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相続税還付が考えられる8つのケースと適した税理士の選び方

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相続税の還付とは、過去に払い過ぎた相続税を返済してもらうことです。

「税理士に依頼して国に払った相続税が還付されるのか?」と、思われる方も多いでしょうが、適切な手順を取ることで、還付される可能性も十分に考えられます。

今回は、相続税の還付について、判断基準と相続税を還付する際の適した税理士の選び方を解説していきます。

この記事に記載の情報は2024年10月22日時点のものです

相続税の還付とは?

相続税の還付とは、払い過ぎた相続税を返済請求することです。

相続税を納付するには、基本的に税理士に依頼をし、相続財産を算出し、そこから相続税を国に納税します。

税務署へ還付申請の手続きをおこなうことを更正の請求といいますが、申し立て後、税務署は請求された情報を調べ還付するかどうか決めます。

もし、還付が否認された場合(認められなかったとき)は不服申し立てができます。

更正の請求続きに関する法的な根拠は国税通則法第23条及び相続税法第32条をご覧ください。

「税の専門家である税理士が計算し、国に既に納めた税金が帰ってくるわけ無い」と、当たり前のように思われるかもしれませんが、実際は、相続税を納め過ぎていることも十分に考えられるのです。

相続税還付の期限は5年

相続税還付には期限があり、相続税の申告期限後5年までおこなうことが可能です。

相続税の申告期限は被相続人(財産の持ち主)が亡くなってから10ヵ月なので、亡くなってから数えると還付の期限は5年10ヵ月です。

相続税の更正の請求は、その期間までに請求をすれば間に合いますので、上記の様な土地を相続で手に入れた方は、一度、土地の見直しだけでも検討されることをおすすめします。

1人あたりの還付金額の平均

国税庁の統計データによると実際に還付申告1件当たりで平均1200万円もの相続税が還付されているそうです。

なぜこれほどまでに多額の金額が返ってくるのかという理由については、土地の評価額が間違って(高い評価額で)申請されているケースが多く見られるからです。

土地の評価額を決めるためには専門的な知識が必要で、相続税の申告に慣れていない税理士が担当してしまうと「財産評価基本通達」という土地の評価に関する詳細な規定を把握せずに評価してしまうため、このようなミスが発生してしまうのです。

相続税の納め過ぎが発生する理由

それでは、なぜ相続税の納め過ぎによって、相続税の還付が出来るのでしょうか。

相続税が過大に申請される理由として、以下の理由が考えられます。

土地評価が難しい

相続税の還付がおこなわれた事例では、土地評価が過大にされていて、そのことが原因となっているケースがほとんどです。

土地の評価の仕方は非常に難しく、広さや立地などだけではとても適切には評価できません。

土地の評価は、図面上だけでは判断できません。

しかし、税理士によっては、不動産の知識が乏しく現地調査までおこなわない税理士もいます。

結果的に適切な土地評価がされず、その分多く相続税を納めている事もあります。

簡単に言うと、依頼した税理士によって土地の評価額が違い、土地代が高めに申告されるからです。

税理士の経験不足

税理士の仕事は、確定申告や法人税の税務代理などが主になります。

相続税の件数は非常に少なく、全国の税理士の人数に対し、1年間の相続税発生件数が下回り、結果的に税理士の相続税の経験は乏しいままです。

1年通して、相続税の税務を担当するかどうかという税理士がほとんどです。

経験が少ない税理士は、依頼を受けてから参考書などを片手に税理業務をおこないます。

結果的に、上記のように不動産の鑑定まで手が回らず、安全策で多少高めの相続税を申告します。

相続税が多く納税されても税務署からの知らせはない

また、税務署に通常より多く相続税が納められても、能動的に税務署から知らせが来ることはありません。

理由として、税務署は相続税の不足分を補う施策(税務調査など)を先におこなうからです。

税務署に多く相続税が納められたのは、申告者がそのように申請したのであって、国に非はありません。

ただ、申告者の方から申告内容を見直し、還付の手続きを取ることで、多すぎた相続税を還付できるのです。

相続税の還付は、土地の評価を見直すこと

上記の理由から、「相続税の還付は税理士の知識と経験不足により、相続財産の土地の評価が過大にされており、その分多くの相続税を納めている」ということが大きな原因として言えます。

つまり、土地の評価を見直し、低い評価で申告し直す事で、相続財産の金額を下げることが出来ます。

その結果、納める相続税も下がり、払いすぎていた相続税が還付金として戻ってくるのです。

簡易的な例を挙げると、1億円分の土地を持っていたとして、その土地を相続した際に2,700万円の相続税を納税しました。

しかし、後に別の税理士が土地の評価を見直すと、8,000万円になり、本来かかる相続税は2,100万円になったため、結果的に600万円が還付金として返ってきます。

相続税還付の例

相続税の還付が考えられる7つのケース

このように、相続税申告時に土地の評価をどのようにおこなったかが重要になります。

では、相続税の納め過ぎが考えられる具体例を挙げていきます。

この中で1つでも当てはまる方は、下記の、相続税の還付に対応している税理士に相談することをおすすめします。

500平米以上の広大な土地

広大な土地は評価方法も様々な要素が絡み合い、複雑になります。

また、用途無く空き地となっている土地も多いでしょう。

空き地は評価も下がる傾向にありますので、その分の相続税を還付する事も十分に考えられます。

周囲にマイナス要素がある土地

たとえば、となりが墓地、工場の近く、高架下、騒音、周囲にマイナス要素が考えられると、その分土地の評価も下がり相続税を還付できます。

これは、図面上だけでは判断できない部分でもあります。

形が整っていない土地、開口が狭い土地、高低差のある土地

土地の形がいびつであったり、開口(入口)が狭い土地、高低差のある土地、道路と一体になっている土地、などは、評価方法も複雑になります。

不動産鑑定の知識が無い税理士は、細かな計算が難しく、おおまかな評価しかしていない可能性も考えられます。

駐車場や車庫に使われている土地

駐車場や車庫などの、車両・荷物を保管する土地の算出方法は通常より変わります。

そのことを知らない税理士も多くおり、結果的に高い評価のまま相続税を納めている可能性も考えられます。

アパートや商店などの公共の施設が建っている土地

同じく、アパートやスーパー、公共の施設などが建設されている土地も評価方法が特殊です。

余計に相続税を納めている可能性も考えられます。

山林や田畑

用途が山林や田畑の土地は、評価の方法が複雑です。

特に、市街地にある土地だと更に複雑です。

また、土地も広大なことが考えられますので、一度きちんと評価してもらうことで大きく差がでる可能性もあります。

用途の決まっていない空き地

目的もなく、ただ所有している土地は評価も下がる傾向にあり、通常の評価とは異なります。

相続税の申告を担当した税理士が不動産鑑定を得意としていない

相続税の還付が発生する原因には、税理士の経験不足、知識不足が挙げられます。

「不動産鑑定を得意としている」もしくは「不動産鑑定士と連携が取れている」「相続税申告に特化している」以外の税理士に依頼をされた方は、相続税の還付が出来ることも十分に考えられるでしょう。

相続税還付の期限は5年

相続税還付には期限があります。

正式には相続税の更生の請求をすることですが、これには相続税の申告期限後5年までおこなうことが可能です。

つまり、被相続人が亡くなってから、5年10ヵ月まで可能です。

更生の請求は、その期間までに請求をすれば間に合いますので、上記の様な土地を相続で手に入れた方は、一度、土地の見直しだけでも検討されることをおすすめします。

相続税の還付金申請から受け取りまでの手順

それでは実際にどのような手順で還付金申請、受け取りをおこなうのか見ていきましょう。

1.過去の書類の見直し

払い過ぎていたかどうか判断するために、過去に提出している相続税の書類の金額が、実際の土地・不動産の評価とあっているかどうかを確認します。

過去に相続税の申告をおこなった税理士が不動産・土地評価に精通していなかった場合、土地の評価額も高くなってしまい結果相続税を払い過ぎてしまっているケースが多々あります。

土地を適切に評価できる税理士に相談することで、納めすぎた税金の返金が可能になるでしょう。

2.税務署に更正の請求をおこなう

減額の可能性がある場合、最初に相続税申告をおこなった税務署に対して「更正の請求」をおこないます。

還付金請求をおこなうにあたって大切なのは「土地・不動産の評価額が正しかったかどうかの判断」ですので、かなりの専門知識が必要となります。

そのため、税務だけでなく不動産にも精通している税理士に依頼することが最も重要と言えるでしょう。

更正の請求に必要な書類は下記の通りです。

  • 更正の請求書
  • 申告に係る課税価格、税額等及び更正の請求による課税価格、税額等
  • 更正の請求に至る事由の証明資料(遺言書や遺産分割協議書など)

3.更正通知書、還付金振込通知書の受け取り

税務署へ書類を提出し、相続税の還付が認められると3ヶ月後に「更正通知書」が届きます。

また、「更正通知書」が届いた数日後に「国税還付金振込通知書」が届くので還付される金額を確認しましょう。

4.還付金の振り込み

「国税還付金振り込み通知書」の受け取りから約2週間後に、指定口座へ相続税の還付金が振り込まれるので通知書に記載されている金額と相違ないか確認しましょう。

相続税還付をおこなう際の税理士の選び方

それでは、実際に相続税の還付はどのような人に相談・依頼すればよいのでしょうか?

相続税の申告の際、税理士に依頼した方がほとんどでしょうが、同じ税理士に依頼しても、二度手間になってしまうことが考えられます。

以下のような税理士に改めて依頼することを検討しましょう。

以前お世話になった税理士には、相続税の還付がおこなわれたという知らせは届かないので、心配する事もありません。

相続税を得意とする税理士

税理士の業務以外にも、確定申告や法人税など業務は他にもあります。

むしろ、発生件数事態は、相続税の件数が圧倒的に少なく相続税の経験が浅い税理士がほとんどです。

たとえば、社長の知り合いの会社で雇っている税理士から相続税還付をおこなってくれる税理士を探すよりも、相続税を得意とする税理士を重点的に探すことが賢明でしょう。

不動産鑑定士と連携が取れる税理士

相続税還付には不動産鑑定の知識が必ず必要で、税理士だけでは難しい事も考えられます。

中には、不動産鑑定士と連動して相続税の還付をおこなっている税理士もいますので、そちらにも着目して下さい。

また、法人で設立されている税理士事務所は、相続税の依頼対応時のために事務所内で不動産鑑定士を雇っていたり、連携しているところもあります。

大きな税理士事務所に相談することも賢明な方法でしょう。

費用は成果報酬型を取っているところが多い

気になる税理士の依頼料ですが、相続税の還付では、成果報酬型を取っているところが多く見られます。

上記の例でいけば、還付金として戻ってきた600万円のうちの20%を成果報酬としていたとすれば、費用は12万円です。

成果報酬なので、還付金が無ければ費用もかからないというわけです。

「還付金があるかも」と思った方は、まずは相談だけでもしてみることをおすすめします。

その際に依頼の際の費用面も詳しく聞いておきましょう。

費用についてより詳しく知りたい方はこちらの【税理士に依頼した場合の費用の相場】もご覧ください。

すでに還付申請をした方も改めて申請できるかもしれません

一度還付申請をしてお金が戻ってきたけれど、その還付申請でも多く税金を払いすぎていたという場合があります。

その場合でも再度還付申請をすることができ、払いすぎたお金が戻ってくる可能性があるのです。(2度目の還付申請の期限も同様に相続が開始してから5年10ヵ月まで。)

まとめ

相続税の還付は、5年以内に土地を相続された方には考えられる内容です。

今回お伝えしたような土地を相続された方は、相続税の還付を任せられそうな税理士や不動産鑑定士などに一度ご相談されてみてはいかがでしょうか。

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ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)編集部
編集部

本記事はベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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