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養親が亡くなったら相続権は?転縁組の場合や税に関する注意点も解説

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養子縁組とは血の繋がりのない親と子を、法律上親子関係があると認めることです。

養子となった子は民法上「嫡出子」と同じ身分となり、実の子と同じ扱いとなります。

もし、養子縁組をおこなった養親が財産を遺して亡くなってしまった場合、養子には相続権があるのでしょうか。

また養子縁組をおこなうことが相続税額に与える影響は何かあるのでしょうか。

今回は養子の相続権と相続税額に与える影響、また、その際の注意点について記載したいと思います。

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この記事に記載の情報は2023年10月31日時点のものです

養子縁組における2つの種類

まず、養子縁組について詳しく見てみましょう。

養子縁組には「普通養子縁組」と「特別養子縁組」の2種類があり、養子縁組で親になった人を養親、子供になった人を養子といいます。

以下でそれぞれの詳しい内容について見ていきましょう。

普通養子縁組

普通養子とは、養子が実の親との親子関係を保持したまま養子縁組をおこなうことをいいます。

つまり民法上、普通養子は「実の親」と「養親」の両方と親子関係を持ちます。

普通養子は戸籍上では「養子」「養女」として記載されています。

通養子縁組をおこなう際の条件は民法により規定されており、以下のとおりとなっています。

  • 養親、養子ともに合意していること(民法第802条)
  • 養親は成人であること(民法第792条)
  • 養子は養親の直系尊属(親や祖父、祖母等)でないこと(民法第793条)
  • 養子は養親より年齢が低いこと(民法第793条)
  • 後見人(未成年などの人の財産などを代わりに管理、保護する人)が被後見人を養子とする場合、家庭裁判所の許可を得ていること(民法第794条)
  • 配偶者がいる人が、未成年を養子にする場合、配偶者も養親となること(民法第795条)
  • 配偶者のいる人が養子縁組をおこなう場合、配偶者の許可を得ていること(民法第796条)
  • 養子が15歳未満の場合、養子の実親に許可を得ていること(民法第797条)
  • 養子が未成年の場合、家庭裁判所の許可を得ていること(民法第798条) など

特別養子縁組

特別養子縁組とは、養子が、戸籍上実の親との関係を完全に断ち切って養子縁組をおこなうことをいいます。

民法上実の親との親子関係は無くなり、養親とのみ親子関係を持ちます。

特別養子は戸籍上には「実子」と記載されます。

特別養子縁組をおこなう場合の条件も民法により規定されており、以下のとおりとなっています。

  • 養子は0~15歳までであること
  • 養親は成人していること(民法第817条)
  • 養親は婚姻していること(民法第817条)
  • 夫婦ともに養親となること(民法第817条)
  • 養親となる夫婦は、片方が25歳以上、片方が20歳以上であること(民法第817条)
  • 実の親の同意を得ていること(民法第817条)
  • 実の親が子を育てることが困難である等、特別な事情があること(民法第817条)
  • 家庭裁判所の審判をうけ、認可されていること(民法第817条)

養子縁組をした際の養子の相続権について

養親が財産を残して亡くなり、被相続者となった場合、養子は普通養子、特別養子ともに法定相続人となり、相続権を有します。

法定相続人とは、遺産を相続する際に、民法により規定された相続権を有する者の範囲のことをいいます。

また、法定相続人の間で、相続額の分配割合の協議が難航する場合もあります。

その際に民法により、被相続者との血縁関係から相続する財産の割合に一定の基準を設けています。

これを「法定相続分」といいます。

法定相続分による遺産分配の割合は以下のとおりとなっています。

 

配偶者の法定相続分

養親の子の法定相続分

養親に配偶者がいる(生存している)場合

遺産の50%

遺産の50%を子の人数により等分

養親に配偶者がいない(既に死亡)場合

0%

遺産の100%を子の人数により等分

以下では、普通養子と特別養子の相続権について具体例を出しながら記載します。

普通養子の相続権について

先述した通り、普通養子は、養親、そして実の親ともに法定相続人となり、養親、実の親が亡くなった際、両方で相続権があります。

また養親に血のつながった実の子がいても、上記法定相続分の割合の表に従い、法定相続分は血のつながった実の子と養子の人数で等分されます。

以下の例で養子の相続額がいくらになるか具体例を出して見ていきましょう。

養親の遺産が1億2,000万円で、養親に配偶者と実の子が2人(子供A,子供B)、普通養子が1人いた場合

配偶者の相続税額は1億2,000万円の50%なので6,000万円となります。

養子の相続額は1億2,000万円の50%の6,000万円を子供の数で等分したものになります。

養子の相続額は、養親の実の子と普通養子の人数の合計が3人なので

6,000万円×1/3=2,000万円

から2,000万円となることがわかります。

また法定相続分による相続額を以下の表にまとめておきます。

被相続人(養親)との関係

法定相続分

相続額

配偶者

遺産の50%

6,000万円

子供A(実の子供)

遺産の16.7%

2,000万円

子供B(実の子供)

遺産の16.7%

2,000万円

普通養子

遺産の16.7%

2,000万円

また、もし配偶者がいなければ、法定相続分による相続額は以下の表のとおりとなります。

被相続人(養親)との関係

法定相続分

相続額

配偶者

0%

0円

子供A(実の子供)

遺産の33.3%

4,000万円

子供B(実の子供)

遺産の33.3%

4,000万円

普通養子

遺産の33.3%

4,000万円

普通養子の実の親が財産1億2,000万円を残して亡くなり、実の親に配偶者と実の子が1人いた場合

この場合、養親は法定相続人とならず、法定相続分はありません。

また、養子は実の親との親子関係を保っていますので、養子、実の親の子供ともに法定相続人となります。

養子の実の親の配偶者の相続額は、1億2000万円の50%なので6,000万円となります。

養子の相続額は1億2,000万円の50%の6,000万円を子供の数で等分したものになります。

養子の相続額は、実の親の子と養子の人数の合計が2人なので

6000万円×1/2=3,000万円 から3,000万円となることがわかります。

また法定相続分による相続額を以下の表にまとめておきます。

被相続人(養子の実の親)との関係

法定相続分

相続額

配偶者

遺産の50%

6,000万円

実の子供

遺産の25%

3,000万円

普通養子に出された子供

遺産の25%

3,000万円

また、もし配偶者がいなければ、法定相続分による相続額は以下の表のとおりとなります。

被相続人(養子の実の親)との関係

法定相続分

相続額

配偶者

0%

0円

実の子供

遺産の50%

6,000万円

普通養子に出された子供

遺産の50%

6,000万円

特別養子の相続権について

特別養子は、民法上養親の嫡出子と同じ扱いになり、養親が亡くなった場合法定相続人となり、相続権があります。

ただし実の親との親子関係は特別養子縁組をおこなった際に切れますので、実の親が亡くなった場合は法定相続人とはならず、相続権はありません。

先ほど記載した2つの例の際の、特別養子の法定相続分と相続額を以下の表に記載しておきます。

養親の遺産が1億2,000万で、養親に配偶者と実の子が2人(子供A、子供B)、特別養子が1人いた場合

養親に配偶者がいる場合

被相続人(養親)との関係

法定相続分

相続額

配偶者

遺産の50%

6,000万円

子供A(実の子供)

遺産の16.7%

2,000万円

子供B(実の子供)

遺産の16.7%

2,000万円

特別養子

遺産の16.7%

2,000万円

養親に配偶者がいない場合

被相続人(養親)との関係

法定相続分

相続額

配偶者

0%

0円

子供A(実の子供)

遺産の33.3%

4,000万円

子供B(実の子供)

遺産の33.3%

4,000万円

特別養子

遺産の33.3%

4,000万円

特別養子の実の親が財産1億2,000万円を残して亡くなり、実の親に配偶者と実の子が1人いた場合

実の親に配偶者がいる場合

被相続人(養子の実の親)との関係

法定相続分

相続額

配偶者

遺産の50%

6,000万円

実の子供

遺産の50%

6,000万円

特別養子に出された子供

遺産の0%

0円

実の親に配偶者がいない場合

被相続人(養子の実の親)との関係

法定相続分

相続額

配偶者

遺産の0%

0円

実の子供

遺産の100%

1億2,000万円

特別養子に出された子供

遺産の0%

0円

転縁組の相続権について

転縁組(てんえんぐみ)とは、普通養子縁組をおこなった養子が、別の養親と養子縁組をおこなうことをいいます。

またこの転縁組は複数おこなうことができます。

その際すべての養親の相続権を有します

養子が相続税に与える影響について

養子は法定相続人となることについては既に理解していただいと思いますが、相続税には法定相続人の人数により変動する控除額や非課税額が存在します。

また法定相続人の人数により相続税自体も変動します。

ここでは養子が相続税に与える影響について見ていきましょう。

養子の数により変動する基礎控除額、非課税額、相続税

養子は法定相続人となりますが、法定相続人の人数により変動する控除額と非課税額には以下のものがあります。

  • 基礎控除額
  • 生命保険金の非課税額
  • 死亡退職金の非課税額

相続税は被相続人の遺産が一定の額を超えた場合に支払う必要があります。

これを基礎控除額といいます。

生命保険金は、被相続人が契約者(保険料支払い者)であり、保険金の受取人が妻などの法定相続人の場合みなし財産とされ、相続税の課税対象になります。

ただし、生命保険金には非課税額があります。

死亡退職金は、被相続人が退職する際に受け取るべきであった退職金を配偶者などの法定相続人が受け取ったものをいいます。

この死亡退職金もみなし財産とされ相続税の課税対象となります。

ただしこの死亡退職金にも非課税額があります。

以下にそれぞれの計算式を一覧にして記載しておきます。

控除、非課税の種類

計算式

基礎控除額

3,000万円+600万円×法定相続人の人数

生命保険金の非課税額

500万円×法定相続人の人数

死亡退職金の非課税額

500万円×法定相続人の人数

上記のとおり、法定相続人の人数が増えれば各控除額、非課税額は増額します。

基礎控除に関しては養子1人につき600万円増額、生命保険金と死亡退職金の非課税額は養子1人につき500万円増額します。

また相続税は累進課税制度となっており、課税する財産が多ければ多いほど相続税額も高くなります。

養子がいることにより基礎控除額が増額され、相続税額が下がることもあります。

法定相続人に認められる養子の人数の規定

法定相続人の人数により、先述した控除額や非課税額が変わってくるため、控除額や非課税額を算出する際の法定相続人に含まれる養子の人数に関して制限を設けています

制限は以下のとおりとなります。

  • 養親に実の子がいる場合は法定相続人の人数として含まれる養子の人数は1人まで
  • 養親に実の子がいない場合は法定相続人の人数として含まれる養子の人数は2人まで

ただし、養子であっても以下に該当する人は実の子供の扱いとなり、人数の制限にはかかりません。

  • 被相続人との特別養子縁組により被相続人の養子となっている人
  • 被相続人の配偶者の実の子供で被相続人の養子となっている人
  • 被相続人と配偶者の結婚前に特別養子縁組によりその配偶者の養子となっていた人で、被相続人と配偶者の結婚後に被相続人の養子となった人

また、基礎控除額、非課税額を増やす意図で養子縁組をおこなったと認められる場合は、基礎控除額、非課税額算定の際の法定相続にとして認めらません。

またこの養子の法定相続人の人数制限は、基礎控除額や非課税額の算定の際のみ限定されるもので、法定相続分には影響を与えません。

養親である被相続人の遺産が1億円で配偶者と実の子が1人、普通養子が4人いた場合の基礎控除額、それぞれの法定相続分、相続額は以下のとおりとなります。

内容

計算

計算結果

基礎控除額算定の際の法定相続人の人数

配偶者1人+実の子1人+普通養子1人

3人

基礎控除額

3,000万円+600万円×3人

4,800万円

配偶者の法定相続分

常に50%

50%

配偶者の相続額

1億円×50%

5,000万円

実の子の法定相続分

50%×1/5

10%

実の子の相続額

1億円×10%

1,000万円

普通養子の法定相続分

50%×1/5

10%

普通養子の法定相続額

1億円×10%

1,000万円

養子の代襲相続について

被相続人に子供がいたものの、相続開始時点で子供は亡くなっているが(被相続人からみて)孫がいる場合、孫が相続をおこなうことができます。

これを代襲相続といいます。

被相続人の直系卑属(子や孫)への代襲相続は永遠に下の代へおこなうことができます。

つまり、子がいなければ孫、孫がいなければひ孫が相続をおこないます。

養子の子の代襲相続

養子の子に代襲相続がおこなえるかについては養子縁組のタイミングが起点になっていて以下のとおりとなっています。

  • 養子縁組の成立前に誕生していた養子の子は、代襲相続をおこなうことができない
  • 養子縁組の成立後に誕生した養子の子は、代襲相続をおこなうことができる

養子は養親と養子縁組をおこなった日から血族関係になると民法で定められています。

代襲相続をおこなう場合、被相続人の直系卑属(血族関係にある子や孫)であることが必要ですが、養子縁組前に生まれた養子の子供に関しては、養子縁組後にも直系卑属になりません。

養子縁組をおこなう際の相続税上の注意点

養子縁組をおこなえば相続税上の控除額や非課税額が増額することは既にお伝えしましたが、養子縁組をおこなうことによる相続上の注意点もあります。

ここでは2つの注意点について記載したいと思います。

孫を養子にする場合、税金が2割加算される

被相続人の財産を1親等(被相続人の親及び子)もしくは被相続人の配偶者以外の人が相続する場合、相続税が2割加算されます。

被相続人が孫を養子にしていた場合、戸籍上は実の子供と同じ扱いになりますが、相続税の計算の際には「孫養子」として、相続税が2割加算されます。

遺産分割の割合で収拾がつかなくなる可能性がある

遺産分割をおこなう際に、相続人の人数が多ければ、相続分の協議が難航してしまう可能性があります。

養子は法定相続人に含まれますので、養子が1人増えるごとに、法定相続人の間で主張が食い違い、分割の割合の収拾が付かなくなってしまう可能性が高くなるといえます。

話し合いにより遺産分割が成立しない場合は家庭裁判所に調停を申し立てます。

調停が成立しなければ家庭裁判所において遺産分割の審判を受けることになります。

遺産分割が難航するということは、相続人間で争いが起こっているということですから、できることなら避けたい行為であるといえると思います。

まとめ

相続において、養子は養親の実の子と相続額について変わらないことをご理解いただけたと思います。

また養子縁組をおこなうことで基礎控除額や非課税額の増額があり、相続税上もメリットがあることもご理解いただけたと思います。

また、養子となった人は法定相続人となれますので、血族の法定相続人以外で財産を遺したい人がいる場合に、養子縁組をおこなうことも効果的です。 

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ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)編集部
編集部

本記事はベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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