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公開日:2018.4.2 

相続税の配偶者控除とは|控除の要件・計算例・申告方法・注意点の解説

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事
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遺産を相続する上で気になるのが、『相続税をいくら支払うのか』ではないでしょうか。できることなら、支払う相続税は少なくしたいですよね。

配偶者には、相続の際の税額を軽減できる制度(配偶者控除)があるのをご存知ですか。

2015(平成27)年1月1日からは基礎控除が少なくなったので、相続税の支払いが必要な方も増えました。配偶者控除を利用すれば、納める相続税を少なくできるかもしれません。

しかし、配偶者控除を利用することで納める相続税の金額が大幅に少なくなりますが、利用の際に注意すべき点もあります。

この記事では、配偶者控除はどんな制度なのか、利用方法、控除額の計算方法について詳しく解説します。

相続税の配偶者控除(配偶者の税額軽減)とは

配偶者が相続した財産が、1億6,000万円または法定相続分(※)のどちらか高いほうの金額の範囲内であれば、相続税が免除されます。

※法定相続分とは


民法で定められた相続分の割合のこと。

1億6,000万円または法定相続分のどちらか高いほうとは

配偶者の法定相続分は、相続財産の金額や他の相続人と被相続人の続柄によって変わります。

法定相続人

配偶者の法定相続分

配偶者と子が相続する場合

相続財産の2分の1

配偶者と被相続人の親が相続する場合

相続財産の3分の2

配偶者と被相続人の兄弟姉妹が相続する場合

相続財産の4分の3

例えば、被相続人の財産3億円を『配偶者と子1人』で分割する場合、配偶者の法定相続分は2分の1なので、1億5,000万円が取り分となります。この場合、1億6,000万円を超えないので問題ないでしょう。

では、『配偶者と被相続人の親』で3億円を分割する場合はどうでしょうか。

配偶者の法定相続分は3分の2で2億円が取り分となり、1億6,000万円を超えてしまいますが、2億円は法定相続分なので、この場合でも相続税は発生しません。

つまり、配偶者の遺産相続は少なくとも1億6,000万円までは相続税はかからないということです。

【関連記事】

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配偶者控除の要件

配偶者控除を利用するには以下の要件を満たす必要があります。

  • 法律上の配偶者であること(内縁関係は不可)
  • 相続税の申告期限までに遺産分割を終え、申告書を提出していること
  • 仮装または隠蔽されていた財産ではないこと

配偶者控除を受けるためには、法律上の配偶者である必要があり、内縁関係の方は利用することができません。
また、配偶者控除は実際に相続した財産額をもとに計算するので、遺産分割を終えている必要があります。

配偶者控除の受け方

相続財産の金額が基礎控除額を超える際は、相続税の申告・納税をしなくてはなりません。配偶者控除によって課税額が0円となる場合も行います。

配偶者控除を受けるには、相続税の申告書に加え『配偶者の税額軽減額の計算書』の提出が必要です。

配偶者の税額軽減額の計算書

引用元:相続税の申告書の記載例 等 国税庁

計算書は上記のように記載します。申告書の書き方は国税庁にある記載例を参考にするとよいでしょう。

相続税の申告の際に必要な書類は以下のとおりです。

  • 申告書
  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
  • 遺言書または遺産分割協議書の写し
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 申告期限後3年以内の分割見込書(申告期限内に分割ができない場合)

相続税の申告期限は、被相続人が死亡したことを知った日(通常は死亡した日)の翌日から10ヶ月以内です。申告期限内に分割されなかった財産は控除の適用外です。

しかし、『申告期限後3年以内の分割見込書』を提出し、申告期限後3年以内に遺産分割を終えれば控除を受けられます。この場合の控除は、分割が成立した日の翌日から4ヶ月以内に更正の請求をします。

配偶者控除の計算例

配偶者控除の計算は以下のような流れで行います。

【前提条件】相続人:妻と子1人 相続財産:1億円の場合

①課税遺産総額を計算する

相続財産の合計額から、基礎控除額を引いて課税遺産総額を算出。課税遺産総額を法定相続分の割合で分割します。

【課税遺産総額の計算例】

②相続税の総額を計算する

課税遺産総額を分割した金額に相続税の税率(※)をかけ、控除額を引きます。計算で出た金額の合計が相続税の総額です。

妻 2,900万円×15%-50万円=385万円

子 2,900万円×15%-50万円=385万円

385万円+385万円=770万円(相続税の総額)

※【相続税の税率】

法定相続分に応ずる取得金額

税率

控除額

1,000万円以下

10%

3,000万円以下

15%

50万円

5,000万円以下

20%

200万円

1億円以下

30%

700万円

2億円以下

40%

1,700万円

3億円以下

45%

2,700万円

6億円以下

50%

4,200万円

6億円超

55%

7,200万円

引用元:相続税の税率 国税庁

                                                    

③相続税の総額を実際に相続した割合で分割する

今回のケースでは法定相続分で分割します。

・妻 770万円×1/2=385万円

・子 770万円×1/2=385万円

④配偶者控除を適用する

分割した金額に配偶者控除を適用すると、妻の相続税は0円となります。

・妻 385万円-385万円(配偶者控除)=0円
・子 385万円

このように、配偶者控除は相続税の総額にかかるのではなく、実際に相続した割合で分割した相続税額にかかるので注意しましょう。

配偶者控除の注意点

配偶者控除を利用することで、多額の相続財産を非課税とできるのは大きなメリットです。しかし、相続税を支払わなくて済むからといって、安易に配偶者控除を利用してしまうと、二次相続で損をするかもしれません。

二次相続というのは、父親が亡くなって母親(配偶者)と子で相続をし、その後母親が亡くなって子が相続をするようなケースをいい、父親が亡くなったときを一次相続、母親が亡くなったときを二次相続と呼んでいます。

一次相続の際に配偶者控除を利用し、相続税を全額免除させて得になったように思えても、二次相続で相続税を支払う際に、結果的に損をすることがあるのです。

併せて知っておきたい配偶者控除以外の控除

以下のとおり、配偶者控除以外にも相続税については税額を軽減できる制度があります。

基礎控除

未成年者控除

未成年者は『満20歳になるまでの年数×10万円』で計算された額が控除されます。

障害者控除

障害者は『満85歳になるまでの年数×10万円』で計算された額が控除されます。

相次相続控除

以前の相続で課税された相続税額を控除できる制度。

各制度について詳しく知りたい方は、各制度名をクリックして国税庁ホームページをご覧ください。

相続税額を抑えて相続税申告するなら、相続税専門の税理士に依頼

誰が相続税の申告を行っても、納める相続税額は同じ金額になると思っていませんか? 実は、その考えは間違っています

税理士業務の中でも「相続税の申告」は非常に特殊なもので相続税の専門的な知識が求められます。税理士ごとに、計算される相続税額が異なることも少なくないのです。

ここでは、「相続税専門」の税理士に依頼することが相続税を抑えることにつながる理由についてご紹介します。

税理士にも得意分野がある

医者に外科や内科などの専門分野があるように、税理士にも専門分野があります

税理士になるには、「所得税法」「法人税法」「相続税法」「消費税法又は酒税法」「国税徴収法」「住民税又は事業税」「固定資産税」のうち、所得税法と法人税法を含む3つの科目に合格することが求められます。つまり、相続税について勉強せず税理士になった人も数多くいるのです。

 

税理士にも専門分野があります

 

一般的な税理士の仕事は法人税や所得税の申告です。全国の年間の相続税申告件数は約10万件なのに対し、税理士は約8万人存在しています。つまり、税理士一人あたりの相続税の申告件数は年間で1~2件程度が実状です。全国に企業が400万社以上あることからも、いかに相続税の申告業務が稀であるか理解できるでしょう。

 

税理士1人の年間相続税申告件数は約1.25人

 

そのため、相続税の申告を数多くこなしている税理士は少なく、専門的に扱っていない税理士に依頼すると、本来払わずに済んだ税金を支払う事態になりかねません

相続税を抑えるために必要なこと

相続税を抑えるためには、相続財産(特に土地や家屋)を正しく評価することや、特例・各種控除などを適用させることが必要不可欠です。

相続税の金額を正しく計算するには、もとになる遺産の価値を正しく評価する必要があります。預金や株式といった金銭価値がはっきりしているものであれば問題ありませんが、土地や家屋、さらに車などの一般動産や家財一式などの評価は難しく、税理士や税務署によって解釈が異なることもあり、遺産の価値を過大に評価してしまうこともあるのです。

また、相続税額を抑えるには控除や特例を利用することが不可欠ですが、適用条件が複雑なこともあり、適用できるのに気づかなかったり、適用できるかどうかの判断が困難な場合もあります。

 

税理士でも財産評価や控除・特例の適用判断は難しい

 

さらに、本来の金額よりも少ない金額を誤って申告してしまうと、税務調査が行われ、延滞税や加算税などの追微課税が発生し、本来よりも高い税金を納めなければならないといった事態になりかねないのです。

相続税の申告は「相続税専門」税理士に依頼

あなた自身や経験の少ない税理士では、正しく申告するのが困難な場合もあるでしょう。そのため当サイト編集部では、相続税を専門に取り扱う税理士に依頼することを強く推奨しています。

依頼した場合は税理士報酬を支払う必要はありますが、それを上回って相続税額を抑えられることも少なくありませんし、ご自身での申告書作成から申告までの一連の手間や税務調査に対処する手間も省けます。

相続税専門の税理士に相談すれば相続税額を抑えられる

 

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無料相談も可能ですので、まずはご相談ください。

 

 

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まとめ

相続税の配偶者控除は最低でも1億6,000万円まで、課税が免除されるため配偶者にとっては非常にありがたい制度です。しかし、内縁関係であったり、遺産分割を終えていなかったりした場合は利用できないので注意が必要です。

配偶者控除以外にも、相続税には税額を軽減できる制度があるので、ご自身が利用できるか確認してみるとよいでしょう。この記事がお役に立てば幸いです。

出典元:配偶者の税額の軽減 国税庁

 

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。

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相護士ナビ編集部

本記事は相続弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※相続弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
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