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遺留分放棄を後悔したら?撤回できるケースと手続きの大まかな流れ

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被相続人の生前に遺留分放棄をしたものの、撤回したいと考えている方も多いのではないでしょうか。

遺留分放棄とは、遺留分の権利をもつ人がその権利を自発的に放棄することです。

遺留分を放棄すると、遺留分の権利者は遺留分侵害額を請求できなくなります。

また、遺留分放棄を撤回できるケースについて知りたい方も少なくありません。

遺留分はしっかり受け取りたいと考えるのは当然です。

ただし、遺留分放棄の撤回については注意点も多くあります。

遺留分放棄の撤回をスムーズにおこなうためにも、早い段階で弁護士や司法書士に相談するのがおすすめです。

本記事では、遺留分放棄の撤回が認められるケース、手続きの流れや注意点について解説します。

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原則として遺留分放棄の撤回(取消し)は認められにくい

遺留分放棄は、遺産相続において重要な権利を放棄する行為です。

したがって、遺留分放棄をおこなう場合は、その意思が確固としてあることを示す必要があります。

そのため、遺留分放棄をしたあとに撤回することは原則できません

しかし、遺留分放棄の原因となった事情に変更が生じた場合は、家庭裁判所に対して遺留分放棄の取消しを請求することが可能です。

遺留分放棄の撤回が認められる可能性があるケース

遺留分放棄の撤回は、どのような場合に認められるのでしょうか。

ここでは、遺留分放棄の撤回が認められるケース2つをそれぞれ解説します。

1.遺留分放棄の原因となった事情に変化が生じたケース

遺留分放棄の原因となった事情に変化が生じたケースとは、遺留分放棄者が放棄した時点での事情と、遺産分割協議や裁判の時点での事情が異なる場合を指します。

たとえば、遺留分放棄者が放棄した時点では相続人との関係が良好であったものの、そのあとに争いが起きた場合や、遺留分放棄者が放棄した時点では、ご自身の財産状況が経済的困難に陥った場合などが該当します。

このような場合、遺留分放棄者は遺留分放棄の取り消しを求めることができるかどうかについて、法律上の問題が生じます

2.遺留分放棄が本人の自由意思に基づいていないケース

遺留分放棄が本人の自由意思に基づいていないケースとは、相続人が遺留分を放棄することに対して、不利益や圧力を受けたり、誤解や欺瞞によって誘導されたりした場合を指します。

このような場合、遺留分放棄は無効となる可能性があります。

遺留分放棄の無効を主張するには、自身が相続人となって相続が開始したことを知った日から1年以内に裁判所に申し立てなければなりません。

遺留分放棄の無効を主張する際には、本人の自由意思に基づいていなかったことを証明する必要があるでしょう。

遺留分放棄の撤回をするための大まかな手順|3ステップ

遺留分放棄の効果は、一般に不可逆的なものとされています。

したがって、遺留分放棄の許可審判がなされたあとに、放棄者の意思が変わっても、取り消すことはできません。

ただし、放棄者の生活状況や家族関係などが大きく変化し、客観的に見て遺留分放棄を維持することが不合理・不相当であると認められる場合には、裁判所は職権で放棄許可審判を取り消すことができます。

(審判の取消し又は変更)

第七十八条 家庭裁判所は、審判をした後、その審判を不当と認めるときは、次に掲げる審判を除き、職権で、これを取り消し、又は変更することができる。

引用元:家事事件手続法 | e-Gov法令検索

このような場合、放棄者は裁判所に対して職権発動の申し立てをする必要があるでしょう。

ここでは、遺留分放棄を撤回するためのステップ3つをそれぞれ解説します。

遺留分放棄許可の取消しを求める申し立て書を作成する

遺留分放棄許可の取消の申し立てをする場合、その理由を明確にする必要があります。

申立書には、取消しを求める原因となった事情を詳細に記載します。

ただし、放棄許可の取り消しを求める理由が不明確だと、裁判所から追加の資料や説明を求められることがあるため注意しましょう。

遺留分放棄を認めた家庭裁判所に必要書類を提出する

遺留分の放棄を許可する審判は、家庭裁判所の権限によって取り消すことが可能です。

したがって、遺留分の放棄を撤回したいと思う場合は、放棄の許可を出した家庭裁判所に対して遺留分放棄の許可の取り消しを請求します。

これにより、家庭裁判所が認めた場合に限り撤回することができます。

ただし、基本的に撤回の請求ができるのは、自身が相続人となって相続が開始したことを知る前です。

相続が開始されたあとに遺留分放棄の撤回をすることは、特別な事情がある場合に限られます。

家庭裁判所が取消しを認めるかどうかの判断をする

遺留分放棄の原因となった事情が変わっているかどうかは、家庭裁判所の判断によります。

事情が変わっても、家庭裁判所が放棄を取り消すべきと考えなければ申し立ては却下されます。

過去の取り消し事例と似ているとしても、各ケースは個別に判断されるので認められないこともあるでしょう。

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遺留分放棄の撤回が認めらなかった場合の対処法

遺留分放棄の撤回は、必ず認められるとは限りません。

ここでは、遺留分放棄の撤回が求められなかった場合の対処法についてそれぞれ解説します。

相続開始前|被相続人に公平な遺言を残すよう求める

遺言は、被相続人の権利や利益を守るために重要な文書です。

しかし、遺言を作成する際には、相続人に対する財産の公平な配分を考える必要があります。

公平な遺言とは、被相続人の関係性や状況を考慮し、適切な財産の分割や相続税の負担を定めることです。

公平な遺言を残すことで、相続人同士の争いやトラブルを防ぐことができます。

また、遺言者の意思や価値観を反映することもできるでしょう。

遺言を作成する際には、専門家の助言やサポートを受けることも有効です。

相続開始後|相続開始後の撤回は厳しい

相続開始後は権利関係も確定するため、万が一撤回を認めてしまうと権利関係に混乱が生じてしまいます。

よって、よほど特殊な事情でない限り、家庭裁判所が遺留分侵害請求の撤回を認めることはないと考えられます。

遺留分放棄の撤回に関する注意点

遺留分放棄の撤回をおこなう場合には、どのような注意点があるでしょうか?

ここでは、主な注意点2つをそれぞれ解説します。

1.重大な理由がなければ撤回は認められない

遺留分放棄の許可が家庭裁判所からおりた場合、そのあとに放棄を取り消すことは困難です。

しかし、許可が出たあとに申し立ての根拠となった事情が変化した場合、裁判所は放棄許可審判を無効にすることができます。

このような場合、再び家庭裁判所に申し立てをおこない許可を得る必要がありますが、容易ではありません

単に気分が変わったり、家族との関係が悪化したりといった軽い理由では、取り消しは認められないため注意しましょう。

【撤回が認められない可能性が高い理由】

  • 遺留分放棄の意思表示が相続人全員の同意を得ている
  • 遺留分放棄の意思表示が公正証書によって作成されている
  • 遺留分放棄の意思表示が遺言書に記載されている

2.相続開始後の撤回は原則として認められない

相続開始後に遺留分放棄を取り消すことはほとんど不可能です。

相続が始まると相続人の権利も確定してしまうため、遺留分放棄の取り消しを認めると相続人間の権利関係が崩れてしまいます。

遺留分放棄の取り消しを認めるには、非常に特別な事情が必要であり、家庭裁判所がそれを認めるケースは稀です。

さいごに|遺留分放棄を撤回したいなら一度弁護士に相談しよう

遺留分放棄の撤回をすることになった場合、相続人同士で思わぬトラブルに発展する可能性があります。

そのため、被相続人に遺言書を残すよう求めたり、遺留分侵害額請求訴訟を起こす必要があるでしょう。

ただ、遺留分放棄の撤回に関する全ての手続きを相続人自らがおこなうのは難しいものです。

そのため、遺留分放棄の撤回の必要が出てきた段階で、早めに専門家に相談する必要があるでしょう。

専門家に依頼することで面倒な手続きを一任でき、相続人同士のトラブルにも対応してもらえます。

そして、弁護士などの専門家を探す方法のひとつにベンナビ相続」の活用があります。

ベンナビ相続は、相続問題を解決するために専門的な知識と経験をもつ弁護士を紹介するポータルサイトです。

全国各地の相続に強い弁護士が登録されており、自宅や職場から近い弁護士を簡単に検索することが可能です。

地域や相続問題の種類などの条件によって、ご自身に合った弁護士を探せます

さらに、平日の昼間に相談できない方のために夜間・休日の相談や、オンラインでの相談も可能な法律事務所もあります。

遺留分放棄の撤回が発生した場合には、なるべく早めに弁護士へ相談してみることをおすすめします。

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この記事の監修者
井澤・黒井・阿部法律事務所 東京オフィス
黒井 新 (第二東京弁護士会)
2002年弁護士登録。15年以上の実績のなかで多くの相続問題に取り組み、その実績を活かし、相続分野における著書執筆や不動産の講演・セミナーへ登壇するなど、活動の幅は多岐に渡る。
ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)編集部
編集部

本記事はベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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