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生前贈与の必要書類|作成方法・依頼できる専門家についても解説

ゆら総合法律事務所
阿部 由羅
監修記事
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生前贈与は、子や孫に財産を活用してもらえることに加えて、相続トラブルの予防策や相続税対策としても効果的です。

生前贈与をおこなう際には、贈与契約書を作成するほか、不動産登記申請や贈与税申告に関する書類も必要になることがあります。必要書類や手続きに漏れが生じないように、弁護士や税理士へのご相談をおすすめします。

今回は、生前贈与の必要書類や作成方法、生前贈与について相談できる専門家などをまとめました。

生前贈与に必要な書類がわからないあなたへ

生前贈与に必要な書類がわからず悩んでいませんか?

結論から言うと、生前贈与に必要な書類がわからない場合、弁護士に相談・依頼することをおすすめします。

弁護士に相談することで以下のようなメリットを得ることができます。

  • 生前贈与に必要な書類を教えてもらえる
  • 用意した書類に不備がないか確認してもらえる
  • 依頼すれば、生前贈与の手続きを一任できる

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生前贈与の必要書類

生前贈与をおこなう際には、贈与契約書の作成が必要になります。

また、不動産を贈与する場合は登記手続きの申請書類が、贈与が一定額を超える場合は贈与税の申告書類が必要です。

贈与契約書

法律上は、贈与は口頭の合意でも成立します。しかし、贈与の内容を明確化するため、贈与契約書は必ず作成しておくべきです。

特に不動産を贈与する場合、登記手続きをおこなう際に贈与契約書が必要となります。

本記事で紹介するひな形・記載例を参考に、きちんと贈与契約書を作成・締結しましょう。

不動産登記の申請書類

不動産を贈与する場合、贈与後速やかに所有権移転登記の手続きをおこないましょう。

登記手続きが遅れると、万が一贈与者が第三者に不動産を二重譲渡した場合、受贈者が不動産の権利を失ってしまうことになりかねません(民法177条)。

贈与契約書の中でも、登記手続きを速やかにおこなうべき旨を明記しておきましょう。

贈与税の申告書類

1月1日から12月31日までに受けた贈与の額が110万円を超える場合、贈与税の申告・納付が必要となります。

また、相続時精算課税制度の適用を受ける贈与については、金額の如何にかかわらず贈与税の申告が必要です(今後の税制改正で変更される可能性あり)。

贈与税の申告・納付を怠ると、税務調査の末に追徴課税を受けたり、刑事罰が科されたりするおそれがあります。

税理士などに相談し、贈与税の申告・納付の要否を確認したうえで、必要な場合には忘れずに手続きをおこないましょう。

贈与契約書のひな形・記載例

生前贈与をおこなう際に作成すべき贈与契約書のひな形と、財産の内容・移転手続きに関する事項の記載例を紹介します。

贈与契約書のひな形

贈与契約書のひな型は以下のとおりです。

贈与契約書

贈与者 ○○(以下「甲」という)と、受贈者 △△(以下「乙」という)は、以下のとおり贈与契約書を締結する。

第1条(贈与)

1.         甲は、金××万円を乙に贈与するものとし、乙はこれを承諾した。

2.         甲は前項の金員を、□年□月□日付で、乙が別途指定する口座に振り込むものとする。

本契約の締結を証し、本書2通を作成し、甲乙が各自1通を保管するものとする。

×年×月×日

[住所]

[氏名]

[住所]

[氏名]

なお不動産を生前贈与する場合、贈与者が贈与契約書に押印する際には、印鑑登録された実印を用いる必要があります。

財産の内容・移転手続きに関する記載例

財産の内容や移転手続きについての記載例は以下のとおりです。
<現金(預貯金)を贈与する場合>

第1条(贈与)
1.    甲は、金××万円を乙に贈与するものとし、乙はこれを承諾した。
2.    甲は前項の金員を、□年□月□日付で、乙が別途指定する口座に振り込むものとする。

<不動産を贈与する場合>

第1条(贈与)
1.    甲は、×年×月×日付(以下「実行日」という)で次の不動産(以下「本件不動産」という)を乙に贈与するものとし、乙はこれを承諾した。
(1)土地
所在:○○
地番:○○
地目:○○
地積:○○

(2)建物
所在:○○
家屋番号:○○
種類:○○
構造:○○
床面積:1階○○平方メートル
    2階○○平方メートル

2.    甲及び乙は、本件不動産につき、実行日付で甲から乙への所有権移転登記手続きをおこなうものとする。

不動産登記の申請書類|作成・取得の方法

不動産を生前贈与する場合、法務局で所有権移転登記手続きをおこなう必要があります。登記手続きの必要書類は、以下のとおりです。

  • 登記申請書
  • 登記原因証明情報(贈与契約書など)
  • 贈与者の印鑑登録証明書(発行から3カ月以内)
  • 対象不動産の登記済権利証(登記識別情報通知)
  • 対象不動産の固定資産評価証明書
  • 受贈者の住民票の写し
  • 印紙台紙(登録免許税分の収入印紙を貼付)
  • 本人確認書類
  • 委任状(司法書士などに依頼する場合)

登記申請書

登記申請書には、登記申請の内容に関する所定の事項を記載します。不動産の贈与に関する登記申請書の記載例については、法務局の資料をご参照ください。

【参考】所有権移転登記申請書(贈与)|法務局

登記原因証明情報|贈与契約書など

登記原因証明情報とは、登記の原因となった事実・行為、およびそれに基づき現に権利変動が生じたことを証する情報をいいます。
贈与により不動産を取得した場合、贈与契約書が登記原因証明情報に当たります。

贈与契約書がない場合は、贈与の内容を記載した書面を作成したうえで、贈与者・受贈者が双方押印して提出しなければなりません。

しかしこのような書面を作成することは、贈与契約書を作成するのと実質的に同じなので、最初から贈与契約書を作成するほうがよいでしょう。

贈与者の印鑑登録証明書

登記原因証明情報に押印された贈与者の印鑑が真正であることを証明するため、贈与者の印鑑登録証明書が必要です。

印鑑登録証明書は、登記申請日から3カ月以内に発行されたものでなければなりません。

対象不動産の登記済権利証(登記識別情報通知)

贈与による所有権移転登記を行おうとする不動産につき、贈与者の登記済権利証または登記識別情報通知の提出が必要になります。贈与者が不動産の真正な権利者であることを証明するためです。

登記済権利証または登記識別情報通知は、封筒に入れて封をした状態で提出します。封筒には、以下の事項を明記しなければなりません。

  • 贈与者の氏名または名称
  • 登記の目的(贈与)
  • 登記識別情報を記載した書面が在中する旨

登記済権利証または登記識別情報通知は、登記完了後に返却されます。

対象不動産の固定資産評価証明書

登記申請時の納付すべき登録免許税額を計算するため、対象不動産の固定資産評価証明書を提出する必要があります。

固定資産評価証明書は、不動産の所在地を管轄する市役所・区役所・町村役場で発行を請求できます。郵送による請求も可能です。

受贈者の住民票の写し

不動産の登記簿には、所有者の住所と氏名が記載されます。したがって、新たな所有者となる受贈者の住所・氏名が記載された住民票の提出が必要です。

受贈者の住民票は、住所地の市役所・区役所・町村役場で取得できます。郵送による請求も可能です。

また、マイナンバーカードを利用すれば、コンビニでも取得できる場合があります。

ただし、登記申請書に住民票コードを記載した場合は、受贈者の住民票の写しの提出を省略できます。

なお、登記申請書における住所および氏名の記載は、住民票の記載と一致していなければなりません。

印紙台紙|登録免許税分の収入印紙を貼付

不動産の所有権移転登記を申請する際には、登録免許税の納付が必要です。原則として収入印紙を購入し、それを印紙台紙に貼付することになります。

贈与の場合、登録免許税額は固定資産税評価額の2%です。登記申請の際に提出する固定資産評価証明書の記載に従い、登録免許税額を算定したうえで、印紙台紙に収入印紙を貼付する必要があります。

【参考】No.7191 登録免許税の税額表|国税庁

本人確認書類

登記申請の際には、本人確認書類の提示も必要となります。本人確認書類として利用できる書類の例は、以下のとおりです。

どれか1点でよいもの

  • 運転免許証
  • 個人番号カード(マイナンバーカード)
  • 旅券(パスポート)
  • 在留カード
  • 特別永住者証明書
  • 運転経歴証明書 など

2点以上必要なもの

  • 健康保険の被保険者証
  • 健康保険日雇特例被保険者手帳
  • 国家公務員共済組合、地方公務員共済組合の組合員症
  • 国民年金手帳
  • 児童扶養手当証書、特別児童扶養手当証書
  • 母子健康手帳
  • 身体障害者手帳
  • 精神障害者福祉保健手帳
  • 療育手帳
  • 戦傷病者手帳 など

委任状|司法書士などに依頼する場合に必要

不動産登記の手続きを司法書士(または弁護士)に委任する場合は、委任状の提出も必要になります。依頼先の司法書士などの指示に従って委任状を作成し、登記申請の際に預けましょう。

なお、委任状の記載例は、法務局の資料に掲載されています。
【参考】所有権移転登記申請書(贈与)|法務局

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贈与税の申告書類・作成方法

生前贈与について贈与税申告が必要な場合は、申告書と添付書類を準備する必要があります。

贈与税申告書

贈与税申告書は、税務署の窓口で提出するか、郵送等により提出します。またe-Taxを通じて、オンラインで贈与税申告をおこなうことも可能です。

贈与税申告書の作成方法は、国税庁の資料にて紹介されています。

【参考】令和4年分 贈与税の申告のしかた|国税庁

確定申告書等作成コーナーでは、所得税の確定申告書と同様に、贈与税申告書を作成できるようになっています。作成した贈与税申告書は、印刷して提出するか、またはe-Taxを通じて提出することが可能です。

【参考】確定申告書等作成コーナー|国税庁

その他の添付書類

贈与税申告書には、申告内容に応じた書類を添付する必要があります。具体的な添付書類については、国税庁の資料を参考にしてください。
【参考】令和4年分 贈与税の申告のしかた|国税庁

なお、e-Taxを通じてオンラインで贈与税申告をおこなう場合、添付書類はイメージデータ(PDFなど)による送信が認められています。

まとめ

生前贈与をおこなう際には、贈与契約書を作成するほか、不動産登記や贈与税申告に関する書類が必要になる場合があります。
生前贈与に関するトラブルを避けるためには、必要書類を漏れなく準備し、必要な手続きをきちんとおこなうことが大切です。

生前贈与に関しては、弁護士・税理士・行政書士に相談できます。

相続対策として生前贈与をおこなう場合は、弁護士または税理士に相談するのがよいでしょう。他士業と連携のある専門家に依頼すれば、法律・税務に関してワンストップで相談できるので便利です。

特に弁護士は、生前贈与に関する事柄について、対応可能な範囲が幅広いのが大きな特徴です。生前贈与についての心配事がある方は、まず弁護士に相談くしてみてださい。

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この記事の監修者
ゆら総合法律事務所
阿部 由羅 (埼玉弁護士会)
不動産・金融・中小企業向けをはじめとした契約法務を得意としている。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。
ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)編集部
編集部

本記事はベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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