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相続税の申告手続きの手引き|知らないと損する控除制度まとめ

弁護士法人本江法律事務所
本江 嘉将
監修記事
Souzokunotebiki
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相続税については「自動的に金額が決定されて、それに従って納税するもの」と考える人も多いでしょう。

実際のところ、素人が手探りで手続きを進めてしまうと、思わぬところでつまずいたり期限内に申告できなかったりすることもあります

ただでさえ身近な人が亡くなって慌ただしいところ、慣れない相続税の手続きに対応するのは大変でしょう。

「相続税はどのように計算するのだろう?」「申告手続きでは具体的に何をすればよいのか?」という方に向けて、本記事では相続税の申告手続きについて解説します。

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相続税の申告とは

相続税の申告をするときは、被相続人が死亡したときの住所地を所轄する税務署に、相続税の申告書を提出します

ただし、相続や遺贈によって取得した財産や、相続時精算課税制度の適用を受ける財産の合計額が相続税の基礎控除を下回る場合は、相続税の申告や納税は不要です。

しかし、配偶者控除については税申告することで適用が受けられるため、相続税がかからない場合でも申告する必要があります。

もし申告期限内に申告をしなかった場合や、実際にもらった財産の金額よりも少ない金額で申告をした場合には追徴課税が課せられます

なお、相続税の納付金額は遺産分割が確定しないと決まりません。

申告期限内に遺産分割ができず間に合わない場合には、ひとまず「法定相続分にしたがって遺産分割をした」として各相続人が相続税を支払います。

そして、正式に遺産分割が終わったあとに、相続税の過不足を精算します。

<申告時に必要な書類>

 

必要書類

備考

戸籍謄本

家族全員の記載があるもの

住民票

家族全員の記載があり、省略をしていないもの

印鑑証明書

遺産分割協議書への捺印のときに必要

申告書の提出先

申告書の提出先は、被相続人が死亡したときの住所地を管轄する税務署です。

納付方法

相続税の納付は、「被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヵ月以内」にしなければなりません。

相続税は税務署窓口で納付するほか、金融機関や郵便局の窓口でも納付できます。

税金は現金で一括払いするのが原則ですが、相続税については何年かにわけて納める「延納」や、相続などでもらった財産そのもので納める「物納」などの制度があります。

これらの制度を利用するためには、申告書の提出期限までに税務署へ申請して許可を受ける必要があります。

申告要否の判断

相続税には基礎控除という控除制度があります。

ほかにもさまざまな控除制度があり、ここでは相続税申告が必要なケース・不要なケースについて解説します。

相続税申告が不要なケース

相続税の基礎控除は「3,000万円+法定相続人の数×600万円」であり、相続財産が基礎控除を下回る場合は非課税となります。

たとえば、「夫が亡くなって妻と子ども2人が相続人」という場合の基礎控除は「3,000万円+600万円×3人=4,800万円」となり、相続財産が4,800万円を下回る場合は相続税が一切かからず申告も不要です。

相続税は0円なのに申告が必要なケース

たとえ最終的に相続税が0円になっても、小規模宅地等の特例や配偶者控除などの適用を受けるためには相続税の申告が必要です。

もし期限内に申告をしなければ適用を受けられず、本来であれば支払わなくて済んだはずの税金を支払うことになるので注意しましょう。

申告は不要だが税務署からお尋ねがくるケース

相続財産が基礎控除を下回っている場合でも、なかには税務署から「申告が必要ではありませんか?」というお尋ねが送られてくることもあります。

もしお尋ねが送られてきた場合は、相続財産が基礎控除を下回っているため申告が不要であるという旨を文書で伝えましょう

特例や税額控除を適用するケース

相続税には特例や税額控除などが設けられており、それらの適用を受けることで相続税が発生しない場合には、申告手続きが必要なこともあります。

小規模宅地等の特例を適用する場合

小規模宅地等の特例とは、被相続人が居住用に利用していた自宅・事業用に使っていた宅地・不動産貸付業に使っていた土地などについて、評価額を減額できる制度のことです。

小規模宅地等の特例の適用により相続財産が基礎控除を下回る場合には、相続税の申告が必要です。

特例適用後の相続財産が基礎控除を超えなければ相続税はかかりませんが、手続き上、小規模宅地等の特例については相続税の申告が適用要件になっています。

配偶者の税額軽減を適用する場合

相続税の配偶者控除とは、被相続人の配偶者について「1億6,000万円」または「法定相続分」のどちらか多い方の金額までは相続税がかからないという制度です。

配偶者控除の適用により相続税がかからない場合でも、相続税の申告は必要です。

配偶者控除の適用を受ける場合も、相続税の申告が適用要件になっているからです。

未成年者控除・障害者控除・相次相続控除を適用して納税が0円になる場合

各制度の概要は以下のとおりです。

  • 未成年者控除:18歳未満の相続人について「10万円×18歳になるまでの年数」で算出された金額を控除できる制度
  • 障害者控除:障害のある相続人について「10万円(※20万円)×85歳になるまでの年数」で算出された金額を控除できる制度
    ※重度の障害のある特別障害者の場合
  • 相次相続控除:相続が発生してから10年以内に次の相続が発生した場合、一次相続でかかった相続税を二次相続の相続税から一部控除できる制度

未成年者控除・障害者控除・相次相続控除により相続税がかからない場合には、相続税の申告は不要です。

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相続税申告の期限

ここでは、相続税の申告についての詳細を記述します。

申告にも期限がありますので、きちんとスケジューリングをしたうえで、期限内に申告を完了させましょう。

自動的に申告期限が延長されることはありませんが、期限延長手続きの案内がされていますので、申告期限の延長が必要な方は期限延長申請書等を用いて延長申請することが可能です。

被相続人の死亡から10ヵ月以内

相続税の申告期限は、「被相続人の死亡を知った日の翌日から10ヵ月以内」です。

たとえば、被相続人が2月1日に死亡した場合は、その年の12月1日が申告期限です。

申告期限を超えそうな場合の対処法

原則として申告期限は延長できませんが、以下のようなケースでは2ヵ月の範囲内で延長が認められることもあります

  1. 相続人の異動があった場合(相続する人が変わる場合)
  2. 遺留分侵害額請求があった場合
  3. 遺贈に係わる遺言書が見つかった場合
  4. 相続人の人数に含まれていた胎児が生まれた場合 など

なお、申告期限を超えそうな場合の対処法としては以下があります。

申告期限内に概算申告でとりあえず納税する

概算申告でとりあえず納税した場合、その後に正確な金額を申告をすれば概算申告時に多く支払った分の金額が還付されます

また、特例の適用が受けられなくなったり、延滞税などが課されたりするなどの不利益も回避できます。

申告期限後3年以内の分割見込書を提出する

「申告期限後3年以内の分割見込書」とは、期限内の相続税申告が難しい場合に提出する書類です。

この申告書を提出すると申告期限が3年延長され、遺産分割協議が完了したあとに「配偶者控除」や「小規模宅地等の特例」などの適用を受けることができます。

申告期限を過ぎてしまったら

ここでは、申告期限を過ぎた場合のペナルティについて解説します。

延滞税

延滞税とは、相続税の納付期限までに納付されなかった場合に発生する税金で、税率は以下のとおりです。

  • 納期限の翌日から2ヵ月以内の部分:年2.4%
  • 納期限の翌日から2ヵ月を超えた部分:年8.7%

過少申告加算税

過少申告加算税とは、提出された申告書の金額が不足していた場合に課される税金で、税率は以下のとおりです。

  • 「期限内に申告した税額」と「50万円」のどちらか多い方の金額を超えない部分:10%
  • 「期限内に申告した税額」と「50万円」のどちらか多い方の金額を超える部分:15%

無申告加算税

無申告加算税とは、正当な理由なく期限内に申告しなかった場合に課される税金で、税率は以下のとおりです。

  • 本来納付すべき税額が50万円以内の部分:15%
  • 本来納付すべき税額が50万円を超える部分:20%

重加算税

重加算税とは、隠蔽や仮装などの程度が悪質な場合に課される税金で、税率は以下のとおりです。

  • 無申告の程度が悪質な場合:40%
  • 過少申告の程度が悪質な場合:35%

相続税申告の流れ

相続税申告の流れ

税理士に頼まず自分で手続きはできるか?

相続税の申告手続きは、素人にとっては骨が折れる作業です。

素人の場合、相続財産の正確な評価方法がわからずに申告漏れが起きてしまい、税務調査の対象になってしまうリスクもあります。

日中は仕事をしている人などは、なおさら申告手続きのために時間を割くことが難しく、申告期限を超過してしまうこともあります。

相続税について悩んでいる人は、一度税理士に相談してみることをおすすめします。

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相続税を計算するうえで知っておくべきこと

相続税を計算する際は、以下の点を押さえておきましょう。 

相続税の税率

相続税の税率は2015年に改定されており、詳しくは以下のとおりです。

<相続税の税率早見表>

法定相続人の取得金額

改正前

改正後

税率

控除額

税率

控除額

1,000万円以下

10%

なし

10%

なし

1,000万円を超えて3,000万円以下

15%

50万円

15%

50万円

3,000万円を超えて5,000万円以下

20%

200万円

20%

200万円

5,000万円を超えて1億円以下

30%

700万円

30%

700万円

1億円を超えて2億円以下

40%

1,700万円

40%

1,700万円

2億円を超えて3億円以下

45%

2,700万円

3億円を超えて6億円以下

50%

4,700万円

50%

4,200万円

6億円を超える場合

55%

7,200万円

たとえば、「遺産総額:6億円、法定相続人:子ども2人」という場合、相続税は以下のように計算します。

  • 基礎控除後の金額=6億円-基礎控除額4,200万円=5億5,800万円
  • 法定相続分に応ずる取得金額=5億5,800万円×法定相続分1/2=2億7,900万円
  • 相続税の総額=(2億7,900万円×45%-2,700万円)×2人=1億9,710万円

税額加算・税額控除

税額控除は以下の①から順番におこない、税額加算分も計算します。

①贈与税額控除

相続開始前3年以内に贈与された財産は相続税の対象となります。

したがって、贈与したときに支払った贈与税を相続税から差し引くことができます。

②配偶者控除

配偶者は「法定相続分」または「1億6,000万円」のいずれか大きい方の金額まで相続税がかかりません。

③未成年控除

相続人が未成年の場合、「10万円×18歳になるまでの年数」で算出された金額が控除されます。

④障害者控除

相続人が障害者の場合、「10万円(※特別障害者は20万円)×85歳になるまでの年数」で算出された金額が控除されます。

⑤相次相続控除

10年以内に相続が続いた場合、「1回目の相続税額から、今回の相続までの経過年数1年につき10%減額した金額」を2回目の相続税額から控除できます。

⑥外国勢税額控除

外国で相続税を納めた場合、「外国で支払った相続税額」または「日本の相続税額×(外国にある相続財産額の合計/相続人の相続財産額の合計)」のいずれか小さい方の金額が控除されます。

⑦相続税精算課税における贈与税額の控除

相続時精算課税制度とは、2,500万円までの贈与について贈与税がかからないという制度です。

相続時精算課税制度を選択した場合、相続時にそれまで受けた贈与財産を相続財産に合算して計算しますが、すでに支払った相続時精算課税制度にかかる贈与税相当額については相続税額から控除できます。

⑧相続税の2割加算

被相続人の子ども・父母・配偶者以外が相続や遺贈によって財産を得た場合、税額は2割増しになります。

相続税の算出方法

相続税は以下のような方法で計算します。

  1. 基礎控除を引く
  2. 法定相続分で按分して相続税の総額を求める
  3. 実際の取得分で按分する

計算式としては以下のとおりです。

  • 相続税額=(遺産総額—基礎控除額)×相続税率-税額控除

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相続税申告を税理士に依頼する前に知っておくべき3つのこと

相続税の申告手続きは税理士に依頼するのが確実です。

ここでは、税理士に依頼する前に知っておくべきことについて解説します。

税理士に頼んだ際の相場

税理士に相続税の申告を依頼した場合の費用相場は「遺産総額の0.5%~1%程度」で、もし1億円の遺産相続であれば50万円~100万円程度です。

ただし、相続争いになった場合や遺産調査が長引いた場合などは、別途費用がかかることもあります。

特に、遺産調査では大きな手間がかかり、相続に土地が含まれる場合はなおさらであるため、あくまでも上記の金額は目安のひとつです。

税理士費用の相場や内訳については、以下の記事で詳しく解説しています。

税理士に頼むメリット

当然ながら、税理士には迅速かつ効果的に相続税申告をおこなうためのノウハウがあり、依頼者の心身的負担や時間的負担は大きく軽減されます。

相続には、両親の片方が亡くなった場合に発生する一次相続と、さらにもう片方の親が亡くなった場合に発生する二次相続があります。

この二次相続において、税理士であれば中長期的な対策を取ることができ、事業承継などの事前対策もしやすくなります。

税理士次第で相続税が変わる

相続税の申告は、税理士の力量次第で大きな差が出ることがあり、どこに依頼するのかによって相続税自体が変わる可能性があります

相続財産が少額で相続税の申告手続きのみ依頼するような場合は、費用の安い税理士に依頼するのもよいでしょう。

最後に

相続が発生した場合は、「自分が相続税の申告をする必要があるのかどうか」は最低限理解しておきましょう。

相続財産の内容によっては相続税の計算が複雑になる恐れもあるため、計算ミスなどが不安な場合は税理士に依頼することをおすすめします。

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この記事の監修者
弁護士法人本江法律事務所
本江 嘉将 (福岡県弁護士会)
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ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)編集部
編集部

本記事はベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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