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公開日:2016.3.4  更新日:2021.6.3

相続税の改正ポイントまとめ|相続対策における基礎知識

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2016年1月1日に、相続税法が大幅に改正されました。

以前から「三代で財産がなくなる」とまで言われていた相続税ですが、相続のルールが変わったことでメリットもデメリットも従来に増して、繊密な生前対策や相続発生後の遺産分割、適切な土地評価が求められるようになったことは事実です。

 

相続税負担の増大から資産を守るために、改正後どのような相続税法となったのかをまずはしっかりと頭に入れ、早めに対策を練るようにしましょう。 

 

この記事に記載の情報は2021年06月03日時点のものです

相続税の改正で課税対象者は増加する

冒頭でも記述しましたが、2016年1月1日に相続税が改正され、結論から言うと従来と比べて増税となりました。ではなぜ、そもそも今回相続税が改正されたのでしょうか?

改正前の相続税はバブル期に不動産の時価が高騰していた時に決められた内容であり、今回の改正の背景には、相続税を支払う人の割合が低下していたことが挙げられます。

 

以前は不動産が異常に高くなっていたために、不動産を相続した相続人が高額な相続税を支払うために土地や建物を売らなければならず、相続人の生活維持に大きな負担となっていました。しかしバブル崩壊以降は、不動産時価が暴落したにも関わらず、相続税の内容はバブル期に制定されたままになっていたのです。

 

これにより平成26年までは相続税を支払う人の割合が日本全国で僅か4%台という低い数字になっていました。そこで消費税増税等に伴い、富裕層向けの相続税についても見直しを行い、相続税税収についても確保していこうという背景のもとで約20年ぶりに相続税が改正されたのです。

 

《相続税の課税件数割合及び 相続税、贈与税収の推移》

 


(出典「財務省」)


今回の改正により、現行の相続税課税対象者は数%増える見込みであると予想されています。また、都心部に標準的な居住用宅地を所有されている被相続人の相続については、申告件数が現在の2~3倍に増えると予想され、相続税の割合が年々減ってきていることからも、増税の方向性がうかがえます。ご自身が相続税申告の対象になるかどうか判断が難しい場合は税理士に相談してみるのが最も安全かと思われます。相談したときの費用についてはこちらの【税理士に依頼した場合の費用の相場と税理士報酬の考え方まとめ】にまとめておりますので合わせてお読みください。

 

税制改正された主な5つのポイント

基礎控除額の引き下げ

相続財産にはすべて税金がかかるわけではありません。相続税の計算では、法廷相続人(相続財産を引き継ぐ権利のある人)の人数に応じて、一定額を差し引くことが出来ます。これにより、一定額以内には相続税がかかりません。この、誰にでもある一定額の控除を、基礎控除と言います。

これまでは、【5,000万円+1,000万円×法定相続人の数】でしたが、改正により【3,000万円+600万円×法定相続人の数】に変更となりました。

 

これにより、相続税の課税対象者が増える形になりました。3,600万円からの相続税の課税となると、都内で一軒家を遺して相続になった場合はほぼ当てはまると言ってもいいでしょう。

未成年者控除・障害者控除の引き上げ

基礎控除は引き下げとなりましたが、未成年者控除と障害者控除はともに6万円から10万円へと引き上げられました

また、特別障害者控除は12万円から20万円に引き上げられました

 

相続税率の変更

下記相続税の速算表の2億円超部分が45%に、6億円超部分が55%に引き上げられました。

法定相続人の
取得金額

現行

改正後

税率

控除額

税率

控除額

1,000万円以下

10%

10%

1,000万円超 3,000万円以下

15%

50万円

15%

50万円

5,000万円超 5,000万円以下

20%

200万円

20%

200万円

5,000万円超 1億円以下

30%

700万円

30%

700万円

1億円超 2億円以下

40%

1,700万円

40%

1,700万円

2億円超 3億円以下

45%

2,700万円

3億円超 6億円以下

50%

4,700万円

50%

4,200万円

6億円超

55%

7,200万円

小規模宅地等の評価見直し

死亡した被相続人が居住していた宅地を同居している親族が相続し、住居として使う等の要件を満たした場合、改正前は【240㎡までの宅地面積は税金の金額の80%が減額対象】でしたが、今回の改正により【330㎡までの宅地面積は税金の金額の80%が減額対象】と、拡大されました。

土地に関する評価に関しては、「土地の相続税と簡単に計算する方法|今からでも間に合う節税の知識」の記事も参考にして下さい。

贈与率の引き下げ

現行の6段階から8段階に変更されます。最高税率が50%から55%になるのも、相続税と同じです。また、若年世代への資産の早期移転を促進する観点から、20歳以上の人が直系尊属から贈与を受けた場合は、税率が軽減されます。

≪贈与税の税率早見表≫

 

基礎控除後の
課税価格

現行

改正後

税率

控除額

税率

控除額

200万円以下

10%

10%

200万円超 300円以下

15%

10万円

15%

10万円

300万円超 400万円以下

20%

25万円

20%

25万円

400万円超 600万円以下

30%

65万円

30%

65万円

600万円超 1,000万円以下

40%

125万円

40%

125万円

1,000万円超 1,500万円以下

50%

225万円

45%

175万円

1,500万円超 3,000万円以下

50%

225万円

50%

250万円

3,000万円超

50%

225万円

55%

400万円

また改正後は、一般贈与財産と特例贈与財産とに分けられることになりました。特例税率の適用がある財産を特例贈与財産、それ以外を一般贈与財産としています。

特定税率が適用される財産とは、直系尊属から贈与を受けた場合となります。直系尊属とは自分を軸にしたときの縦の親族です。自分の父母や祖父母などが該当します。直系尊属以外の親族には自分の兄弟や伯叔父母が該当し、伯父からもらった財産は一般贈与財産として一般税率を使って贈与税を計算することになります。

 

改正案に伴う相続税対策の5つのポイント

分割して生前贈与を行う

年間110万円までは贈与をもらっても税金がかかりません。このため、例えば年間110万円ずつを10年間にわたり生前贈与すると合計1100万円もの財産を無税で移転することが可能となります。さらに子や孫の人数が複数人になれば、それだけ無税で移転できる金額も大きくなります。                                                                                                   

生前贈与の相続税対策は相続税の節税対策の中では最もポピュラーで実施している人が多い特例です。具体的には「110万円の贈与(暦年贈与)が相続税対策になる仕組みと行う場合の注意点」の記事を参考にしてみて下さい。

当面使わない貯蓄は生命保険に回す

当面使うアテのない貯蓄があるなら、その分を生命保険に回すのもひとつの手です。遺族が受け取る生命保険の保険金は「500万円×法定相続人の数」までは税金がかからないため、被相続人が保険に入るだけで大幅な節税になります。

遺言の利用を検討する

資産相続争いのリスクを減らすには遺言書の作成が有効です。

自筆証書遺言は、ご自身で手軽に作成できる遺言書ですが、遺言者が遺言内容の全文、日付及び氏名を自書し、署名の下に押印して作成する遺言書であり、民法の規定に沿ったものでないと無効になってしまいます。

 

また、公正証書遺言は、公証役場で公証人が遺言者の想い・真意を文章にまとめて作成する遺言のことで、専門家による正確な遺言書が作成できます。

 

小規模宅地等の特例が適用できる居住環境を整える

前述したように、【330㎡までの宅地面積は税金の金額の80%が減額対象】と土地の評価減の効果が大きく改正されたため、この特例が適用できるかどうかで相続税の額が大きく異なってきます。

土地の地価が高い地域では、資産家でなくても自宅を所有しているだけで相続税の基礎控除額を超える財産となることも珍しくありませんが、小規模宅地等の特例が適用できれば土地の評価額が8割も減額されるため、相続税がゼロになることも多くあります。

 

親との同居や二世帯住宅等も視野に相続税の対策と親孝行を兼ねて、小規模宅地等の特例が適用できる居住環境を整えることで相続税を大きく節税することが可能になります。なお、この特例を受けられるケースは次のとおりです。確認しておきましょう。

 

・被相続人の自宅を相続する人が配偶者であること
・被相続人の自宅を相続する人が同居親族で10カ月の申告期限まで所有し居住し続けること
・被相続人が一人暮らしで、その自宅を相続する人が3年以内に自己(または自己の配偶者)所有の自宅に住んでおらず、10カ月の申告期限まで所有し続けること
・被相続人と生計一の親族の自宅の土地を配偶者が相続すること
・被相続人と生計一の親族の自宅の土地をその生計一親族が相続し、10カ月の申告期限まで所有し居住し続けること

シミュレーションを行う

何度も相続税額の概算を計算しましょう。インターネット上で、入力を行うと自動計算してくれるサービスもありますし、詳しい計算方法は「相続税の計算の仕方」をご覧ください。

相続税の計算の仕方

昨今の財政悪化の中、法人税、所得税、消費税に比べて相続税は今後も負担増加が見込まれる項目と言えます。そのような状況の中で、やはりのんびり構えていて良いとは言えません。相続税の試算はなるべく早くにしておきましょう。今回のように改正が行われた場合や、自身の財政環境が変わった場合も行うことをおすすめします。

以下に、相続税の試算の手順を記述します。

 

①、相続税の課税遺産総額を算出します


《計算式》
相続した財産額-(非課税+債務+葬式費用)+(みなし相続財産+相続開始前3年以内生前贈与財産+相続時精算課税制度適用財産)-基礎控除額=課税遺産総額

 

②、①で算出した課税遺産総額を、法定相続分で取得したものとして各人の税額を計算します


《計算式》
各人の法定相続分に応じた金額×相続税の税率

 

③、②で計算した各人の相続税額を合計して相続税の総額を計算します


相続税の計算は、「相続税の税率は何%?簡単な計算方法と節税に有効な非課税措置まとめ」の記事にも詳細を記述しています。

 

相続税額を抑えて相続税申告するなら、相続税専門の税理士に依頼

誰が相続税の申告を行っても、納める相続税額は同じ金額になると思っていませんか? 実は、その考えは間違っています

税理士業務の中でも「相続税の申告」は非常に特殊なもので相続税の専門的な知識が求められます。税理士ごとに、計算される相続税額が異なることも少なくないのです。

ここでは、「相続税専門」の税理士に依頼することが相続税を抑えることにつながる理由についてご紹介します。

税理士にも得意分野がある

医者に外科や内科などの専門分野があるように、税理士にも専門分野があります

税理士になるには、「所得税法」「法人税法」「相続税法」「消費税法又は酒税法」「国税徴収法」「住民税又は事業税」「固定資産税」のうち、所得税法と法人税法を含む3つの科目に合格することが求められます。つまり、相続税について勉強せず税理士になった人も数多くいるのです。

 

税理士にも専門分野があります

 

一般的な税理士の仕事は法人税や所得税の申告です。全国の年間の相続税申告件数は約10万件なのに対し、税理士は約8万人存在しています。つまり、税理士一人あたりの相続税の申告件数は年間で1~2件程度が実状です。全国に企業が400万社以上あることからも、いかに相続税の申告業務が稀であるか理解できるでしょう。

 

税理士1人の年間相続税申告件数は約1.25人

 

そのため、相続税の申告を数多くこなしている税理士は少なく、専門的に扱っていない税理士に依頼すると、本来払わずに済んだ税金を支払う事態になりかねません

相続税を抑えるために必要なこと

相続税を抑えるためには、相続財産(特に土地や家屋)を正しく評価することや、特例・各種控除などを適用させることが必要不可欠です。

相続税の金額を正しく計算するには、もとになる遺産の価値を正しく評価する必要があります。預金や株式といった金銭価値がはっきりしているものであれば問題ありませんが、土地や家屋、さらに車などの一般動産や家財一式などの評価は難しく、税理士や税務署によって解釈が異なることもあり、遺産の価値を過大に評価してしまうこともあるのです。

また、相続税額を抑えるには控除や特例を利用することが不可欠ですが、適用条件が複雑なこともあり、適用できるのに気づかなかったり、適用できるかどうかの判断が困難な場合もあります。

 

税理士でも財産評価や控除・特例の適用判断は難しい

 

さらに、本来の金額よりも少ない金額を誤って申告してしまうと、税務調査が行われ、延滞税や加算税などの追微課税が発生し、本来よりも高い税金を納めなければならないといった事態になりかねないのです。

相続税の申告は「相続税専門」税理士に依頼

あなた自身や経験の少ない税理士では、正しく申告するのが困難な場合もあるでしょう。そのため当サイト編集部では、相続税を専門に取り扱う税理士に依頼することを強く推奨しています。

依頼した場合は税理士報酬を支払う必要はありますが、それを上回って相続税額を抑えられることも少なくありませんし、ご自身での申告書作成から申告までの一連の手間や税務調査に対処する手間も省けます。

相続税専門の税理士に相談すれば相続税額を抑えられる

 

相続税を専門とする税理士は、相続問題解決が得意な弁護士と提携しているケースもあります。

相続弁護士ナビでは、税理士・司法書士・不動産鑑定士などと業務提携している事務所も多数掲載中です。

無料相談も可能ですので、まずはご相談ください。

 

 

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まとめ

相続税改正によって、これまでは一部の富裕層向けの税金という印象が強かった相続税が、より身近な税金となりました。今後の相続税対策として、1つの相続対策にこだわりすぎず、広い視野で様々な対策を併用すると良いでしょう。

 

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相護士ナビ編集部

本記事は相続弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※相続弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
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