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不動産相続の手続きとは?損をしないためのポイ ントや相続税計算も解説

不動産相続の手続きとは?損をしないためのポイ ントや相続税計算も解説
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「不動産の相続は何から始めれば良い?」

「自分に不利な状況や親族間のトラブルを避けたい…」

不動産の相続は大きな財産に関わる問題なので、どのように進めれば良いかがわからず不安になる方も少なくありません。

正しい知識がなければ、どこから手をつけるべきかを判断することすら難しいでしょう。

そこで本記事では、不動産の相続において押さえておくべきポイントや手続きの流れ、注意点などを詳しく解説します。

さらに、相続問題に困った時に頼れる専門家についても触れたいと思います。

不動産の相続問題をできるだけスムーズに解決したい方は、ぜひ最後までご覧ください。

不動産の相続でトラブルを起こさないためには事前弁護士へ相談するのがおすすめです

不動産が関わる遺産相続は、トラブルになるケースが非常に多いです。

誰が不動産を相続するの?不動産はどうやって分ければいいのか?法定相続人の誰か一人に相続させるとしたら他の相続人の遺留分はどうなる

こういった些細な疑問が大きくなり、下記のようなトラブルに発展します。

  • そもそも不動産の分割方法がわからない
  • 借地権などの権利関係がどうなっているのか不明
  • 土地を相続したが小さすぎて分割や活用が困難
  • 相続登記が前の相続でされていなかった
  • 名義変更の際にトラブルになっている など

上記のような悩みは、弁護士に相談することで解決できるかもしれません。

当サイト「ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)」は相続争いの解決を得意とする弁護士を掲載しております。

電話での無料相談面談による相談を無料にしている事務所もあります。

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不動産の相続、何から始める?最初に確認すべき3つのポイント

結論から申し上げますと、不動産の相続は、まず「遺言書の確認」「相続人の確定」「相続財産の把握」の3つから始めることが重要です。

これらを最初におこなえば、その後の手続きや遺産分割協議をスムーズに進められます。

遺言書の有無によって、相続手続きは大きく変わります。

また、相続人を確定しなければ、誰が財産を相続する権利があるのかがわかりません。

さらに、相続財産を把握すれば、相続税の申告が必要かどうか、遺産分割の対象となる財産が何なのかを正しく把握できます。

これら3つのポイントを、まずはしっかりと頭に入れておきましょう。

詳しく解説します。

遺言書の確認【種類に注意する】

遺言書は、一般的に「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」という3種類に分けられます。

それぞれ開封方法や注意点が異なり、民法で定められた方式に従わない遺言書は無効となる可能性があるので、注意が必要です。

以下では、それぞれの違いと特徴について簡単にまとめました。

  • 自筆証書遺言:遺言者が全文、日付、氏名を自筆で書き、押印したもの
  • 公正証書遺言は:公証人が作成し、原本が公証役場に保管された遺言書
  • 秘密証書遺言:遺言者が内容を秘密にしたまま、公証人と証人に遺言書の存在を証明してもらうもの

自筆証書遺言は家庭裁判所での検認が必要で、封筒に入れて糊付けされ、封じ目に押印されている場合(封印されている場合)には、開封のときに相続人や代理人の立会いが必要ですが、法務局の保管制度を利用している場合は検認が不要です。

続いて公正証書遺言は、公的に作成された遺言書なので、信頼性が高く、検認は不要とされています。

一方、秘密証書遺言は家庭裁判所での検認が必要となります。

このように、遺言書の種類によって必要な手続が異なることを覚えておきましょう。

相続人の確定【誰が相続人になる?法定相続分とは?】

相続人になれる人は、民法で定められた範囲の人(法定相続人)に限られており、その順位と割合(法定相続分)も決まっています。

具体的には、民法第887条から第900条に、法定相続人の範囲と相続分が規定されています。

民法の規定によって、被相続人の配偶者は常に相続人となりますが、子どもがいるか否かによって、相続人になる割合は変わります。

具体的には以下のとおりです。

  • 子がいる場合:配偶者と子が相続人となる(法定相続分はそれぞれ2分の1ずつ)
  • 子がいない場合:配偶者と直系尊属(父母など)が相続人となり、配偶者が3分の2、直系尊属が3分の1となる
  • 子も直系尊属もいない場合:配偶者と兄弟姉妹が相続人となり、配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1となる

このように、誰が相続人になるのか、そしてその割合はどのくらいなのかを正確に把握することが重要です。

相続財産の把握【不動産だけでなく預貯金や有価証券も忘れずに】

相続財産には、不動産(家、土地)だけでなく、預貯金、有価証券(株式、投資信託など)、自動車、貴金属など、プラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も含まれます。

相続税は、これら全ての相続財産と相続税法上の「みなし相続財産」(民法上は相続財産ではないため、遺産分割の対象にならないものの、相続税の課税対象とはなるもの。生命保険金や死亡退職金など。)の合計額に基づいて計算されます。

不動産の評価額は、固定資産税評価額や路線価などを基に計算します。

預貯金は、相続開始日時点の残高が相続財産となります。

有価証券は、相続開始日時点の時価で評価します。

プラスの財産だけでなく、マイナスの財産も漏れなく把握することが正確な相続税の計算、そして適切な遺産分割のために必要不可欠です。

不動産の相続は4つの方法に分けられる

不動産の相続には、現物分割、代償分割、換価分割、共有分割の4つの方法があります。

どの方法を選ぶかによって、メリット・デメリットが異なるだけでなく、相続財産の状況や相続人同士の関係性によって、ベストな分割方法は異なってきます。

以下では、不動産相続の具体的な方法をまとめました。

分割方法 説明
現物分割 不動産をそのままの形で相続する方法
代償分割 不動産を相続する人が、他の相続人に代償金(金銭)を支払う方法
換価分割 不動産を売却し、その売却代金を相続人で分割する方法
共有分割 複数の相続人で不動産を共有する方法

これらの情報を参考に、ご自身の状況に適した方法を検討しましょう。

具体的に解説します。

現物分割

現物分割とは、不動産の形状や性質を変更することなく相続するもっともシンプルな方法です。

例えば、亡くなった親が住んでいた家を、相続人のうちの一人がそのまま相続し、住み続けるといったケースです。

この場合、それ以外の財産(預貯金など)を他の相続人に相続させて、具体的な相続分に差が生じないように調整します。

また、一筆の土地の現物分割は、相続分に応じて分筆をして分けるという方法になります。

ただし、不動産の現物での分割は、全ての相続人にとって公平に行うことが難しい場合があります。

例えば、一人の相続人が家を相続し、他の相続人が預貯金などを相続する場合、それぞれが取得する財産価値に差が生じ、不公平感が生まれるおそれがあります。

特に、相続財産に占める不動産の割合が大きい場合、このような問題は顕著になります。

調製のために不動産そのものを現物分割すると、不動産の価値自体が下がってしまうことが多く、相続人にとって納得を得られにくいというのが実情です。

現物分割を選択する場合は、他の相続財産とのバランスを考慮し、相続人全員が納得できるような分割案を検討することが重要です。

代償分割

代償分割は、相続人のうちの一人が不動産を相続し、その代わりに他の相続人に対して金銭(代償金)を支払うことで、公平な分割を目指す方法です。

例えば、長男が家を相続し、その評価額に相当する現金を他の兄弟姉妹に支払うなどのケースです。

代償分割の大きなメリットは、①不動産そのものを分割せずに済むこと ②各相続人が法定相続分に応じた財産を受け取れるように金銭で調整するため、不公平感が少ないこと、の2点です。

ただし、不動産を相続する人には、代償金を支払うための十分な資金が必要となります。

具体的には、不動産の評価額や相続人の数によって、数百万円から数千万円の資金が必要になるケースも珍しくありません。

換価分割

換価分割とは、不動産を売却し、その売却代金を相続人で分割する方法です。

公平な分割が可能であり、現金化できるのがメリットである一方、売却の手間や費用がかかるというデメリットもあります。

不動産を売却する際には、不動産会社に仲介を依頼し、売却活動をおこなうことが一般的です。

売却が成立した際には、仲介手数料や譲渡所得税(売却益が出た場合)などの費用が発生する可能性があります。

換価分割は、相続人全員が不動産を必要としない場合や、現金化して分けたい場合に有効な選択肢となります。

共有分割

共有分割とは、複数の相続人で不動産を共有名義にする方法です。

メリットとしては、特定の相続人に負担が集中せず、全員で不動産を維持・管理できる点が挙げられます。

ただし、共有名義の不動産を将来的に売却や改築をしようとした際に、共有者全員の同意が必要となり、トラブルの原因となる可能性があります。

例えば、共有者の一人が売却を希望しても、他の共有者が反対すれば売却できません。

共有者の意見が合わず、不動産の管理や処分について揉めるケースも少なくありません。

そのため、共有名義を選択する場合は、将来的なリスクを十分に理解し、慎重に検討する必要があります。

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不動産の相続手続を進める時のステップ

不動産の相続手続は、以下の手順で進めていくことになります。

  • 遺産分割協議
  • 相続登記(名義変更)
  • 相続税の申告・納付

これらの手続を順番に進めれば、法的な問題をクリアし、スムーズに相続を完了できます。

それでは次に、各ステップを具体的に見ていきましょう。

遺産分割協議

遺産分割協議は、相続人全員の合意が必要です。

トラブルを防ぐには、事前にしっかりと話し合い、合意内容を遺産分割協議書にまとめることが重要です。

遺産分割協議書は、後々のトラブルを防ぐための証拠となりますし、相続登記などの手続にも必要となります。

遺産分割協議書を作る時は、相続人全員が参加し、それぞれの意見を尊重しながら話し合いを進めることが大切です。

決して感情的にならず、冷静に話し合うようにしましょう。

必要に応じて、弁護士や司法書士などの専門家に相談し、中立的な立場からアドバイスをもらうのもひとつの手です。

相続登記(名義変更)

相続登記とは、法務局で、不動産の名義を被相続人(亡くなった方)から相続人に変更する手続です。

相続登記をしなければ、不動産を売却したり、担保に入れたりすることができません。

相続登記には、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本、住民票、印鑑証明書、遺産分割協議書、固定資産評価証明書など、多くの書類が必要となります。

必要な書類が揃ったら、法務局に提出する登記申請書を作成し、申請すればこのステップは完了です。

相続税の申告・納付

最後に、相続税の申告・納付を進めましょう。

相続税は、相続開始から10ヶ月以内に税務署に申告し、納税する必要があります。

相続税の計算は、相続財産の総額から基礎控除額などを差し引いておこないます。

相続税法に基づき、期限内に申告・納付しなければ、加算税や延滞税が課される場合がありますので、注意が必要です。

基礎控除額は、「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」で計算されます。

例えば、課税遺産総額が5,000万円で、法定相続人が配偶者と子2人の計3人の場合、基礎控除額は4,800万円となり、相続税額は(5,000万円-4,800万円)×10%=20万円となります。

不動産の相続税、いくらかかる?評価方法と計算シミュレーション

不動産の相続税は、土地と建物の評価額に基づいて計算されます。

評価方法には、路線価方式や倍率方式などがあります。

相続税法に基づき、不動産の評価額は時価ではなく、一定の基準に基づいて計算される点に注意しましょう。

土地の評価方法:路線価方式と倍率方式

土地の評価方法は、主に路線価方式と倍率方式の2つがあります。

路線価方式は、路線価(道路に面する土地の1平方メートルあたりの評価額)に土地の面積を掛けて評価額を計算する方法です。

路線価は、国税庁が毎年公表する路線価図で確認できます。

倍率方式は、固定資産税評価額に一定の倍率を掛けて評価額を計算する方法です。

倍率を知りたい時は、国税庁が定める評価倍率表でチェックしましょう。

建物の評価方法:固定資産税評価額

建物の評価額は、原則として固定資産税評価額を用います。

固定資産税評価額は、市町村(東京23区は東京都)が固定資産税を課税するために算定した評価額であり、固定資産税評価証明書や固定資産課税台帳で確認できます。

なお、固定資産税評価証明書は、市町村の役所や都税事務所で取得可能です。

相続税の計算シミュレーションの具体例

ここでは、具体的な数字を用いて、相続税額のシミュレーションをしてみましょう。

  • 相続財産:家(土地2,000万円、建物1,000万円)、預貯金1,000万円
  • 法定相続人:配偶者と子2人
  • 基礎控除額:3,000万円+(600万円×3人)=4,800万円
  • 課税遺産総額:4,000万円-4,800万円=0円(相続税はかからない)

この場合、まず基礎控除額を計算します。

基礎控除額は、以下のように計算します。

  • 基礎控除額:3,000万円+(600万円×3人)=4,800万円

次に、課税遺産総額を計算します。

課税遺産総額は、このように計算すればわかります。

  • 4,000万円(相続財産の合計)- 4,800万円(基礎控除額)= 0円

つまり、このケースの場合には課税遺産総額が0円になるので、相続税はかかりません。

不動産の相続は専門家に相談すべき?メリットと費用について

不動産の相続は、手続が複雑であり、専門的な知識が必要となるため、弁護士や司法書士、税理士などの専門家に相談するのがおすすめです。

専門家に相談すれば、手続のミスを防ぎ、トラブルを回避し、スムーズな相続を実現できる可能性が高まります。

以下では、専門家ごとの特徴を簡単にまとめました。

専門家 特徴 費用感
弁護士 法的なアドバイスや代理交渉を依頼できる 委任事項により異なります。
司法書士 相続登記(名義変更)の手続を代行してくれる 簡単なものであれば、10万円前後~
税理士 相続税の申告・納付について相談できる 低額な相続税申告であれば、10万円前後~

続いて、専門家別の特徴と費用感などについて詳しく解説します。

相続登記は司法書士へ

相続登記は、司法書士の専門分野です。

司法書士は、不動産登記の専門家であり、相続登記に関する豊富な知識と経験を持っています。

必要書類の収集や登記申請書の作成など、複雑な手続を代行してもらえます。

例えば、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本の収集は、時間と手間がかかる作業ですが、司法書士に依頼すればスムーズに進めてもらえます。

また、法務局への登記申請も、司法書士が代行してくれます。

相続税の申告は税理士へ

相続税の申告は、税理士の専門分野です。

税理士は、税務の専門家であり、相続税に関する最新の知識と経験を持っています。

相続税の計算や申告書の作成、税務署への提出などを代行してもらえます。

例えば、相続税の計算は複雑ですが、税理士に依頼すれば、正確に計算してもらえます。

さらに、相続税の申告書の作成・提出も代行してもらえますし、税務調査が入った場合にも対応してもらえます。

遺産分割で揉めている場合は弁護士へ

遺産分割協議がまとまらない場合や、相続人間でトラブルが発生している場合は、弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士は、法律の専門家であり、法的な観点から問題解決をサポートしてくれます。

以下は、弁護士に依頼した場合にかかる費用の一例です。

項目 費用
相談料 30分あたり5,000円程度
※初回相談無料の事務所もある
着手金 20万円~50万円程度
報酬金 法律事務所によって異なる
実費(交通費・郵便代など) ケースに応じて異なる
日当 1日あたり3万円~10万円程度

弁護士の場合、相続手続全般に対応しているというのが大きなメリットです。

さらに、遺産分割でトラブルが起きた場合に代理人としても対応してくれるので、相続手続が不安な方や相続トラブルの悩みがある方などは、弁護士に依頼するのをおすすめします。

不動産の相続問題でお悩みの方は弁護士の力を借りよう

本記事では、不動産の相続に関する基本的な手続、相続税の計算方法、名義変更の流れなどを解説してきました。

不動産の相続は、手続が複雑で、税金や法律の知識も必要となるため、多くの方が不安や悩みを抱えています。

本記事で解説した内容をもとに、まずは相続の全体像を把握し、手続をひとつずつ進めていきましょう。

それでも、遺産分割の話し合いがなかなか進まなかったり、トラブルに発展しそうなときは、速やかに弁護士へ依頼するのをおすすめします。

弁護士は、中立的な立場から法的観点に立って適切なアドバイスをしてくれるので、相続問題がスムーズに進んでいくでしょう。

ベンナビ相続では、無料相談に対応してくれる弁護士も探せますので、まずは気軽な相談から始めてみてはいかがでしょうか。

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この記事の監修者
弁護士法人本江法律事務所
本江 嘉将 (福岡県弁護士会)
【初回相談無料・各種相談(電話・オンライン)対応可】経験豊富な弁護士が迅速かつ丁寧に事件を解決してまいります。遺産分割、相続、債権回収、債務整理等あらゆるご相談に応じます。まずはお気軽にご連絡下さい。
ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)編集部
編集部

本記事はベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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