遺産を相続したのに、相続税を払えないと困ってしまいますよね。
「相続した遺産から払えばいいじゃないか」と思う方もいるかもしれませんが、遺産のほとんどが不動産で、現金が少ない場合には難しいでしょう。
相続税の納税・申告期限は、相続の開始を知った日の翌日から10ヵ月以内です。
ほかの相続手続きもあるなかで、不動産を売却したりして現金を用意するのは、簡単なことではありません。
本記事では、相続税が払えない場合のリスクや対処の仕方などを詳しく解説します。
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配偶者以外の |
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親 兄弟
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人 人 |
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相続税については、期限内に申告できないと「無申告加算税」が、期限内に納税できないと「延滞税」がペナルティとして課されます。
「相続税がいくらなのかわからない」「対応が難しいから放置している」というような場合、無申告加算税と延滞税の両方が課されるおそれがあります。
申告や納税が遅れるほど負担が大きくなるため、できるだけ速やかに対応を済ませましょう。
相続税が払えない場合の対処としては、以下の5つがあります。
ひとつずつ確認していきましょう。
相続税は現金で一括で納めるのが原則です。
しかし、現金で一括で納めることが難しい場合には、延納制度や物納制度などを使うことができます。
延納制度とは、本来、一括で納めなくてはならない相続税を分割払いできる制度で、以下の要件を満たしている場合に利用できます。
・相続税額(贈与税額)が 10 万円を超えていること
・金銭で納付することが困難な金額の範囲内であること
・『延納申請書』及び『担保提供関係書類』を期限までに提出すること
・延納税額に相当する担保を提供すること(延納税額が 50 万円未満で、かつ、延納期間が 3 年以下である場合は担保を提供する必要はありません)
なお、延納期間中は利子税がかかります。
延納期間と利子税の割合は、相続税の合計額のうちの不動産などの価額の割合で決まり、各年の延納特例基準割合が7.3%に満たない場合には、以下の計算式による特例割合が適用されます。
特例割合=延納利子税割合(年割合)×延納特例基準割合÷7.3% ※0.1%未満の端数は切り捨て |
区分 | 延納期間(最高) | 延納利子税割合(年割合) | 特例割合(※) |
---|---|---|---|
1.動産等に係る延納相続税額 | 10年 | 5.4% | 0.6% |
2.不動産等に係る延納相続税額(3を除く) | 20年 | 3.6% | 0.4% |
3.森林計画立木の割合が20%以上の森林計画立木に係る延納相続税額 | 20年 | 1.2% | 0.1% |
※特例割合は2023年の延納特例基準割合0.9%で計算しています。
区分 | 延納期間(最高) | 延納利子税割合(年割合) | 特例割合(※) |
---|---|---|---|
4.動産等に係る延納相続税額 | 10年 | 5.4% | 0.6% |
5.不動産等に係る延納相続税額(6を除く) | 15年 | 3.6% | 0.4% |
6.森林計画立木の割合が20%以上の森林計画立木に係る延納相続税額 | 20年 | 1.2% | 0.1% |
※特例割合は2023年の延納特例基準割合0.9%で計算しています。
区分 | 延納期間(最高) | 延納利子税割合(年割合) | 特例割合(※) |
---|---|---|---|
7.一般の延納相続税額(8・9・10を除く) | 5年 | 6.0% | 0.7% |
8.立木の割合が30%を超える場合の立木に係る延納相続税額(10を除く) | 5年 | 4.8% | 0.5% |
9.特別緑地保全地区内の土地に係る延納相続税額 | 5年 | 4.2% | 0.5% |
10.森林計画立木の割合が20%以上の森林計画立木に係る延納相続税額 | 5年 | 1.2% | 0.1% |
※特例割合は2023年の延納特例基準割合0.9%で計算しています。
延納特例基準割合:前年の11月30日までに財務大臣が告示した割合に、年0.5%を足した割合のこと |
物納制度とは、本来、現金で納める相続税を、不動産などの一定の財産で代わりに納めることができる制度です。
以下の要件を満たした場合に利用できますが、物納制度を利用する場合でも、利子税がかかることがあるため注意してください。
利子税の計算方法は延納制度と同様です。
・延納によっても金銭で納付することが困難な金額の範囲内であること
・物納申請財産が定められた種類の財産で申請順位によっていること
・『物納申請書』及び『物納手続関係書類』を期限までに提出すること
・物納申請財産が物納に充てることができる財産であること
また、物納に充てることのできる財産の種類・順位は、以下の表のとおりです。
物納制度は、あくまでも延納による分割払いでも相続税を納めるのが難しい場合に利用できる制度である、ということを覚えておきましょう。
相続した不動産を売却するには、相続登記(不動産の名義変更)をする必要があります。
また、不動産を売却した場合には譲渡所得が発生し、所得税と住民税の支払いが必要になるかもしれません。
相続財産を売却したのが相続税の申告期限の翌日から3年以内であれば、「相続税の取得費加算の特例」 が利用できます。
相続した不動産がすぐに売れるとは限りません。
そのような場合には、金融機関に不動産を担保にしてお金を借りられないか確認してみましょう。
ただし、相続登記が済んでいないと、不動産を担保にできないので注意してください。
もし相続財産の中に借金や債務が多くある場合には、相続放棄をしたほうがよいかもしれません。
相続放棄とは、相続に関する一切の権利を放棄することです。
相続放棄をすれば、相続税の支払いも必要ありませんし、借金などのマイナスの財産を相続しなくて済みます。
しかし、預貯金や不動産などのプラスの財産についても相続できなくなってしまいます。
相続放棄が必要かどうかは相続状況によって異なるため、しっかり検討してからおこないましょう。
相続税には非課税枠(基礎控除額)があるため、相続した財産が一定額以下の場合、相続税はかかりません。
非課税額の計算方法は以下のとおりです。
非課税枠=3,000万円+(600万円×法定相続人の数) |
法定相続人が1人の場合は3,600万円、2人の場合は4,200万円、3人の場合は4,800万円までが非課税枠とされ、相続税を納める必要がありません。
また、配偶者には配偶者控除があります。
遺産分割や遺贈で取得した金額の1億6,000万円まで、または配偶者の法定相続分にあたる金額までは相続税がかかりません。
このほかにも相続に関する控除はありますが、計算が難しいものが多くあります。
詳しく知りたい方は、弁護士や税理士に相談したほうがよいでしょう。
相続した遺産の多くが不動産だった場合などは、相続税を支払えないという事態になるかもしれません。
相続税は期限までに支払わないと、延滞税や無申告加算税などのペナルティが課されて金銭的負担が大きくなってしまいます。
もし支払いが難しそうな場合は、本記事の対処法を検討してみてください。
また、相続税には非課税枠やさまざまな控除があり、できる限り有効に活用しましょう。
弁護士や税理士に任せたほうが上手くいく可能性が高まるので、自力での対応が不安な方は相談してみることをおすすめします。
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