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生前贈与のメリット・デメリット|必要書類や税金の計算方法を解説

川崎相続遺言法律事務所
関口 英紀 弁護士
監修記事
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「自分の財産については、できるだけ税金は少なくし、より多くを子どもに渡したい」と考える方も多いでしょう。

もしくは、どうすれば相続税を減税できるかを調べているうちに「生前贈与」という方法があると知った方もいるかもしれません。

生前贈与とは、ご自身が存命のうちに配偶者や子どもなど、財産を渡したい方に贈与しておく方法です。

うまく活用すれば、節税効果が期待できます。

さらに、生前贈与には「暦年贈与」と「相続時精算課税制度」という2つの方法があります。

どちらを選択するのがよいかは個々のケースによるでしょう。

今回は生前贈与の概要やメリット、デメリット、生前贈与によって節税効果を発揮するためのコツなどについて解説します。

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目次

生前贈与とは「生きているうちに財産を他者に渡す手続き」のこと

被相続人が存命中に他者に財産を贈与することを「生前贈与」といいます。

先に財産を渡しておけば、遺産総額が減少するため、相続税の節税対策として効果的です。

ここでは、生前贈与の種類や相続との違いについて解説します。

生前贈与の種類

生前贈与には「暦年贈与」と「相続時精算課税制度」の2種類があります。

 

暦年贈与

相続時精算課税制度

非課税枠

年間110万円

累計2,500万円

対象

1月1日~12月31日の1年間におこなわれた贈与

原則60歳以上の父母・祖父母から18歳以上の子ども・孫への贈与

非課税限度額を超えた場合の税率

課税対象額×10~55%

課税対象額×20%

税務署への申告

年間110万円までなら不要

必要

暦年贈与|年間110万円まで贈与税が非課税

暦年贈与とは、1月1日から12月31日までの1年間で110万円という贈与税の非課税枠を活用し、相続時の節税を図る方法です。

特に以下のようなケースで活用するのが効果的といえるでしょう。

【暦年贈与が向いているケース】

  • 被相続人が元気で、相続発生まで時間がたっぷりある場合
  • 推定相続人ではない孫がいる場合

暦年贈与では一人あたり年間で110万円しか贈与できないため、多額の財産を移動させようと思えば、長い時間がかかります。

十分な効果を得たければ、できるだけ早い時期に贈与を開始するのが賢明といえるでしょう。

そのため、被相続人がまだまだ元気で、相続開始まで十分に時間がありそうな場合に向きます。

また、相続人にはならない予定の孫がいる場合も効果的でしょう。

相続人以外への贈与分は、相続財産には含まれないためです。

相続時精算課税制度|累計2,500万円まで贈与税が非課税

相続時精算課税制度とは、2,500万円までの生前贈与であれば贈与税はかからず、相続時に贈与分を相続財産と合計し、相続税額を算出、納税する方法です。

2,500万円を超えた分の贈与については、贈与を受けたときに20%の贈与税を支払わなくてはなりませんが、贈与税として支払った分は相続税からは控除されます。

また、暦年贈与との併用はできず、一度、相続時精算課税制度を利用すれば、再び暦年贈与を利用することはできません。

相続時精算課税制度の活用が向いているのは、以下のようなケースです。

【相続時精算課税制度が向いているケース】

  • 相続財産の総額が、相続税の基礎控除額内に収まる場合
  • 相続時に遺産をめぐる争いが予想される場合
  • 遺産に収益不動産が含まれる場合
  • 事業承継がある場合

相続財産の総額が、相続税の基礎控除額(=3,000万円+600万円×法定相続人の数)以下である場合は、相続時精算課税制度の利用がおすすめです。

相続税を支払わずに済むため、大きな節税効果が期待できるでしょう。

また、相続時精算課税制度を利用すれば、自分で各財産の相続人を決められます。

特に、特定の相続人にどうしても継がせたい財産がある場合は、確実に贈与でき、遺産分割協議での相続人同士の争い防止にもつながるため、最適な方法といえるでしょう。

さらに、遺産に収益不動産が含まれる場合も大きな節税効果が期待できます。

これは、収益不動産によって得られた収益は、相続財産に含められるためです。

被相続人の保有期間が長いほど相続財産が大きくなり、多額の相続税がかかるでしょう。

早めに生前贈与をしておけば、相続財産の総額を抑えることにつながります。

ほかにも、事業承継がある場合は、一般的に相続時精算課税制度を利用して相続します。

財産が大きいため暦年贈与では間に合わないうえ、タイミングを見てうまく利用すれば、相続時に大きな節税効果が望めるからです。

生前贈与と相続の違い

生前贈与も相続も、被相続人の財産を譲渡するという点で共通します。

どちらも贈与にあたっては「相続税法」において定められた税金が発生し、その意味合いは類似するといえるでしょう。

では、生前贈与と相続は何が違うのでしょうか。

それぞれの違いを下表にまとめました。

 

生前贈与

相続

手続きのタイミング

被相続人の存命中

被相続人の死後

手続きの対象者

被相続人と贈与された相手

相続人または受遺者

課される税金

贈与税

相続税

課税対象者

贈与を受けた方

相続人または受遺者

税金手続きのタイミング

贈与の翌年の2月1日~3月15日

被相続人の死後10ヵ月以内

生前贈与のメリット

生前贈与には、以下のメリットがあります。

相続税や贈与税の節税効果がある

生前にうまく贈与をしておけば、相続財産が減るため、相続税を減らすことができます。

たとえば、資産が8,000万円、相続人は2人という場合を考えてみると、以下のようになります。

【生前贈与をしなかった場合】

・相続税の基礎控除額

3,000万円+600万円×2=4,200万円

・相続税の対象額

8,000万円-4,200万円=3,800万円

【暦年贈与を利用して相続人2人にそれぞれ1年あたり100万円ずつ、10年間生前贈与をした場合】

・相続税の基礎控除額

3,000万円+600万円×2=4,200万円

・相続税の対象額

8,000万円-100万円×10年×2人分-4,200万円=1,800万円

このように、相続財産として相続税の対象となる額には、2,000万円もの差が生まれるのです。

贈与する相手を自由に選べる

生前贈与をおこなわず、遺言書も作成していなければ、遺産の分割方法は遺産分割協議をとおして相続人全員で話し合って決めます。

そのため、被相続人が意図しなかった相続人の元へ財産が渡る可能性もあるでしょう。

生前贈与をしておけば、ご自身の財産の行き先を自分で決められます。

そうすることでご自身の思いを実現できるうえ、相続人同士でトラブルになるのも防げる可能性が高いでしょう。

贈与する時期を自由に決められる

贈与する時期にも決まりがないため、タイミングをうまく見計らえば、大きな節税効果を得られる可能性もあります。

相続時精算課税制度を利用して贈与した財産は、相続時に相続財産として評価されることになりますが、その評価額は贈与した時点の価額を採用するからです。

たとえば、これから価値が上昇する可能性の高い株式を、まだ非常に安値であるうちに贈与すれば、相続時にその株価がどれだけ高騰していたとしても贈与時の価格が採用されます。

生前贈与のデメリット

亡くなる3年以内の贈与は相続税の対象となる

暦年贈与でも、相続が発生する3年以内におこなわれれば、相続税の対象となります。

ただし、採用される評価額は贈与時点のものです。

税務署に認めてもらえない可能性もある

贈与者と受遺者の双方が了承したと認められなければ、生前贈与とはみなされません。

税務署に生前贈与を認めてもらえなかった事例としてよくあるのが、贈与する被相続人が、勝手に相続人名義で口座を作って自分の財産を移し、贈与される相続人がその事実を知らないケースです。

そのほか、現金の手渡しやへそくりなども税務署から認めてもらえず、課税対象となる可能性があります。

生前贈与を成立させるためにも、贈与の際は必ず双方の了承を得たうえでおこないましょう。

さらに贈与契約書を作成しておくと、生前贈与の事実を立証できるので安心です。

生前贈与を上手に活用するコツ

生前贈与をうまく活用すれば、大きな節税効果が期待できます。

ここでは、少しでも節税効果を発揮するためのコツを紹介します。

暦年贈与の非課税枠110万円を活用する

暦年贈与は、一人につき年間110万円までの贈与であれば、贈与税も相続税もかかりません。

うまく活用すれば非常に大きな節税効果を得られるでしょう。

ただし、定期贈与とみなされないように注意する必要があります。

定期贈与とは、毎年一定の金額を贈与するとあらかじめ決めたうえでおこなわれる贈与のことです。

たとえば、「今後10年間、毎年100万円ずつ、総額で1,000万円を贈与する」と取り決めておこなわれた贈与は、暦年贈与でなく定期贈与とみなされ、贈与税が発生します。

定期贈与だとみなされないためには、贈与がある度に贈与契約書を作成するとよいでしょう。

それぞれの年に単発で贈与があったとみなされやすくなり、贈与税の課税を免れやすくなるはずです。

できるだけ多くの人に贈与する

同じ金額を贈与するにしても、贈与する人数が多くなれば贈与税の額は少なくなります。

これは、一人当たりの贈与額が小さくなるうえ、税率も低くなるためです。

以下では、1,000万円の財産を1人に贈与した場合、2人、5人に贈与した場合の贈与税額をそれぞれ計算しました。

贈与される人数が増えるほど、贈与税額が少額になることがおわかりいただけるでしょう。

受贈者の人数と贈与額

税率

控除額

贈与税額

1人に1,000万円

30%

90万円

177万円

【計算式】

・贈与税対象額

1,000万円-110万円=890万円

・贈与税額

890万円×30%-90万円=177万円

2人に500万円ずつ、合計1,000万円贈与

15%

10万円

48万5,000円(一人あたり・合計税額は97万円)

【計算式】

・贈与税対象額

500万円-110万円=390万円

・贈与税額

390万円×15%-10万円=48万5,000円

5人に200万円ずつ、合計1,000万円贈与

10%

9万円(一人あたり・合計税額は45万円)

【計算式】

・贈与税対象額

200万円-110万円=90万円

・贈与税額

90万円×10%=9万円

なお、表中の税率や控除額は、国税庁の下記サイトで公開されている特例贈与財産用の数値を使用しています。

【参考】:国税庁|No.4408贈与税の計算と税率(暦年課税)

将来価値が上がりそうな財産から贈与する

実際に相続が発生した際には、生前贈与分を相続財産に持ち戻して相続税を計算しなくてはなりません。

その際に用いられるのは、贈与時点の評価額です。

つまり、贈与時点の評価額が低いほど有利になります。

そのため、贈与をするなら贈与時点では価値が低いものの、将来的に価値が上がると見込まれるものから贈与するのがもっとも節税効果が期待できる方法といえるでしょう。

逆に、贈与時点よりも相続時点のほうが評価の低い財産であれば、相続税の算出において損をします。

贈与の際は、タイミングをよく見極めることが大切です。

生前贈与は特例を利用すれば節税効果がさらにアップする

生前贈与には、より大きな非課税枠のある特例もあります。

上手に活用すれば、より大きな節税効果が期待できるでしょう。

住宅取得資金贈与|最大1,000万円まで非課税

令和4年1月1日から令和5年12月31日までの間に、父母や祖父母など直系尊属から贈与された資金で、家屋を新築したり増築したりすれば、省エネ住宅の場合は最大1,000万円まで、それ以外の住宅の場合は最大500万円まで、贈与税が非課税となります。

対象者や対象物のより詳しい要件、特例を受けるための手続き方法については、下記国税庁のホームページを確認してください。

【参考】国税庁|No.4508直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税

教育資金一括贈与|最大1,500万円まで非課税

平成25年4月1日から令和5年3月31日までの間に、父母や祖父母など直系尊属から30歳未満の方に対して教育資金として贈与された資金については、最大1,500万円まで贈与税が非課税となります。

ただし、特例が適用されるためには、その贈与が金融機関等との教育資金管理契約に基づいたものでなければなりません。

詳しい概要については、下記国税庁のホームページに記載されています。

また、この制度の適用期間は令和5年度の税制改正大綱により、令和8年3月31日まで延長される予定です。

【参考】国税庁|No.4510直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税

結婚・子育て資金の一括贈与|最大1,000万円まで非課税

平成27年4月1日から令和5年3月31日までの間に、父母や祖父母などの直系尊属から、18歳以上50歳未満の方に結婚・子育て資金として贈与された資金については、最大1,000万円まで贈与税が非課税となります。

ただし、特例が適用されるためには、その贈与が金融機関等との結婚・子育て資金管理契約に基づいたものでなければなりません。

詳しい概要については、下記国税庁のホームページを確認してください。

また、この制度の適用期間は、令和5年度の税制改正大綱により、令和7年3月31日まで延長される予定です。

【参考】国税庁|No.4511直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税

夫婦間での不動産贈与|最大2,000万円まで非課税

婚姻期間が20年以上の夫婦間で、居住用不動産の贈与、または居住用不動産取得用の資金の贈与があった場合、贈与税の基礎控除110万円に加えて最大2,000万円まで控除されます。

ただし、贈与された不動産、または贈与資金によって購入した不動産には、贈与された年の翌年3月15日までに、贈与された方が住んでおり、そのあとも住み続ける見込みでなければなりません。

この特例を受けるための手続き方法などは、国税庁の下記ページから確認できます。

【参考】国税庁|No.4452夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除

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生前贈与でかかる贈与税の計算方法

生前贈与は上手く活用すれば節税効果の高い方法ですが、具体的にどれくらいの贈与税を支払う必要があるのか気になる方も多いでしょう。

ここでは、生前贈与でかかる贈与税の計算方法を紹介します。

暦年課税の場合

暦年贈与を利用する場合の課税額は下記の計算式で求めます。

贈与税額=(1年間に受けた贈与の合計額-110万円)×税率-控除額

上記式中の税率と控除額は、贈与されたものが「一般贈与財産」と「特例贈与財産」のどちらにあたるかで異なります。

「特例贈与財産」とは、親や祖父母などの直系尊属から、18歳以上※の受贈者に対して贈与される財産のことです。

また、「一般贈与財産」とは「特例贈与財産」以外の贈与財産のことを指します。

贈与金額ごとの税率と控除額は、それぞれ以下のようになります。

 

特例贈与財産(直系尊属から

18歳以上の受贈者への贈与財産※)

一般贈与財産(特例贈与財産以外のの贈与財産)

基礎控除後の課税対象となる金額

(=1年間に受けた贈与の合計額-110万円)

税率

控除額

税率

控除額

200万円以下

10%

0円

10%

0円

300万円以下

15%

10万円

15%

10万円

400万円以下

15%

10万円

20%

25万円

600万円以下

20%

30万円

30%

65万円

1,000万円以下

30%

90万円

40%

125万円

1,500万円以下

40%

190万円

45%

175万円

3,000万円以下

45%

265万円

50%

250万円

4,500万円以下

50%

415万円

55%

400万円

4,500万円以上

55%

640万円

55%

400万円

※(注) 令和4年3月31日以前の特例贈与財産の贈与については、直系尊属から「20歳以上」の受贈者に贈与される財産が対象となります。

相続時精算課税の場合

相続時精算課税制度を利用する場合の贈与税額は、以下の計算式で求めます。

贈与税額=(贈与された分の合計額-2,500万円)×20%

また、令和5年度税制改正大綱により、この制度を利用した場合の相続税の計算方法が改正されることとなりました。

これまでは、相続税の計算時には、贈与された分の全額を相続財産に持ち戻さねばなりませんでしたが、改正により110万円までは持ち戻す必要がないことになります。

不動産の生前贈与では別の税金もかかるので注意

不動産を生前贈与する場合、贈与を受けた方は贈与税や相続税のほかにも、不動産取得時にかかる税金を支払わなくてはなりません。

登録免許税の計算方法

登録免許税とは、不動産の贈与を受けたあと、法務局で名義変更の登記手続きをする際にかかる税金です。

登録免許税額は以下の計算式で求めます。

登録免許税額=固定資産税評価額×税率(2%)

固定資産税評価額とは、不動産を売買したり所有し続けたりする際にかかる税金を計算する際の基準となる価格です。

その額は、毎年役所から送られてくる納税通知書に添付されている「固定資産税課税明細書」で確認できます。

納税通知書などが見当たらない場合は、不動産の所在地の役所で固定資産課税台帳を閲覧するか、固定資産税評価証明書を取得するとよいでしょう。

不動産取得税の計算方法

不動産取得税とは、土地や家屋などの不動産を購入、贈与、建築などをした際にかかる税金です。

その額は、以下の計算式で算出します。

不動産取得税額=固定資産税評価額×税率(3%)

住宅以外の家屋の場合、その税率は4%となります。

生前贈与と相続はどっちがいい?損益分岐点の考え方

生前贈与をして贈与税を支払うのと、相続時に相続税を支払うのとでは、どちらがよいのか気になるところでしょう。

どちらが得かはケースによりますが、相続税よりも低い税率で贈与できたり、適用可能な特例があるのであれば、生前贈与のほうがよい場合が多いでしょう。

課税対象となる金額に対する相続税の税率、控除額は以下のとおりです。

【相続税の税率】

課税対象となる金額

税率

控除額

1,000万円以下

10%

3,000万円以下

15%

50万円

5,000万円以下

20%

200万円

1億円以下

30%

700万円

2億円以下

40%

1,700万円

3億円以下

45%

2,700万円

6億円以下

50%

4,200万円

6億円超

55%

7,200万円

引用元:国税庁|No.4155相続税の税率

生前贈与よりも相続のほうがよいケースもある

相続財産の総額が相続税の基礎控除額の範囲内に収まるのであれば、相続税の申告は不要であり、相続税もかからないため、節税のためにわざわざ生前贈与をする必要はありません。

相続税の基礎控除額は下記の計算式で求められます。

相続税の基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数

ほかに、適用可能な贈与税の特例がない方も、生前贈与よりは相続時に贈与するのがよいでしょう。

生前贈与の流れ

節税を目的に生前贈与をしたいと考えるなら、ただ相手に財産を贈与するだけでは十分とはいえません。

意図したとおりの節税効果を得るためにも、以下のように進めましょう。

①贈与する財産・相手を決める

まずはどの財産を誰に贈与するのかを決めましょう。

自分一人で決めてしまうより、相手の意向も聞いたうえで決定するのが望ましいところです。

②贈与者と受贈者で贈与契約書を作成する

贈与にあたっては、贈与契約書を作成しておきましょう。

多少の手間がかかるとしても、きちんと作成しておくことで相続人同士の争いを防げますし、あとになって税務署に贈与と認めてもらえないといった事態も起こりにくくなります。

贈与契約書の作成方法などは、下記の記事を参考にしてください。

【関連記事】【サンプル付】贈与契約書とは|生前贈与を行う際の書き方や注意点

③財産の贈与・名義変更をする

贈与契約書を交わしたら、実際に財産を贈与します。

財産の種類によっては名義変更手続きが必要です。

必要書類を準備して進めましょう。

不動産を生前贈与する場合の必要書類

不動産を生前贈与し、名義変更するには下記の書類が必要です。

  • 登記申請書
  • 登記原因証明情報(贈与契約書など)
  • 対象不動産の登記済権利証または登記識別情報通知
  • 対象不動産の固定資産評価証明書
  • 贈与者の印鑑証明(発行してから3カ月以内)
  • 贈与を受ける方の住民票
  • 登録免許税分の収入印紙
  • 本人確認書類

登記申請書は法務局の下記ページからダウンロードするか、記載例を参照して作成するとよいでしょう。

【参考】法務局|不動産登記の申請書様式について

法務局|不動産を贈与した場合の申請書の様式・記載例

④贈与税の申告・納付をする(贈与税が発生する場合)

贈与税を納める必要がある場合は、申告のうえ納付しましょう。

贈与税の申告は、財産を取得した翌年の2月1日から3月15日の間に贈与税申告書を税務署に提出しておこないます。

申告についての詳細は、下記国税庁作成の資料から確認できます。

【参考】国税庁|贈与税の申告のしかた

生前贈与をする前に知っておくべきポイント

ここまで生前贈与の概要について解説してきましたが、まだまだ知っておきたいポイントがあります。

亡くなる3年以内の贈与は課税対象になる

暦年贈与を利用すれば、年間110万円以下の贈与であれば贈与税が発生しません。

しかし、亡くなる3年以内におこなわれた贈与については相続財産として加算され、相続税の課税対象となります。

そのため、亡くなる直前に駆け込みのように贈与しても、あまり意味がないのです。

また、令和5年度の税制改正大綱によって、加算の対象となる期間が延長になります。

令和6年1月1日以降の贈与については、亡くなる7年以内の贈与については相続財産として加算しなくてはなりませんので注意しましょう。

贈与のたびに贈与契約書を作成する

暦年贈与において大切なのは、定期贈与とみなされないようにすることです。

税務署に毎年贈与することがあらかじめ決まっていたように捉えられれば、年間110万円以下の贈与であっても贈与税が課せられてしまいます。

定期贈与とみなされないためには、贈与があるたびに贈与契約書を作成することが大切です。

贈与契約書を作成し、内容をきちんと整備すれば、定期贈与ではなく、不定期におこなわれた贈与であったとみなされやすくなり、贈与税を支払わずに済むでしょう。

生前贈与で現金を手渡しするのは避ける

現金を手渡しする方法で生前贈与をおこなえば、税務署に詳細がわからず、相続税や贈与税が加算されないのではないかと考える方もいるかもしれません。

しかし、現金の手渡しによる生前贈与はおすすめできません。

税務署には必ずバレますし、記録に残っていない使途不明金として相続財産に加算される可能性があるからです。

結局相続税を請求され、損をすることになるでしょう。

また、110万円以下の贈与であっても、記録がない状態での贈与は、定期贈与とみなされるケースもあります。

正しく節税効果を得るためにも、現金を手渡しするのは避けましょう。

自力での手続きが不安な場合は弁護士に依頼する

生前贈与を自分で正しくおこなえるか不安な方は、弁護士に依頼するのがおすすめです。

弁護士に依頼すれば、ご自身が亡くなったあとに親族間でのトラブルが起こらないように進めてもらえますし、贈与契約書などの書類作成も任せられます。

司法書士や税理士と連携していることも多いので、不動産を生前贈与したい場合や、節税対策が気になる場合なども安心でしょう。

生前贈与に関する疑問やトラブルは弁護士に相談!

生前贈与をするメリットには、節税効果が期待できるほか、財産を渡したい方に確実に渡せることが挙げられます。

生前贈与をしておけば、遺産分割時に親族間でのトラブルが起こる可能性が低くなり、ご自身も相続人も安心して過ごせるでしょう。

また、生前贈与をめぐって既にトラブルが起きそうな場合や疑問がある場合は、ぜひ弁護士に相談ください。

大きなトラブルに発展しないよう、弁護士が適切にアドバイスのうえ、解決まで手厚いサポートを受けられます。

特に、親族同士の争いごとは後々まで影響しますから、事が大きくならないうちに、早めに弁護士に相談することをおすすめします。

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本記事はベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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