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相続税の期限はいつ?過ぎたらどうなる?間に合わせるポイントも解説

伊藤亮太(FP)
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  • 「相続税の申告期限はいつまで?」
  • 「相続税はいつまでに支払えばいい?」

このように相続税の期限について、悩んでいる方は多いのではないでしょうか。

相続をする際、相続財産が一定額以上の場合は相続税を支払う必要がありますが、実は申告や支払いには期限が存在します

結論からお伝えすると、相続税の申告・支払い期限は「相続の開始があったことを知った日から10ヵ月」です。

とはいえ、具体的にどの日から起算して10ヵ月なのか、期限支払えない場合はどうしたらいいのかなど疑問はつきません。

そこで本記事では、相続税の期限について解説します。

具体的な起算日や期限を延長する方法なども紹介するので、ぜひ参考にしてください。

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相続税の期限

相続税の申告の期限について、相続税について規定する相続税法27条1項は、その相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヵ月以内に申告書を納税地の所轄税務署長に提出すべきと規定しています。

相続税の期限について10ヵ月といわれるものは、申告書の提出期限となります。

起算日は相続の開始があったことを知った日の翌日

10ヵ月の期間を計算する起算日は、「相続の開始があったことを知った日の翌日」です。

なお、相続の開始は「被相続人が死亡したとき」を指します。

では、「相続の開始を知ったとき」はどのように判断されるのでしょうか。

たとえば、「被相続人の最後を看取った、通夜・葬儀に参列した、亡くなった連絡を受けた」など、被相続人の死亡を知ったときに、相続の開始を知ったといえるでしょう。

なお、次のようなケースでは、起算日がずれることになります。

  • 失踪宣告があった場合:審判の確定のあったことを知った日
  • 認知の裁判を起こしていた場合:裁判の確定を知った日
  • 民法886条の規定によって既に生まれたものとみなされる胎児:法定代理人がその胎児の生まれたことを知った日
  • 相続開始の事実を認識できない相続人:法定代理人がその相続の開始のあったことを知った日
  • 遺贈をされた受遺者:自分に遺贈があったことを知った日

申告期限は10ヵ月

相続税の申告期限は10ヵ月です。

たとえば1月1日に亡くなったことを知った場合には、10月1日が申告期限です。

申告期限の日が土・日・祝日である場合には、その日の翌日が期限となります。

また、年始1月1日~3日は税務者が休みなので、4日が期限となると覚えておきましょう。

納付の期限も同じ

相続税の納付(支払い)の期限については、相続税法33条で申告書の提出期限までに相続税の納付をすべき旨が規定されています。

そのため、申告期限である10ヵ月以内に相続税を納付する必要があるでしょう。

相続税の期限の延長

相続税の期限は原則として延長できません

しかし、認知・相続放棄・遺贈・失踪宣告・胎児の出生などによって、相続人が変わったり、取得する財産に変動があったりした場合、新たに相続人になった本人以外の相続人は1ヵ月以内が申告期限のケースに限って、最大2カ月の延長が認められます。

また、災害などその他やむを得ない理由により申告期限までに相続税の申告・納税が困難である場合には、申告期限の延長が認められることがあります。

たとえば、2024年に発生した能登半島地震においては、石川県・富山県の申告期限については延長する措置がとられました。

相続税を期限までに支払えない場合の延納・物納

相続税の納付は、現金で一括でおこなうのが原則です。

しかし、相続財産の大部分が不動産である場合など、相続税を期限までに支払えない場合があります。

このような場合には、分割での納付にしてもらう延納や、相続財産をそのまま納付する物納という手続きを利用しましょう。

なお、延納をする場合には、利子税がかかるので注意をしましょう。

また、物納は延納が難しいときにのみ利用できます。

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相続税申告を期限までにおこなわない場合のペナルティ

相続税申告を期限までにおこなわない場合、次のようなペナルティが課せられます。

  • 延滞税
  • 無申告加算税
  • 重加算税

それぞれどのようなものか確認しましょう。

無申告加算税

相続税の申告を申告期限までにおこなわなかった場合には、無申告加算税が課されます。

無申告加算税の税率は、納付すべき税額と税務調査とのタイミングによって次のような区分で課されます

相続税額

税務調査前に自主的に申告した場合

税務署からの調査の事前通知の後に期限後申告をした場合

税務署の調査を受けた後に期限後申告をした場合

50万円以内

5%

10%

15%

50万円を超える部分

15%

20%

たとえば、150万円の相続税の無申告加算税は次のとおりです。

  • 税務調査前に自主的に申告した場合:150万円×5%=155万2,500円
  • 税務署からの調査の事前通知の後に期限後申告をした場合:50万円×10%+100万円×15%=170万円
  • 税務署の調査を受けた後に期限後申告をした場合:50万円×15%+100万円×20%=175万2,500円

延滞税

申告期限に申告していないということは、相続税の支払いを延滞していることになるので、延滞税を支払わなければなりません

延滞税の税率は、原則として次の区分となっています。

  • 2カ月を経過する日まで:年3%
  • 2カ月を経過した日以後:年6%

ただし、上記の税率は現在の金利と比べると大きく乖離するため、令和5年1月1日から令和6年12月31日までの延滞税の税率は、特例として以下が適用されます。

  • 2カ月を経過する日まで:年4%
  • 2カ月を経過した日以後:年7%

延滞税の税率についてはそのときの金利の動向に左右されるので、国税庁のホームページなどで確認するようにしましょう。

相続税の申告・納税を期限に終わらせるためのコツ

ここからは、相続税の申告・納税を期限に終わらせるためのコツを紹介します。

相続人の確定や遺産の調査を早く終わらせる

相続税の申告・納税には、遺産分割をすることが欠かせません。

そのため、相続人の確定や遺産の調査を早く終わらせるようにしましょう。

相続人の確定や遺産の調査には思いのほか時間がかかることが多くあります。

結果的に、遺産分割をするのに手間取り、相続税申告のための準備の期間を圧迫することになりかねません。

相続人の確定や遺産の調査はできるだけ早めに終わらせましょう。

財産や相続人の調査が困難な場合は、弁護士に相談することも検討してください。

税理士に依頼する場合には申告期限3カ月前までには依頼する

相続税申告は相続税や相続に関する法律を厳格に理解している必要があり、かつ、手続きをスムーズにおこなう必要があります。

そのため、税理士に手続きを依頼することもあるでしょう

ただし、相続税申告の依頼を税理士におこなう場合には、申告期限3カ月前までには依頼してください。

なぜなら、税理士への依頼が申告期限直前になってしまうと、税理士費用が割り高になってしまうからです。

税理士に依頼をする場合、申告期限の少なくとも3カ月前までには依頼することで、通常通りの税理士費用で依頼できるでしょう。

どうしても間に合わない場合の対応方法

相続税の申告がどうしても期限に間に合わない場合には、遺産未分割のまま申告をおこないます

ただし、この場合は遺産分割が終わっていることが前提で適用される相続税の優遇措置(配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例など)が利用できません。

なお、未分割で申告する場合は法定相続分で分割したという仮定で申告・納税をおこない「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出しましょう。

そうすることで、後に遺産分割が終わった段階で、遺産分割の割合で計算しなおして更正の請求をおこなえば、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例の利用ができます。

相続税申告の期限に関係する2つの期限についても確認

相続税申告の期限に関係する次の2つの期限を確認しましょう。

相続放棄・限定承認の期限は3ヵ月以内</h3>

相続をする際、マイナスの遺産を相続したくない場合には相続放棄・限定承認といった手続きをすることがあります

相続放棄や限定承認の期限は、相続の開始があったことを知った時から3ヵ月以内です(民法915条)。

なお、相続放棄・限定承認については、期限の延長できるほか、期限を過ぎてから債務の存在を知ったなど、やむをえない事情がある場合には期限後でも手続きができる場合があります。

準確定申告は4カ月以内

被相続人に収入があり、確定申告が必要な場合には被相続人が準確定申告をおこないます

準確定申告は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4カ月以内におこなう必要があります。

期間が非常に短いので注意が必要です。

まとめ

本記事では相続税の期限について解説しました。

相続税の10ヵ月の期限は相続手続きの中では長いものですが、相続税の申告は非常に複雑かつ難解であるため、やらなければならないこともたくさんあります。

実際にはあっという間に期限を迎えてしまうでしょう

相続税の申告期限は原則延長できず、期限を過ぎてしまうとペナルティもあるので、なるべく早めに行動を開始するか、税理士に依頼するようにしましょう。

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伊藤亮太FP事務所
伊藤亮太(FP)
資産運用・社会保障(特に年金)・保険を中心に提案を行っている。講演会や執筆物も多数。Webコンサルティングも行っており、幅広い提案が可能。
ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)編集部
編集部

本記事はベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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