世帯主が亡くなった場合、家族が受けられる公的な保障制度に遺族年金があります。
遺族年金には、遺族基礎年金と遺族厚生年金があり、どちらを受給できるかは故人が加入していた年金によって分かれます。
このうち、遺族基礎年金とは、故人が自営業者などで国民年金に加入していた場合に遺族に支給される年金です。
しかし、誰でももらえるわけではなく、受給できるのは18歳未満の子どもがいる世帯に限られます。
受給手続きを始める前に、ご自身が受給の対象となるのか、支給時期、支給額などの基本事項についてあらかじめ知っておくと安心でしょう。
本記事では、遺族基礎年金の受給要件や支給額、申請方法、支給時期といった遺族基礎年金の基本事項のほか、不支給通知が届いた場合の対処法、遺族基礎年金を受給する際の注意事項などについて紹介します。
これから遺族基礎年金の受給申請をしようとされている方は、スムーズに支給されるためにも、ぜひ参考にしてください。
また、故人が会社員や公務員でなどで厚生年金に加入していた場合は、遺族厚生年金を受給できます。
遺族厚生年金については、こちらを参考にしてください。
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※遺族年金の支給方法や受給要件については、相続手続き・トラブルとは異なりますので、市区町村役場や年金事務所、年金相談センターまでお尋ねください。
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遺族基礎年金とは、故人が国民年金加入者だった場合に、子どものいる配偶者、または子どもに支給される年金です。
ここでは遺族基礎年金の受給要件、対象者、支給額などの基本事項について紹介します。
遺族基礎年金は、以下の4つの項目のうち、いずれかを満たした場合に受給できます。
ただし、①②については以下の納付要件があり、死亡日の前日時点で、死亡日が含まれる月の前々月までの納付期間が、全納付期間の3分の2以上でなければなりません。
対象期間には、免除や猶予を受けた期間も含まれます。
遺族年金を受給できるのは、以下のいずれかの方です。
対象になるのはいずれか一方のみで、配偶者が受給する場合は子は受給できません。
また、ここでいう「子」とは、18歳に達する年度の3月31日を迎えていない子どものことです。
ただし、障害等級1級、2級の認定を受けていて、独身である場合は、20歳まで受給できます。
死亡時点で胎児がいた場合も対象となり、誕生時点から請求可能です。
さらに、いずれの場合においても故人によって「生計を維持されていた」といえる必要があります。
「生計を維持されていた」と判断されるのは、以下の条件を満たす場合です。
必ずしも故人と同居している必要はなく、単身赴任などの事情によって別居していたり、子どもが下宿していたりする場合も対象になります。
内縁関係であっても、事実婚の関係と故人によって生計が維持されていたことがわかれば、受給可能です。
さらに、離婚をしていた場合でも、養育費などを受け取り、定期的に面会もしているようなケースであれば、非監護親によって子の生計が維持されていたとみなされ、受給資格が認められます。
遺族基礎年金の支給額は、令和6年4月より以下のように変更されました。
受給者 | 受給額 |
---|---|
子のある配偶者で、昭和31年4月2日以後に生まれた方 | 816,000円 + 子の加算額 |
子のある配偶者で、昭和31年4月2日以前に生まれた方 | 813,700円 + 子の加算額 |
子 | 816,000円+二人目以降の子の加算額 |
加算対象となる子 | 加算額 |
---|---|
1人目の子 | 234,800円 |
2人目の子 | 234,800円 |
3人目以降の子 | 78,300円 |
具体的な受給額は、それぞれ以下のとおりです。
子の人数 | 昭和31年4月2日以後生まれの配偶者が受給する場合の受給総額 | 昭和31年4月2日以前生まれの配偶者が受給する場合の受給総額 | 子が受給する場合の受給総額 |
---|---|---|---|
1人 | 1,050,800円 | 1,048,500円 | 795,000円 |
2人 | 1,285,600円 | 1,28,3,300円 | 1,050,800円 |
3人 | 1,363,900円 | 1,361,600円 | 1,207,400円 |
4人 | 1,442,200円 | 1,439,900円 | 1,285,700円 |
遺族基礎年金の受給申請は、以下の流れでおこないます。
手続きをスムーズに進めるためにも、あらかじめ知っておくとよいでしょう。
まずは申請書と添付書類の準備をしましょう。
申請書は市区町村役場のほか、年金事務所や街角の年金相談センターでもらえます。
また、下記、日本年金機構の公式サイトからもダウンロード可能です。
申請書には、以下の書類の添付が必要です。
申請書の記入には、必ず黒色のボールペンを用いましょう。
消えるタイプのボールペンで記入したものは認められません。
また、誤記がある場合は、二重線で消し、正しい内容を記載します。
訂正印は必要ありません。
記入の際には、年金手帳や基礎年金番号通知書など故人の基礎年金番号がわかるもの、申請者のマイナンバーか基礎年金番号がわかるもの、受給する金融機関の通帳などを手元に準備しておくとスムーズです。
実際に記入する際は、以下の注意事項を参照しましょう。
準備した書類を市区町村役場、または年金事務所の窓口に提出しましょう。
なお、管轄の年金事務所は、日本年金機構の公式サイトで検索できます。
書類提出から1ヵ月程度で、自宅に年金証書や年金決定通知書、年金受給についてのパンフレットが届きます。
書類到着後、1〜2ヵ月程度すれば指定した口座へ偶数月に年金の振り込まれるようになります。
遺族基礎年金の請求申請をして、不支給決定の通知書が届いた場合は、不服申し立てをして再審査を請求できます。
不服申し立ては2回でき、一度目の審査は社会保険審査官、二度目の審査は社会保険審査会によっておこなわれます。
再審査請求の申し立てには期限があり、通知書を受け取ってから2ヵ月以内に請求せねばなりません。
また、審査結果を覆すには、法律などの専門知識や論理的に主張する力も必要です。
弁護士や社会保険労務士などの専門家に相談するほうがよいでしょう。
遺族基礎年金の受給をするにあたって、次の点に注意しましょう。
遺族基礎年金の支給対象は、18歳までの子がいる家庭です。
そのため、子どもが18歳に達した年の3月31日を過ぎると支給は打ち切りになります。
ほかに18歳未満の子がいる場合は、受給権自体は失われませんが、18歳になった子の分はもらえなくなるため、受給額は減ることに注意しましょう。
子どもが全員18歳に到達すれば、最後の子が18歳に到達した年の年度末で、受給権そのものがなくなります。
以下のような場合も、遺族基礎年金の支給は打ち切りになります。
労災で亡くなった場合に支給される遺族補償を受給すると、遺族基礎年金は6年間受給することができません。
遺族基礎年金が支給されるのは、故人が亡くなってから7年後です。
年金の受給権には時効があり、権利が発生してから受給しないまま5年が経過すれば受け取れません。
ただし、やむをえない事情があったために期限内に受給手続きができなかった場合には、その理由を書面で提出すれば、支給してもらえる可能性もあります。
生計を支えていた世帯主が亡くなってしまうと、先の生活が不安になるものです。
そんな不安を少しでも解消するためにも、利用できる可能性のある、ほかの公的保障制度についても押さえておきましょう。
寡婦年金とは、妻が以下の要件に当てはまる場合に受給できる遺族年金です。
ただし、妻が繰上げ支給の老齢基礎年金を受給している場合には支給されません。
なお、支給金額は夫の第1号被保険者期間だけで計算した老齢基礎年金額の4分の3です。
死亡一時金は、以下の要件を満たす場合に支給されます。
支給対象となるのは、その方と生計を同じくしていた遺族ですが、受給者には以下の順位があります。
このうち、年金を受け取れるのは最上位の方だけです。
また、支給額は故人が保険料を納めた月数に応じて決まり、120,000円~320,000円です。
ただし、遺族基礎年金や寡婦年金の支給がある場合は受給できません。
さらに、死亡一時金の受給権の時効は、故人の死亡日の翌日から2年間であることにも注意しましょう。
世帯主が、会社員や公務員で厚生年金の加入者であった場合は、遺族基礎年金だけでなく、遺族厚生年金も受給できます。
厚生年金保険の被保険者であった故人が一定の条件を満たしていれば、「死亡した人によって生計を維持されていた一定の遺族」に対して支給されます。
遺族基礎年金と大きく異なるのは、対象者が子どものいる世帯に限られないこと、故人の収入に応じて支給額が変わるという点です。
遺族基礎年金は子どものいる家庭が受給できる年金です。
子どもが18歳に達するまで、子どもの数に応じて受給されるため、故人が生計を支えていた世帯にとって、頼りになる制度といえます。
生活の不安を少しでも早く解消するためにも、本記事で紹介した手続きの流れを参考に速やかに申請し、受給を開始しましょう。
また、権利を無駄にしないためにも、わからないことがあれば早めに弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
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