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還付金を受け取ると相続放棄できなくなる?注意すべきポイントと対処法

関口 英紀 弁護士
監修記事
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親が亡くなり相続放棄を考えているものの、所得税の還付金を受け取ってしまったため、どのように対処すればよいのかわからず調べているという方も多いのではないでしょうか。

還付金を受け取った場合でも相続放棄できるか知りたい方も少なくありません。

還付金を返還するなどして、確実に相続放棄したいと考えるのは当然です。

ただし、還付金を受け取った場合の相続放棄に関しては注意点も多くあります

思わぬリスクを避けるためにも、早い段階で弁護士に相談するのがおすすめです。

本記事では、還付金を受け取ってしまった場合の対処法や注意点について解説します。

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還付金を受け取ったら相続放棄できなくなる可能性も

相続放棄をする場合には、被相続人の財産に手をつけないことが重要です。

もし、還付金などの財産を受け取ってしまうと、被相続人の財産の一部を取得したとみなされ、相続放棄の権利を失ってしまいます

被相続人の現金や不動産などの財産を処分したり、使用したりすることも同様です。

相続放棄をすることができなくなる事例もあるため、注意深く対応する必要があるでしょう。

還付金を受け取ってはいけない理由

所得税等の還付金とは、税金を納めすぎた場合に返ってくるお金です。

被相続人が生前に税金を多く納めていたことで、還付金の支払い請求権が被相続人に発生し、その請求権によって還付金が支払われます。

つまり、所得税等の還付金は被相続人の財産の一部であり、相続財産に含まれます

ですから、相続人が被相続人の所得税等の還付金を受け取ってしまうことで相続放棄ができなくなります。

高額医療費の還付金は受け取っても相続放棄ができるケースもある

高額療養費の還付金とは、医療費の自己負担額が一定の基準を超えた場合に、あとから返金される制度です。

この還付金は、医療費の支払いが被相続人の死後であっても、被相続人が生前に請求権をもっていたとみなされるため、相続財産に含まれます

しかし、扶養家族が亡くなった場合は例外として、被保険者が還付金を受け取ることができます。

この場合、還付金は相続財産に入らないため、相続放棄できる可能性があるでしょう。

還付金を受け取ってしまった場合の対処法

還付金を受け取ってしまった場合、どのように対処すればよいのでしょうか?

ここでは、還付金を受け取ってしまった場合の対処法についてそれぞれ解説していきます。

使わずに保管する

もし、相続財産を受け取ってしまったとしても慌てて使ったり、処分したりしないようにしましょう

相続放棄が不可能になるのは、被相続人の財産に対して処分行為をした場合です。

そのため、財産を使用せずに保管しているだけなら、処分行為とみなされないことがあります。

ただし、その場合でも裁判所に届け出る必要がありますし、事情によっては相続放棄が認められないこともあります。

そのため、現金などの財産に触れないようにし、弁護士になどの専門家のサポートを求めることが大切です。

弁護士などの専門家に相談する

相続放棄をするかどうかは、受け取った財産の種類によって変わります。

特に、故人の遺族は葬儀や法要などで精神的にも肉体的にも疲弊しており、相続手続きに集中できないことが多いです。

受け取った財産が、相続放棄できるものなのかどうかを正しく判断することは難しいでしょう。

そのため、弁護士などの専門家に相談することが大切です。

弁護士は法律の専門家として相続問題について豊富な経験と知識をもっているので、最適なアドバイスを提供してくれます

財産の種類や相続手続きについての正しい判断を依頼することで、相続放棄を円滑におこなうことができるでしょう。

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相続放棄する場合、還付金以外に注意すべき財産

相続放棄をする場合には、還付金だけでなく、ほかの財産にも注意しなければなりません。

被相続人の現金や不動産を受け取ることはもちろん、それらの財産に関する行為をした場合にも、相続放棄ができなくなる可能性があります。

そのため、相続放棄を検討しているのであれば、被相続人の財産に一切触れないようにしましょう。

ここでは、相続放棄をする場合に還付金以外に注意すべき財産についてそれぞれ解説していきます。

被相続人が受取人になっている生命保険

生命保険金は、生命保険契約に基づいて、受取人として指名された者が保険金請求権を得ることになります。

しかし、被相続人が自分自身を受取人として指定した場合(受取人=被相続人)、被相続人は受取人としての地位を有することになります。

この場合、被相続人の生命保険金は、被相続人の財産の一部です。

そのため、被相続人が受取人となっている生命保険契約の保険金を受け取ってしまうと、相続放棄ができなくなる可能性があるでしょう。

未払いの給与

未払いの給与は、被相続人が生前に働いた労働の対価として被相続人に支払われるべき財産で、被相続人の死亡時には相続財産となります

そのため、相続人が未払いの給与を受け取ると、相続放棄の権利を失う可能性があります。

未払いの給与を受け取る際には、相続放棄について確認しておく必要があるでしょう。

死亡退職金

死亡退職金とは、被相続人が生前に受け取る権利を有していた退職金を、被相続人の死亡によりその家族などに支払われる金銭のことです。

この死亡退職金は、被相続人が勤めていた会社の退職金制度に基づいて支給されるものであり、支給額は会社の定めに従います。

死亡退職金が被相続人の財産に含まれるかどうかは、死亡退職金の支給要件や受給者の範囲などを定めた支給規程の内容によって決まります

もし支給規程がない場合には、会社の慣行や事情を踏まえて個々のケースで判断する必要があるでしょう。

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相続放棄をしても受け取っていい財産

相続放棄を検討している場合、相続財産はどのように取り扱えばよいのでしょうか。

ここでは、相続放棄をしても受け取ってよい財産についてそれぞれ解説していきます。

香典や御霊前

香典や御霊前は、葬儀に参列する人が喪主に対して贈るものです。

葬儀は、故人の最後のお別れの場であり、その費用は喪主が負担するものとされています。

香典や御霊前は、故人への敬意や遺族への哀悼の気持ちを表すとともに、喪主の経済的な負担を少しでも軽減するためのものです。

したがって、香典や御霊前は、故人の財産ではなく、喪主の個人的な収入とみなされます。

そのため、相続人が相続放棄をした場合でも、香典や御霊前を受け取ることに問題はありません。

お墓や仏壇、神棚など

仏壇やお墓、位牌などの祭祀は、先祖の供養を目的としていますが、これらは相続財産とは別のものです。

民法では、祭祀はその承継者に帰属すると定められています。

(祭祀に関する権利の承継)

第八百九十七条 系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。

引用元:民法 | e-Gov法令検索

したがって、仏壇やお墓などを受け取ったり、先祖代々の墓地を引き継いだりしても、相続放棄には関係ありません

しかし、被相続人の財産から仏壇やお墓を新たに購入することは祭祀の承継とはみなされず、相続放棄ができなくなりますので注意が必要です。

埋葬費や葬祭費

埋葬費や葬祭費は、国民健康保険や後期高齢者医療制度の被保険者であった場合、あるいは健康保険組合に加入していた場合に支払われる給付金です。

これらの給付金は死亡にともなって発生するもので、相続財産には含まれないとされています。

ですから、葬祭費や埋葬料を受け取っても相続放棄をすることはできます。

しかし、相続財産から埋葬費や葬祭費を出すという場合は、相続放棄できなくなるため注意しましょう。

相続人が受取人に指定されている生命保険金

生命保険金は、保険契約に従って支払われる金銭です。

保険契約者が死亡した場合、契約者が指名した受取人に対して支払われます。

このように、受取人は保険契約者の死亡によって生命保険金の受領権を得ます。

司法判断では、生命保険金は相続財産に含まれないとされています。

ですから、生命保険金を受け取っても、相続放棄をすることができるという選択肢は残されています。

遺族年金や未支給年金

相続放棄をしたとしても、遺族年金や未支給年金の受給権は失われません。

これらの年金は、故人が支払った社会保険料や年金保険料に応じて支払われるもので、相続とは無関係です。

なお、遺族年金の受給資格者は、配偶者やその子どもになります。

さいごに|還付金を受け取ってしまったらまずは専門家に相談しよう

還付金を受け取ってしまった場合、相続放棄できなくなる可能性があります。

還付金以外にも生命保険や死亡退職金など、注意しなければならない財産もあるでしょう。

ただ、受け取った財産が相続放棄できるものなのかどうかを正しく判断することは難しいものです。

そのため、還付金を受け取ってしまった段階で迅速に弁護士に相談する必要があるでしょう。

弁護士に依頼することで面倒な手続きを一任でき、相続人同士のトラブルにも迅速に対応してもらえます。

そして、弁護士などの法律の専門家を探す方法のひとつに「ベンナビ相続」の活用があります。

ベンナビ相続は、相続問題を解決するために、知識と経験をもつ弁護士を紹介するポータルサイトです。

全国各地の相続問題を得意とする弁護士が登録されており、自宅や職場から近い弁護士を簡単に検索することが可能です。

地域や相続問題の種類などの条件によって、ご自身に合った弁護士を探せます

さらに、平日の昼間に相談できない方のために夜間・休日の相談や、オンラインでの相談も可能な法律事務所もあります。

還付金を受け取ってしまった場合には、なるべく早めに弁護士へ相談してみることをおすすめします。

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この記事の監修者
川崎相続遺言法律事務所
関口 英紀 弁護士 (神奈川県弁護士会)
遺産分割など揉めやすい問題の交渉、調停、訴訟から、生前の相続対策として遺言や家族信託の活用についてまで幅広く対応。相談者の事情に合わせたオーダーメイドの解決を目指しており、多くの実績がある。
ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)編集部
編集部

本記事はベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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