世帯主が亡くなった場合、家族が受けられる公的な保障制度に遺族年金があります。
遺族年金には、遺族基礎年金と遺族厚生年金があり、どちらを受給できるかは故人が加入していた年金によって分かれます。
このうち、遺族基礎年金とは、故人が自営業者などで国民年金に加入していた場合に遺族に支給される年金です。
しかし、誰でももらえるわけではなく、受給できるのは18歳未満の子どもがいる世帯に限られます。
受給手続きを始める前に、ご自身が受給の対象となるのか、支給時期、支給額などの基本事項についてあらかじめ知っておくと安心でしょう。
本記事では、遺族基礎年金の受給要件や支給額、申請方法、支給時期といった遺族基礎年金の基本事項のほか、不支給通知が届いた場合の対処法、遺族基礎年金を受給する際の注意事項などについて紹介します。
これから遺族基礎年金の受給申請をしようとされている方は、スムーズに支給されるためにも、ぜひ参考にしてください。
また、故人が会社員や公務員でなどで厚生年金に加入していた場合は、遺族厚生年金を受給できます。
遺族厚生年金については、こちらを参考にしてください。
ご家族が亡くなられた際には、年金の他にも相続に関する手続きが必要となります。相続問題でお悩みの方は弁護士への相談がおすすめです。
遺産相続について期限が迫っていたり不満や納得のいかない事があるなら遺産相続トラブルの解決が得意な弁護士への相談がおすすめです。
当サイト『ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)』は相続争いの解決を得意とする弁護士のみを掲載しております。
上記のような悩みは相続に詳しい弁護士への相談がおすすめです。
相続問題を得意としている弁護士を掲載しているため、迅速に手続きの代行をしてもらえます。
まずは下記からお近くの弁護士を探して相談してみましょう。
※遺族年金の支給方法や受給要件については、相続手続き・トラブルとは異なりますので、市区町村役場や年金事務所、年金相談センターまでお尋ねください。
【アンケート】生前贈与、みんなはどうしてる? |
現在相続弁護士ナビでは、生前贈与に関するアンケートを行っております。 所要時間は約1分、回答後にはほかの方の回答結果も見られますので、ぜひご協力お願い致します。 ※お名前、電話番号、メールアドレスなど個人情報の入力は一切ありません
|
遺族基礎年金とは、故人が国民年金加入者だった場合に、子どものいる配偶者、または子どもに支給される年金です。
ここでは遺族基礎年金の受給要件、対象者、支給額などの基本事項について紹介します。
遺族基礎年金は、以下の4つの項目のうち、いずれかを満たした場合に受給できます。
ただし、①②については以下の納付要件があり、死亡日の前日時点で、死亡日が含まれる月の前々月までの納付期間が、全納付期間の3分の2以上でなければなりません。
対象期間には、免除や猶予を受けた期間も含まれます。
遺族年金を受給できるのは、以下のいずれかの方です。
対象になるのはいずれか一方のみで、配偶者が受給する場合は子は受給できません。
また、ここでいう「子」とは、18歳に達する年度の3月31日を迎えていない子どものことです。
ただし、障害等級1級、2級の認定を受けていて、独身である場合は、20歳まで受給できます。
死亡時点で胎児がいた場合も対象となり、誕生時点から請求可能です。
さらに、いずれの場合においても故人によって「生計を維持されていた」といえる必要があります。
「生計を維持されていた」と判断されるのは、以下の条件を満たす場合です。
必ずしも故人と同居している必要はなく、単身赴任などの事情によって別居していたり、子どもが下宿していたりする場合も対象になります。
内縁関係であっても、事実婚の関係と故人によって生計が維持されていたことがわかれば、受給可能です。
さらに、離婚をしていた場合でも、養育費などを受け取り、定期的に面会もしているようなケースであれば、非監護親によって子の生計が維持されていたとみなされ、受給資格が認められます。
遺族基礎年金の支給額は、令和6年4月より以下のように変更されました。
受給者 | 受給額 |
---|---|
子のある配偶者で、昭和31年4月2日以後に生まれた方 | 816,000円 + 子の加算額 |
子のある配偶者で、昭和31年4月2日以前に生まれた方 | 813,700円 + 子の加算額 |
子 | 816,000円+二人目以降の子の加算額 |
加算対象となる子 | 加算額 |
---|---|
1人目の子 | 234,800円 |
2人目の子 | 234,800円 |
3人目以降の子 | 78,300円 |
具体的な受給額は、それぞれ以下のとおりです。
子の人数 | 昭和31年4月2日以後生まれの配偶者が受給する場合の受給総額 | 昭和31年4月2日以前生まれの配偶者が受給する場合の受給総額 | 子が受給する場合の受給総額 |
---|---|---|---|
1人 | 1,050,800円 | 1,048,500円 | 795,000円 |
2人 | 1,285,600円 | 1,28,3,300円 | 1,050,800円 |
3人 | 1,363,900円 | 1,361,600円 | 1,207,400円 |
4人 | 1,442,200円 | 1,439,900円 | 1,285,700円 |
遺族基礎年金の受給申請は、以下の流れでおこないます。
手続きをスムーズに進めるためにも、あらかじめ知っておくとよいでしょう。
まずは申請書と添付書類の準備をしましょう。
申請書は市区町村役場のほか、年金事務所や街角の年金相談センターでもらえます。
また、下記、日本年金機構の公式サイトからもダウンロード可能です。
申請書には、以下の書類の添付が必要です。
申請書の記入には、必ず黒色のボールペンを用いましょう。
消えるタイプのボールペンで記入したものは認められません。
また、誤記がある場合は、二重線で消し、正しい内容を記載します。
訂正印は必要ありません。
記入の際には、年金手帳や基礎年金番号通知書など故人の基礎年金番号がわかるもの、申請者のマイナンバーか基礎年金番号がわかるもの、受給する金融機関の通帳などを手元に準備しておくとスムーズです。
実際に記入する際は、以下の注意事項を参照しましょう。
準備した書類を市区町村役場、または年金事務所の窓口に提出しましょう。
なお、管轄の年金事務所は、日本年金機構の公式サイトで検索できます。
書類提出から1ヵ月程度で、自宅に年金証書や年金決定通知書、年金受給についてのパンフレットが届きます。
書類到着後、1〜2ヵ月程度すれば指定した口座へ偶数月に年金の振り込まれるようになります。
遺族基礎年金の請求申請をして、不支給決定の通知書が届いた場合は、不服申し立てをして再審査を請求できます。
不服申し立ては2回でき、一度目の審査は社会保険審査官、二度目の審査は社会保険審査会によっておこなわれます。
再審査請求の申し立てには期限があり、通知書を受け取ってから2ヵ月以内に請求せねばなりません。
また、審査結果を覆すには、法律などの専門知識や論理的に主張する力も必要です。
弁護士や社会保険労務士などの専門家に相談するほうがよいでしょう。
遺族基礎年金の受給をするにあたって、次の点に注意しましょう。
遺族基礎年金の支給対象は、18歳までの子がいる家庭です。
そのため、子どもが18歳に達した年の3月31日を過ぎると支給は打ち切りになります。
ほかに18歳未満の子がいる場合は、受給権自体は失われませんが、18歳になった子の分はもらえなくなるため、受給額は減ることに注意しましょう。
子どもが全員18歳に到達すれば、最後の子が18歳に到達した年の年度末で、受給権そのものがなくなります。
以下のような場合も、遺族基礎年金の支給は打ち切りになります。
労災で亡くなった場合に支給される遺族補償を受給すると、遺族基礎年金は6年間受給することができません。
遺族基礎年金が支給されるのは、故人が亡くなってから7年後です。
年金の受給権には時効があり、権利が発生してから受給しないまま5年が経過すれば受け取れません。
ただし、やむをえない事情があったために期限内に受給手続きができなかった場合には、その理由を書面で提出すれば、支給してもらえる可能性もあります。
生計を支えていた世帯主が亡くなってしまうと、先の生活が不安になるものです。
そんな不安を少しでも解消するためにも、利用できる可能性のある、ほかの公的保障制度についても押さえておきましょう。
寡婦年金とは、妻が以下の要件に当てはまる場合に受給できる遺族年金です。
ただし、妻が繰上げ支給の老齢基礎年金を受給している場合には支給されません。
なお、支給金額は夫の第1号被保険者期間だけで計算した老齢基礎年金額の4分の3です。
死亡一時金は、以下の要件を満たす場合に支給されます。
支給対象となるのは、その方と生計を同じくしていた遺族ですが、受給者には以下の順位があります。
このうち、年金を受け取れるのは最上位の方だけです。
また、支給額は故人が保険料を納めた月数に応じて決まり、120,000円~320,000円です。
ただし、遺族基礎年金や寡婦年金の支給がある場合は受給できません。
さらに、死亡一時金の受給権の時効は、故人の死亡日の翌日から2年間であることにも注意しましょう。
世帯主が、会社員や公務員で厚生年金の加入者であった場合は、遺族基礎年金だけでなく、遺族厚生年金も受給できます。
厚生年金保険の被保険者であった故人が一定の条件を満たしていれば、「死亡した人によって生計を維持されていた一定の遺族」に対して支給されます。
遺族基礎年金と大きく異なるのは、対象者が子どものいる世帯に限られないこと、故人の収入に応じて支給額が変わるという点です。
遺族基礎年金は子どものいる家庭が受給できる年金です。
子どもが18歳に達するまで、子どもの数に応じて受給されるため、故人が生計を支えていた世帯にとって、頼りになる制度といえます。
生活の不安を少しでも早く解消するためにも、本記事で紹介した手続きの流れを参考に速やかに申請し、受給を開始しましょう。
また、権利を無駄にしないためにも、わからないことがあれば早めに弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
遺産相続では相続人ごとに優先順位が定められており、相続人の組み合わせによってそれぞれの取り分が異なります。本記事では、相続順位・相続割合のルールや、パターンごと...
遺産相続にあたって遺産分割協議書をどのように作成すればよいのか、悩んで方も多いのではないでしょうか。本記事では、遺産分割協議書の必要性や具体的な書き方を解説しま...
兄弟姉妹が亡くなり、兄弟姉妹に親や子どもがいない場合には、残された兄弟姉妹が遺産を相続することになります。そこで、本記事では相続における兄弟姉妹の相続順位や割合...
法定相続人の順位が高いほど、受け取れる遺産割合は多いです。ただ順位の高い人がいない場合は、順位の低いでも遺産を受け取れます。あなたの順位・相続できる遺産の割合を...
親等は親族関係の近さを表したものです。この記事では親等とは何か、親等をどうやって数えるかといった基本的なことのほか、親等早見表、親等図を記載しています。親等でよ...
遺産相続を依頼した際にかかる弁護士費用の内訳は、一般的に相談料・着手金・成功報酬金の3つです。相続の弁護士費用がいくらかかるのかは、依頼内容や希望するゴールによ...
養子縁組を結んだ養親と養子には、法律上の親子関係が生じます。養子には実子と同じく遺産の相続権が与えられるうえに、相続税の節税にもつながります。このコラムでは、養...
特定の相続人に遺産を相続させない方法を知りたくはありませんか?夫・妻・兄弟はもちろん、前妻の子・離婚した子供に財産・遺留分を渡したくない人は注目。悩み解消の手助...
株式の相続が発生すると、株式の調査や遺産分割、評価や名義の変更などさまざまな手続きが必要になります。この記事では、株式を相続するときの手順について詳しく解説しま...
法定相続分とは、被相続人(亡くなった人)が遺言で財産の配分を指定しなかった場合に適用される「遺産の相続割合」のことです。本記事では、法定相続分の配分や計算方法を...
生前、被相続人に対して一定の貢献を果たした相続人は、遺産相続の際に「寄与分」を主張することができます。本記事では、遺産相続で寄与分の主張を検討している相続人のた...
遺産相続は、資産の特定や分け方などが複雑で、金額や相続人が多いほどたいへんです。本記事では、配偶者になるべく多くの遺産を相続させたい場合にできる適切な準備などに...
遺産分割は共同相続人全員でおこなう必要があり、遺産分割に先立って漏れなく共同相続人を把握しなければなりません。本記事では、共同相続人とは何か、および共同相続人に...
家庭裁判所の調停委員が、相続人全員が遺産分割方法など合意を形成できるようなアドバイス・和解案を提示。遺産分割調停を控えている方や、遺産分割協議が思うように進まず...
遺言書の有無や、親族の数などによって、相続できる財産は異なります。また、相続をしないという選択もあります。本記事では親が亡くなったケースを中心に、親族が亡くなっ...
遺産分割調停での解決できなさそうな状況であれば、遺産分割審判に移行します。本記事では、遺産分割調停と遺産分割審判の違い、審判に向けて準備しなければならないこと、...
代償分割をする場合、遺産分割協議書をどのように作成すればよいのでしょうか。この記事では、代償分割の概要や遺産分割協議書の書き方、代償金の決め方について解説します...
今回は、相続分の譲渡のメリットや、相続分の譲渡の諸手続き、手続きを進めるにあたっての注意事項をわかりやすく解説します。ベンナビ相続では遺産相続問題に力を入れてい...
配偶者居住権は、2020年4月より適用されるようになった権利をいいます。本記事では、配偶者居住権の概要や設定の要件、メリット・デメリットなどを解説します。手続き...
一人が全て相続するケースでも、状況によっては遺産分割協議書が必要になることがあります。 本記事では、遺産を一人が全て相続する際の遺産分割協議書の書き方や注意点...
Powerd by HOME4U