遺言公正証書を作成しようと考えている方のなかには「どんな書類が必要なのかわからない」「書類はどこで取得できる?」などの疑問を抱えている方もいるでしょう。
遺言公正証書の作成にはさまざまな書類が必要なので、書類の種類・取得場所などをあらかじめ理解しておくと安心です。
本記事では、遺言公正証書の作成に必要な書類・取得場所・手数料などを解説します。
遺言公正証書を作成する際の一般的な流れも解説するので、これから遺言書を作成する方はぜひ参考にしてください。
まずは、遺言公正証書を作成するのに必要な書類や取得場所、入手するのにかかる手数料について解説します。
遺言公正証書を作成する際は、以下の書類が必要です。
必要書類 |
備考 |
遺言者と相続人との続柄がわかる戸籍謄本 |
甥や姪など本人の戸籍謄本だけで遺言者との続柄が分からない場合、続柄がわかる戸籍謄本も別途必要 |
受遺者の住民票 |
手紙やハガキなど住所確認可能な資料でもOK |
固定資産税納税通知書または固定資産税評価証明書 |
遺産に不動産が含まれる場合 |
不動産の登記簿謄本 |
遺産に不動産が含まれる場合 |
預貯金等の通帳 |
・遺言書中に特定する場合 ・コピーでも可 |
証人となる人の本人確認資料 |
・運転免許証など ・コピーでも可 ・2名分必要 |
遺言執行者の本人確認資料 |
コピーでも可 |
遺言者本人の本人確認資料 |
・マイナンバーカードや免許証など ・印鑑証明書の場合は3ヵ月以内に発行されたもの |
上記の書類を取得できる場所・取得にかかる手数料は、以下の表のとおりです。
必要書類 |
取得場所 |
手数料 |
戸籍謄本 |
市区町村の役所・役場 |
1通あたり450円 |
住民票 |
市区町村の役所・役場 |
1通あたり300円 |
固定資産税評価証明書 |
市区町村の役所・役場 |
1通あたり350〜400円 |
登記簿謄本 |
法務局 |
1通600円 |
遺言公正証書は、一般的に以下の流れで作成します。
ここからは、遺言公正証書を作成するのにかかる手数料について解説します。
遺言公正証書の作成手数料は、遺言対象の財産額に応じ、以下表のように決められています。なお、この場合の「目的の価額」とは相続財産の総額でなく、各相続人・受贈者ごとに受け取る財産の価格です。
目的の価額 |
手数料 |
100万円以下 |
5,000円 |
100万円超〜200万円以下 |
7,000円 |
200万円超〜500万円以下 |
11,000円 |
500万円超〜1,000万円以下 |
17,000円 |
1,000万円超〜3,000万円以下 |
23,000円 |
3,000万円超〜5,000万円以下 |
29,000円 |
5,000万円超〜1億円以下 |
43,000円 |
1億円超〜3億円以下 |
43,000円+5,000万円超過ごとに13,000円加算 |
3億円超〜10億円以下 |
95,000円+5,000万円超過ごとに11,000円加算 |
10億円超 |
249,000円+5,000万円超過ごとに8,000円加算 |
各相続人・受贈者ごとに算出された手数料を合計し、公証役場に支払う手数料額が求められます。
なお遺言書に記載された財産の総額が1億円以下の場合は、上記の手数料に11,000円が加算されます。
また、遺言公正証書の原本が4枚(横書きの場合は3枚)を超える場合は、1枚超過するごとに250円の手数料が上乗せされます。
遺言者が入院している・病気で動けないなどの理由で公証役場に行くのが難しい場合は、公証人に自宅や病院に来てもらうことが可能です。
公証人が出張して遺言公正証書を作成する場合は、上記の1.5倍の手数料がかかります。
そのほか、公証人の日当(1日2万円/4時間まで1万円)や交通費がかかるので注意してください。
公証役場では、遺言公正証書の作成に立ち会ってもらう証人を紹介してもらうことが可能です。
自分で証人を選ぶのが難しい場合に活用できますが、証人1人あたり6,000円ほど(病院などへの出張を依頼する場合は9,000円前後)の手数料を支払う必要があります。
作成した遺言公正証書を閲覧したい場合や、遺言公正証書が作成されているかを相続人が確認したい場合、公証役場で遺言公正証書を検索できます。
遺言者が生存している場合は、遺言者もしくは遺言者の代理人しか検索できないので注意しましょう。
遺言者が生存している場合、遺言公正証書の検索に必要となる書類は以下のとおりです。
遺言者が亡くなっている場合、相続人・受遺者・遺言執行者などの利害関係者及びその代理人に限り遺言書を検索できます。必要書類は以下のとおりです。
なお、遺言公正証書の検索に費用はかかりません。
遺言公正証書の閲覧や謄本の請求には、以下の書類が必要です。
閲覧には1回あたり200円、謄本の交付には1枚あたり250円の手数料がかかります。
遺言者が生存している間は、遺言者もしくは遺言者の代理人しか原本の閲覧・謄本の請求ができません。
遺言者本人が閲覧・請求する場合、以下の書類が必要です。
遺言者が亡くなったあとは、相続人・受遺者・遺言執行者などの利害関係者もしくは代理人が閲覧・謄本交付を請求できます。
以下の書類が必要です。
ここからは、遺言公正証書の必要書類に関するよくある質問をまとめています。
令和6年3月1日から、本人・配偶者・直系親族の方の戸籍謄本に関しては、本籍地以外の市区町村でも取得できるようになっています。
請求する際は、官公署が発行した顔写真付きの本人確認書類が必要です。
不動産所在地を管轄する法務局に、郵送で請求が可能です。
管轄法務局へ、封書にて「申請書」「登記印紙(手数料)」「返信用の封筒・切手」を郵送します。
また管轄法務局が交換サービスやオンライン請求に対応している場合は、郵送以外での請求も可能です。
詳細は管轄法務局へお問い合わせください。
書類の原本を返却してもらうことは可能です。
原本を返してもらいたい場合は、原本とそのコピーをあわせて提出しましょう。
その際、コピーの空いているところに「原本の写しに相違ありません」と記載して署名捺印してください。
また、コピーが複数枚に及ぶ場合は、ページの間に割印を押しましょう。
忘れた場合は原本を還付してもらえない可能性があるので注意してください。
必要書類の件を含め遺言公正証書についての無料相談を、公証役場にて受け付けています。
また、自治体によっては市区町村役場でも無料法律相談ができるため、遺言公正証書について悩んでいるなら相談してみるとよいでしょう。
遺言公正証書を作成する際は、戸籍謄本や登記簿謄本などさまざまな書類が必要です。
遺言公正証書の必要書類や作成について悩んでいる方は、弁護士に一度相談してみてください。
弁護士に依頼すれば、遺言公正証書を作成する際の手続きを任せられるほか、作成に関するアドバイスを受けることも可能です。
遺言公正証書の作成を円滑に進めるためにも、まずは相談してみましょう。
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