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遺族基礎年金の受給資格・支給時期・手続方法と関連遺族年金制度まとめ

弁護士法人ネクスパート法律事務所
柴田直哉 弁護士
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遺族基礎年金(いぞくきそねんきん)とは、国民年金の加入者が死亡した際に、加入者に生活を維持されていた「18歳到達年度の末日までの子(※障害のある子は20歳未満)がいる配偶者またはその子」に支給される年金のことで、子どものいる家庭の多くが対象となるものです。

遺族基礎年金は、国民年金の加入者はもちろん、厚生年金の加入者であっても遺族基礎年金の受給条件を満たしていればこちらが上乗せで支給されることになっていることから、制度概要をきちんと押さえておくのがおすすめです。

今回は、遺族基礎年金の受給資格・支給時期や手続方法に加え、関連する遺族年金制度についてもご紹介いたします。

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遺族基礎年金の年金受給額

最初に気になるのは「遺族基礎年金は一体いくらもらえるのか」という部分だと思いますので、先に年金受給額からお伝えしていこうと思います。

遺族基礎年金の受給額は、一律で781,700円(令和2年4月以降)となっています。これに加え、子どもが2人までは1人あたり224,900円、3人目以降は1人あたり75,000円の加算が行われることになっており、具体的な計算例は以下のとおりです。なお、子が受給する場合は第2子以降について加算が行われます。

子の人数

配偶者が受給する場合の受給総額

が受給する場合の受給総額

1人

781,700円

224,900円

781,700円

2人

781,700円

224,900円×2

781,700円

224,900円

3人

781,700円

224,900円×2

75,000円×1

781,700円

224,900円×1


75,000円×1

4人

781,700円

224,900円×2

75,000円×2

781,700円

224,900円×1

75,000円×2

参考:遺族基礎年金(受給要件・支給開始時期・計算方法)|日本年金機構

詳しい受給手続きなどは後述の「遺族基礎年金の手続方法」をご覧いただければと思いますが、遺族基礎年金には3つの種類がありますので、次項以下で順番に、種類や概要をご紹介していきましょう。

遺族年金の種類

遺族年金とは、年金加入者だった人が亡くなった際に、残された遺族に支給される年金の総称です。

現行制度では、国民年金加入者であった人の遺族を対象とする「遺族基礎年金」と、厚生年金加入者であった人の遺族を対象とする「遺族厚生年金」の2種類が運用されており、それぞれ受給資格や支給額が異なっています。

ここではまず、遺族年金の種類ごとにその概要をご紹介いたします。

遺族基礎年金

遺族基礎年金とは、一定の条件を満たす「国民年金保険の被保険者が亡くなった」際に「その人に生計を維持されていた18歳到達年度の末日を超えていない子のいる配偶者またはその子」に対して支給される遺族年金で、分かりやすく言えば子どものための遺族年金のことです。

後述する遺族厚生年金とは異なり、支給額は一律で決まっており、子どもの人数によって加算があるほか、子どもが18歳到達年度の末日を過ぎたら支給が打ち切られるという特徴があります。

▶参考:遺族年金の種類と仕組み|受給における6つの注意点

遺族厚生年金

遺族厚生年金とは、一定の条件を満たす「厚生年金保険の被保険者」が亡くなった際に、「死亡した人によって生計を維持されていた一定の遺族」に対して支給される遺族年金で、遺族基礎年金よりも対象者が広い年金といえます。

遺族基礎年金と大きく異なるのは、対象者が子ども(または子のある配偶者)に限られず、また、死亡した人(加入者だった人)の収入に応じて支給額が変わってくるという点です。

また、平成27年10月以降、厚生年金と共済年金の制度が一元化されたことにより、加入者自体の数が大幅に増えたという特徴もあります。

▶参考:遺族厚生年金の受給額と受給額が増額する条件まとめ︎

旧:遺族共済年金

旧遺族共済年金とは、公務員等を対象にした「共済年金保険の被保険者」が亡くなった際に、「死亡した人によって生計を維持されていた一定の遺族」に対して支給されていた遺族年金のことをいいます。

現在は遺族厚生年金に一元化されているため、内容についてはそちらをご確認いただければ良いかと思いますが、既に遺族共済年金を受給されていた方に関しては、一元化以後も遺族共済年金としての支給が継続されています。

現在新たに受給されるケースは稀かと思いますが、もし遺族共済年金の受給資格に該当する場合には、各共済組合へ具体的な手続きを確認する必要がありますのでご注意ください。

遺族基礎年金の受給条件と支給対象者

以上が遺族年金制度の概要になりますが、ここからは遺族基礎年金について詳しく見ていきましょう。

遺族基礎年金の支給条件

日本年金機構のホームページによれば、遺族基礎年金の支給条件は下記のようになっています。

被保険者または老齢基礎年金の受給資格期間が25年以上ある者が死亡したとき。(ただし、死亡した者について、死亡日の前日において保険料納付済期間(保険料免除期間を含む。)が加入期間の3分の2以上あること。)

ただし令和8年4月1日前の場合は死亡日に65歳未満であれば、死亡日の前日において、死亡日の属する月の前々月までの1年間の保険料を納付しなければならない期間のうちに、保険料の滞納がなければ受けられます。

引用:遺族基礎年金(受給要件・支給開始時期・計算方法)|日本年金機構

これを更に掘り下げると、支給対象になるのは

  • 国民年金の被保険者が死亡したとき
  • 国民年金の被保険者であった人で、日本国内に住所を有し、かつ60歳以上65歳未満である人が死亡したとき
  • 老齢基礎年金の受給権者が死亡したとき
  • 老齢基礎年金の資格期間を満たした人が死亡したとき

であって、更に故人が保険料納付等の資格期間を満たしていること、というケースになります(国民年金法37条)。

資格期間とは

保険料納付済期間(国民年金の保険料納付済期間、厚生年金・共済年金等の加入期間)とこれらの保険料の免除期間等を合算したものを言いますが、近年は救済措置として死亡日に65歳未満であれば死亡日の属する月の前々月から直近1年間に保険料を滞納していなければ遺族年金の給付が受けられるようになっています。

(例:5月10日に死亡した場合⇒今年度の3月までの1年間に滞納がなければOK)

遺族基礎年金の受給対象者

遺族基礎年金の受給対象者は、「18歳到達年度の末日を超えていない子のある配偶者」または「その子本人」に限られています。

このとき、障害年金の障害等級1級または2級の子ども(※ただし故人の死亡時点で子が独身者であること)がいる場合は、18歳を超えてもその子が20歳になるまでの間なら受給することができるようになっています。

また、故人の死亡時点で胎児がいた場合には、この胎児が生きて産まれてくれば受給対象者に含まれることになります。

基本的には産まれた時点から受給権が発生することになりますので、胎児であった期間の支給額を請求することはできませんが、既に受給権を有する兄や姉がいた場合などには出生時から子の加算ができるようになります。

故人に生計を維持されていたこと

なお、これらの条件に加えて、遺族基礎年金の受給者は、「故人に生計を維持されていた」ことも必要になります。

具体的には、故人と生計が同一であったことと、年収850万円または所得約655万円を超えないこと(ただし一時所得等は除外可)が判断基準になり、原則として法律婚をしている家庭が対象になります。

ただし、内縁関係であっても事実婚として認められればこの条件を満たしたと判断されますし、単身赴任家庭や子が下宿している家庭も生計が同一と判断されるのがほとんどです。

また、離婚後母に引き取られたなどの場合でも、子が自己の権利を行使できているケース(定期的に面会し養育費等を受け取っているなどの事情があるなどして、父と子との間に成型が同一であると判断できる状況である場合)では、子どもに父の遺族基礎年金の受給資格が認められることもあります。

遺族基礎年金の受給者の順番

遺族基礎年金は「所定の子のある配偶者」または「子ども本人」のどちらかが受給することができますが、このとき、基本的には配偶者が受給することになります。

ただし、配偶者が「生計を維持していた」といえない場合(生計が同一でなかったり、年収850万円または所得約655万円を超える場合)には、配偶者の受給権は失われ子が受給権を取得し実際に受給することになります。

遺族基礎年金に限らず、遺族年金は受給者の順位が決まっていて、上位者が受給できる場合には下位者の受給権はなくなります。とはいえ、上位者が受給権を失った場合(受給停止になった場合なども含む)には、下位者の受給権が復活し、受給者が移ることになりますのでご安心ください。

遺族基礎年金の手続方法

遺族基礎年金は誰かが死亡したら自動的に支給されるというわけではなく、条件をすべて満たした場合には、あなた自身で実際に年金の請求を行う必要があります。

必要書類

遺族基礎年金の請求には、所定の申請書のほか、一定の書類を準備することになります。

①申請書(書式記入例

市区町村役場や年金事務所、街角年金相談センターなどで入手することができます。

②必ず必要になる書類

  • 故人の年金手帳
  • 世帯全員の住民票の写し、死亡者の住民票除票(世帯全員の住民票に含まれている場合は不要です)
  • 請求者の戸籍謄本
  • 請求者の収入が確認できる書類(所得証明書や源泉徴収票など)
  • 子の収入が確認できる書類(義務教育終了後かつ高校等に在籍していない場合。義務教育中であれば特に何も必要ないですが、高校生の場合は学生証などの提出が必要です)
  • 市区町村長に提出した死亡診断書のコピーまたは死亡届の記載事項証明書
  • 請求者名義の受取先金融機関の通帳やキャッシュカード
  • 印鑑(認印も可)

③場合によって必要になる書類

故人の死亡原因が第三者行為の場合(例:第三者による交通事故など)には、②に加えて所定の様式の書類が何種類か必要になりますので、請求前に年金事務所等へ確認するのがおすすめです。

また、申請書の提出後さらに添付書類の提出が求められる場合がありますので、そのような指示が出たらきちんと従いましょう。

提出先

遺族基礎年金請求書の提出先は、請求者の住所地の市区町村役場の窓口です。基本的には年金事務所でなく役場で手続きが完結します。

ただし、故人が死亡日に国民年金第3号被保険者期間中の場合(20歳以上60歳未満で会社員等の家族に扶養されていた人であった場合)には、役場では手続きができず、年金事務所または街角の年金相談センターへ請求することになりますのでご注意ください。

遺族基礎年金が打ち切りになる場合に注意

以上が遺族基礎年金の受給に関する知識および手続方法になりますが、遺族基礎年金は、一度受給が始まったら永久にもらえるものではなく、所定の事由が生じると支給が打ち切られる性質の年金です。

ここでは、遺族基礎年金が打ち切りになる場合と、遺族基礎年金の他に受け取れる可能性のある年金制度をご紹介したいと思います。

子が全員18歳年度末を過ぎると支給は打ち切りに

これは当然のことですが、遺族基礎年金は18歳までの子を抱える家庭への遺族年金なので、子どもが18歳に到達した年の3月31日を過ぎると支給が打ち切りになります。

複数の子どもがいる場合には、18歳までの子どもがいるうちは受給権自体は失われませんが、子の加算については子が18歳到達年度末を過ぎるごとに減額されていくとお考えください。

また、子どもが全員18歳に到達し、最後の子が18歳に到達した年の年度末を迎えると、受給権自体がなくなります。

遺族基礎年金がなくても老齢基礎年金が受け取れる

遺族基礎年金が打ち切られてしまった場合でも、あなたが60歳に達しているまたはもうすぐ60歳になるのであれば、老齢基礎年金の繰上げ受給という選択肢があります。

ただし、老齢基礎年金の繰上げ受給を申請すると、年金額が所定の割合で一生減額されることになりますので、利用の際には充分に検討してから手続きすることをおすすめします。

【参考】年金の繰上げ受給

遺族基礎年金の他にも注意すべき年金制度

①寡婦年金

寡婦年金とは、死亡した夫と10年以上継続して婚姻関係にあり、生計を維持されてきた妻が受けられる遺族年金です。このとき、死亡した夫の要件は、国民年金の第1号被保険者として免除期間を含んで25年以上保険料を納めていることが必要です。

しかし、老齢基礎年金を受けたことがあったり、障害基礎年金の受給権者である場合には支給されないことに注意が必要です。また、妻が繰上げ支給の老齢基礎年金を受給している場合には寡婦年金は支給されません。

なお、支給金額は夫の第1号被保険者期間だけで計算した老齢基礎年金額の4分の3です。

②死亡一時金

死亡一時金とは、死亡した人が国民年金の第1号被保険者として保険料を納めた月数が36月以上かつ、老齢基礎年金・障害基礎年金を受給せずに亡くなった場合に、その人と生計を同じくしていた遺族のうち順位の高い人が一度だけ受けることのできる給付金です(保険料を納めた月数に応じて120,000円~320,000円)。

このとき、保険料の一部を納めた月に関しては、その割合に応じて月数の換算に含めることができます(例:保険料の半額納付をした月⇒2分の1月、4分の1を納付した月⇒4分の1月)。

死亡一時金の受給の優先順位は、配偶者>子>父母>孫>祖父母>兄弟姉妹とされており、この中で優先順位が一番高い人に支給されます。

ただし、死亡一時金は、遺族基礎年金の支給がある場合は受給することができないのと、寡婦年金とは二者択一の関係にあるので、両方を受給することはできません。

また、死亡一時金を受ける権利の時効は、故人の死亡日の翌日から2年間になりますので、併せて注意してください。

まとめ

遺族基礎年金は、子どもがいる家庭には非常に有益な制度となっており、受給額もそれなりに大きいものです。また、故人の死亡日から5年間は時効消滅しないので、余裕を持って請求手続きができるのも魅力的と言えるでしょう。

とはいえ、あまり放置していると権利を忘れてしまいますし、時効消滅の危険はありますので、身辺が落ち着いたら早めに手続きを始めるのがおすすめです。

本記事が、少しでもお役に立てれば幸いです。

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この記事の監修者
弁護士法人ネクスパート法律事務所
柴田直哉 弁護士 (神奈川県弁護士会)
年間500件以上の相続に関するご相談をいただいており(2016年3月~2017年2月)複雑なご相談でも対応が可能です。また、横浜、東京、神戸と3つの拠点があり、ご希望の地域にてご相談ができます。
ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)編集部
編集部

本記事はベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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