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実家を相続放棄すると兄弟姉妹に負担がかかる?トラブルを回避する方法とあわせて解説

吉田 朋師
監修記事
実家を相続放棄すると兄弟姉妹に負担がかかる?トラブルを回避する方法とあわせて解説
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  • 「実家を相続放棄した場合、兄弟姉妹にはどんな影響があるのか」
  • 「兄弟姉妹全員が放棄したら、実家や遺産はどうなるのか」

このように、「負債が多い」「売却も活用もできない実家しか遺産がない」などの理由で相続放棄を検討しているものの、ほかの相続人である兄弟姉妹への影響が気になるという方も多いのではないでしょうか。

実は、自分と同じ法定相続人である兄弟姉妹がいる状態で相続放棄をすると、あとで思わぬトラブルに発展する可能性があるため、注意が必要です。特に、黙って相続放棄をした場合、あとから「知らなかった」と文句を言われたり、ほかの相続人だけが実家の管理責任を負ったりして、トラブルにつながるおそれがあります。

そのため、実家の相続を放棄する場合は、事前に話し合いをするほか、必要に応じて兄弟姉妹全員で相続放棄を検討しなければなりません。

本記事では、実家の相続放棄における兄弟姉妹への影響や起こり得るトラブル、トラブルにならないための対処法を解説します。

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実家を相続放棄する場合に兄弟姉妹の存在は手続きに影響する?

ここではまず、相続放棄の際に兄弟姉妹の存在が手続きにどう影響するかについて解説します。

1.ほかの兄弟姉妹の了承を得ていなくても相続放棄はできる

結論からお伝えすると、ほかの兄弟姉妹の了承を得ていなくても、相続放棄は可能です。

なぜなら、相続放棄は自分ひとりの意思で進められる手続きであるためです。

例えば、自分以外の相続人がいる場合でも、ほかの相続人の同意や了承は必要ありません。

しかし、何も伝えずに相続放棄をすると、財産管理や債務の分担をめぐってトラブルが発生しやすくなる点に注意が必要です。

そのため、兄弟姉妹には放棄前に意思を共有しておくとよいでしょう。

また、相続放棄には「相続の開始を知ったときから3ヵ月」という期限があるため、十分注意してください。

兄弟姉妹間で起きやすいトラブルについては、次章で詳しく解説します。

2.相続放棄をしたことをほかの兄弟姉妹に伝える必要はない

相続放棄したことを、ほかの兄弟姉妹に伝える義務はありません。

通知義務がないため、相続放棄したことを伝えなかったからといって何かペナルティを受けるわけでもありません。

ただし、兄弟姉妹は自分と同順位の相続人であるため、仮に被相続人に借金がある場合、自分が相続放棄をすれば兄弟姉妹の負担分が増えてしまいます。

また、被相続人の死亡とともにすでに熟慮期間は3ヵ月がスタートするため、兄弟姉妹はほかの相続人の放棄を知らないまま期限が過ぎてしまうリスクがあります。

以上を踏まえると、通知義務がないからといって黙っているのではなく、知らせておいたほうが将来的なトラブルを防げるでしょう。

実家の相続放棄が原因で起こる可能性がある兄弟姉妹間の相続トラブル

実家の相続放棄によって、兄弟姉妹間で以下のような相続トラブルが起こる可能性があります。

  1. 「知らなかった」と文句を言われて不仲になる
  2. ほかの相続人だけが実家の管理をする責任を負う

ここからは、それぞれのトラブルについて詳しく解説します。

1.「知らなかった」と文句を言われて不仲になる

ほかの兄弟姉妹に黙って相続放棄をすると、あとから「知らなかった」と文句を言われたり、精神的な距離ができたりする可能性があります。

相続放棄は各相続人がそれぞれ自分の意思でおこなうものですが、ひとりが相続放棄したことで、その分ほかの相続人の負担が増す場合がある点に注意しましょう。

例えば、相続財産には借金や空き家の管理、固定資産税・都市計画税など、現実的な負担も含まれるため、話し合いをせず放棄すると、これらの負担は相続放棄をしなかった相続人が負うことになります。

そのため、相続放棄の事実を知らせなかったことを、薄情に感じる人もいるでしょう。

特に、相続発生時に兄弟姉妹がすでに亡くなっており、その子ども(甥・姪)が代襲相続するケースなどは、「なぜ教えてくれなかったのか」という気持ちが強くなる可能性があります。

相続放棄した本人はその後遺産分割協議や売却・活用などの手続きに関与できなくなるため、家族で方針や負担を事前に調整しておく必要があるでしょう。

2.ほかの相続人だけが実家の管理をする責任を負う

相続放棄をすると、残された兄弟姉妹が実家の管理責任を負います。

例えば、長男と次男が相続人で長男だけが相続放棄すると、実家の管理は次男に集中しますが、次男が遠方に住んでいる場合、管理をするだけでも一苦労です。

また、住んでもいない家の税金や維持管理費用を支払い続けることになるため、負担は大きくなるでしょう。

相続しても負担のほうが大きくなるケースで実家の売却も見込めないような状況なら、相続人全員で話し合い、全員で相続放棄を選択することも視野に入れておいたほうがよいかもしれません。

ひとりだけ抜け駆けのように相続放棄をするのではなく、実家をどうするかについて兄弟姉妹で話し合えば、極端に関係性が崩れることを防げるでしょう。

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実家を相続放棄する際に兄弟姉妹間でトラブルにならないための対処法

ここまで解説したとおり、一方的に相続放棄を進めると、ほかの兄弟姉妹とトラブルになるおそれがあります。

そのため、兄弟姉妹間で円満に相続放棄を進めるために、以下の方法を検討してみてください。

  1. 相続放棄することを事前に周知しておく
  2. 必要に応じて兄弟姉妹全員で相続放棄をする
  3. 相続問題が得意な弁護士に相談する

このような対処法を実践することで、不用意なトラブルを防ぎ兄弟姉妹間の関係を良好に保てるでしょう。

ここからは、それぞれの対処法について解説します。

1.相続放棄することを事前に周知しておく

相続放棄すると兄弟姉妹に事前に知らせておくことで、トラブルの深刻化を防ぐことができます。

相続放棄することを兄弟姉妹に伝えるタイミングは、早いほうがよいでしょう。

できれば親が健在のときから自分の意向を伝えておくと、相手も心の準備ができ、相続開始後に再度話すときには「そういえばそうだった」と納得してもらいやすくなります。

ただし、相続放棄をする意思を事前に伝えていたにもかかわらず、いざ親が亡くなったあとに安易に意見を変えると、余計なトラブルにつながります。

相続放棄をすることを伝えるからには、慎重に判断すべきことを念頭に入れておきましょう。

なお、相続放棄の手続きは、親が亡くなったあとでしかおこなえません。

意思表示や希望、考え方を事前に家族と共有しておくことが重要です。

2.必要に応じて兄弟姉妹全員で相続放棄をする

借金が資産を上回っている場合や、売却・活用の難しい実家しか財産がないときは、兄弟姉妹全員で相続放棄を選択することも視野に入れておきましょう。

遺産に借金が含まれる場合でも、全員が一度に相続放棄をすれば誰かひとりに負担が偏る事態を回避できます。

ただし、全員が相続放棄を申述する際は、

弁護士などの専門家に依頼し、全員もれなく相続放棄ができるように対策しておきましょう。

なお、相続人全員が相続放棄し相続人がいなくなった場合、不動産の管理や債権者への対応が必要であれば「相続財産清算人」の選任を申し立てられます。

相続財産清算人とは、相続人がいない場合に家庭裁判所が選任する第三者のことです。

相続財産を調査・管理して債権者への支払いや清算手続きを進め、最終的に国庫に帰属させる役割を担います。

相続財産清算人の役割や必要になるケースについては、以下の記事を参考にしてください。

3.相続問題が得意な弁護士に相談する

相続問題が得意な弁護士に相談するのも、実家の相続放棄でトラブルにならないための対策として有効です。

相続放棄は自分でもおこなえる手続きです。

しかし、親が亡くなった直後で落ち着かない中、3ヵ月以内に戸籍の収集や申述書の作成、必要書類のチェックなどをこなしてミスなく申述するのはハードルが高いでしょう。

また、兄弟姉妹と話し合いたくても、納得してくれなかったり思うように話が進まなかったりするケースもあります。

その点、弁護士に相談・依頼すれば、複雑なケースでもスムーズに戸籍の収集や申述書の作成をしてもらえます。

そのほか、相続放棄すべきかどうかの判断や債権者とのやりとり、3ヵ月の期限に間に合わない場合の延長申立てなどにも対応してもらえるため、家族での解決が難しいと感じたら依頼を検討するとよいでしょう。

なお、相続問題が得意な弁護士は、相続問題を扱う弁護士が探せるポータルサイト「ベンナビ相続」で検索できます。

初回無料で相談できる事務所も多数掲載されているため、ぜひお気軽にご利用ください。

さいごに|兄弟姉妹がいる場合に実家の相続放棄をするなら事前に相談しよう!

実家の相続放棄で兄弟姉妹に負担がかかるかどうかや、トラブルを回避する方法について解説しました。

ほかの兄弟姉妹の了承がなくても、相続放棄は可能です。

また、相続放棄したことを伝える必要もありません。

しかし、自分が相続放棄をすればほかの兄弟姉妹が管理義務や債務負担を負うことになるため、黙って手続きするとあとからトラブルになるおそれがあります。

そのため、できれば事前に話しておくとよいでしょう。

兄弟姉妹間で解決できそうにないときは、相続問題を得意としている弁護士に相談するのがおすすめです。

弁護士に相談・依頼することで期限内にミスなく申述でき、兄弟姉妹間でトラブルになった場合でも適切に対応してもらえるでしょう。

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この記事の監修者
修善寺法律事務所
吉田 朋師 (静岡県弁護士会)
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ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)編集部
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本記事はベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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