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アパート建築は相続税対策に有効|節税効果や計算例を具体的に解説!

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相続税対策として、アパートの建築が効果的なのはご存知でしょうか。

主に高額な預金財産または土地を相続した方に適切な方法ですが、どれくらいの節税効果があるのでしょうか。

今回の記事では、アパートを建築することで相続税がどれくらい減税されるのか、相続税対策のためにアパートを建築する上での注意点や減税効果の計算例についても紹介していきますので是非参考にしてみてください。

*本記事の専門家による監修日は2023年6月28日です。

この記事に記載の情報は2024年08月16日時点のものです

相続税対策としてアパート建築はどれくらい効果があるのか

高額な預金財産や土地を相続した方は、高額な相続税を納税しなければなりません。

アパートを建築することで相続税を安く抑えることが可能ですが、これは相続税の課税対象額が下がるためです。

評価額が下がることによる減税効果

アパート建築が相続税対策に優れている理由を理解するために、まず預金財産として1億円を相続した場合を想定してください。

預金財産の場合、そのままの金額が相続税の課税対象になるため、1億円の預金財産を相続した場合の課税対象額は1億円です。

①土地の時価評価額=購買価格×80%程度

一方で土地を相続した場合の課税対象額は、その土地の時価評価額(土地の購買価格の8割程度)になります。

つまりは1億円の預金財産を所有する被相続人が、生前に1億円の土地を購入することで、相続人に課せられる相続税の課税対象額を、1億円×約80%=約8千万円まで抑えることができます。

②建物の時価評価額=購買価格×50%~60%

建物を建築した場合、建物の時価評価額に対して相続税が課せられますが、建物の時価評価額は購買価格×50%~60%を目安に考えてください。

1億円の預金財産を相続した方が、6千万円で土地を購入、4千万円で建物を建てた場合、土地への課税対象額は、6千万円×約80%=4,800万円、建物に課せられる課税対象額は、4千万円×約50%~60%=2,000万円~2,400万円になります。

つまりは、課税対象額が、合計で6800万円~7,200万円になるということです。

賃貸経営により課税対象額が安くなる

さらに賃貸経営(アパート経営)用に使用する建物の場合、課税対象額が安くなります。

【賃貸経営の場合の課税対象額】

  • 土地の課税対象額=土地の時価評価額×(1-借地権割合60%~70%×借家権割合30%程度)
  • 建物の課税対象額=建物の評価額×(1-借家権割合30%程度×賃貸割合)

※賃貸割合=賃貸されている床面積の合計/床面積の合計(計算が複雑になるので当コラムでは入居率を用います)

土地の購買価格が6千万円、借地権割合60%、建物の建築費用が4千万円、建物の時価評価額を4千万円×50%=2千万円、入居率が50%とした場合の課税対象額は以下の通りです。

6千万円×80%×(1-60%×30%)+2千万円×(1-30%×50%)

=4800万円×(100/100-6/10×3/10)+2千万円×(100/100-3/10×5/10)

※以下のものを式に代入して計算する

1=100/100、60%=6/10、30%=3/10、50%=5/10

6/10×3/10=18/100、3/10×5/10=15/100

=4800万円×(100-18)/100+2千万円×(100-15)/100

=4800万円×82/100+2千万円×85/100

=3,936万円+1,700万円

=5636万円

相続税の課税対象額が、1億円-5,636万円=4,364万円だけ減額されたことからアパート建築が相続税対策に適していることがわかります。

表で、以上のことをまとめてみました。

 

課税対象額

預金財産

100%

土地

一般

購買価格×約80%

賃貸

購買価格×約80%×(1-借地権割合60%~70%×借家権割合30%程度)

建物

一般

購買価格×50%~60%

賃貸

購買価格×(50%~60%)×(1-借家権割合30%程度×賃貸割合)

小規模宅地等の特例

もし小規模宅地等の特例が適用された場合、土地の課税対象額がさらに50%~80%減額されます。

控除を適用させることによる減税効果

相続税が課せられる方は、課税対象額から基礎控除として「3,000万円+600万円×法定相続人の数」が控除されます。

また、債務控除として被相続人の葬儀費用、借金も控除に加えることも可能です。

アパート設立による減税効果の計算例

相続税は、上記で紹介した控除を適用させた後の課税対象額×税率-控除額によって計算します。

法定相続人が2人、相続財産が預貯金1億円の場合を想定してください。

アパート建築による相続税対策を行っていない場合の課税対象額は、1億円-(3,000万円+600万円×2人)=5,800万円、相続税は5,800万円×30%-700万円=1040万円です(参考:「No.4155 相続税の税率|相続税|国税庁」)。

それに対して土地代6,000万円、建物代4,000万円のアパート建築をした場合の課税対象額は、先ほどの例から5636万円-(3,000万円+600万円×2人)=1,436万円となり、相続税は1,436万円×15%-50万円=165万4千円になります。

この例では、アパート建設による相続税対策を行った結果、800万円以上の相続税の減税効果があります。

相続税対策するためにアパート経営する上で気を付けるべき点

相続税対策としてアパート建築は効果的ですが、アパ―ト経営には様々なリスクや懸念すべき点があります。

相続税以外に発生する税金がある

まず、アパート経営により利益が発生した場合、所得税、住民税を納めなければなりません。

利益の発生とは、アパ―ト経営により不動産所得が0を超えた場合を指しますが、不動産所得は一般所得に計上します。

不動産所得=収入-必要経費(管理費、修繕積立金、修繕費用など)

つまり所得税は不動産所得×所得税率、住民税は不動産所得×住民税率となります。

また、アパート経営をすると固定資産税が発生しますが、固定資産税は、アパートの時価評価額×1.4%を目安に考えてください。

アパート経営は大きな損失を生む可能性がある

アパート経営は大きな損失を生むリスクがあることも懸念するべきです。

住宅ローンの返済

被相続人から預貯金ではなく土地を相続した場合、アパート建築するためには建築費用を工面する必要があります。

建築費用がまかなえないために住宅ローンを組む方も少なくないと思いますが、元本の返済に加えて利息分の返済を踏まえた上で、アパート経営をしなければなりません。

修繕費

アパートは築年数が増すごとに老朽化します。新しく入居者を集めるためにはリフォームをしなければなりませんが、築10年以上が経つと修繕費用も高くなるので気を付けてください。

空室がでない保証はない

住宅ローンの返済、修繕費などの費用は、アパート経営により生じた収入から支払います。しかし、入居者がいなければ利益はでません。空室問題はアパート経営者の悩みの種ですが、空室がでない保証はないということも懸念するべき点です。

税金の申告の必要性

相続税、所得税が発生した場合、税金の申告をしなければなりません。申告の手続きに慣れていない方にとって税金の計算方法や申告手続きが複雑で負担が大きいと思います。

なお、相続税は相続財産の評価方法によって納税額に差がでますので、少しでも節税をした方や適切な方法で申告したい方は税理士に依頼することをお勧めします。

相続税対策としてアパート運用を失敗させないためには

相続鋭対策の一環でのアパート建築は色々なリスクがあることがわかりました。

そこでアパートの運用で失敗しないために必要なことを紹介していきます。

不動産売却も視野に入れる

アパート建築をする方は、アパートの運用が失敗した場合に備えて不動産売却も視野に入れてください。

相続税対策の目的は税金を安く抑えることですが、損失が大きくなるほどに元が取れなくなるためです。

利回りが悪いと思ったら、売却価格が下がる前の段階で不動産を売却しましょう。

税理士に相談する

税理士に相談するのも相続税対策に失敗しないために必要です。税負担を減らす最適な方法は依頼者によって異なりますが、相続税に特化した税理士であれば最適な方法を提案してくれるでしょう。

また、土地、建物の評価額は税理士によって異なるので、相続分野に強い税理士に依頼すると節税効果が高くなります。

まとめ

相続税対策としてアパートの建築は効果的な方法ですが、アパート運用によるリスクは検討しておくべきです。

相続税対策に適切な方法は人それぞれですが、不安な方は税理士に相談してみるといいでしょう。

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この記事の監修者
株式会社デザートブルーム
春野高利(FP)
株式会社デザートブルーム 代表取締役社長。保険Q&Aサービス 「ほけん知恵袋」運営。ファイナンシャルプランナー。
ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)編集部
編集部

本記事はベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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