弔慰金(ちょういきん)とは、死者を弔い遺族を慰める意味で贈る金銭のことです。
葬儀などでお香を持ち寄って故人に手向けたことが発祥といわれており、お香や供花の代わりに渡すお金という意味合いがあります。
また、「戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法の一部を改正する法律」に基づき、戦没者などの遺族に対しては数年ごとに特別弔慰金が支給されています。
最近では、第11回特別弔慰金の支給がおこなわれていましたが、2023年3月31日をもって請求受付は終了しています。
弔慰金には「個人が支出する比較的少額のもの」と「企業や国などが支出するまとまった額のもの」の2種類があり、この記事では主に後者の弔慰金について、支給対象者や相場などを解説します。
特別弔慰金は、2020年4月1日の時点で「恩給法による公務扶助料」や「戦傷病者戦没者遺族等援護法による遺族年金」などを受ける方がいない場合に、次の順番で遺族の一人だけが支給対象となります。
順位 |
対象者 |
支給要件 |
|
1 |
弔慰金受給権者 |
配偶者の場合、次の要件を全て満たすこと |
|
2 |
転 |
子ども |
|
3 |
父母 |
次の要件を全て満たすこと |
|
4 |
孫 |
||
5 |
祖父母 |
||
6 |
兄弟姉妹 |
||
7 |
父母 |
上記3以外の者 |
|
8 |
孫 |
上記4以外の者 |
|
9 |
祖父母 |
上記5以外の者 |
|
10 |
兄弟姉妹 |
上記6以外の者 |
|
11 |
上記以外の三親等内親族 |
戦没者等の死亡時まで引き続き1年以上は戦没者等と生計関係を有していた者で、かつ戦没者等の葬祭をおこなった者 |
|
12 |
上記以外の三親等内親族 |
戦没者等の死亡時まで引き続き1年以上は戦没者等と生計関係を有していた者で、戦没者等の葬祭をおこなわなかった者 |
支給対象遺族は、戦没者等の死亡当時に生まれていなければなりません。
また、基準日において次のいずれかに該当するときは、特別弔慰金の受給権がありません。
特別弔慰金以外に企業などから支給される弔慰金については、企業によって金額のバラつきが大きく、企業が加入する団体保険の有無によっても左右されます。
支給方法としては、「一律定額で支給」と「勤続年数に応じて支給」の2種類あります。
弔慰金の相場としては以下のとおりです。
|
一律定額 |
勤続年数に応じて支給する場合 |
||||
満1年 |
満5年 |
満10年 |
満20年 |
満30年 |
||
最高額 |
3,500万円 |
950万円 |
1,000万円 |
1,000万円 |
5,000万円 |
5,000万円 |
最低額 |
2万円 |
1万円 |
1万円 |
2万円 |
3万円 |
3万円 |
中位額 |
100万円 |
10万円 |
10万円 |
20万円 |
30万円 |
30万円 |
|
一律定額 |
勤続年数に応じて支給する場合 |
||||
満1年 |
満5年 |
満10年 |
満20年 |
満30年 |
||
最高額 |
1,000万円 |
500万円 |
800万円 |
800万円 |
2,500万円 |
2,500万円 |
最低額 |
2万円 |
1万円 |
1万円 |
2万円 |
3万円 |
3万円 |
中位額 |
30万円 |
10万円 |
10万円 |
20万円 |
25万円 |
30万円 |
|
一律定額支給の場合 |
||||
社員の配偶者 |
社員の子女 |
社員の両親 |
社員の両親 |
社員の配偶者の両親 |
|
最 |
50万円 |
10万円 |
10万円 |
10万円 |
10万円 |
最 |
5,000円 |
5,000円 |
5,000円 |
5,000円 |
5,000円 |
最 |
5万円 |
2万円 |
2万円 |
2万円 |
1万円 |
平 |
4万1,746円 |
2万5,000円 |
2万4,201円 |
2万3,054円 |
1万5,321円 |
ここでは、特別弔慰金の支給を受ける際の手順を解説します。
なお、以下で解説する必要書類や支給金額などは「第11回特別弔慰金」のものですが、すでに2023年3月31日をもって請求受付は終了しています。
請求書類などは、各市区町村の援護担当課に備え付けがあります。
なお、提出書類は「請求者が過去に特別弔慰金の請求をしたことがあるかどうか」でも異なり、詳しくは各市区町村の援護担当課などに確認するのが確実です。
25万円(5年償還)の記名国債の支給となります。
償還金の受け取りは郵便局などで可能です。
2020年4月1日から2023年3月31日までが請求期間です。
請求期限を過ぎると特別弔慰金は受け取れません。
請求先は、各市区町村の援護担当課です。
詳しい場所は「市区町村の援護担当課一覧」で確認できます。
「弔慰金は相続税の対象になるのか」という問題ですが、基本的に国から支給される弔慰金は相続税の対象にはなりません。
被相続人の死亡によって受ける弔慰金・花輪代・葬祭料などについては、通常相続税の対象になることはありません。
しかし、以下のように相続税の対象となる場合もあります。
ここでいう普通給与とは、俸給・給料・賃金・扶養手当・勤務地手当・特殊勤務地手当などの合計額を指します。
厚生労働省などが、弔慰金などの振り込みをATMで依頼するようなことは絶対にありません。
特別弔慰金の支給のために手数料や登録料などの振り込みを求めることも絶対にありませんので、そのような内容の電話などが来た際は注意してください。
弔慰金の受け取りについて、さほど特別な手続きは必要ありませんが、特別弔慰金については請求期限が定められています。
特別弔慰金の支給が開始した際は、速やかに期限内に手続きを済ませましょう。
【注目】相続問題でお悩みの方へ |
相続問題を弁護士に相談することで、それまで悩んでいたことがすぐに解決できる可能性も高いです。まずは【弁護士の無料相談】を活用し、今後の対策を考えてみましょう。 |
遺産相続では相続人ごとに優先順位が定められており、相続人の組み合わせによってそれぞれの取り分が異なります。本記事では、相続順位・相続割合のルールや、パターンごと...
遺産相続にあたって遺産分割協議書をどのように作成すればよいのか、悩んで方も多いのではないでしょうか。本記事では、遺産分割協議書の必要性や具体的な書き方を解説しま...
兄弟姉妹が亡くなり、兄弟姉妹に親や子どもがいない場合には、残された兄弟姉妹が遺産を相続することになります。そこで、本記事では相続における兄弟姉妹の相続順位や割合...
法定相続人の順位が高いほど、受け取れる遺産割合は多いです。ただ順位の高い人がいない場合は、順位の低いでも遺産を受け取れます。あなたの順位・相続できる遺産の割合を...
親等は親族関係の近さを表したものです。この記事では親等とは何か、親等をどうやって数えるかといった基本的なことのほか、親等早見表、親等図を記載しています。親等でよ...
遺産相続を依頼した際にかかる弁護士費用の内訳は、一般的に相談料・着手金・成功報酬金の3つです。相続の弁護士費用がいくらかかるのかは、依頼内容や希望するゴールによ...
養子縁組を結んだ養親と養子には、法律上の親子関係が生じます。養子には実子と同じく遺産の相続権が与えられるうえに、相続税の節税にもつながります。このコラムでは、養...
特定の相続人に遺産を相続させない方法を知りたくはありませんか?夫・妻・兄弟はもちろん、前妻の子・離婚した子供に財産・遺留分を渡したくない人は注目。悩み解消の手助...
株式の相続が発生すると、株式の調査や遺産分割、評価や名義の変更などさまざまな手続きが必要になります。この記事では、株式を相続するときの手順について詳しく解説しま...
法定相続分とは、被相続人(亡くなった人)が遺言で財産の配分を指定しなかった場合に適用される「遺産の相続割合」のことです。本記事では、法定相続分の配分や計算方法を...
生前、被相続人に対して一定の貢献を果たした相続人は、遺産相続の際に「寄与分」を主張することができます。本記事では、遺産相続で寄与分の主張を検討している相続人のた...
遺産相続は、資産の特定や分け方などが複雑で、金額や相続人が多いほどたいへんです。本記事では、配偶者になるべく多くの遺産を相続させたい場合にできる適切な準備などに...
遺産分割は共同相続人全員でおこなう必要があり、遺産分割に先立って漏れなく共同相続人を把握しなければなりません。本記事では、共同相続人とは何か、および共同相続人に...
家庭裁判所の調停委員が、相続人全員が遺産分割方法など合意を形成できるようなアドバイス・和解案を提示。遺産分割調停を控えている方や、遺産分割協議が思うように進まず...
遺言書の有無や、親族の数などによって、相続できる財産は異なります。また、相続をしないという選択もあります。本記事では親が亡くなったケースを中心に、親族が亡くなっ...
遺産分割調停での解決できなさそうな状況であれば、遺産分割審判に移行します。本記事では、遺産分割調停と遺産分割審判の違い、審判に向けて準備しなければならないこと、...
代償分割をする場合、遺産分割協議書をどのように作成すればよいのでしょうか。この記事では、代償分割の概要や遺産分割協議書の書き方、代償金の決め方について解説します...
今回は、相続分の譲渡のメリットや、相続分の譲渡の諸手続き、手続きを進めるにあたっての注意事項をわかりやすく解説します。ベンナビ相続では遺産相続問題に力を入れてい...
配偶者居住権は、2020年4月より適用されるようになった権利をいいます。本記事では、配偶者居住権の概要や設定の要件、メリット・デメリットなどを解説します。手続き...
一人が全て相続するケースでも、状況によっては遺産分割協議書が必要になることがあります。 本記事では、遺産を一人が全て相続する際の遺産分割協議書の書き方や注意点...