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相続税の税理士報酬の相場|相続財産の種類によって変わる報酬の計算方法

板山翔税理士事務所
板山 翔(税理士)
監修記事
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「相続税の税理士報酬はどの程度かかるのか知りたい」

「税理士報酬をできるだけ安く抑えて依頼したい」

相続が発生した際、相続税の申告手続を税理士に依頼するケースは多く見られます。

しかし、税理士に依頼したいと考えているものの、どの程度の費用がかかるのか把握できておらず、踏みとどまっている方も少なくないはずです。

そこで本記事では、相続税申告における税理士報酬の相場を紹介します。

税理士報酬の内訳や変動要素なども詳しく解説するので、費用面の不安を抱えている方は参考にしてみてください。

この記事に記載の情報は2024年10月17日時点のものです

相続税申告における税理士報酬の相場と内訳 | 遺産総額の0.5%~1.5%が相場

相続税申告における税理士報酬は、遺産総額の0.5%~1.5%が相場とされています。

ただし、実際には相続人の数や適用する特例の有無などによっても税理士報酬は変動するため、参考程度に考えておきましょう。

税理士報酬は主に基本報酬と加算報酬で構成されており、さらにそのほかの変動要素を加味したうえで最終的な金額が決定されます。

税理士に依頼する際の基礎知識として、まずは報酬の内訳を詳しく見ていきましょう。

基本報酬|遺産総額に基づいて計算される報酬

基本報酬は、相続税申告を税理士に依頼すると必ず生じる費用を指し、一般的には遺産総額に基づいて算出されます。

遺産総額が多くなればなるほど申告手続の作業量は増えていくため、基本報酬も比例して高くなるケースがほとんどです。

依頼先によっても料金体系は異なるので、基本報酬の金額を一概に示すことはできませんが、以下の表をひとつの目安にしてみてください。

遺産総額

基本報酬の目安

~5,000万円

20万円~50万円

~1億円

50万円~100万円

~2億円

100万円~200万円

~3億円

150万円~300万円

加算報酬|相続財産の種類などによって加算される料金

加算報酬とは、相続財産の種類や相続人の人数など、相続の状況によって加算されていく料金のことです。

ここでは、加算報酬が発生する主な条件を見ていきましょう。

相続人が複数いる場合

相続人が複数いる場合、加算報酬を求められることがあります。

これは、相続人の数が多いと、相続順位の決定や遺産の配分といった手続きが複雑になるためです。

一般的には、相続人の数が増えるごとに、基本報酬の約10%が加算されていきます。

たとえば、基本報酬が30万円で相続人が2人いる場合は3万円、3人いる場合は6万円程度の加算報酬が発生します。

なお、加算報酬と対象となる人数には上限が設けられていることもあるので、相続人の数が多い場合は事前に確認しておくことが大切です。

相続財産の中に非上場株式がある場合

加算報酬が発生するケースのひとつに、相続財産の中に非上場株式がある場合もあります。

非上場株式の価値を評価するには企業の規模や資産額、負債などの調査が必要になるので、基本報酬のなかでは対応してもらえないことがあります。

加算される金額は、非上場株式1社につき15万円程度が目安といえるでしょう。

相続財産の中に土地がある場合

相続財産の中に土地がある場合も、加算報酬が発生します。

土地評価額の算定作業は非常に複雑で、税理士にとっても難易度の高い分野です。

場合によっては、現地調査をおこなったり、税理士本人が税務署と交渉したりすることもあります。

そのため、相続財産に土地が含まれる場合は、比較的高額な加算料金の支払いが必要です。

目安としては、1区分につき5万円程度と考えておきましょう。

その他のケース

上述したもの以外にも、加算報酬が発生するケースはいくつかあります。

まずは、相続税申請の書面添付をおこなう場合です。

書面添付とは、相続税の算出根拠などが記載された書類を申告手続にあわせて提出することを指します。

税務調査の対象から外れる可能性を高めるために用いられる方法ですが、別途書類作成が必要なので基本的には加算報酬を求められることになるでしょう。

依頼日から申告期限までの期間が短い場合も、基本的には加算報酬の支払いが必要です。

期限に間に合うように、税理士も優先的に作業しなければならないため、追加の費用がかかります。

税理士事務所によっては独自の加算報酬を設けていることもあるので、イレギュラーな対応を依頼する場合は見積もりをとるなど、報酬を正確に把握したうえで依頼するようにしましょう。

遺産額以外の変動要素

税理士報酬には、遺産額以外の変動要素もあります。

主に2つの変動要素があるので、ご自身の依頼内容にあてはまる場合は注意しましょう。

適用する特例の有無

相続税の申告にあたって、特例を適用する場合は報酬が高くなる可能性があります。

これは、特例を適用するには個別の調査や書類作成が必要になり、手間と時間を要してしまうためです。

「小規模宅地の特例」や「農地等の納税猶予制度」などの利用を検討している場合は、料金加算の有無を確認しておくとよいでしょう。

国際相続があるか

国際相続があるかどうかも、税理士報酬の変動要素となるので注意が必要です。

国際相続とは、相続にあたって財産が国内外をまたぐことを指します。

外国税額控除を用いたり、現地のスタッフに不動産の調査を依頼したりと特別な手続きが必要になるため、比較的高額な報酬を求められるケースがほとんどです。

依頼先や依頼内容によっては、一般的な報酬の1.5倍程度を上乗せされるケースも想定されます。

【ケース別】相続税にかかわる税理士報酬の相場

次に、相続税にかかわる税理士報酬の相場をケース別に見ていきましょう。

「相続税試算」「相続発生後の相続税申告」「相続税還付」「税務調査立会い」を依頼する場合を想定して、それぞれに要する費用を3つの税理士事務所を例に紹介します。

相続税試算

相続税の試算を依頼する場合、税理士報酬の相場は以下のとおりです。

事務所名

税理士法人チェスター

岡野雄志税理士事務所

辻和彦税理士事務所

基本報酬

15万円

10万円

10万5,000円

その他

相談料2万円

(1時間につき2万円/ ※初回面談時に依頼した場合は無料)

加算報酬9万円

(土地1ヵ所~2ヵ所につき9万円)

加算報酬4万2,000円

(土地1ヵ所につき2万1,000円)

合計

17万円

19万円

14万7,000円

※預貯金5,000万円、土地を2ヵ所持っている場合の報酬額を試算

相続発生後の相続税申告

相続発生後の相続税申告を依頼する場合、税理士報酬の相場は以下のとおりです。

事務所名

税理士法人チェスター

岡野雄志税理士事務所

辻和彦税理士事務所

基本報酬

20万円~55万円

39万円

25万円

(遺産総額×0.5%)

加算報酬(土地分)

12万円

(土地1ヵ所につき6万円)

10万円

(土地1ヵ所につき5万円)

10万5,000円

(土地1ヵ所につき5万2,500円)

加算報酬(相続人分)

8万円~10万円

(基本報酬額×10%×(相続人の数-1))

7万8,000円

(基本報酬額×10%×(相続人の数-1))

(個別算定となる可能性あり)

合計

40万円~77万円

56万8,000円

35万5,000円~

※預貯金5,000万円、土地を2ヵ所持っていて、相続人が3人いる場合の報酬額を試算

財産調査

相続税申告を依頼すると、まず財産調査がおこなわれます。

財産調査とは、相続人や相続財産を明らかにするための調査です。

相続人の範囲は、戸籍などを確認しながら確定させていきます。

財産に関しては、預貯金や不動産をはじめとしたプラスの財産だけでなく、借金や未払い金などのマイナスの財産がないかどうかも調査することになります。

申告書作成

相続人や相続財産が確定したら、申告書の作成に移ります。

申告書の作成にあたっては、財産の価値を評価したり、個々の状況にあわせて控除や特例を適用したりしなければなりません。

相続税申告は税理士でも得意不得意が分かれる専門性の高い分野とされており、知識・経験のない素人では対応が難しいケースも多く見られます。

申告

申告書の作成が完了すると、税務署への申告手続がおこなわれます。

相続税の申告期限は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヵ月以内です。

税理士に依頼しておけば計画的に手続きを進めてもらえるはずですが、申告期限が迫っている場合は、加算報酬がかかることもあるので注意してください。

各種名義変更手続きのサポート

相続が発生したときは、相続税の申告とあわせて、各種名義変更手続きもおこなわなければなりません

預貯金や自動車の名義変更程度であれば、自力でも対応できるケースがほとんどですが、不動産を相続する場合は法務局での登記手続が必要です。

不動産の数や権利関係によっては、専門家でなければ対応が難しいこともあるでしょう。

税理士は登記の専門家である司法書士と連携している場合が多いので、サポートが必要な場合は相談してみてください。

相続税還付

相続税の還付手続を依頼する場合、税理士報酬の相場は還付額の25%~40%程度です。

たとえば、100万円の還付を受けられたのであれば、25万円~40万円程度を税理士に支払うことになります。

なお、相続時の還付期限は、相続の開始を知った日の翌日から5年10ヵ月以内です。

期限までに余裕がない場合は加算報酬が発生する可能性もあるので、早めに依頼することをおすすめします。

税務調査立会い

税務調査の立会いを税理士に依頼する場合、報酬の相場は以下のとおりです。

 

フジヤ会計事務所

岡野雄志税理士事務所

辻和彦税理士事務所

調査立会料

15万円

(手付金10万円を含む)

44万円

(修正申告料を含む)

5万2,500円

修正申告料

5万円~8万円

3万1,500円

合計

20万円~23万円

44万円

8万4,000円

※預貯金5,000万円、土地を2ヵ所もっており、調査が1日で終わる場合の報酬額を試算

なお、調査立会料は調査日数をかけて計算するケースが一般的です。

調査日数が2日以上にわたる場合は、高額な料金の支払いが必要になるため注意しておきましょう。

その他の相談やサポート

税理士が扱う業務は、相続税の申告や税務調査立会いだけではありません。

ここでは、遺言書の制作や相続対策のサポートを依頼する場合の税理士報酬を見ていきましょう。

遺言書サポート|遺言書を制作するサポート

遺言書の制作サポートを依頼する場合、税理士報酬の相場は自筆遺言で5万円~10万円、公正証書遺言で10万円~15万円程度と考えておきましょう。

事務所名

相続専門オフィス

薬袋税理士事務所

中谷絵理税理士・行政書士事務所

自筆遺言

10万円

5万円

9万円

公正証書遺言

15万円

10万円

12万円

公正証書遺言なら偽造や変造を防げるほか、公証役場が半永久的に保管してくれるなどさまざまなメリットがあるものの、制作に手間と時間がかかるので自筆遺言より報酬も高くなる傾向にあります。

また、公正証書遺言を制作する場合は、受遺者単位で以下の手数料がかかる点にも注意しておきましょう。

目的とする価格

手数料

100万円以下

5,000円

200万円以下

7,000円

500万円以下

1万1,000円

1,000万円以下

1万7,000円

3,000万円以下

2万3,000円

5,000万円以下

2万9,000円

1億円以下

4万3,000円

3億円以下

超過額5,000万円までごとに1万3,000円が加算

10億円以下

超過額5,000万円までごとに1万1,000円が加算

10億円超

超過額5,000万円までごとに8,000円が加算

相続対策相談|相続税の節税対策などの相談

相続税の節税対策などの相談に乗ってもらう場合、税理士報酬の相場は20万円~30万円程度です。

税理士事務所によって加算報酬の発生条件に違いがあるので、ご自身の状況にあわせた見積もりをとったうえで比較検討することを心がけましょう。

事務所名

相続専門オフィス

税理士法人チェスター

税理士法人エヴィス

レポート作成

20万円

20万円

10万円

その他

6万円

(土地1区分につき3万円)

6万円

(土地1区分につき3万円)

10万円

(10万円×(相続人の数-1))

合計

26万円

20万円

26万円

※預貯金1億円、土地を2ヵ所持っている場合の相続税の資産に対する報酬額を試算

相続税申告するなら相続税を得意とする税理士に依頼しよう

相続税申告をおこなう必要があるときは、相続税を得意としている税理士に依頼するのがおすすめです。

税理士に依頼すれば、煩雑な手続きを一任できるうえ、相続税の負担を大幅に抑えられる可能性があります。

最後に、相続税申告を弁護士に依頼する際のポイントを解説するので参考にしてみてください。

税理士にも得意分野がある

まず、税理士にも得意分野があることを理解しておきましょう

税理士資格は「所得税法」「法人税法」に加えて、「相続税法」「消費税法又は酒税法」「国税徴収法」「住民税または事業税」「固定資産税」のいずれかに合格すれば取得できます。

そのため、相続税の知識を学ぶことなく税理士資格を取得し、現場で働いている税理士も数多く存在します。

また、多くの税理士がメイン業務としているのは、資格試験の必須科目にもされている所得税・法人税の申告です。

相続税申告は案件自体が少なく、豊富な実務経験をもった税理士は限られているため、依頼先は慎重に探すようにしてください。

相続税を抑えるために必要なこと

相続税をできるだけ抑えるためには、まず相続財産の価値を適切に評価することが重要です。

まず、遺産が現金や預貯金のみであれば、金銭的価値が明らかなので問題が生じることはないでしょう。

しかし、不動産や未上場株式などは個々の評価が求められるため、さまざまな調査をもとにした算定作業が必要になります。

そのため、基本的に素人が自力で対応することは困難です。

無理やり作業を進めようとしても、申告が遅れたり、申告した金額に誤りがあったりして、ペナルティを受ける可能性もあります。

また、相続税額を抑えるには控除や特例を適切に活用することも大切です。

相続税の申告にあたっては、配偶者控除や小規模宅地の特例などが利用できます。

しかし、控除や特例の適用条件は複雑なので、ある程度の知識がなければ適用漏れが生じることもあるでしょう。

相続税の申告においてはやるべきことがいくつもありますが、いずれも幅広い知識と経験が求められます。

そのため、できるだけ納税の負担を抑えたいのであれば、税理士を頼ることを前向きに検討してみてください。

相続税の申告は「相続税を得意とする」税理士に依頼

相続税の申告は「相続税を得意とする」税理士に依頼することをおすすめします。

上述のとおり、税理士にはそれぞれ得意分野があります。

十分な知識と経験のない税理士に依頼してしまうと、本来免れることのできた税金の支払いが必要になるかもしれません。

反対に、相続税が得意な税理士であれば財産を適切に評価し、控除や特例を活用しながら、納税の負担が最小限になるよう手続きを進めてくれるはずです。

また、相続問題が得意な弁護士と提携している税理士であれば、相続税に関する問題を一手に引き受けてもらえる可能性もあります。

税理士の得意分野や取扱実績などは、事務所のWebサイトなどで公開されているケースが一般的なので、依頼先を探す際は一度確認してみるとよいでしょう。

まとめ

相続が発生した際には、できるだけ早く税理士に相談することが大切です。

税理士報酬は遺産総額の0.5%~1.5%が相場とされているため、場合によっては数十万円~数百万円の手数料が必要になることもあります。

しかし、自力で無理やり申告手続を進めようとすると、適切に相続税を算出することができず、かえって高額な税金の支払いが生じてしまう可能性も否定できません。

相続税の申告手続は複雑になるケースも多く、特に不動産や未上場株式を相続する場合などは基本的に自力での対応は難しいでしょう。

相続税には申告期限があり、正当な理由なく申告が遅れると無申告加算税や延滞税が課されることもあるため注意が必要です。

初回の相談であれば無料で受け付けている税理士事務所も多いので、まずは気軽に問い合わせてみてください。

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この記事の監修者
板山翔税理士事務所
板山 翔(税理士)
平成28年におそらく日本初のオンライン専門の税理士事務所を開業。 自由で自立した小さな会社を増やすことを経営理念とし、5人以下の小さな会社へ向けて、経営に必要な情報を様々なメディアで発信している。
ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)編集部
編集部

本記事はベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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