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亡くなった人の預金をおろすには?ケース別・銀行別に必要な手続きを紹介

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相続を控えている方のなかには、「亡くなった人の預金をおろすにはどうすればいい?」「どんな書類が必要?」といった疑問を抱えている方もいるでしょう。

亡くなった人の預金をスムーズにおろすために、具体的な手順や必要書類、注意点などをしっかりと理解しておくことが大切です。

本記事では、亡くなった人のお金をおろす際の手順や必要書類を、ケース別・金融機関別に解説します。

預金をおろす際に注意すべきことも紹介するので、これから手続きをする方はぜひ参考にしてください。

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亡くなった人の預金をおろすには?4つのケース別に解説

亡くなった人の預金をおろす方法は、ケースによって異なります。

まずは、4つのケースごとに預金の一般的なおろし方を解説します。

1.遺言書があり、遺言執行者がいる場合

遺言書があり、遺言執行者がいる場合は以下の書類が必要です。

  • 遺言書の原本
  • 遺言検認調書または検認済証明書(自筆証書遺言の場合)
  • 亡くなった人の戸籍謄本
  • 遺言執行者の印鑑証明書
  • 遺言執行者の実印
  • 遺言執行者の選任審判書謄本(家庭裁判所によって遺言執行者が選任された場合)

上記のほか、金融機関所定の書類の提出も必要となります。

2.遺言書があり、遺言執行者がいない場合

遺言書があり、遺言執行者がいない場合に必要な書類は、主に以下のとおりです。

  • 遺言書の原本
  • 遺言検認調書または検認済証明書(自筆証書遺言の場合)
  • 亡くなった人の戸籍謄本
  • 相続人(受遺者)の印鑑証明書
  • 相続人(受遺者)の実印

2.遺言書がなく、遺産分割協議書がある場合

遺言書がなく、遺産分割協議書がある場合は主に以下の書類を提出しましょう。

  • 遺産分割協議書
  • 亡くなった人の除籍謄本
  • 亡くなった人の戸籍謄本
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 申請者本人の実印

遺産分割協議によって相続する場合、相続人全員が遺産分割に合意したことを証明しなければなりません。

そのため、相続人全員の戸籍謄本や印鑑証明書を用意する必要があります。

3.遺言書がなく、遺産分割協議書もない場合

遺言書と遺産分割協議書のどちらもない場合の必要書類は以下のとおりです。

  • 亡くなった人の除籍謄本
  • 亡くなった人の戸籍謄本
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 手続き者の実印

亡くなった人の戸籍謄本だけで法定相続人を確定できる場合、相続人全員の戸籍謄本は不要です。

【銀行別】亡くなった人の預金をおろす際の具体的な手続き

ここからは、主要な銀行で亡くなった人の預金をおろす際の手続き方法を紹介します。

1.三菱UFJ銀行の場合

三菱UFJ銀行で預金をおろす場合、以下の手順で手続きをおこないます。

①相続が発生した旨の連絡

Webサイト内の「Web受付フォーム」、もしくは電話で連絡します。

受付完了から1週間ほど経つと、必要書類や手続き方法についての案内が郵送で届くので、書類の準備に取りかかりましょう。

Web受付フォーム URL https://sozoku.bk.mufg.jp/uketsuke/A010
電話番号

相続オフィス:0120-39-1034
受付時間:月〜金曜日 9時00分〜16時00分(土日祝日、12/31〜1/3を除く)

②必要書類の準備

案内に従って必要書類を集めます。

必要な書類は遺言書や遺産分割協議書の有無によって異なるので、Webサイトで確認しましょう。

銀行から所定の相続届も届くので、必要事項を記入してください。

③書類の提出

必要書類が全て準備できたら、返信用封筒で相続オフィス宛てに郵送しましょう。

戸籍謄本など、原本を提出した書類は後日返送されるので安心してください。

なお、返信用封筒が銀行から送られてこなかった場合は店頭での手続きが必要なので、最寄りの支店の窓口に行きましょう。

④払い戻しの手続き

書類の提出後2週間ほどすると、指定した口座に亡くなった人の預金が振り込まれます。

ただし、ローン・投資信託・貸金庫など、預金以外の取引があった場合はもう少し時間がかかる場合があります。

2.三井住友銀行の場合

三井住友銀行で預金をおろす場合の流れは、以下のとおりです。

①亡くなった旨の連絡

Webフォーム」から亡くなったことを銀行に連絡しましょう。

その際、亡くなった人の口座のキャッシュカードや通帳を手元に用意しておくとスムーズです。

受付が完了すると、亡くなった人の口座が凍結され、入出金ができなくなります。

後日、今後の手続きの流れや必要書類についての案内が郵送で送られてくるので、書類の収集を始めましょう。

Web受付フォーム URL https://inherit.smbc.co.jp/INR/#/SINR10101

②必要書類の準備

遺言書・遺産分割協議書の有無により必要な書類が異なります。

Webサイトで詳細を確認できるので、チェックしておくとよいでしょう。

なお、財産目録の作成や相続税の申告をする場合は、残高証明書・預金入出金取引証明の発行が必要です。

最寄りの支店に問い合わせて、発行手続きをおこないましょう。

③必要書類の提出

必要書類が全て揃ったら、郵送で三井住友銀行宛てに提出しましょう。

④払い戻しの手続き

銀行が必要書類を確認し、不備がなければ預金が払い戻されます。

なお、貸金庫や運用商品などの取引があった場合は、支店での手続きが必要となる場合があります。

3.みずほ銀行の場合

みずほ銀行で預金をおろす手続きの流れは、以下のとおりです。

①亡くなった旨の連絡と資料の取り寄せ

WEB受付フォーム」か電話で亡くなったことを連絡します。

連絡する際は、通帳やキャッシュカードなど取引内容がわかるものを用意しておきましょう。

連絡後、口座の入出金が停止され、指定の住所宛てに手続きの案内や資料が届きます。

なお、資料はみずほ銀行の窓口でも受け取ることが可能です。

Web受付フォーム URL https://inherit.m041.mizuhobank.co.jp/maintain/businessHours.php
受付時間:平日 5時00分~19時00分(土日祝日、振替休日、12/31〜1/3を除く)
電話番号

口座の取引店または最寄りの支店宛てに連絡
店舗一覧:https://www.mizuhobank.co.jp/tenpoinfo/tenpo_list/index.html
受付時間:平日 9時00分~17時00分(土日祝日、振替休日、12/31〜1/3を除く)

②必要書類の準備

手続きの案内に従い、必要書類を用意します。

遺言書や遺産分割協議書の有無、取引内容によって書類が異なるので注意しましょう。

また、残高証明書が必要な場合は、取引店または最寄りの支店に連絡すれば約2週間で受け取れます。

③書類の提出

手続きの案内に同封されている返信用封筒で書類を提出します。

必要書類は、必ず原本を提出するようにしてください。

なお、ローン・融資・貸金庫など預金以外の取引がある場合は、店頭での手続きが必要となることがあります。

事前に予約をしておくと、スムーズに手続きできます。

④払い戻しの手続き

必要書類を提出したあと2週間 ほどすると払い戻しがおこなわれ、手続き完了となります。

ただし、預金以外の取引がある場合はさらに時間がかかることがあります。

4.ゆうちょ銀行の場合

ゆうちょ銀行で相続手続きをおこなう際の流れは、以下のとおりです。

①相続発生の連絡

ゆうちょ銀行のWebサイトまたは窓口で「相続確認表」を入手し、必要事項を記入します。

記入が終わったら、ゆうちょ銀行または郵便局の貯金窓口に提出しましょう。

亡くなった人がゆうちょ銀行に貯金口座を持っていたかどうかわからない場合は、「貯金等照会書」を提出してください。

②「必要書類のご案内」の受け取り

相続確認表の提出後、1〜2週間 ほどすると「必要書類のご案内」が郵送で届きます。

届いた案内に従って、必要書類を準備しましょう。

③必要書類の提出

必要書類を準備できたら、ゆうちょ銀行または郵便局の貯金窓口に原本を提出しましょう。

提出先は、原則として相続確認表を提出した窓口です。

原本の返却を希望する場合は、窓口でコピーを取ったあと返却してもらうことができます。

④相続払戻金の受け取り

必要書類を提出したあと、1〜2週間 ほどで指定の貯金口座に相続払戻金が入金されます。

相続人がゆうちょ銀行に口座を持っていない場合は、窓口で口座を開設しておきましょう。

また、希望に応じて払戻証書や名義書き換え後の通帳を郵送してもらうこともできます。

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遺産分割前に亡くなった人の預金をおろす2つの方法

亡くなった人の預金をおろせるのは、原則として遺言書がある場合又は遺産分割協議が成立したあとです。

しかし、以下の2つの方法を利用すれば、遺産分割協議が成立する前に預金をおろすことができます。

1.相続預金の払戻し制度を利用する

相続預金の払戻し制度とは、遺産分割が成立する前に一定額まで預金を払い戻しできる制度です。

家庭裁判所の判断を経ることなく、金融機関からの払い戻しを受けることができます。

払い戻しできる金額は、150万円を上限として、「相続開始時の預金額×1/3×払い戻しをする相続人の法定相続分」です(民法909条の2、平成30年法務省令第29号)。

制度を利用する際は、以下の書類が必要となるので忘れず準備しておきましょう。

  • 亡くなった人の除籍謄本、戸籍謄本または全部事項証明書
  • 相続人全員の戸籍謄本または全部事項証明書
  • 払い戻しをする相続人の印鑑証明書

2.預貯金債権の仮分割の仮処分を利用する

預貯金債権の仮分割の仮処分とは、家庭裁判所が認めた場合に一定額まで預貯金を仮分割できる制度です。

制度を利用するには、以下の3つの要件を満たす必要があります。

  • 遺産分割の調停または審判の申し立てがされていること
  • 相続債務の弁済・相続人の生活費の捻出など、仮分割の必要性があること
  • ほかの共同相続人の利益を害しないこと

仮取得できる金額は、一般的には「遺産総額×払い戻しをする相続人の法定相続分」の金額の範囲内ですが、個別のケースによってはこの範囲を超えて仮分割が認められることもあり得ます。

制度を利用する際は、以下の書類が必要となります。

  • 家庭裁判所の審判書謄本
  • 審判確定証明書(審判書上確定表示がない場合)
  • 払い戻しをする相続人の印鑑証明書

制度の利用が認められたら、金融機関に「仮処分に基づく払戻請求」をおこない、払い戻しの手続きを進めます。

亡くなった人の預金をおろす際の注意点

ここからは、亡くなった人の預金をおろす際の注意点を3つ紹介します。

1.勝手に引き出すとトラブルになりやすい

ほかの相続人の合意なくお金をおろすと、トラブルになる可能性があります。

相続預金の払戻し制度は相続人が単独で利用できるため、ほかの相続人の合意がなくてもお金をおろすことは可能です。

しかし、勝手にお金をおろすと「何の相談もなくお金をおろすなんて」「自分で使い込むためにお金をおろしたのでは?」と、ほかの相続人から不信感を抱かれるおそれがあります。

亡くなった人のお金をおろす際は、必ず事前にほかの相続人に相談しておきましょう。

2.自分の相続分を超えて引き出しをしない

自分の相続分を超えてお金をおろした場合も、ほかの相続人から不信感を抱かれる可能性があります。

「自分の法定相続分を奪われたらどうしよう」と、ほかの相続人を不安にさせてしまい、トラブルにつながるおそれがあるので注意しましょう。

やむを得ない事情がある場合でも、必要最低限の金額のみを引き出すようにしてください。

3.相続放棄ができなくなる可能性がある

亡くなった人のお金をおろすと、相続放棄ができなくなるおそれがあります。

相続放棄とは、亡くなった人の遺産を一切相続しないことです。

相続人は、相続開始から3ヵ月以内であれば、財産を相続するか相続放棄するかを選択できますが、預金をおろしてしまうと相続を承認したとみなされます

この場合、預金・不動産などのプラスの財産だけでなく、借金・ローンなどのマイナスの財産も相続することになるため、亡くなった人に借入があった場合は相続人が返済しなければなりません。

預金をおろしてしまったために思わぬ負債を抱えてしまうことになりかねないので、借金がないかを事前に確認しておきましょう。

亡くなった人の預金や引き出しに関するよくある質問

ここからは、亡くなった人の預金に関するよくある質問について解説します。

Q.被相続人の預金口座はどのタイミングで凍結されるか?

金融機関に亡くなった旨を伝えた時点で口座が使えなくなります。

相続人・親族による連絡のほか、メディアの報道や葬儀場の看板などで銀行員が死亡を知った場合も、口座が即座に凍結されます。

Q.黙って被相続人の預金を引き出したら犯罪になるのか?

亡くなった人の預金を勝手におろしても、犯罪に問われることはあまりありません。

親族間での窃盗・横領などのトラブルには基本的に警察は介入しないため、刑事罰を科されることはないでしょう。

ただし、ほかの相続人の法定相続分を侵害するほどの金額を引き出した場合は、民事上の責任に問われる可能性が高いといえます。

預金をおろしたいときは、必ずほかの相続人に相談するようにしましょう。

さいごに|故人の預金でトラブルになったら弁護士に相談を!

亡くなった人の預金を勝手におろすと、ほかの相続人とトラブルになる可能性があります。

相続トラブルを早期解決したいなら、弁護士に相談するとよいでしょう。

弁護士に依頼すれば、ほかの相続人との話し合いを任せられるので、自分で解決しようとするよりもトラブルをスムーズに解決できますよ。

ぜひ一度、相談してみてください。

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この記事の監修者
横浜平和法律事務所
大石 誠 (神奈川県弁護士会)
相続問題の解決実績多数。相続診断士や終活カウンセラーの資格を有し、ご相談者様のお悩み解決に向けて親身にサポートしています。
ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)編集部
編集部

本記事はベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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