相続税の申告は専門性が高く、多くの方が税理士に依頼するのが一般的です。
しかし「どの税理士に依頼すれば安心なのか」「費用やサポート内容に違いはあるのか」といった不安を抱く方も少なくありません。
当記事では、相続税を税理士に依頼するメリットや選び方を解説。
さらに、選ぶ際に注目すべきポイントもわかりやすく説明するので参考にしてください。
相続税の申告は税理士に一任するのがおすすめ。
正確な申告や節税対策、税務調査リスクの軽減のために、深い知識と経験をもつ専門家に依頼すべきです。
実際、国税庁の実績評価書(令和5年度)によれば、約86%の人が相続税申告を税理士に依頼しています。
以下、税理士への依頼が必要な3つの理由を具体的に解説します。
相続税の申告手続は特殊で高度な専門知識が要求されるため、相続税に精通した税理士に依頼することが極めて重要です。
相続税法は複雑かつ頻繁に改正され、財産評価には専門家でなければ見つけられない特例や評価減の要素が多数存在します。
例えば「小規模宅地等の特例」や「配偶者控除」といった節税効果の高い特例は、適用要件が非常に複雑です。
仮に特例の適用を誤り、申告後に税務署から指摘された場合、本来納めるべき税額に加えて追徴課税が発生するリスクがあります。
相続財産の評価は評価方法によって納税額が大きく変わるため、専門的な知識と豊富な実務経験を持つ税理士への依頼が不可欠です。
例えば土地は、路線価方式や倍率方式といった基本的な評価方法に加え、土地の形状・立地条件などを考慮した要素によって評価額が大きく異なります。
財産の評価は税理士の裁量に委ねられる部分が大きいのが実情。
相続に強い税理士は、現地調査なども含めて多角的に土地を評価し、最大限の評価減を目指します。
そのため、税理士に依頼すると数百万円単位で相続税額が下がるケースも少なくありません。
税理士は、二次相続(次の相続)まで見据えた遺産分割のアドバイスや、将来の税務調査リスクを軽減するための申告書の作成が可能です。
例えば、一次相続で配偶者が多くの財産を相続すると、その配偶者が亡くなった際の二次相続で子どもたちの税負担が重くなる可能性があります。
相続問題を得意とする税理士は、こうした将来のリスクを考慮した遺産分割案を提案できます。
相続とは一度とは限りません。
目先の相続税申告だけでなく、将来のリスクやライフプランを踏まえた相続手続が重要です。
また、税理士が作成し署名した申告書は税務署からの信頼性が高く、税務調査の対象となる可能性を低減させる効果もあります。

税理士に依頼すると、無駄な税金の支払いを回避でき、複雑な手続きによる手間と時間を大幅に削減し、税務調査への不安から解放される大きなメリットがあります。
金銭的な利益だけでなく、精神的な安心感をもたらすでしょう。
税理士に相続税申告を依頼すれば、複雑な手続きや書類作成から解放されて精神的・時間的ストレスを大幅に軽減できる点が大きなメリットです。
相続税の申告には、多数の書類収集(戸籍謄本、住民票、残高証明書など)や複雑な財産評価、正確な申告書の作成といった作業が伴います。
役所や金融機関に足を運んで書類を収集するだけでも大きな負担となりますが、税理士に依頼すれば、必要な作業を全て代行してもらえるため、相続人は自身の生活に集中できるでしょう。
税理士は税務の専門家であるため、ミスのない正確な申告をします。
税務調査による指摘や追徴課税のペナルティを受ける心配がありません。
申告ミスがあると、次のような高額なペナルティが科される可能性があります。
| ペナルティの種類 | 状況 | 税率 |
| 無申告加算税 | 相続税の申告を期限までにおこなわなかった場合 | 最大20% |
| 過少申告加算税 | 税金を少ない金額で記載して申告した場合 | 最大15% |
| 重加算税 | 税務署が悪質な隠蔽や偽装をしていると判断した場合 | 最大40% |
税理士に依頼せずに自力で申告作業を進めた場合、計算ミスや申告漏れなどをおこなってしまう可能性は否定できません。
ペナルティが科されれば、本来支払うはずのない費用が必要となります。
しかし税理士なら、納税者の経済的・精神的負担を防げます。
相続に強い税理士は特例や控除を適切に適用し、合法的な範囲で相続税額を最小限に抑え、無駄な税金の支払いを回避できます。
相続税には次のような多くの特例や控除が存在し、適切に判断・適用するには専門的な知識と経験が必要です。
| 制度 | 詳細 |
| 配偶者の税額軽減 | 配偶者が相続する財産は、法定相続分または1億6,000万円まで非課税 |
| 小規模宅地等の特例 | 故人の自宅や事業に使っていた土地の評価額を最大80%減額 |
| 相次相続控除 | 10年以内に同じ財産が連続して相続された場合、2重課税を軽減する控除 |
| 未成年者控除 | 相続人が未成年者である場合、成人するまでの年数×10万円が控除 |
| 生命保険金の非課税 | 500万円×法定相続人の数まで非課税 |
例えば被相続人の自宅があった土地を相続する際、「小規模宅地等の特例」を適用すると、土地の評価額を最大80%減額できる可能性があります。
税理士は個々の状況を丁寧にヒアリングし、利用できる全ての特例を検討します。
結果として数百万円から数千万円単位の節税に成功するケースも少なくありません。
税理士事務所の多くは、弁護士や司法書士といったほかの専門家と提携しています。
税務以外の相続に関する問題(遺産分割の争い、不動産登記など)が発生した場合でも、適切な専門家を迅速に紹介してもらえ、手間がかかりません。
相続手続は税務、法律、登記など多岐にわたる専門知識を要するため、ひとつの専門家だけでは対応しきれない場面もあります。
例えば、遺産分割協議で相続人間に対立が生じてまとまらない場合は、弁護士のサポートが必要。
また、相続した不動産の名義変更は司法書士への依頼が適切です。
こうした状況が発生しても、税理士から信頼できる弁護士を紹介してもらえば、複数の専門家を個別に探す手間や、それぞれの専門家への情報伝達の煩雑さがなくスムーズな手続きができるでしょう。
相続税申告を税理士に依頼した場合の費用は、遺産相続の金額をもとに割り出されることが一般的です。
事前に見積もりを取得し、費用の内訳を理解しておきましょう。
相続税申告の税理士報酬は、遺産総額の0.5%〜1.0%が一般的な相場。
遺産総額が高くなるほど、税理士報酬も高額になります。
| 遺産総額 | 費用相場 |
| 5,000万円 | 250万円~500万円 |
| 1億円 | 500万円~1,000万円 |
| 2億円 | 1,000万円~2,000万円 |
| 3億円 | 1,500万円~3,000万円 |
ただし、相続人の数や不動産の数・複雑さ、非上場株式の有無など、作業量が増える要素があれば加算報酬が発生し、報酬は高くなる傾向があります。
費用の詳細は別記事もあわせて読んでください。
税理士の報酬は、申告手続にかかる手間や複雑さに応じて変動するのが一般的。
特に以下のようなケースでは、基本報酬に加えて追加の費用が発生し、総額が高くなる傾向があります。
また書面添付制度を利用する場合も、手間と責任が伴うため、費用が高くなるケースがあります。
書面添付制度とは、税理士が申告内容をどう検討・確認したかを明らかにすること。
税務調査の可能性を下げる効果が期待できます。
相続税の税理士費用は、相続人全員で分担して支払うか、代表相続人が支払うことが一般的です。
誰がどのように負担するかは法律で定められておらず、相続人全員の合意に基づいて決定されます。
税理士報酬は相続税の計算対象から控除できないため、遺産そのものから支払われる費用とは異なり、納税者である相続人が負担すべき費用です。
税理士に依頼する場合には、支払い方法について事前に相続人全員で話し合っておきましょう。

相続税申告を後悔なく進めるためには、信頼できる税理士を見つけることが重要。
ポイントを意識して安心して任せられる税理士を選びましょう。
相続税申告は、相続税申告を得意とする税理士に依頼しましょう。
税理士のなかには相続税申告の経験が乏しい人もいるため、見極めが不可欠です。
税理士事務所のWebサイトには通常、専門分野や得意業務が記載されているので、参考にしてください。
年間の相続税申告件数、相続税専門のスタッフ数、相続税に関する研修への参加状況なども、専門性を判断する重要な指標となります。
申告手続の最中、税理士とは何度も情報共有や相談をおこなう必要が生じるため、面談しやすく、いつでも相談できる体制が整っている事務所を選ぶべきです。
アクセスの悪い場所やオンライン面談に対応していない事務所では、手続きに支障が生じる可能性があります。
具体的には、以下の点を確認しておくと後々のストレスを軽減できるでしょう。
また、「レスポンスが早いか」も重要なポイント。
迅速な対応をしてくれない税理士には、不信感がつのりやすいです。
ほかの専門家と連携体制を持つ税理士事務所を選ぶと、手続きが滞ることなくスムーズに解決できる可能性が高まります。
全ての税理士事務所において連携体制が取れているとは限らないため、正式契約前に確認しておきましょう。
例えば遺産分割で争いが生じた場合、税理士が提携している弁護士を紹介してもらえば、税務と法律の両面から適切なアドバイスを受けられ、結果的に申告が遅れるリスクを回避できます。
また、不動産の名義変更が必要な場合には司法書士と連携できれば、二度手間を防ぎ、効率的な手続きが可能です。
追加費用が発生する心配を防ぐには、基本料金に含まれるサービス内容と追加費用の発生条件が明示されている事務所を選ぶのがおすすめ。
税理士費用は事務所によって大きく異なります。
多くの事務所が遺産総額に応じて報酬を設定していますが、特に「一式〇〇円」といった曖昧な表示や、具体的な作業内容の記載がない場合は、後に予期せぬ費用が発生するトラブルに繋がる可能性があるため注意が必要です。
「初回無料相談時に見積もりを提示してくれるか」「見積もり内容について丁寧に説明してくれるか」をチェックしましょう。
相続税申告後に税務調査を受ける可能性に備え、リスクを最小限に抑えてくれる税理士を選びましょう。
税務調査に強い税理士は、税務署の視点を理解して調査で指摘されにくい申告書作成のノウハウを持っています。
また豊富な実績と税務調査への対応力をもつ税理士であれば、万が一、調査が入った場合でも安心です。
具体的には、過去の税務調査対応件数が豊富で、「〇〇税務署での対応実績がある」といった経験談を聞ける税理士は信頼できるでしょう。
また、税務調査が入った際に「追加料金なしで対応してくれるか」「税務署との折衝も全て任せられるか」といった点も、契約前に確認すべき重要な要素です。

税理士を選ぶときには、さらに3つの点を理解して注意すると失敗しません。
注意点を事前に把握しておくと、トラブルを避けられます。
「報酬の安さ」を謳う税理士事務所は、低品質な申告や高額な追徴課税、隠れた追加費用といったリスクが潜んでいる可能性があり、安易に飛びつくべきではありません。
相続手続は手間と時間がかかるもの。
相場より明らかに安い報酬を提示する事務所は、申告書の作成に十分な時間をかけなかったり、適用できる特例を見落としてしまったりする可能性があります。
結果的に、納税額+税理士報酬で考えたときにコストが高くなったり、後日税務調査で多額の追徴課税を受けたりすることも考えられます。
「成功報酬制」を謳う税理士事務所は、コストが高くなるリスクがあるため注意してください。
成果報酬型とは、例えば「特例を利用し土地の評価額を低く抑えた場合、その節税分に対して◯%の成果報酬が追加発生する」という費用体系。
成功報酬型の費用体系が違法なわけではありません。
ただし成功報酬が加算されることで思ったよりも費用がかかってしまうことがあります。
事前に明確な費用総額を提示してもらえないケースも多いため、納得したうえで依頼することが重要です。
複数の税理士事務所から見積もりを取ることは、相場感を把握し、費用対効果の高い事務所を見つけられます。
例えば、同じ遺産総額であっても、A事務所とB事務所で提示される見積もり額に数十万円の差が生じることも珍しくありません。
単に金額だけでなく、それぞれの見積もりに含まれるサービス内容や税理士との相性なども比較することで、どちらが自身のニーズに合っているかを判断できます。
ただし、相続税の申告には期限(相続発生から10ヵ月)があります。
税理士への依頼から手続き完了までは3ヵ月程度かかるのが一般的なため、相続発生から半年以内には依頼する税理士事務所を決定しましょう。
相続税申告について、多くの方が抱く疑問にお答えします。
これらの質問と回答を参考に、より良い判断をしてください。
相続税の申告において、税理士に頼まなくてはいけないという法的ルールはありません。
頼まないで自分で申告することも可能です。
ただし、相続税の申告には専門知識と膨大な労力が必要。
多くのリスクを伴うため、税理士に一任すると安心かつ精神的負担を減らせます。
また、相続財産が基礎控除額以下の場合、そもそも相続税の申告は必要ありません。
基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人数」で計算されます。
自分で申告をしたい方は、次の記事が参考になります。
税理士との面談に相続人全員が同席することは必須ではありません。
代表の相続人が税理士と連絡を取り、ほかの相続人にはその内容を適宜報告する形で手続きを進めることは可能です。
ただし、相続税申告は相続人全員の協力が不可欠。
遺産分割協議において各相続人の意見が対立している場合や、特定の相続人に関する複雑な財産がある場合は、全員または関連する相続人が同席することを求められる場合があります。
各相続人が直接税理士から説明を受けることで、認識のズレを防ぎ、スムーズな意思決定につながるでしょう。
相続でトラブル(特に遺産分割の争い)が発生した場合、税理士に全ての業務を依頼できません。
税理士は税務面でのアドバイスはできますが、法律的な紛争解決は弁護士の占領業務です。
例えば、遺産の分け方について相続人同士の意見が対立している場合、税理士は遺産分割案ごとの税額シミュレーションを提供することはできますが、法的な仲介や交渉、調停・審判への代理人としての参加はできません。
このような場合は、税理士から信頼できる弁護士を紹介してもらい、法律的な側面からの解決を図るのが賢明です。
もしすでに相続トラブルを抱えている場合、税理士ではなく弁護士に相談しましょう。
相続に強い弁護士はポータルサイト「ベンナビ相続」で探せるので、ぜひ活用してみてください。
相続税の申告は一生に何度も経験するものではなく、知識不足や判断ミスが大きな損失につながりかねません。
税理士に依頼すれば、煩雑な手続きを安心して任せられるだけでなく、特例や控除を駆使した節税、将来を見据えたアドバイスまで得られます。
結果として、金銭面のメリットと精神的な安心感を両立できるでしょう。
ただし、「税理士であれば誰でもよい」というわけではありません。
相続税申告の知識・経験が豊富で、税務調査にも対応できる税理士を選びましょう。
法的なトラブルに備え、弁護士や司法書士と連携が取れるかも重要なポイントです。
もしすでに相続人間でトラブルが発生している場合は、弁護士への依頼が適切かもしれません。
「ベンナビ相続」で相続問題に強い弁護士を探してみてください。
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