
被相続人の子どもがすでに亡くなっていた場合は、代襲相続が起こるため、孫が法定相続人です。
代襲相続とは、民法第887条で定められているとおり、本来の相続人が死亡や廃除などによって相続権を失った場合に、その子どもに相続権が移ることをいいます。
(子及びその代襲者等の相続権)
第八百八十七条 被相続人の子は、相続人となる。
2 被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。
引用元:民法 | e-Gov法令検索
原則として、孫は法定相続人になれないため、遺産を渡したければ何らかの方法を取らなければなりません。
ここでは、孫に財産を相続させたり、贈与したりするための5つの方法を紹介します。
遺言書を残しておけば、何よりその内容が優先されます。
そのため、「孫に遺産の●●を譲る」などと遺言書に記載しておけば、そのとおりの相続が実現するでしょう。
ただし、遺言書の作成には法律で決められたルールがあり、ルールに則っていなければ、その遺言書は無効になります。
詳しくは、下記の記事で詳しく紹介していますので、ご参照ください。
養子は、実の子どもと同じく相続順位が第1順位の法定相続人です。
そのため、孫を養子にすれば孫も相続権を獲得でき、優先して遺産を相続できます。
また、相続人の数が増えるぶん相続税の控除額が増え、節税対策になるというメリットもあります。
一方で、相続人同士のトラブルが起こりやすくなるため、適切かどうかは慎重に検討しましょう。
生前贈与をすれば、ご自身で孫に財産を渡せます。
また、毎年110万円までの贈与であれば贈与税はかからず、贈与によって相続財産の総額も減るため、相続税対策としても有効でしょう。
ただし、相続発生前3年間の贈与分は相続財産に含められます。
また、相続税申告後の税務調査で否認されないためにも、贈与契約書を作成しておくのが賢明です。
生命保険の受取金は、受取人固有の財産であり、遺産分割の対象ではありません。
そのため、生命保険に加入して受取人を孫に指定しておけば、孫に財産を譲れます。
ただし、死亡保険金は「みなし相続財産」に分類されるため、相続税の課税対象です。
孫が相続税を支払わねばならなくなる可能性もあるため注意しましょう。
家族信託とは、自身が保有する財産の管理や処分を、何らかの目的のために家族などの信頼できる人に任せる仕組みのことです。
資産の管理や運用、処分をする受託者と、それによって生じた利益を受け取る受益者を設定できます。
受益者を祖父母に、受託者を孫に設定しておけば、生前に財産を渡せます。
また、もし孫がまだ若年者である場合は受託者を子、受益者を孫としておけば、財産から生じる利益を孫が受け取り続けられるでしょう。
どの方法を取るのが、孫にとって最も得なのかということも気になるところでしょう。
ここでは、下記の前提条件を基に、遺言書による相続、代襲相続、孫と養子縁組をした場合、孫がそれぞれどれくらいの財産を相続できるのか解説します。
遺言書があれば、その内容が何より優先されます。
法定相続人がいようとも、遺言書で遺産の相続先が孫に指定されていれば、それに従うしかありません。
配偶者と被相続人の子が相続人である場合、それぞれの法定相続分は以下のとおりです。
| 法定相続人 | 法定相続分 |
|---|---|
| 配偶者 | 1/2 |
| A(被相続人の子) | 1/4 |
| B(被相続人の子) | 1/4 |
しかし、この場合、被相続人の子であるAがすでに亡くなっているため、本来であればAが相続するはずだった1/4を被相続人の孫であるc、dの二人で2分します。
つまり、各相続人の法定相続分は下記のとおりです。
| 法定相続人 | 法定相続分 |
|---|---|
| 配偶者 | 1/2 |
| C(被相続人の孫) | 1/8(=1/4×1/2) |
| D(被相続人の孫) | 1/8(=1/4×1/2) |
| B(被相続人の子) | 1/4 |
よって、代襲相続が生じた場合に、孫Cが相続できる分は、625万円(=5,000万円×1/8)です。
被相続人とcが養子縁組をすれば、第1順位の法定相続人です。
この場合、配偶者の法定相続分を除いた残りの1/2をA、B、Cの3人で分けることになり、法定相続分は1/6ずつです。
| 法定相続人 | 法定相続分 |
|---|---|
| 配偶者 | 1/2 |
| A(被相続人の子) | 1/6(=1/2×1/3) |
| B(被相続人の子) | 1/6(=1/2×1/3) |
| C(被相続人の孫) | 1/6(=1/2×1/3) |
つまり、孫Cの相続分は約833万円(=5,000万円×1/6)ということになります。
孫に遺産相続をすると、以下のようなメリットがあります。
生前贈与や養子縁組によって孫に遺産を渡せば、相続税を節税できる可能性があります。
まず、生前贈与は贈与した分だけ相続財産を減らせます。
課税対象額が減少するため、相続税も必然的に低くなります。
また、養子縁組をすれば法定相続人の数が増えます。
相続税の基礎控除額は以下の計算式で算出するため、法定相続人が増えれば控除額が大きくなり、相続税も安くなるのです。
原則として、孫は法定相続人ではないため、何も対策を講じなければ祖父母の遺産を相続させられません。
しかし、生前贈与や遺言など、孫に遺産相続をさせるための方法を実践すれば、祖父母の希望どおりに孫へ財産を渡せます。
孫への遺産相続には、以下のようなデメリットもあります。
本来の相続人以外の人が相続した場合、相続税が通常よりも2割増額されます。
孫に遺贈した場合はもちろん、孫と養子縁組をした場合も対象です。
一方、代襲相続が起こったために孫が相続した場合は、2割加算の対象にはなりません。
孫にばかり相続させれば、ほかの相続人から遺留分侵害額請求をされる可能性があります。
遺留分とは、被相続人の兄弟姉妹以外の法定相続人について、取得することを保証された最低限の相続分です。
孫がトラブルに巻き込まれないようにするためにも、ほかの相続人にも配慮した遺産分割を心がけるほうがよいでしょう。
生前贈与加算とは、相続が発生する前の3年間におこなわれた贈与分は、相続財産に含めるという制度です。
生前贈与加算の対象になれば、相続財産が増える分相続税が高くなります。
また、孫が相続税を支払わねばならない可能性もあるでしょう。
なお、税制改正により2024年からは、生前贈与加算の対象になる期間が相続発生前の3年間から7年間に変更されます。
孫への相続は、親族間でさまざまなトラブルを生む可能性があります。
孫にばかり財産を譲っては、ほかの相続人が不公平に感じるでしょうし、養子縁組をすれば、それぞれの取り分が減るために不満が出るかもしれません。
このことからも、孫への遺産相続は、ほかの相続人の心情も考慮しながら進めるのが望ましいところです。
孫へ遺産を相続させたい場合は、弁護士に相談するのがおすすめです。
弁護士に相談すれば、以下のようなメリットが期待できます。
孫への遺産相続は、ほかの相続人とのトラブルを生みやすいものです。
しかし、相続方法や内容によっては、相続人全員が満足できる相続を実現させることもできるでしょう。
弁護士に相談すれば、被相続人はもちろん、相続人全員が納得できる遺産分割となるよう、法的観点からのアドバイスが期待できます。
特に相続問題の解決実績が豊富な弁護士であれば、起こりうるトラブルを予測し、その対策を提案してもらえ、孫を親族間のトラブルから守れるはずです。
孫に遺産を相続させるには、遺言書を作成しておくのが有効です。
しかし、遺言書には法律で定められたルールがあり、規定に沿って作られていなければ無効とされます。
弁護士に相談すれば、そのような法律ルールに則った遺言書となるようアドバイスをもらえたり、チェックを受けたりできます。
法的に有効な遺言書を確実に残すことができ、孫への相続も実現できるでしょう。
あらかじめ遺留分の額を把握し、侵害しないようにしておけば、遺留分侵害額請求を受けることはありません。
しかし、遺留分の算定方法は少々複雑であるため、専門知識がなければ算出できないケースもあるでしょう。
弁護士に相談すれば、遺留分の正確な額を計算し、トラブルが起こらないような遺言になるようアドバイスしてもらえます。
孫が遺留分請求を受ける心配もなく、安心でしょう。
そんな思いを抱く祖父母は少なくありません。
孫へ遺産相続をする方法はいくつかありますが、ほかの相続人とのトラブルが懸念されます。
そのため、ご自身の亡きあとに、孫がトラブルに巻き込まれるのを防ぐには、きちんと対策をしておくことが大切です。
できるだけ早めに弁護士などの専門家に相談し、準備を始めることをおすすめします。
弁護士であれば、将来起こりうる可能性のあるトラブル対策もしたうえで最適な方法を提案してくれ、安心して孫に財産を渡せるでしょう。
孫への遺産相続は、ぜひ「ベンナビ相続」を活用し、相続問題の解決を得意とする弁護士に相談してください。
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