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遺言執行者の報酬相場|専門家への依頼費用を安くするための2つのポイントを解説!

磯野・熊本法律事務所
熊本 健人
監修記事
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「遺言執行者を指名するとどれくらいの費用がかかるのか」

「そもそも誰を遺言執行者に指名するのが適切なのか」

遺言執行者とは、遺言を確実に実現させるため、相続財産の管理や遺言の執行に必要な行為をおこなう権利・義務がある人物を指します。

遺言を残すにあたって遺言執行者は必ずしも必要としませんが、自身が亡くなったあとでトラブルになることを防ぐため、あえて指名するケースは決して珍しくありません

しかし、遺言執行者の指名先にはさまざまな選択肢があるので、どこに依頼すればどれくらいの報酬が必要になるのか、気になっている方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、遺言執行者の報酬相場を依頼先ごとに解説します。

遺言執行者の報酬を抑えるためのポイントなども紹介しているので、ぜひ最後まで目を通してみてください。

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目次

遺言執行者の報酬相場|士業に依頼する場合

遺言執行者とは、遺言に記されている内容を実現させるために、各種手続きをおこなう人のことです。

遺言執行者がいることで手続きの手間がなくなり、遺言書どおりに財産を分配しやすくなるため、相続トラブルを回避できます

遺言執行者には未成年者及び破産者を除き基本的に誰でも指定できますが、ある程度信頼のできる相手に依頼するケースが一般的です。

まずは、士業に依頼する場合における遺言執行者の報酬相場について解説します。

1.弁護士に依頼する場合|30万円~100万円前後

遺言執行者を弁護士に依頼する場合の報酬相場は、30万円〜100万円前後です。

弁護士の報酬は各法律事務所が個々に設定していますが、一般的には「旧日本弁護士連合会弁護士報酬基準」に準じています。

具体的には遺言の対象となる財産の額によって、以下のような報酬を設定していることが多いので、目安のひとつにしてみてください。

  • 財産が300万円以下:30万円
  • 財産が300万円超~3,000万円以下:2%+24万円
  • 財産が3,000万円超~3億円以下:1%+54万円
  • 財産が3億円超:0.5%+204万円

ただし、法律事務所によっては高額な報酬を設定している場合もあるので、事前にホームページなどで確認し、依頼する際には必ず見積もりをもらうようにしましょう。

遺言執行者を弁護士に依頼するメリットは、相続争いが発生した場合に法的な知識と経験に基づいて迅速かつ適切な対応を取れることです。

費用面では高額になることも多いですが、相続人同士の関係性に不安がある場合などは、弁護士に依頼するのが賢明な判断といえるでしょう。

2.司法書士に依頼する場合|20万円~75万円前後

遺言執行者を司法書士に依頼する場合の報酬相場は、20万円〜75万円前後です。

司法書士についても、遺言執行者の報酬相場は明確に決められていません

そのため、報酬内容はホームページなどで事前に確認しておく必要があるでしょう。

遺言執行者を司法書士に依頼するメリットは、不動産の登記手続きスムーズに進められることです。

司法書士は登記の専門家でもあるため、不動産を複数所有している場合などは前向きに依頼を検討してみてください。

3.行政書士に依頼する場合|20万円~40万円前後

遺言執行者を行政書士に依頼する場合の報酬相場は、20万円〜40万円前後です。

遺言の対象とする財産の額によっても報酬額は異なりますが、ほかの士業と比べると比較的、依頼しやすい価格でサービスを提供している傾向にあります。

遺言執行者を行政書士に依頼するメリットは、法的に有効な遺言書の作成を任せられることです。

弁護士や司法書士でも遺言書の作成は可能ですが、行政書士は権利義務に関する書類作成を主な業務としているため、より確実に、素早く作業を進めてもらえる可能性があります

遺言執行者の報酬相場|士業以外に依頼する場合

次に、遺言執行者の役割を士業以外に依頼する場合の報酬相場について解説します。

1.相続人に依頼する場合|無償または20万円~30万円前後

遺言執行者を相続人に依頼する場合の報酬相場は、無償または20万円〜30万円前後です。

依頼する相手が無報酬で承諾してくれる場合は、特に報酬を設定する必要はないでしょう。

報酬が必要になったとしても、専門家に依頼するよりは安く抑えられるケースが一般的です。

なお、遺言執行者の報酬について、遺言書で明記されている場合は、それに従うことになります。

相続人に依頼するメリットは、費用負担を抑えつつ、信頼できる人物に遺言の執行を任せられる点です。

ただし、相続人同士で揉めごとが起こったり、遺言執行者に大きな負担がかかったりする可能性もあるので、少しでも不安が残る場合には専門家を頼ることをおすすめします。

2.銀行に依頼する場合|財産額×0.2%~2.0%程度(最低報酬額あり)

遺言執行者を銀行に依頼する場合の報酬相場は、財産額×0.2%〜2.0%程度です。

また、多くの銀行では数十万円~100万円程度の最低報酬額を定めています。

銀行に遺言執行者を依頼すれば、遺言書の作成・保管・執行などを一貫して任せられます

実際に銀行では、遺言に関するさまざまな手続きをパッケージ化し、包括的に請け負っているケースがほとんどです。

ただし、費用が高額になりやすいため、銀行に依頼する必要性については事前にしっかりと検討しなければなりません。

遺言執行者の報酬額の決め方|3つのケース別に解説

ここでは、遺言執行者の報酬額の決め方について、3つのケース別に解説します。

1.遺言者が決める場合|遺言者と執行者が話し合って決める

遺言者が遺言執行者を決める場合は、互いに話し合って適正な報酬額を設定していくことになります。

遺言の執行にともなう報酬額は一律で定められているわけではないので、遺言者と執行者の話し合いによって自由に決められます。

なお、報酬額に関して合意に至った場合は、支払い方法などとあわせて遺言書に記載しておくことが大切です。

具体的には、「〇〇を遺言執行者に指定し、報酬として〇〇万円を現金で支払う」などと記載しておくとよいでしょう。

口約束で済ませてしまうと、遺言執行者とほかの相続人との間でトラブルが生じるおそれがあるので注意してください。

2.遺言書に報酬額がない場合|相続人と執行者が話し合って決める

遺言書に報酬額が明記されていない場合、相続人・受遺者と執行者が話し合い、報酬額を決めることになります。

報酬額の設定方法はさまざまですが、遺産の管理や遺言の執行にともなう各種手続きの負担を考慮しながら決めていくケースが一般的です。

もちろん、遺言執行者が無報酬で納得している場合は、報酬額の取り決めは不要です。

なお、報酬額の取り決めに関して折り合いがつかない場合、遺言のなかで遺言執行者に指定された人物は辞退することも認められています

3.相続人が遺言執行者の選任の申し立てをする場合|家庭裁判所が決める

相続人が遺言執行者選任の申し立てをする場合は、家庭裁判所が報酬額を決めます。

まず、遺言執行者選任の申し立てがおこなわれるのは、主に以下のようなケースです。

  • 遺言で遺言執行者が指定されていない
  • 遺言で指定された遺言執行者が就任を拒否した
  • 遺言執行者が亡くなった

相続人や受遺者などの利害関係者が申し立てをおこない、家庭裁判所が適性のある人物を選任します。

申立人が、遺言執行者の候補者を推薦することも可能です。

そして、財産の規模や遺言の執行にともなう手続きの負担などを考慮して報酬額が決定されます。

なお、裁判所が決定した報酬額に対して不服申し立てをすることはできません

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遺言執行者の報酬をできる限り抑える2つのポイント

遺言執行者の報酬はどのように抑えればよいのでしょうか。

ここでは、遺言執行者の報酬をできる限り抑えるポイントを2つ解説します。

1.業務の一部だけを依頼する

遺言執行者の報酬を抑えたい場合は、業務の一部だけを代理人に依頼することも検討してみましょう。

依頼内容が少なくなれば、その分、支払う報酬も抑えられる場合があります。

そもそも遺言の執行にあたっては、以下のような作業が必要です。

  • 戸籍謄本の収集
  • 相続財産・相続人の調査
  • 財産目録の作成
  • 預貯金の相続手続
  • 不動産の相続登記
  • 相続財産の名義変更
  • ほかの相続人に対する経過報告

たとえば、戸籍謄本の収集は手間と時間がかかるため、報酬を支払ってでも代理人に依頼したほうがよいかもしれません。

また、不動産登記も専門的な知識が必要になるので、不動産の種類や数によっては司法書士などに依頼するのがよいでしょう。

一方で、相続財産がほとんどない場合における財産目録の作成や、預貯金の相続手続などは自力でも対応できることがあります

どこまで依頼してよいのか判断がつかないときは、その点も含めて一度専門家に相談してみることをおすすめします。

2.複数の専門家から見積もりを取って比較する

複数の専門家から見積もりを取って比較するのも、遺言執行者の報酬を抑える方法のひとつです。

遺言執行者の報酬は一律に決められているわけではないので、どこに依頼するかによって費用負担に大きな違いが生じます

そのため、遺言執行者の依頼先はひとつに絞らず、報酬額の見積もりをとったうえで比較検討することが大切です。

遺言執行者の報酬について知っておくべき注意点

ここでは、遺言執行者の報酬について知っておくべき注意点をそれぞれ解説します。

1.報酬とは別に遺言執行費用を支払う必要がある

遺言の執行を依頼する際には、遺言執行者の報酬とは別に、遺言執行費用を支払わなければなりません

遺言執行費用とは遺言を執行するために必要な経費のようなものであり、遺言執行者になってもらうことに対する報酬とはわけて考える必要があります。

遺言執行費用には、具体的に以下のような費用が挙げられます。

【遺言執行費用の例】
  • 相続財産の管理費用
  • 不動産名義変更などの移転登記費用
  • 預貯金などの解約手続き費用
  • 相続財産目録の作成費用

遺言執行費用の支払い方法は、基本的に遺言執行者との話し合いによって決めることになっており、前金または半金を支払うケースが一般的です。

2.相続財産が少ない場合は相続人が負担する必要がある

相続財産が少ない場合は、遺言執行者の報酬や遺言執行費用を相続人が負担しなければならない点にも注意しておきましょう。

遺言執行者の報酬や遺言執行費用は、相続財産から支払われるのが一般的です。

万が一、相続財産で費用全額をまかなえない場合は、遺言執行者から相続人に対して費用の償還を請求することが認められています。

ただし、各相続人に請求できる金額は、全相続財産のうち相続人が取得する相続財産の割合に比例配分した額、かつ当該相続人が取得した相続財産の額を超えない部分に限られます。

たとえば、財産全体の4分の1しか相続できない相続人に対しては、遺言執行にかかる費用も4分の1までしか請求できません。

また、遺言執行にかかる費用の4分の1が、当該相続人の取得額を上回る場合、超過分は請求できないことを覚えておきましょう。

遺言執行者の報酬に関するよくある質問

ここでは、遺言執行者の報酬に関してよくある質問を解説します。

同様の疑問を抱えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

Q.遺言執行者の報酬は誰が支払うのか?

遺言執行者への報酬は通常、相続人が支払います

ただし、相続人個人が自己資金から支払うのではなく、相続財産から支払うケースがほとんどです。

Q.遺言執行者への報酬はいつ支払うのか?

遺言執行者への報酬は、遺言執行業務が完了した後に支払われます

これは、遺言執行者が成果主義で報酬を受け取る立場であるためです。

そのため、万が一、遺言執行者が途中で業務を放棄した場合、基本的に報酬は支払われません

Q.高額な報酬の遺言執行者は解任できるか?

高額な報酬をただ支払いたくないという理由だけで、遺言執行者を解任することはできません

遺言執行者への報酬は、遺言の内容、執行業務の複雑さ、時間と労力、専門知識の必要性などを総合的に考慮して算定されます。

そのため、高額な報酬が発生したとしても、執行内容に見合った額であれば、直ちに解任する理由にはならないことを覚えておきましょう。

一方で、遺言執行者への報酬が明らかに不当であることを証明できれば、解任が認められる可能性もあります。

遺言執行者を解任するため方法については、以下の記事で詳しくまとめているので参考にしてみてください。

さいごに|遺言執行者は報酬額だけでなく信頼できるかどうかも重要!

遺言執行者を指定する場合、できるだけ報酬額を抑えたいと考えるのは当然のことです。

しかし、指定する相手を間違えると、自身が想定しているような遺産相続がおこなわれない可能性もあります。

そのため、報酬額だけではなく、信頼できる相手かどうかにも着目したうえで、遺言執行者を指定することが重要です。

遺言執行者を選ぶ際の選択肢は複数ありますが、少しでも円滑な遺言の執行を望むのであれば、遺言や相続を得意とする弁護士に相談・依頼することをおすすめします。

豊富な知識と経験をもつ弁護士であれば、法的に正しい方法で確実に手続きを進めてもらえるはずです。

また、中立の立場で遺言を執行していくことになるので、相続人同士のトラブルも避けられるでしょう。

そして、弁護士を探す方法のひとつに、「ベンナビ相続」があります。

ベンナビ相続は、遺言の執行を含め、各種相続問題の解決を得意とする弁護士が掲載されているポータルサイトです。

地域を絞って身近な弁護士を探せるほか、夜間・休日の相談や電話・オンラインでの相談が可能な弁護士だけをピックアップすることもできます。

相続問題に関しては初回相談を無料で受け付けている弁護士も多いので、まずは気軽に問い合わせてみてください。

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この記事の監修者
磯野・熊本法律事務所
熊本 健人 (大阪弁護士会)
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本記事はベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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