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遺言書が後から出てきたら遺産分割はやり直し?効力・優先順位と対処法を解説

遺言書が後から出てきたら遺産分割はやり直し?効力・優先順位と対処法を解説
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遺言書が後から出てきて、どのように対処すべきかお困りの方もいるのではないでしょうか。

実際、すでに財産を分け終えたのに「また一からやり直し?」と、不安に感じる方は少なくありません。

遺産分割が終わったあとに有効な遺言書が出てきても、成立した遺産分割協議が当然に無効になるわけではありません。

ただし、「遺言の存在を知っていたら合意しなかった」といえる場合は錯誤による取消しを主張できる可能性があるほか、遺言で認知がされていた場合など、やり直しが必要になるケースもあります。

本記事では、後から出てきた遺言書の効力や優先順位を整理します。

やり直しが必要なケース・不要なケース、検認などの手順もわかりやすく解説します。

目次

遺産分割協議の後に遺言書が出てきた場合、まずは遺言書が有効なものか確認すべき

遺産分割のあとで遺言書が見つかったら、最初にすべきは遺言書が有効かどうかの確認です。

遺言書が有効であっても、すでに成立した遺産分割協議が当然に無効になるわけではありません。

相続人全員が遺言の内容を確認したうえで「今の分け方を維持する」と合意すれば、協議はそのまま有効です。

一方で、「遺言の存在を知っていたら合意しなかった」という相続人がいる場合は、錯誤を理由に協議の取消しが主張され、分け直しになる可能性があります。

ただし、遺言で認知や廃除がされていた場合や、第三者への遺贈について受遺者が権利を主張する場合には、合意だけでは維持できないことがあります。

遺言書を確認するときのポイントは、遺言能力・偽造の有無・民法上の形式の3点です。

決して放置せず、まずは遺言書の有効性を確認するところから始めるのが安全です。

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後から出てきた遺言書が有効か確認するときのチェックポイント

遺言書は、一定の要件を満たして初めて効力を持ちます。

後から見つかった遺言書については、主に次の3点をチェックしましょう。

①被相続人に遺言能力があったか

まず最初に確認したいのが、作成時点で被相続人に遺言能力があったかどうかです。

遺言能力とは、遺言の内容を理解し、判断できる能力のことです。

認知症などで判断能力が大きく低下した状態で書かれた遺言は、本人の真意とは認められず無効になります。

具体的には、遺言書の日付と当時の診断書や介護記録を照らし合わせて意思能力の有無を精査します。

成年後見人が付いていたかどうかも、あわせて確認してください。

成年後見人とは、認知症や知的障害などで判断能力が不十分な人に代わり、財産管理や契約手続きなどをおこなう人のことです。

もし能力がない時期の作成と認められれば、その遺言書に法的拘束力はありません。

判断が難しい場合は、弁護士や医師に確認してもらうのが安心です。

②偽造または変造されたものでないか

次に、遺言書が被相続人によって書かれ、改ざんされていないかを検証します。

遺言書を作成できるのは本人のみのため、他人が勝手に作ったものや内容を書き換えたものは無効です。

公正証書遺言や法務局で保管された自筆証書遺言は、偽造・変造のリスクがほとんどありません。

一方で、自宅などで保管されていた自筆証書遺言や秘密証書遺言は、リスクが残るので注意が必要です。

筆跡が本人のものか、印鑑は本人のものかなどを確認しましょう。

なお、変造があった場合はその部分や全部が無効になります。

偽造・変造が疑われる場合は、その有効性を裁判で争うことも可能です。

③民法上の形式・ルールに沿っているか

最後に、遺言書の種類ごとに定められた民法のルールを満たしているかをチェックします。

遺言書は、どこか一箇所でも署名漏れ・押印漏れなどの不備があれば無効になります。

自筆証書遺言なら、全文・日付・氏名が自書か押印があるかを確認しましょう。

また、日付は「令和7年1月吉日」のような書き方だと、特定できず無効になる点には注意が必要です。

なお、財産目録はパソコン作成も可能ですが各ページに署名・押印が必要となります。

財産目録とは、特定の時点において保有しているすべての資産と負債を網羅的に記載し、一覧にした書類です。

秘密証書遺言なら、署名・封印、公証人と証人の立ち会いといった手順が踏まれているかを確認します。

特に自筆証書遺言は形式不備が多いため、条文に照らした細かな確認が欠かせません。

後から出てきた遺言書の法的な扱われ方

後から見つかった遺言書は、時間が経っていても効力を失いません。

ただし、有効な遺言書が見つかっても、成立済みの遺産分割協議が当然に無効になるわけではありません。

ここでは、後から出てきた遺言書の法的な扱われ方を解説します。

遺言書の法的効力に期限は存在しない

有効に作成された遺言書に、有効期限はありません。

遺言書は作成した時点で成立し、遺言者の死亡によって効力が生じるため、時間の経過で効力が消えるという規定は法律上ないからです。

もし、相続から10年以上経ってタンスの奥から遺言書が出てきたとしても、形式を満たした有効なものであれば効力を持ち続けます。

「もう時間が経ったから無効だろう」という思い込みは危険です。

現在の遺言書よりも新しい日付の遺言書が見つからない限り、その遺言書は効力を持ち続けると考えておきましょう。

遺言があっても遺産分割協議が当然に無効になるわけではない

相続人全員の合意があれば、協議の成立後に遺言書が見つかっても、当初の合意がそのまま適用される場合があります。

遺言と異なる内容の遺産分割協議も、相続人全員の合意があれば有効と解されているためです。

協議の効力が問題になるのは、「遺言の存在を知っていたら合意しなかった」といえる相続人が、錯誤による取消しを主張した場合です(民法第95条)。

また、遺言によって相続人の範囲が変わる場合も、遺産分割のやり直しが必要です。

後から出てきた遺言書が原因で遺産分割をやり直すケース4つ

後から遺言書が出てきても、相続人全員が合意すれば、今の分割内容を維持できるのが原則です。

ただし、たとえ全員が合意していても遺産分割がやり直しになる場合があります。

ここでは、後から出てきた遺言書が原因で遺産分割をやり直す4つのケースを解説します。

①遺言執行者が遺言執行の中止を拒否した場合

遺言執行者がいる場合は、相続人だけの合意で現在の分割内容を維持することは難しくなります。

遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有します。

また、遺言執行者がいる場合、相続人は遺言の執行を妨げる行為をすることができず、これに違反する行為は無効とされているためです(民法第1013条1項・2項)。

実務上は、相続人全員と受遺者が遺言と異なる分割に合意し、遺言執行者もこれに同意すれば、現在の分割内容を維持できると考えられています。

一方、遺言執行者が同意しない場合は、遺言の内容どおりに執行されます。

そのうえで、遺言の対象とされていない財産が残っていれば、その財産について改めて遺産分割をおこないます。

②遺言によって一部の相続人が廃除された場合

遺言で相続人が廃除されていた場合は、全員が現状維持を望んでも、遺産分割のやり直しは避けられません。

廃除とは、被相続人への虐待・重大な侮辱・著しい非行があった相続人から相続権をはく奪することです。

家庭裁判所が廃除を認めると、その人は相続権を失います。

相続権を失った人を含めておこなった分割は、相続人でない人が参加した話し合いとなり、有効と認められません。

その人を除いて、遺産分割をやり直す必要が出てきます。

③遺言によって非嫡出子が認知された場合

遺言で非嫡出子(婚姻外の子)が認知されていた場合は、新たな相続人を加えて遺産分割をやり直す必要があります。

認知とは、法律上の親子関係がない子を生物学上の親が自らの子と認める手続きのことです。

認知されていない非嫡出子に相続権はありませんが、遺言で認知されれば相続権を得ます(民法第781条2項)。

遺言書が見つかる前の遺産分割は、相続人である認知された子が参加していないため無効となります。

④相続人以外の第三者に対して遺贈がおこなわれた場合

相続人以外の第三者へ遺贈がおこなわれていた場合は、遺産分割のやり直しが必要となる可能性が高いです。

遺言では、相続人以外の人へ財産を譲る遺贈も認められています。

第三者に遺贈された財産は、その第三者へ移転しなければなりません。

遺贈の対象財産は相続人の協議で処分できないため、その部分について分割内容の見直しが必要です。

遺贈財産の範囲によっては、協議全体をやり直すことになります。

受遺者が権利を主張すれば、相続人は基本的に拒めないので注意が必要です。

⑤遺言を知らずに合意した相続人が錯誤による取消しを主張した場合

遺言書の存在を知らないまま遺産分割協議に合意した相続人は、錯誤を理由に協議の取消しを主張できる可能性があります(民法第95条)。

取消しが認められると協議ははじめから無効だったものとみなされ、遺言の内容を踏まえて遺産分割をやり直すことになります(民法第121条)。

ただし、取消しが認められるのは、遺言の存在を知っていれば合意しなかったといえるほど重要な錯誤である場合に限られます。

遺言の内容が協議の結果とほとんど変わらない場合は、取消しは認められません。

また、取消しは、取り消せるようになった時から5年、協議の時から20年を過ぎるとできなくなります(民法第126条)。

錯誤が認められるかは事情によって判断が分かれるため、早めに弁護士へ相談しましょう。
 

遺言書が後から出てきても遺産分割のやり直しをしなくても良いケース3つ

遺言書が見つかっても、必ずやり直しになるわけではありません。

次の3つのケースでは、今の分割内容を維持できる可能性があります。

①後から出てきた遺言書が法的に無効である

見つかった遺言書に法的効力がない場合は、やり直す必要がありません。

遺言書は民法の厳格なルールを満たして初めて効果を持つため、要件を欠いた書面は故人の遺言として扱われません。

無効になりやすいのは、次のようなケースです。

  • 重度の認知症などで判断能力がない時期に作成された
  • 遺言書が自筆証書遺言であり、日付や押印が漏れている

最終的に裁判で無効が確定すれば、当初の遺産分割を維持できます。

もし疑わしい場合は、有効性を争う必要があります。

②相続人全員が今の分割内容の維持に合意している

相続人全員が「遺言は無視して今の分割を維持する」と合意すれば、遺産分割のやり直しは不要です。

第三者への遺贈がない限り、財産をどう分けるかは相続人の自由であり、全員が納得しているならその意思が遺言に優先されます。

後から遺言が見つかっても、相続人全員が「今の分け方で満足だ」と書面で合意し直せば、そのまま手続きを完了できます。

トラブル防止のため、全員が遺言内容を理解したうえで自由な意思で合意した証拠を、合意書として残しておくのが安心です。

③遺言の内容が遺産分割協議の結果とほぼ同一

協議で決めた内容と遺言の内容に大きな差がなければ、やり直しは不要と考えられます。

「遺言を知っていたら合意しなかった」と言えないほど軽微な違いなら、錯誤による取消しを主張できません。

分配割合が数%違う程度ならほぼ同じとされやすい一方、特定の土地の帰属先が違う場合などは、慎重な判断が求められます。

ただし、実際の基準はケースバイケースなので、あなたの状況に合わせて弁護士と相談しながら確認しましょう。

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遺言書が後から出てきたときにすべき対処法

遺言書が見つかったあとは、決まった順番で手続きを進めるのが安全です。

検認から相続人への共有、やり直しの協議まで、4つのステップを見ていきましょう。

家庭裁判所での検認を申し立てる

遺言書を見つけたら、未開封のまま、すぐに家庭裁判所へ検認を申し立てます。

検認とは、裁判所が遺言書の状態や内容を公的に確認し、偽造・変造を防ぐための手続きのことです。

検認の対象となるのは、公正証書遺言と法務局で保管された自筆証書遺言以外のすべてです。

封印のある遺言書を勝手に開けると、5万円以下の過料を科されるおそれがあります。

過料は、刑罰としての罰金ではなく行政上のペナルティですが、避けるべきリスクであることに変わりはありません。

まずは現状を保ち、裁判所へ届け出ることが第一歩です。

遺言書が有効かどうかを確認する

検認のあとは、遺言書が法的に効力を持つかを細かくチェックします。

内容が不明瞭だったり、不自然な訂正があったりすると、後のトラブルの火種になるためです。

具体的には、入院中の作成ではないか・筆跡は本人のものか・文言に矛盾はないかなどを一つひとつ丁寧に精査します。

もし少しでも不安や疑問があれば、自己判断は避けましょう。

遺言書の有効性を確実に判断するには、弁護士などの専門家に精査してもらうのが安全です。

相続人全員に遺言の内容を伝える

検認を経て明らかになった遺言の内容は、すみやかにすべての相続人へ共有します。

情報を隠さず透明性を保つことが、相続人同士の信頼を守り、円満な解決につながるためです。

検認期日に出席できなかった相続人には、遺言書の写しを郵送するなどの配慮を心がけましょう。

公平な情報共有が、合意形成ややり直しの話し合いをスムーズに進める土台になります。

遺産分割のやり直しについて協議する

やり直しが必要な場合は、感情を脇に置き、冷静で平等な話し合いを再開します。

遺言者の意思を尊重しつつ、各相続人の事情も加味して、全員が納得できる着地点を探す必要があるためです。

中立的な場所で意見を出し合って進めるべきですが、まとまらない場合は弁護士を選任することを検討する必要があります。

法律の専門家である第三者が入ることで、客観的な議論を進めやすくなります。

一方的な主張を避けて遺言の趣旨と実情のバランスを取りながら、新たな合意を目指す姿勢が重要です。

後から遺言書が発見されても遺産分割のやり直しが難しいケースがある

遺産分割からかなりの年月が経っていると、現物を返し合う分割そのもののやり直しが難しいケースがあります。

すでに不動産が第三者へ売却されていたり、預貯金が生活費や投資で使われていたりして、当時の状態に戻せないためです。

現実的な解決策は、次のとおりです。

  • 金銭による精算:現物の代わりに遺言で指定された取り分を金銭に換算して支払う
  • 損害賠償・不当利得の検討:本来受け取るべきだった利益相当額の返還を請求する

現物でのやり直しが難しくても、権利が消えるわけではありません。

個別の状況に応じて、金銭精算などの現実的な落とし所を探すことになります。

どのような解決策が最善なのかは、弁護士と相談のうえで判断しましょう。

相続後に遺言書が出てきた場合はどうすればいい?

遺言書が出てきたタイミングによって、取るべき対応は変わります。

ここでは、相続後に遺言書が出てきた場合にすべき3つの対処法を解説します。

【最優先】遺言書を見つけてもその場で開封しない

自筆で封印された遺言書を見つけても、その場で開封してはいけません。

家庭裁判所で「検認」を経ずに開封すると、5万円以下の過料を科されるおそれがあるためです(民法第1004条・1005条)。

封印された遺言書は、家庭裁判所で相続人の立ち会いのもと開封します。

ただし、公正証書遺言や法務局で保管されていたものは検認不要です。

まずは遺言書の種類を確認し、手書きで封のあるものは未開封のまま検認を申し立てるのが鉄則です。

【遺産分割の途中】これまでの話し合いをストップする

遺産の分け方を話し合っている最中なら、いったんその話し合いをすべて中断します。

遺言書の内容を確認しないまま協議を進めると、後から錯誤による取消しなどを主張され、二度手間になるおそれがあるためです。

遺言書の存在を知ったうえで、相続人全員が遺言と異なる分け方に合意すること自体は可能です。

ただし、遺言執行者がいる場合や第三者への遺贈がある場合には、相続人だけの判断では進められません。

まずは遺言書に書かれた分け方を確認し、進め方を再検討しましょう。

後々のトラブルや二度手間を防ぐためにも、遺言書が出てきた時点で話し合いを止めるのが安全です。

【遺産分割の完了後】当然にやり直しにはならないが、必要になる場合もある

すでに遺産分割が終わっている場合でも、協議が当然に無効になり、すべてやり直しになるわけではありません。

相続人と受遺者の全員が納得していれば、今の分割を維持できます。

一方、「遺言の存在を知っていたら合意しなかった」という相続人が錯誤による取消しを主張した場合や、遺言での認知・廃除・第三者への遺贈があった場合には、やり直しが必要です。

すでに名義変更などが済んでいると、影響は大きくなります。

全員の意思を確認しつつ、早めに弁護士などの専門家へ相談し、方針を決めましょう。

遺言書が後から出てきたらベンナビ相続がおすすめ

遺言書が後から出てきたときは、「ベンナビ相続」で相続問題に強い弁護士を探すのをおすすめします。

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後から出てきた遺言書のトラブルの解決を弁護士に依頼した2つの事例

実際に、後から出てきた遺言書をめぐるトラブルを弁護士が解決した事例を紹介します。

遺言書が隠されていたケースと、後から作られた遺言の有効性を争ったケースの2つを見ていきましょう。

遺言書が隠され成立した遺産分割協議を無効としたケース

父親の死後、同居していた弟が主導する形で遺産分割協議がおこなわれた事例です。

協議の内容は弟に有利なものでしたが、父親は生前、依頼者(娘)に有利な公正証書遺言を作成していました。

弟がその存在を知りながら開示せず、自分に都合よく協議を進めた疑いがありました。

依頼者は「遺言を隠して成立させた協議は無効ではないか」と考え、弁護士に相談。

弁護士は地方裁判所に不当利得返還請求訴訟を提起し、最終的に依頼者の主張がおおむね認められ、裁判上の和解が成立。

弁護士の介入によって、納得のいく解決金を受け取れた事例です。

後から作られた公正証書遺言の有効性を争い、和解できたケース

次に紹介するのは、長く父親を介護してきた長男が依頼者である事例です。

父親は当初、長男に遺産の大部分を相続させる公正証書遺言を作成していました。

しかし認知症になったあと、ほかの兄弟姉妹が父親を連れ出し、内容の異なる公正証書遺言を作らせていました。

依頼者は納得できず、最初の遺言どおりに相続したいと考えて弁護士に依頼しました。

弁護士は、「後の公正証書遺言は無効」と主張して訴訟を提起。

当時の主治医へのヒアリングやカルテを証拠として集め、作成時に遺言能力がなかったことの立証に努めました。

その結果、裁判所も主張を前提とした和解案を勧め、依頼者は勝訴に近い形で和解に至りました。

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遺言書が後からできた場合の対応についてよくある質問

最後に、後から出てきた遺言書についてよくある質問にお答えします。

隠されていた場合や複数見つかった場合など、迷いやすいポイントを整理しました。

Q1.相続人の1人が隠していた遺言書が見つかった場合はどうなるの?

遺産分割のやり直しが必要になります。

分けた財産をいったん元に戻し、遺言に従って分け直したうえで、残りを改めて分割します。

ただし、遺言書を隠した相続人には重いペナルティがあります。

遺言書の隠匿は「相続欠格」事由にあたる可能性があり、その場合その相続人は相続権を失って遺産を一切受け取れません(民法第891条5号)。

なお、遺言書を破り捨てるなど破棄した場合は私用文書等毀棄罪(5年以下の拘禁刑)に問われる可能性もあるので注意が必要です。

Q2.後から複数の遺言書が見つかったらどうすればいいの?

まずは、日付の新しい順に並べて内容が抵触するかどうかを確認しましょう。

複数の遺言書が有効要件を備えている場合、最後に作成されたものが効力を持つからです。

後の遺言と矛盾しない前の遺言の内容は、引き続き効力を持つ場合があります。

ただし、遺言能力や偽造・変造、形式要件の面で無効な遺言書は、除外する必要があります。

遺言書のどの部分が有効かを判断するには法的知識が必要なため、弁護士にアドバイスを求めるのが安心です。

Q3.遺産分割協議の後から出てきた遺言書を無視したらどうなるの?

遺言を無視して今の分割を維持しようとすると、遺言で財産を受け取る人(受遺者)の一部が不利益を被ります。

受遺者が不利益を受け入れれば問題ありませんが、ひとりでも拒否すれば、ほかの相続人とトラブルになる可能性が高いです。

対応を放置すると、時間の経過で財産が散逸してやり直しがさらに難しくなるおそれもあるので注意が必要です。

有効な遺言書に基づく受遺者が権利を主張すれば、相続人は基本的に拒めません。

トラブルを深刻にしないためにも、遺言書が見つかったら無視せず対応しましょう。

Q4.遺言書が後からでてきたら相続放棄の撤回はできるの?

遺言書の存在を知らなかったことが重大な錯誤にあたるとして、相続放棄を取り消せる可能性があります。

取り消すには、その旨を家庭裁判所に申述しなければなりません。

取り消しが認められるかは家庭裁判所の判断に委ねられますが、特に注意したいのが期限です。

遺言書の存在を知った時から6か月が過ぎると、取消権は時効で消滅します。

取消権が消滅すると、相続放棄を取り消せなくなるので、早めに家庭裁判所や弁護士へ相談しましょう。

さいごに | 遺言書が後から出てきて困った際は弁護士に相談しよう

遺産分割が終わったあとで有効な遺言書が見つかっても、協議が当然に無効になるわけではありません。

相続人全員の合意があれば今の内容を維持できますが、錯誤による取消しが主張された場合や、認知・廃除・遺贈が絡む場合にはやり直しが必要です。

時間が経ってから見つかった遺言書には、状況に応じた慎重な対応が欠かせません。

実際には、有効性の判定や財産の清算、親族間の調整などの判断が難しい場面が続きます。

弁護士に相談すれば、家庭の状況や希望を踏まえてトラブルを最小限に抑える方法を提案してもらえます。

「ベンナビ相続」には、遺産相続に詳しい弁護士が多数登録されています。

遺言書が後から出てきてお困りの方は、初回無料相談を活用して早めに弁護士へ相談してみてください。

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この記事の監修者
山村忠夫法律事務所
山村 真登 (京都弁護士会)
上質かつ満足度の高いリーガルサービスを幅広いお客様に提供する目的のもと設立。税理士や司法書士、公認会計士、不動産業者などの専門士業と連携し、いかなる相続問題に対しても迅速、柔軟かつ、専門的に対応可能。
ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)編集部
編集部

本記事はベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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