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非嫡出子と嫡出子の相続割合は同じ!苦痛な相続争いを避ける3つのコツ

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事
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相続人の中に「非嫡出子」がいる場合、相続はどうなるのでしょうか。

私には関係ないと思っている人が多いますが、そんなことはまったくなく、ごくごく普通の家庭で起こりうる問題なのです。

相続問題をひとつとってみても、多くの事例があります。

  • 土地や建物をどのように分ければいいのか
  • 遺産が課税対象になっている場合
  • 親の介護をしていたのに遺産額に不公平が生じる など

数え上げたらキリがありません。

今回は、「隠し子」ともいわれる非嫡出子の相続をする場合に、どのようなことに気をつければよいのかについてお伝えしていきます。

非嫡出子で実の親の相続が開始した方へ

非嫡出子の子供であっても、実の親の財産を相続する権利はあります。

しかし非嫡出子の子供の場合は、「認知」が必要です。

「認知」があれば、実の親の財産を相続をすることが可能です。

認知がある非嫡出子と嫡出子は、相続の立場において同等の権利をもっています。

ただ長年顔を合わせていない相続人のため、相続争いになるケースがあります。

非嫡出子で相続トラブルに巻き込まれそうな方は、弁護士への依頼がおすすめです。

弁護士に依頼をすれば、下記のようなメリットがあります。

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この記事に記載の情報は2024年03月21日時点のものです

非嫡出子と嫡出子の相続分は同じ|これまでの違いとは?

平成25年12月5日に、民法の一部が改正する法律が成立し、それまで非嫡出子の相続分を嫡出子の相続分の2分の1とする部分を改正し、非嫡出嫡子も嫡出子で違いのあった法定相続分が同等になりました。

非嫡出子の相続分

嫡出子と非嫡出子の違い

「嫡出子」とは法律上の婚姻関係にある夫、妻の間で生まれた子どもをいいます。

具体的には下記にあたります。

  • 婚姻中に妊娠をした子ども
  • 婚姻後201日目以後に生まれた子ども
  • 父親の死亡後、もしくは離婚後300日以内に生まれたこども
  • 未婚時に生まれて認知をされ、その後に父母が婚姻した子ども。
  • 未婚時に生まれてから、父母が婚姻し、父親が認知をした子ども
  • 養子縁組の子ども

以上の条件に当てはまる子どもを「嫡出子」といい、非嫡出子は、法律上の婚姻関係がない男女の間に生まれた子どもであり、且つ上記の「嫡出子」の具体的な条件に当てはまらない子どもをいいます。

非嫡出子の相続分は嫡出子と同じ

遺産相続が発生した際に、誰が法定相続人になるかは決められています。

まず、配偶者は必ず相続人となりますが、配偶者以下は「子」が第1順位、「直系尊属(父母、祖父母など被相続人の前の世代で、直接の親族)」が第2順位、「兄弟姉妹」が第3順位です。

それではなぜ「非嫡出子」だと問題が発生するのでしょうか?

それは、最近まで「非嫡出子」の相続割合が「嫡出子」の2分の1とされていたからです。

具体的なケースは以下です。

例)女性Aは男性Bと未婚のうちに子どもCを生みました。

その後に、男性Bとは婚姻せずに、男性Dと婚姻し子どもEが生まれました。

女性A、男性D、子どもC、Eと仲良く4人で暮らしました。

時が経ち、女性Aが亡くなり1,200万円の遺産が発生しました。

かつての民法では相続分は以下のようになるとされていました。

 

相続金額

法廷相続の割合

男性D

600万円

1/2

子どもE(嫡出子)

400万円

1/3

子どもC(非嫡出子)

200万円

1/6
(嫡出子の1/2もしくは非嫡出子)

このように見ますと、同じ母親のお腹から生まれた子どもにも関わらず、不公平が生じておりました。

しかし、これから説明する判例によって民法は改正され、今では嫡出子も非嫡出子も、同じ割合で相続することが可能になりました。

なぜ非嫡出子の相続分が同じになったのか?

同じ母親から生まれたにも関わらず、不公平が生じている事実に法の下の平等に反するのではないかという指摘が従前からなされていました。

そして、とうとう、平成25年9月4日の最高裁判所の判決において、今までの法律が「非嫡出子」に対して不公平であり、違憲であるという判断が下されました。

民法の改正の概要
1 法定相続分を定めた民法の規定のうち嫡出でない子の相続分を嫡出子の相続分の2分の1と定めた部分(900条4号ただし書前半部分)を削除し,嫡出子と嫡出でない子の相続分を同等にしました(注)。
2 改正後の民法900条の規定(以下「新法」といいます。)は,平成25年9月5日以後に開始した相続について適用することとしています。
(注)「嫡出でない子」とは,法律上の婚姻関係にない男女の間に生まれた子をいいます。
引用元:法務省

非嫡出子の相続分が改正後の相続分にならないケースもある

それではどんな時に改正後の相続割合が適用されないのでしょうか。

【期間】
平成13年7月1日(今回の最高裁判所の決定の事案における相続開始日)〜平成25年9月4日(決定日)

この期間中に相続開始をした場合であれば、「非嫡出子」であっても「嫡出子」と同じ法定相続の割合になります。

適用されないケースで考えますと、この期間中に遺産の分割の審判その他の裁判、遺産の分割の協議その他の合意等により確定的なものとなった際は法律関係には影響ありません。

つまり、遺産分割協議で審判が確定している場合や、協議が成立している場合は「非嫡出子」の相続の割合は「嫡出子」の2分の1のままになります。

非嫡出子がいる場合の相続における争いを回避するには?

非嫡出子(婚外子)がいるというだけ、普段から顔を合わせているような相続人にとっては、非嫡出子にも相続分を分け与えることは苦痛かもしれませんが、相続人であれば非嫡出子にも遺産をもらう権利があります。

こういったトラブルを避けるために、何ができるのかを確認しておきましょう。

認知をしておく

例えば、男性が結婚後に配偶者以外の女性との間で子どもが生まれた場合などです。

不倫や浮気でできてしまった子どもでも、父親が認知をすれば「非嫡出子」として相続人となり得ます。

そのために、いざ相続する際に遺産分割協議(相続人全員で話し合いをする)をおこなうのが難しくなり、揉める可能性が高いことが容易に想像できます。

遺言書を残しておく

話し合いだけで解決をすればよいのですが、相続手続きを進めている中、被相続人が亡くなられた後で「非嫡出子」の存在が発覚することもあります。

急に出てきた法定相続人に、遺産を渡したくない人もいるのではないでしょうか。

その争いを避けるためには、被相続人が亡くなる前に「遺言書」を書き残してもらうのが一つの方法です。

遺産の分割の方法を指定していれば、余計な話し合いをする必要はなくなります。

被相続人が生きている間に話し合いをして、法定相続人が誰であり、遺産に、どんなものが、どれだけ残っているのか確認をしておくことが重要です。

誰が法定相続人になるか確認をしておくことで、「非嫡出子」の急な出現による混乱を回避できます。

例え話し合いをしていくうちに、「非嫡出子」がいることが発覚しても、被相続人が生きていれば建設的な協議が可能です。

弁護士に相談する

争いが起きてしまった際は弁護士に相談することをおすすめします。

自分だけで悩んでいても、解決への道筋が見えてきません。

そんな時は、多くの事例を経験している弁護士の力を借りるのが得策です。

そこで、依頼するメリットとデメリットをお伝えします。

メリット1:解決への筋道が見えてくる

解決方法も分からず、右往左往する前にまずは相談だけてもしてみましょう。

弁護士に依頼をすれば、あなたの立場、考え方、相手の状況などをヒアリングし、解決へと導いてくれます。

ストレスに悩まされることなく、あなたと共に解決を目指してくれます。

もちろん専門家としてだけでなく、精神的にもあなたを支えてくれます。

メリット2:相手と話し合いしなくていいのでストレス軽減になる

依頼することで、弁護士が相続人間に入ります。

相手と毎回話をする苦痛もなくなります。

何か言われても、弁護士に話をして欲しい旨を伝えれば大丈夫です。

メリット3:法的手段を使って解決に結びつける

弁護士を介して話し合いをしていても、話し合いだけでは解決しない場合があります。

そんな時は、家庭裁判所で調停をおこないます。

そこでも弁護士が間に入って話を進めてくれますので安心できます。

弁護士に依頼をすれば、 裁判所へ弁護士が行きますので本人は出廷する必要がありません。

デメリット:弁護士に支払う費用(着手金、成功報酬など)

弁護士に依頼をするうえで、どうしも費用が発します。

話し合いだけで解決をすればそれほど費用はかかりませんが、調停や訴訟までになりますと、ケースによってですが約50〜100万円程度は着手金等だけでかかります。

事件が終了した場合には結果に応じて追加報酬(請求金額の4〜16%が一般的)を支払うのが通常です。

勝訴はしたが、手元にはあまり残らないケースもあることをご理解下さい。

詳しくは「遺産相続の弁護士費用の相場は?誰が払うの?払えない場合の対処法も紹介」をご覧ください。

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まとめ

「非嫡出子」に該当する子どもは、日本では少ないケースです。

それでも日々多くの相続問題のケースとして発生しているのも事実です。

一人で悩まずに、話し合いや、弁護士への相談など、まずは行動することをおすすめします。

相続問題は、大きなストレスになります。

今回お伝えした内容をご理解いただき、解決の糸口を見つけていただければ幸いです。

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)編集部
編集部

本記事はベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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