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国際相続とは?法務手続きや遺産分割・相続税問題を徹底解説

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国際相続(こくさいそうぞく)とは、相続財産や相続関係者が国境をまたぐ相続のことを指します。

「外国人が日本で亡くなった」「被相続人が外国に暮らしていた」「相続人が外国に暮らしている」「相続財産が外国にある」など、国際的な要素がかかわる相続で、渉外相続とも呼ばれます。

日本に住所がない場合、相続手続きの必要書類を用意するのにもさまざまな壁が存在します

被相続人が日本国籍であれば、原則として日本の法律が適用され、それに沿った相続がおこなわれます。

しかし、相続財産が海外にある場合などは、その国のルールややり方に沿って、手続きをする必要が出てくることもあります。

国際相続ではそれぞれのケースによって方法も違ってくるため、法律知識・英語などのコミュニケーション能力・交渉力・調査能力・書類作成の力量なども必要になるでしょう。

近年、日本でも海外に資産を分散させるケースが多くなり、それにともなって国際相続に対応する弁護士に相談するケースも増えてくるでしょう。

本記事では、国際相続の手続きや遺産分割の方法、弁護士に相談・依頼する際のポイントなどを紹介していきます。

国際相続に不安を抱えているあなたへ

国際相続の仕組みがわからず悩んでいませんか?

結論から言うと、国際相続は英語での交渉が必要になるなどハードルが高く、自分でおこなうのは非常に難易度が高いです。

国際相続をお考えの場合、弁護士に相談・依頼することをおすすめします。

弁護士に相談することで以下のようなメリットを得ることができます。

  • 国際相続ですべき手続きや流れがわかる
  • 国際相続に必要な書類を教えてもらえる
  • 依頼すれば、代わりに海外との交渉をしてもらえる
  • 依頼すれば、国際相続の手続きを一任できる

ベンナビ相続では、国際相続をはじめとする相続問題を得意とする弁護士を地域別で検索することができます。

無料相談はもちろん、電話で相談が可能な弁護士も多数掲載しているので、まずはお気軽にご相談ください。

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この記事に記載の情報は2024年10月24日時点のものです

国際相続で海外に遺産がある場合の手続き

国際相続とは、相続にかかわる人が海外にいたり、海外に遺産があったりする場合の相続のことを指します。

具体的には、被相続人や相続人の全員または一部の人が外国人であったり、外国に居住している場合のほか、関係者全てが日本に居住する日本人の相続であっても、財産の全部または一部が海外にある場合は国際相続となります。

このような相続では、適用される法律が変わってくることから、難しい手続きが要求される可能性があります。

まずは国際相続に関する基本的な手続きについて見ていきましょう。

国際相続の基本的な考え方

国際相続の場合、基本的には以下のような考え方が適用されます。

国際相続は被相続人基準で適用される法律が決まる

日本では、外国人や海外の財産が絡む相続について、「法の適用に関する通則法」36条・37条で規定されています。

(相続)
36条 相続は、被相続人の本国法による。
(遺言)
37条 遺言の成立及び効力は、その成立の当時における遺言者の本国法による。
2 遺言の取消しは、その当時における遺言者の本国法による。

引用元:法の適用に関する通則法

日本における国際相続は、被相続人基準で適用される法律が決まります。

被相続人が日本人である場合には、原則として日本の法律に沿った相続がおこなわれることになります。

よって、単に「相続人に外国人の方がいる」というだけの場合には、財産の分け方についてはあまり複雑な問題は生じないかもしれません。

もっとも、その相続人の戸籍や印鑑証明などに代わる書類を収集しなければならないなどの手間がかかります。

外国の法律が問題となりうる

被相続人が外国人の場合はもちろんのこと、被相続人が日本人であっても、相続財産の全部または一部が海外にある場合は、適用される法律が変わってきます。

言い換えれば、被相続人が外国人の場合はその母国法が、被相続人が日本人で財産が海外にある場合は日本とその国の法律がそれぞれ適用される可能性があるというわけです。

日本の民法の場合は、動産・不動産いずれも、日本にある限りは一律で日本の法律が適用されることになっています。

しかし、海外の法律では「動産は○○の国の法律、不動産は○○の国の法律を適用する」といったものや、「財産の所在地の法律を一律適用とする」といったもの、また税法上の取扱いの違いなど、さまざまな内容があります。

したがって、国際相続に該当する場合には、さまざまな法律を調べて見比べたうえで、高度な手続きが要求されるということになるのです。

被相続人・相続人に海外居住者・外国籍の方がいる場合

被相続人や相続人が外国人・外国籍の場合、どこの国の法律が適用されるかが問題になります。

相続人が外国籍の場合

たとえば「国際結婚をした日本人が、外国で生活をしている最中に死亡した」という場合の相続では、原則として日本の法律に則っておこなうことになります。

問題なのは、相続人の中に外国籍の方が含まれる場合です。

結論としては、極端な話、相続人全員が外国人であっても、被相続人が日本国籍を有していれば日本の法律が適用されます。

また、被相続人が相続開始時に外国で生活していたとしても、日本国籍を有していれば、原則として日本の法律が適用されます。

被相続人が外国籍の場合

逆に、「国際結婚をした日本人の配偶者(外国人)が死亡した」という場合の相続では、被相続人が外国籍となれば配偶者(被相続人)の本国の法律に従うことが基本となります。

つまり、生活の拠点が日本で、また相続人が全員日本人であっても、日本の法律だけでは解決しないということです。

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海外・外国に相続財産がある場合の相続

被相続人と相続人が日本国籍で日本に居住していても、相続財産が海外にあるケースでは面倒なことが起きます

たとえば、被相続人が海外に資産を分散するため、海外金融商品や海外不動産などに投資をしている場合などが考えられます。

この場合は、相続人の国籍・居住地・財産の所在などによって、相続税の課税区分が変わってきます。

遺産分割の方法

相続財産が海外にあっても被相続人が日本人である場合、相続人同士で「遺産分割協議」をして遺産相続をおこなうという流れは変わりません。

ただし、海外にある財産は、日本の法律に従って遺産分割をしても必ずしも遺産分割の効力が認められるとは限りません

相続財産について、日本では「動産・不動産や所在の区別なく日本の民法を適用する」という相続統一主義(※1)を採用しています。

しかし、国際相続の場合は、これらを区別して考える相続分割主義(※2)を採用している国もあるということを踏まえなければなりません。

※1:相続統一主義

遺産の種類に関係なく、被相続人の本国法を相続の準拠法にする制度。
準拠法とは、複数の国が関わる紛争時などに適用される法律のこと。

※2:相続分割主義

遺産の中に不動産があった場合は「不動産の所在地の法律を準拠法」とし、それ以外は「被相続人の住所地法を相続の準拠法」とする制度。
住所地法とは、当事者の住所がある国でおこなわれている法律のこと。

したがって、まずは財産の所在や財産所在地の相続法を調べたうえで、実際にどのような手続きが必要なのかを把握しなければならないのです。

なお、被相続人が在日外国人である場合には、まずは被相続人の本国法を調べてみる必要があると考えるべきです。

相続財産に不動産がある場合は要注意

日本の法律では、動産・不動産の区別をしない相続統一主義を採用しています。

外国では「不動産の相続は不動産所在地の法律によって処理する」と定めている場合があります。

アメリカなどの英米法圏はこの主義を採用しており、相続分割主義を採用している国との間で国際相続が発生した際、国際私法の解釈だけでは解決しない場合があります。

相続統一主義の国

・被相続人の最後の住所地を基準とする住所地法主義
スイスやデンマークなど

・被相続人の国籍を基準とする本国法主義
日本・韓国・ドイツ・オランダ・ブラジル・イタリアなど

相続分割主義の国

アメリカ・イギリス・フランス・中国など

ただし、アメリカの場合は州によって取り扱いが異なる場合があるので、より注意が必要になります。

また、これらはあくまで参考程度の表ですので、最新の法制度と合致しない可能性があります。

詳しいことは弁護士などの専門家への相談をおすすめします。

国際相続を弁護士に相談すべき理由とは

海外の資産相続がからむ『国際相続』は、被相続人の国籍などによって、日本の法律なのか、海外の法律で進めるのかが変わります。

どちらの法律で処理するか、海外資産の相続手続きをどのように行うのかは、国内相続の実務知識はもちろん、海外での実績もある弁護士でないと対応できませんので、海外資産の相続問題でお困りの方は【弁護士へご相談】ください。

国際相続が発生した場合に備えておくべきこと

相続対象になりうる財産を海外に所有している方は、相続時に相続人が困らないよう、あらかじめ備えておく必要があります。

なかには、突発的な事故や病気などで財産の管理が難しくなることもあるでしょう。

今のうちから配慮しておくことも重要といえます。

まずは財産目録の作成を進めておく

財産目録」とは、相続財産として何があるのかを一覧で記載した表のことです。

プラスの財産はもちろんのこと、借金・負債といったマイナスの財産なども全て記入しておくことが望ましいです。

財産目録の作成は義務ではありませんが、なるべく相続トラブルの回避をしたいのであれば作成をおすすめします。

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⇒ 財産目録で全ての財産内容を管理すると、共同相続人による財産隠しの予防ができるかもしれません。

検認裁判(プロベート)の有無について確認する

財産の把握ができたら、国際相続の相続手続きにおいて「検認裁判(プロベート)」と呼ばれる裁判手続きが必要となる国かどうかの確認をします。

プロベートとは、被相続人の財産をどう分けるか裁判上で決めていく手続きのことで、下記のような手順で進んでいきます。

  1. 裁判所が人格代表者を任命する
  2. 人格代表者が裁判所管理の下で遺産分割を進め、諸経費も支払う
  3. 裁判所による遺産分割の許可をもらう
  4. 相続財産を受け取る

検認裁判がおこなわれると、被相続人の財産は遺産財団に移されて、裁判所から任命された人格代表者が、日本でいう「遺言執行者」または「相続財産清算人」として手続きを進めることになります。

国際相続における相続税の問題

海外に財産があるケースでも居住無制限納税義務者に該当する場合は、国内海外問わず全ての財産に相続税がかかります。

海外の財産が相続税の課税対象とならないのは、「被相続人および相続人それぞれが10年を超えて日本に居住していないケース」などに限られます(居住制限納税義務者)。

(1) 居住無制限納税義務者

相続または遺贈により財産を取得した次に掲げる者であって、その財産を取得した時において日本国内に住所を有するもの。

イ 一時居住者でない個人

ロ 一時居住者である個人(その相続または遺贈に係る被相続人(遺贈をした人を含みます。)が、外国人被相続人または非居住被相続人である場合を除きます。)

引用元:国税庁

 

非居住無制限納税義務者(財産取得時に日本国内に住所を有しない者)に該当する場合も、国内海外問わず全ての財産に相続税がかかります。

(2) 非居住無制限納税義務者

相続または遺贈により財産を取得した次に掲げる者であって、その財産を取得した時において日本国内に住所を有しないもの。

イ 日本国籍を有する個人であって、①その相続または遺贈に係る相続の開始前10年以内のいずれかの時において日本国内に住所を有していたことがあるもの、または②その相続または遺贈に係る相続の開始前10年以内のいずれの時においても日本国内に住所を有していたことがないもの(その相続または遺贈に係る被相続人(遺贈をした人を含みます。)が外国人被相続人または非居住被相続人である場合を除きます。)。

ロ 日本国籍を有しない個人(その相続または遺贈に係る被相続人(遺贈をした人を含みます。)が外国人被相続人または非居住被相続人である場合を除きます。)。

引用元:国税庁

国際相続を弁護士に相談する場合のポイント

国際相続では深い相続知識が求められるので、遺産相続分野を得意とする弁護士を選ぶことが大前提です。

基本的には以下の項目を参考にして、遺産相続が得意な弁護士かどうか判断しましょう。

  • 海外相続・国際相続の実績があること
  • 現地の専門家(税理士など)とコネクションがあること
  • 遺産相続に関する著作・実績があること
  • 相続税のことまで考慮して遺産分割をおこなってくれること
  • 依頼時の費用を明確に説明してくれるか
  • 依頼者にとって不利な情報も教えてくれるか
  • 対応や返信が早いか

まとめ|国際相続が得意な弁護士を探そう

国際相続に関する内容は以上になります。

調べれば調べるだけ、手続きが複雑で非常に手間のかかることがわかるでしょう。

もし外国に財産がある場合や、相続人・被相続人が外国籍の場合は、一度、国際相続に強い弁護士に相談することをおすすめします。

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この記事の監修者
弁護士法人樋口国際法律事務所
樋口一磨 弁護士 (東京弁護士会)
【国際性の絡む相続】を中心に多くの相談・解決実績がある。北米・EU圏などアジア圏以外の地域にも多くのコネクションを有し、アメリカでの実務経験を活かした海外不動産の相続、金融資産の処理などが得意。
ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)編集部
編集部

本記事はベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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