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2019年11月06日

相続発生時の仮払い制度を解説|遺産分割の前に預貯金の一部の払戻しが可能に

川崎相続遺言法律事務所
関口 英紀 弁護士
監修記事
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これまで、遺産分割が行われるまで故人(被相続人)の預貯金を払戻しすることができませんでした。このルールが相続法の改正により変わり、預貯金の一部について、遺産分割前に払戻しができるようになりました

 

この「仮払い制度」により、被相続人の葬儀費用や借金を返済するための資金を工面できるようになりました。

 

預貯金の仮払い制度の仕組みと利点を紹介します。

 

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相続法の改正で預貯金の仮払い制度が創設

民法の相続について書かれてある部分のことを、「相続法」と呼ぶことがあります。

 

この相続法が改正されたことで、2019年7月1日から複数の相続人のうちの一部の人が、遺産分割前であっても、被相続人の預貯金の一部の払戻しを受けられるようになりました。これを、預貯金の仮払い制度と言います。

 

急ぎの出費を遺産分割前に引き出せる

被相続人の葬儀や被相続人の借金の返済では、急ぎで多額のお金が必要になることがあります。

 

新設された預貯金の仮払い制度によって、共同相続人の一部がそれらのお金を短期間で工面できるようになりました。

 

以前と比べて便利になったポイント

預貯金の仮払い制度ができる前は、遺産分割が完了するまでの間、相続人が単独で被相続人の預貯金の払戻しを受けることはできませんでした。

 

相続人が複数人いる場合、預貯金や不動産などの相続財産はいったん、相続人全員の共有財産となります。遺産分割とは、相続人全員で話し合い、誰がいくら相続するのか、または何を相続するのか決めて、現実に分けることを言います。

 

被相続人の預貯金は共有財産になってしまうので、被相続人の葬儀をあげた一部の相続人が葬儀費用の工面に困っても、その預貯金を使うことができませんでした。

 

それが預貯金の仮払い制度によって可能になるので、例えば葬儀費用が必要となった相続人などは便利になります。

 

なお、仮払いを受けた金額については、のちに行われる遺産分割において、すでに遺産を受けたものとして計算されます

 

預貯金の仮払いを受ける方法

預貯金の仮払い

預貯金の仮払いを受ける方法は、家庭裁判所の判断が要らない場合と要る場合があります

 

①家庭裁判所の判断が要らない場合

預貯金のうち一定金額以下の額は、家庭裁判所の判断を経ずに、相続人が単独で払戻しを受けることができます。仮払いを希望する相続人が、預貯金を預かっている銀行などの金融機関に行き、相続人であることと、法定相続分を証明できれば、お金を引き出すことができます。

この方法は手間がかからないというメリットがありますが、「一定金額」以上は引き出せないデメリットもあります。

 

一定金額は以下の計算式で算出します。

 

  • 仮払いできる一定金額=預貯金の額×1/3×相続人の法定相続分
  • 一金融機関当たりの上限額は150万円

 

つまり仮払いを受けられる金額は、相続人の法定相続分のうち1/3以下、または1金融機関当たり150万円の、いずれか少額のほうとなります。

 

のちほど具体的な金額を入れてシミュレーションしてみます。

 

②家庭裁判所の判断が要る場合

一定金額以上のお金が必要なときは、家庭裁判所の判断によって、預貯金の払戻しを受けることができます。家庭裁判所はほかの共同相続人の利益を害さない範囲の金額の払戻しを許可します。

 

多くのお金が必要なときはこちらの仕組みを使ったほうがいいのですが、この方法を使うには仮払いを受ける相続人が家庭裁判所に対して仮払いの必要性を説明しなければなりません。家庭裁判所に申し立てをする手続きも手間がかかるのがデメリットになります。

 

預貯金の仮払い制度を有効活用できる例

被相続人の預貯金の仮払いを受けられる制度が役に立つ事例を考えてみます。具体的な金額を使ってシミュレーションしてみます。

 

①葬儀費用225万円を家庭裁判所の判断なしに仮払いを受けることができるケース

以下のケースを想定します。

 

  • 被相続人が、A銀行に900万円、B銀行に3,000万円を預金していた
  • 相続人は、配偶者と長男と次男
  • 長男が、被相続人の葬儀費用としてまとまった現金が必要になった

 

このとき長男は、最高225万円まで、家庭裁判所の判断なしで預金の払戻しを受けることができます。

 

225万円の算出方法は以下の通りです。

 

長男の法定相続分は1/4になります。ちなみに配偶者は1/2、次男は1/4です。

 

  • A銀行から払戻せる額=900万円×1/3×長男の法定相続分1/4=75万円→そのまま75万円
  • B銀行から払戻せる額=3,000万円×1/3×長男の法定相続分1/4=250万円→上限額の150万円
  • 両者を足して225万円(=75万円+150万円)

 

②被相続人の借金を返済するケース

続いて、被相続人が多額の借金を抱えていたケースを考えてみます。

 

以下のケースを想定します。

 

  • 被相続人が、A銀行に900万円、B銀行に3,000万円を預金していた
  • 相続人は、配偶者と長男と次男
  • 被相続人に1,000万円の借金があり、長男が早期に返済しなければならない

 

先ほどの①のシミュレーションで、長男が家庭裁判所の判断なしに仮払いを受けられる額は225万円であることを確認しました。

 

この額では借金1,000万円に遠く及ばないので、長男は、家庭裁判所に仮払いの額を多くしてもらう判断を求めることができます。

 

長男の法定相続分は1/4なので、被相続人の預金総額3,900万円(=900万円+3,000万円)のうち、975万円(=3,900万円×1/4)を、遺産分割で得ることができる可能性があります。

 

家庭裁判所が「長男には975万円を相続する権利があるので、預貯金のなかからその全額の仮払いを認める」と判断すれば、長男は975万円の仮払いを受けることができます。それを借金の返済額に充当することができます。

 

まとめ|遺産分割を待っていられないときに便利

預貯金の仮払い制度は、遺産分割を待っていられない「お金の事情」が発生したときに有益な仕組みです。

 

遺産分割はすべての法定相続人の同意が必要になるので、完了までに時間がかかることが珍しくありません。急を要するときに預貯金の仮払い制度を活用してみてください。

 

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相続トラブルを解決し遺産を多く受け取る方法とは?

相続トラブルで一番多い金額は5,500万円以下です。

 

これは相続トラブル全体の約75%にあたり、さらに1,000万円以下だけに絞って見ても、全体の32%を占めています。

 

相続トラブルはお金持ちや、ましてテレビの出来事では決してないのです。

 

相続トラブルの金額

<参考資料:平成25年度司法統計>

 

さらに、下の表を見ると遺産分割調停、すなわち遺産分割トラブルが右肩上がりで増えてきていることがわかります。

 

遺産分割に関する調停事件の推移

<参考資料:平成25年度司法統計>

 

 

相続における自己解決と弁護士介入の違いとは?

相続するのはあなただけではありません。相続人の平均人数は3名程度です。

 

相続人の数

<参考資料:国税庁 統計年報>

 

相続人が多いほど、相続トラブルが発生しやすく複雑になるのは避けようのない事実です。

 

トラブル回避のために重要なのは、早めに専門知識のある第三者を介入させることです。一般的に専門知識を持つ代表格といえば相続問題を得意とする弁護士です。

 

弁護士を介入させると費用が高くつくイメージがありますが、結果的にはトラブルを解消できるだけではなく、相続面でも優位に働き、金銭的にもメリットを得られることが多くなります。

 

 

相続に強い弁護士の選び方と相続相談の具体例

相続に際し、雇うのは弁護士なら誰でもいいというわけではありません。
最大のメリットが得られる弁護士の選び方は、以下を参考にしてください。

 

 

  • 1、相続が得意な弁護士を選ぶ

    相続トラブルの解決実績が豊富だったり、相続問題に注力していたりする弁護士を選びましょう。

  • 例えば、医者に「内科」「外科」「皮膚科」「耳鼻科」…と専門分野があるように、弁護士にも「相続」「離婚」「借金」「企業法務」…といった得意分野があります。

  • 相続があまり得意でない弁護士に依頼しても十分なメリットを受けられない可能性があるため、相続を得意とする弁護士に依頼することが大切です。

  • 2、初回相談料の安い弁護士を選ぶ

    初回相談は自分と相性の良い弁護士を選ぶチャンスですので、1件だけではなく複数と話をしてみましょう。

  • 件数を重ねるために初回の相談料を必ず確認しましょう。(相談無料〜3000円程度をオススメします)

  • 3、近隣の弁護士を選ぶ

    相続の弁護士は全国対応していることも多いのですが、やはり対面での関係性構築や急な事態に対応できる近隣の弁護士事務所が最善策といえるでしょう。

 

 

相続で弁護士が介入するデメリットは、あまりありません。

 

あえて挙げるなら、依頼に費用がかかる点でしょうか。

 

しかし、以下の費用対効果の例をご覧いただけば、実際には費用がデメリットとはならないことが、おわかりいただけると思います。

 

不公平な遺言書に対し弁護士を通じて遺留分を主張した例

3,000万円の遺産を遺して親が世を去った。全財産をほかの相続人に相続させる旨の遺言書があり、このままでは自分は一切遺産を受け取ることができない。

弁護士に依頼した結果

遺留分侵害額請求により、自分の遺留分割合である8分の1の遺産を受け取ることができた。

費用対効果

自分が受け取ることができた遺産は375万円。弁護士費用は84万円。そのまま泣き寝入りしていれば1円も受け取ることができなかったが、結果的に弁護士費用を差し引いても291万円を手にすることができた。

また、相続トラブルに関しては、初期費用(着手金)はかかるものの、費用の大部分は成果報酬方式です。


つまり依頼料はデメリットにならないのです。

 

>>費用対効果の高い弁護士とは?

 

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この記事の監修者
川崎相続遺言法律事務所
関口 英紀 弁護士 (神奈川県弁護士会)
遺産分割など揉めやすい問題の交渉、調停、訴訟から、生前の相続対策として遺言や家族信託の活用についてまで幅広く対応。相談者の事情に合わせたオーダーメイドの解決を目指しており、多くの実績がある。

相続トラブルに巻き込まれてしまった方へ

何かと相続トラブルに発展するのは遺産の割合に不満がある・納得いかないケースです。

例えば、下記などが該当します。

・思ったより相続される遺産が少なかった
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・遺言書に他の兄弟姉妹に遺産を多く渡す旨が書かれていた

遺産相続では法定相続分といって、民法で定められている割合の通りに遺産を公平に分割しましょうという一応の定めがありますが、生前に被相続人(亡くなった人)の介護をしていた、被相続人の事業を手伝っていれば寄与分という制度で多くの財産をもらう権利があります。

また、他の相続人が生前に財産を多く受け取っていたのであれば、遺産分割協議の際に相続財産を減らすこともできます。ただ、こういったルールは相続人全員が知っているわけではありませんから、あなたが主張しても聞く耳をもたれない可能性もあります。

その場合、弁護士に相談することで法的な観点から主張をしてくれますし、トラブルになっている場合はその仲裁に一役買ってくれるでしょう。当サイトでは、相続トラブルを1人で解決できるか悩んでいる方へ無料電話・無料相談(一部)を行い、不安解消できるように努めています。

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相護士ナビ編集部

本記事は相続弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※相続弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
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