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相続税の延納、利子税は何%? 計算方法や手続きの流れも解説

伊藤亮太(FP)
監修記事
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相続した財産が高額で相続税がかかる場合、相続税を一括で支払えないケースもあるでしょう。

相続税を支払えない場合は延納が可能ですが、延納する場合は利子税の支払いも必要です。

相続税を延納する際には、どれくらいの利子税がかかるのかを理解し、支払いの見込みを立てておくのがよいでしょう。

本記事では、相続税を延納する際に発生する利子税について、概要や計算方法を解説します。

また、そもそも相続税を延納するのにどんな条件があるのかや、延納するための手続きの方法も説明するので、ぜひ参考にしてください。

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相続税の支払いができない場合の対応方法

まずは、相続税の支払いができない場合の対応方法について確認しましょう。

相続税の支払いは原則として一括で納めるのが原則

相続税は、金銭で一括で納めるのが原則です。

しかし、たとえば相続した遺産の価額の大部分が不動産であるような場合、納税するための資金がないこともあるでしょう。

相続税を一括で支払えない場合は、相続した物自体を収める物納のほか、相続税を分割で収める延納によって対処可能です。

以下では、物納と延納の関係や延納のデメリット、要件などを見ていきましょう。

物納と延納の関係

物納とは、金銭のかわりに相続した物をそのまま納める納税方法です。

物納をおこなうには、金銭での支払いが不可能であることが条件とされています。

そのため、一括での相続税の納付が難しい場合は、まずは分割払いによる延納を検討し、それでも難しい場合に物納をおこなうことになるのです。

物納は延納でも払えない場合の最終手段だと覚えておきましょう。

延納のデメリット

相続税を延納で納付するデメリットとしては、利子税の納付が必要であることです。

利子税とは、貸金業者からお金を借りたときにつく利息のようなもので、相続財産における不動産の割合や延納期間に応じて設定されます。

具体的にどれくらいの利子税を納める必要があるのかは「利子税の計算方法」を確認してください。

延納をするための要件

相続税の金銭での一括納付ができない場合にできる延納ですが、延納をするためには以下の要件を満たす必要があります。

  • 納付する相続税の額が10万円以上であること
  • 期限までに金銭での一括納付するのが困難である
  • 担保を提供すること
  • 申請書を提出すること
  • 以下で具体的な内容を確認しましょう。

納付する相続税の額が10万円以上であること

延納を利用するには、納付する相続税の額が10万円以上であることが必要です。

この要件は相続人ごとに判断することになっており、ほかの相続人の相続税の額が10万円を下回り延納の要件を満たさない場合でも、申請をしようとしている相続人の相続税が10万円以上であれば要件を満たすことになります。

期限までに金銭での一括納付するのが困難である

延納をするための2つ目の要件として、期限までに金銭による相続税の一括納付をするのが困難であることが挙げられます。

延納は、相続税の金銭一括納付が困難である理由があり、かつ納付が困難である金額の範囲内であることが必要です。

なお、相続財産から相続税を支払うことが困難であることはもちろん、納税者がそれぞれ元から保有している固有財産からも相続税を支払うことが困難である必要があります。

とはいえ、生活に必要なお金まで使わなければならないわけではなく、一定の金額は手元に残すことが可能です。

なお、延納が許可される限度額は次のように計算します。

【計算式】

A-{(B+C+D)-([E×3]+F)} 

【それぞれの要素】

A:納付すべき相続税の額

B:現金および国税の納付に充てることができる証券の額

C:預貯金の額

D:換価が容易な財産の額

E:1ヵ月分の生活費

F:事業の継続のために当面必要な運転資金の額

担保を提供すること

延納をするための要件として、担保が必要な場合があります。

なお、延納税額が100万円以下で、かつ延納期間が3年以下の場合には、担保を提供する必要はありません。

担保として提供できるものは次のものです。

  • 国債及び地方債
  • 社債その他の有価証券で税務署長が確実と認めるもの
  • 土地
  • 建物、立木、登記される船舶などで保険に附したもの
  • 鉄道財団、工場財団など
  • 税務署長が確実と認める保証人の保証

担保として提供する財産は、相続・遺贈によって取得したものに限られず、相続人が保有している財産や、第三者の財産であっても構いません。

申請書を提出すること

相続税の期限または延納申請の期限までに、延納申請書に担保提供関係書類を添付して税務署長に提出する必要があります。

様式や詳しい必要書類などは、国税庁ホームページで確認しましょう。

延納できる期間

延納できる期間は、相続財産における不動産価額の割合や目的物の区分によって異なります。

おおむね5年~20年に分けての延納が可能ですが、相続財産やケースによっても異なるので、詳しくは税理士や国税局に問い合わせて確認するのがよいでしょう。

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延納の手続き

ここからは、相続税の延納手続きの流れや必要書類について解説します。

延納をするには

延納をするには申請が必要で、申請をするにあたっては延納申請書・担保提供関係書類を税務署長に提出する必要があります。

延納の申請に必要な書類

  • 延納の申請に必要な書類は次のとおりです。
  • 相続税延納申請書
  • 金銭納付を困難とする理由書
  • 担保目録及び担保提供書
  • 不動産などの財産の明細書

相続税延納申請書

相続税の延納を申請するには、相続税延納申請書を作成して提出します。

申請書には、延納する相続税の額を区分に応じて記載するほか、分割納付のスケジュールを記載しましょう。

税務署から書類の提出を求められた場合には、速やかに応じる旨の確約書もあるので、対応する事項にチェックを入れてください。

金銭納付を困難とする理由書

申請書と一緒に、一括での金銭納付が困難であることを示す理由書を作成して提出しましょう。

金銭納付を困難とする理由書には、現金や預貯金、換価可能な財産などの記載項目があるので記載し、あらかじめ記載されている計算式に沿って計算をしてください。

担保目録及び担保提供書

延納額が高額で担保が必要な場合、担保目録及び担保提供書を作成して提出します。

提供する担保の種類によって書類が異なるので注意しましょう。

様式は、国税庁のホームページからダウンロード可能です。

不動産などの財産の明細書

不動産などの財産の明細書も作成して提出します。

財産の内容についての明細を記載するもので、フォーマットに従って財産の明細を記載して提出します。

担保提供関係書類

担保を提供する際は、担保提供関係書類も提出します。

国税庁のホームページでチェックリストをダウンロードできるので、抜け漏れがないかよく確認しましょう。

たとえば不動産である場合には、チェックリストにある登記事項証明書と固定資産税評価証明書がチェックリストに挙げられています。

提供する担保に応じた書類をチェックリストで確認して提出します。

利子税について

相続税を延納する場合は利子税の支払いが必要です。

ここからは、相続税の延納利子税について、延滞税との違いや計算方法などを解説します。

延滞税との違い

相続税の支払いができない場合の税金として延滞税というものがあります。

延滞税は、納期限までに支払えなかった場合にかかるもので、延滞をする場合にかかる利子税とは異なります。

利子税の計算方法

利子税は、残った相続税額に利子税の割合を乗じて以下のように求められます。

利子税=相続税額×利子税の割合

たとえば、相続税額が500万円で利子税の割合が2%だとすると「500万円×2%=10万円」となります。

相続税額の残額に応じて利子税がかかるので、繰り上げ返済のように早めに支払えるのであれば支払ってしまったほうが利子税の負担は少なくなるといえます。

延納特例基準割合とは

利子税は借金における利息のようなものであり、超低金利の現在のようなケースでは調整が必要となります。

そのため、延納特例基準割合というものを設け、その割合が年7.3%以下になった場合には、通常より低い税率が適用されることになっているのです。

延納特例基準割合は、国内銀行の貸出約定平均金利に1%を加算した割合とされており、特例が適用されると次のような割合で利子税が計算されます。

延納利子税割合(年割合)× 延納特例基準割合÷7.3%=特例適用後の利子税

延納期間・利子税の割合

延納期間と利子税の割合は、相続財産のうちの不動産の価額の割合と区分によって次のように異なります。

区分

延納期間

(最高)

延納利子税割合

(年割合)

特例割合※

不動産等の割合が75%以上の場合

①動産等に係る延納相続税額

10年

5.4%

0.6%

②不動産等に係る延納相続税額(③を除く)

20年

3.6%

0.4%

③森林計画立木の割合が20%以上の森林計画立木に係る延納相続税額

20年

1.2%

0.1%

不動産等の割合が50%以上75%未満の場合

④動産等に係る延納相続税額

10年

5.4%

0.6%

⑤不動産等に係る延納相続税額(⑥を除く)

15年

3.6%

0.4%

⑥森林計画立木の割合が20%以上の森林計画立木に係る延納相続税額

20年

1.2%

0.1%

不動産等の割合が50%未満の場合

⑦一般の延納相続税額(⑧、⑨および⑩を除く)

5年

6.0%

0.7%

⑧立木の割合が30%を超える場合の立木に係る延納相続税額(⑩を除く)

5年

4.8%

0.5%

⑨特別緑地保全地区等内の土地に係る延納相続税額

5年

4.2%

0.5%

⑩森林計画立木の割合が20%以上の森林計画立木に係る延納相続税額

5年

1.2%

0.1%

※この表の「特例割合」は、令和5年1月1日現在の「延納特例基準割合」である0.9パーセントで計算しています。

引用元:No.4211 相続税の延納

たとえば、納付する相続税が500万円、うち400万円が不動産の価額に対応するもので、残り100万円が動産に関するものだとしましょう。

そうすると、不動産等の割合が75%を超える区分で計算されます。

それぞれの延納期間、利子税率は以下のとおりです。

  • 動産:最高で10年の分割で、年利5.4%・特例割合0.6%
  • 不動産:最高で20年の分割で、年利3.6%・特例割合が0.4%

利子税や延納期間については、個人で正確に導き出すのが難しいケースもあるので、不安な場合は税理士に相談しましょう。

贈与税にも延納の仕組みがある

将来相続をする際の相続税対策として、生前贈与を検討することがあります。

生前贈与をする際には贈与税が発生することがあるのですが、贈与税も同様に一括での金銭納付が困難である場合には、延納が可能です。

延納をするよりも金銭の借入をするほうがよい場合もあるので注意

相続税の支払いができない場合の解決方法として、お金を借りて支払うという方法もあります。

金利が高くなって利子税が増えた場合、不動産担保ローンを利用してお金を借りて利息を支払うほうが安い・毎月の支払いを低く抑えられるといった場合があるのです。

延納と借入についてシミュレーションをしたうえで、毎月の支払い額を見比べて、お得な方法を選ぶようにしましょう。

まとめ

本記事では相続税の延納と、延納する場合の利子税について解説しました。

延納の要件は非常に厳しいうえに、複雑な計算が必要で、借入をする場合と比較してみることも欠かせません。

そのため、延納の手続きは税理士に相談しながらおこなうことをおすすめします。

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この記事の監修者
伊藤亮太FP事務所
伊藤亮太(FP)
資産運用・社会保障(特に年金)・保険を中心に提案を行っている。講演会や執筆物も多数。Webコンサルティングも行っており、幅広い提案が可能。
ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)編集部
編集部

本記事はベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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