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相続における借金の調べ方とは?知らないと危険な注意点も解説

山越 勇輝
監修記事
相続における借金の調べ方とは?知らないと危険な注意点も解説
ベンナビ

身内の死によって相続の手続きを進めなければならなくなったとき、多くの人が不安に感じるのが「被相続人(亡くなった人)に借金が残っていないか」という点です。

生前にお金のトラブルがあった場合や、カードローン・事業資金の借入などをしていた記憶がある場合、「もしも返済しきれていなかったら、自分が背負うことになるのでは…」と心配になるものです。

実際、借金の有無を確認せずに相続の手続きを進めてしまうと、あとから自分が請求を受けるリスクもあるので注意しましょう。

本記事では、被相続人の借金を安全かつ確実に調べる方法をわかりやすく解説します。

あわせて、借金が見つかった場合に相続放棄などで負担を避ける方法や、判断に迷った際に弁護士へ相談すべき理由についても紹介します。

借金の不安を残さず、安心して相続の手続きを進めるために、ぜひ参考にしてください。

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目次

被相続人に債務はある?借金の調べ方は?

相続の手続きを進める前に、まず確認すべきなのが「被相続人に借金が残っていないか」という点です。

相続においては、預金や不動産などの「プラスの財産」と同じく、借金や未払金などの「マイナスの財産」も相続人に引き継がれます。

つまり、相続を承認すれば、故人の借金も含めて引き継ぐことになるのです。

借金の存在を見落とすと、後から突然返済請求を受けることもあるため、早い段階で確認しておくことが重要です。

ここでは、被相続人が借金を抱えていたかどうか調べる手段について詳しく解説します。

信用情報機関に開示手続きをする

被相続人の借金を調べる確実な方法のひとつが、信用情報機関に対して「信用情報開示」を申請することです。

信用情報機関とは、個人の借入や返済状況を管理している機関で、「JICC(日本信用情報機構)」「CIC(シー・アイ・シー)」「JBA(全国銀行個人信用情報センター)」の3つがあります。

相続人であれば、故人の戸籍謄本などを提出することで、被相続人の信用情報の開示を請求することが可能です。

これにより、消費者金融、銀行、クレジットカード会社などでの借入や延滞履歴が確認できます。

開示結果には契約日や残高、債権者の名称などが明記されるため、どの金融機関に借金があるか一目で把握できるでしょう。

ただし、相続人が開示手続きをする場合は郵送で手続きをおこなう必要があり、結果が手元に届くまでは少なくとも1〜2週間程度かかります。

相続放棄を希望する場合、故人の死亡と相続開始を知ったときから3ヵ月以内に家庭裁判所に対して手続きをしなければならないので、余裕を持って早めに手続きを進めることが大切です。

被相続人の自宅に借金に関わる書類がないか確認する

信用情報の照会と並行して、自宅内の書類も丁寧に確認しましょう。

借用書やローン契約書、督促状、返済明細、クレジットカードの請求書その他の郵便物など、借金に関する資料が保管されている場合があります。

これらの金融機関やローン会社などからの資料、郵便物があった場合は、送り主の会社に問い合わせるのがおすすめです。

パソコンやスマートフォンなどのデジタル機器内に情報が残っている場合も多い

最近では、紙の契約書よりもメールやWeb明細、オンラインバンキングの履歴に借金情報が残っているケースもあります。

故人が使用していたパソコンやスマートフォンを確認し、銀行やクレジットカード会社、消費者金融などのログイン履歴や受信メールをチェックしましょう。

無理にパスワードを解析しようとするとロックがかかり手続きが難航する可能性もあるため、パスワードがわからない場合はデジタル遺品サポート業者などに依頼するのがおすすめです。

携帯会社や金融機関に相続手続き中であることを伝えて、必要な情報開示の手順を確認することも検討しましょう。

市区町村役場や税務署などに税金の滞納がないか確認する

借金の中には、金融機関からの借入だけでなく税金の滞納も含まれます。

税金滞納の有無は、被相続人の住民票所在地を管轄する税務署や市区町村役場で確認しましょう。

督促状や納付書が自宅に届いているケースもあるため、郵便物を確認することも有効です。

税金の滞納は放置すると延滞金が加算され、財産差し押えなどの処分がおこなわれるおそれもあるため、早期に実態を把握しましょう。

不動産の登記簿謄本を取得し抵当権や差押登記などの有無を確認する

被相続人が不動産を所有していた場合、その不動産に抵当権や差押登記が設定されていないかを確認することも重要です。

登記簿謄本(登記事項証明書)は、法務局で誰でも取得でき、所有者欄や権利部(乙区)を見れば、どの金融機関が抵当権を持っているか、差し押さえがおこなわれているかが一目でわかります。

もし抵当権が設定されていれば、その不動産を担保に借入がおこなわれている可能性が高く、完済されていない場合は相続人が返済義務を負うことになります。

不動産を相続する前に、必ず登記簿謄本を確認し、必要に応じて金融機関に問い合わせて残債を確認しておきましょう。

被相続人の借金を相続したくない場合の選択肢2つ

被相続人に借金があることが判明した場合、そのまま相続を承認すると、相続人が返済義務を負うことになります。

しかし、相続には借金を含めて全ての財産を受け取る方法以外にも、負担を回避できる2つの選択肢があります。

それが相続放棄と限定承認です。

それぞれの特徴を理解し、自分や家族にとって最もリスクの少ない選択をすることが大切です。

相続放棄|借金を含め全ての相続財産を放棄する方法

相続放棄とは被相続人の財産を「一切相続しない」と決める手続きです。

プラスの財産(預貯金や不動産など)もマイナスの財産(借金など)も一切引き継がないため、被相続人の借金を支払う義務から完全に解放されます。

ただし、相続放棄をおこなうと、その人は「最初から相続人ではなかった」とみなされるため、遺産を一部だけ受け取ったり処分したりすることはできません

仮にこのようなことを行うとたとえ相続放棄の手続きを行ったとしても、相続したものとみなされてしまいますので、注意が必要です。

放棄の申述は家庭裁判所に申立書を提出しておこない、受理されると効力が発生します。

相続放棄を申し立てられる期限は原則として相続開始から3ヵ月以内なので、被相続人の借金の内容について早めに調査することが大切です。

限定承認|プラスの相続財産で払える範囲で借金を支払う方法

限定承認とは「プラスの財産の範囲内でマイナスの財産を清算する」相続方法です。

「相続財産のなかに借金が含まれるが、プラスの財産の方が多い」「被相続人の所有していた実家は引き継ぎたいが、借金まで背負いたくはない」といったケースで有効な選択肢といえます。

ただし、限定承認は相続人全員が共同でおこなう必要があり、手続きが複雑で時間もかかりますので、相続放棄に比べてあまり利用されていません

財産目録の作成や債権者への弁済などを経てようやく完了するため、専門知識も求められるでしょう。

相続放棄とどちらを選ぶべきか迷う場合は、財産の総額や借金の内容を整理したうえで、弁護士に相談して最適な判断を仰ぐのがおすすめです。

被相続人の借金を調べる際の注意点

被相続人の借金を調べる際には、見落としや誤った対応を避けるための注意点を押さえておくことが重要です。

ここでは、特に気をつけるべき2つのポイントを解説します。

被相続人が保証人・連帯保証人になっている可能性も確認が必要

被相続人が自分名義で借入をしていなかったとしても、他人の借金の「保証人」や「連帯保証人」になっていた場合、その債務も相続の対象になります。

保証人は、主債務者である契約者が返済できなくなったときに代わりに支払う義務を負う立場です。

特に「連帯保証人」の場合は、主債務者と同等の返済義務を持つため、本人が借りていなくても多額の返済請求を受けるリスクがあります。

保証契約は保証人となっている本人が亡くなっても消滅せず、相続人にそのまま引き継がれます

さらに、信用情報機関への開示請求では保証人となっているかどうかは確認できません。

特に被相続人が法人代表であったり事業を営んでいたりした場合は、事業関連の債務の連帯保証人となっている可能性が高いため注意が必要です。

被相続人が連帯保証人となっているかどうかを確認するには、以下のような手段をとりましょう。

  • 被相続人が使用していたパソコン・スマホのデータを調べる
  • 郵便物や留守電を調べる
  • 預貯金の入出金記録を調べる
  • 事業に関して交流があった関係者や金融機関に聞き込みをする

なお、保証契約を調べることは困難になりがちなので、弁護士に相談するのがおすすめです。

借金の返済を請求されても応じてはいけない

被相続人の借金が疑われる段階で、債権者から「返済してほしい」と連絡があっても、相続放棄を検討中であれば絶対に支払ってはいけません

相続放棄は一切の財産を引き継がない手続きですが、相続開始後に相続財産から借金の一部でも支払ってしまうと、「相続を承認した」とみなされ、放棄ができなくなるおそれがあります。

債権者からの請求があった場合は、相続手続きの確認中である旨を伝え、決して支払わないようにしましょう。

不安がある場合や対応に迷う場合は、弁護士に相談し、適切な対応を取ることが安全です。

被相続人に借金があった場合の相続を弁護士に相談・依頼するとよい理由

被相続人に借金があるとわかったとき、相続人は「相続放棄すべきか」「限定承認のほうがいいのか」といった判断に悩むことが多いです。

相続の手続きには期限があるうえ、手続きを誤るとあとから借金を背負うことになるおそれもあります。

こうしたリスクを避けるためには、相続問題に詳しい弁護士へ早めに相談・依頼することが大切です。

ここでは、弁護士に依頼する主なメリットを5つ紹介します。

最適な選択肢がなにかアドバイスしてもらえる

被相続人に借金がある場合、相続放棄・限定承認・単純承認のどれを選ぶべきかは、財産と負債のバランスによって異なります

親が借金をしていたという理由だけで相続放棄をするのがベストとは限りません。

借金よりも財産のほうが多い場合は単純承認や限定承認を選んだほうが得策と考えられます。

また、被相続人が事業を営んでおり、何らかの債務の連帯保証人となっている可能性が高い場合は、プラスの資産があってもあとから債務を背負うリスクを避けるために相続放棄をするべきという考え方もあります。

弁護士に相談すれば、被相続人の財産・負債の内容を整理したうえで、リスクを最小限に抑えられる選択肢を提示してもらえます。

正確な相続財産調査を任せることもできる

借金の有無を確認するには、金融機関への問い合わせ、自宅やデジタル機器の書類確認、不動産登記や税金の滞納状況の調査など、多くの手続きが必要です。

これらを自力でおこなうのは時間も手間もかかり、重要な情報を見落とすリスクもあります。

その点、弁護士に依頼すれば、法的に可能な範囲で被相続人の財産・債務を正確に調査し、借金の有無を明確にしてくれます

特に保証人としての債務などの発見しづらい部分も、弁護士の知見や権限を活かしてしっかり調べてもらえるため、安心して判断できるでしょう。

相続放棄や限定承認の手続きを期限内にすすめられる

相続放棄や限定承認の申立ては、「相続の開始を知った日から3ヵ月以内」という期限が法律で定められています。

しかし、財産調査や書類準備に時間を取られ、気づいたときには期限が過ぎてしまうケースも珍しくありません。

早期に弁護士に依頼すれば、必要書類の準備から家庭裁判所への申立てまでをスムーズに進めてもらえるため、期限切れによるトラブルをできる限り防げます。

調査に時間がかかるなどやむを得ない事情がある場合には期限伸長を申し立ててくれるなど、専門家だからこそ可能な柔軟なサポートを受けられます。

期限に追われることなく、確実に安全な手続きを進めるためにも、早めの相談がおすすめです。

債権者との対応を任せることもできる

被相続人の借金がある場合、相続人宛に金融機関や債権回収会社などから請求書や督促状が届くことがあります。

こうした通知を受け取ると不安になり、慌てて支払いや連絡をしてしまう人もいますが、相続放棄を検討している段階で返済や交渉をおこなうと「相続を承認した」とみなされるリスクがあります。

その点、弁護士に依頼すれば、債権者とのやり取りを全て任せることが可能です。

債権者からの連絡を直接受ける必要がなくなり、精神的な負担が軽減されるだけでなく、法律に基づいた正しい対応を取ってもらえるので安心です。

万が一、不当な請求や強引な取り立てがおこなわれた場合でも、弁護士が介入すれば法的に適切な対処が可能です。

借金の存在が判明した段階で、早めに弁護士へ相談することがトラブル回避に役立つはずです。

ほかの相続人とトラブルになるのを避けられる

相続には複数の相続人が関係することが多く、借金の有無や相続方法をめぐって意見が食い違うことも少なくありません。

特に限定承認を選ぶ場合は、相続人全員の同意が必要なため、判断が分かれると手続きが進まないこともあります。

その点、弁護士に依頼することで、各相続人の立場を踏まえた公平な調整が可能です。

弁護士は中立的な立場から法的根拠をもとに説明してくれるため、感情的な対立を避けつつ、全員が納得できる形で相続手続きを進められるでしょう。

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被相続人に借金があった場合の相続についてよくある質問

ここでは、被相続人に借金があった場合の相続についてよくある質問をまとめました。

知らなかった借金が後から見つかったら相続放棄は可能?

原則として、相続放棄は「相続の開始を知った日から3ヵ月以内」に家庭裁判所へ申立てをおこなわなければなりません。

しかし、相続人が借金の存在を知らなかった場合は、例外的にこの3ヵ月の期間を過ぎても相続放棄が認められることがあります。

ただし、相続放棄の本来の期限が過ぎたあとに相続放棄を認めてもらうためには、裁判所に「借金の存在を知らなかった相当な理由がある」と判断される必要があります。

亡くなった人(被相続人)の借金に時効はあるの?

被相続人の借金にも「消滅時効」があります

時効までの期間は、借入時期や借り入れた相手によって以下のように異なります。

2020年4月1日以降の借金 権利を行使できると知った時から5年
(権利を行使できる時から10年)
2020年3月31日以前の借金 ●金融機関から借りた場合:5年
●個人から借りた場合:10年

ただし、債権者が内容証明を送付したり、裁判を起こしたりすることで時効が中断し、期間がリセットされていることもあります。

また、「もう時効だから払う必要はない」と考えて放置するだけでは時効は認められません。

実際に時効を成立させて借金の返済義務から逃れるためには、時効援用の手続きをおこなう必要があります。

時効の条件が整っているかどうかの判断には専門的な知識が求められるため、弁護士に相談するのが確実です。

亡くなった人(被相続人)の借金を放置したらどうなる?

被相続人の借金を放置した場合、相続財産を「単純承認」したとみなされ、借金の返済義務を負う可能性があります。

そして、返済義務を背負った相続人がその後も支払いをせずに放置していると、以下のようなリスクが生じます。

  • 遅延損害金が発生する
  • ブラックリストに登録されてクレジットカードやローンが使えなくなる
  • 借金を一括返済するように請求される
  • 債権者から裁判を起こされ、給与の一部や銀行口座などの差し押さえを受ける

借金があるかどうかわからない場合は、まず信用情報機関への開示や書類確認などを通して状況を把握することが大切です。

借金が判明したら、弁護士に相談したうえで相続放棄や限定承認を検討しましょう。

放置すればするほど選択肢が狭まり、トラブルが大きくなるため、早めの行動が何よりも大切です。

さいごに|借金の相続で不安があれば早めに弁護士へ相談を!

本記事では、被相続人の借金の見つけ方や、被相続人に借金があった際の正しい対処法などについて詳しく解説しました。

被相続人に借金があるかどうかは、相続を進めるうえで重要な確認事項です。

借金を調べずに相続を承認してしまうと、思いがけず多額の返済義務を背負ってしまうこともあります。

信用情報機関への照会や書類の確認などで借金の有無を把握し、もし負債が見つかった場合は「相続放棄」や「限定承認」といった法的な手続きを検討しましょう。

相続手続きには期限や複雑な手順があり、誤った対応をすると取り返しのつかない結果につながるおそれもあります。

そのため、相続が発生した際は相続問題に詳しい弁護士に相談するのがおすすめです。

弁護士なら、一人ひとりの状況に応じて最適な判断をアドバイスし、債権者対応や手続きを代理してくれるため、安心して相続問題を解決できます

借金の不安を一人で抱え込まず、早めに専門家のサポートを受けましょう。

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この記事の監修者
Yz法律事務所
山越 勇輝 (大阪弁護士会)
当事務所の1番の心がけは、ご相談者様の安心のために誠心誠意の対応をすることです。ご依頼いただいた案件については、スピード感を大切に、フットワークの軽さと素早いレスポンスで迅速に対応します。
ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)編集部
編集部

本記事はベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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