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2020年06月16日

事業承継の相続対策|事業承継税制の概要と節税の知識

虎ノ門第一法律事務所
川上 邦久 弁護士
監修記事
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事業承継のために会社の株式を後継者が引き継ぐ際には、相続税贈与税が課税されます。これらの税は、後継者が引き続き会社を経営していくにあたり、大きな負担になり得るものなので、可能な節税対策はきちんと行っていくのが望ましいでしょう。

この記事では、事業承継税制の概要をご紹介します。現在、税制改正に伴う特例措置が実施されているので、適用対象になると思われる企業は、積極的に活用されることをおすすめします。

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事業承継税制による2つの相続対策効果とは

事業承継税制には、事業承継の際に生じる贈与税・相続税の負担を軽減するという税制上のメリットがあり、それにより後継者の確保にもよい影響を与えることが期待できます。

相続税・贈与税の負担軽減

事業承継税制は、後継者である受贈者や相続人などが、円滑化法の認定を受けている非上場会社の株式等を、贈与や相続等によって取得した場合、その贈与や相続等にかかる税金について、一定の要件を満たし続ける限り納税を猶予し続け、その要件を満たしたまま後継者が死亡するに至った場合は、猶予されている税金の納付を免除するという制度です。

この制度を活用することにより、事業承継の際に生じる相続税・贈与税の負担を軽減することができます

参考:事業承継税制特集|国税庁

後継者問題の改善

事業承継をする際に、株式を相続した相続人が相続税を納めるための資金を用意することができず、結果として事業自体の存続を断念せざるを得ないことも考えられます。そのため、事業承継税制を設けることで、中小企業の事業承継において後継者が相続税の納税で困らないようにしています。この税制は後継者問題の改善に役立っています

相続税対策で注目される事業承継税制とは(非上場株式の場合)

現在の事業承継税制について、詳しく見ていきましょう。
 

相続税・贈与税の納税猶予と免除の特例の概要

平成30年度の税制改正により、5年以内の特例承継計画の都道府県知事への提出・確認を条件として、10年以内の贈与・相続において、一般措置では総株式数の最大3分の2までとなっていた納税猶予対象株式数の上限を撤廃し、80%であった相続による納税猶予割合を100%に引き上げる、といった特例措置が取られるようになりました。

特例措置

一般措置

事前の計画策定等

5年以内の特例承継計画の提出
【平成30年4月1日から令和5年(2023年)3月31日まで】

不要

適用期限

10年以内の贈与・相続等
【平成30年1月1日から令和9年(2027年)12月31日まで】

なし

対象株数

全株式

総株式数の最大3分の2まで

納税猶予割合

100%

相続等: 80%、贈与:100%、

承継パターン

複数の株主から最大3人の後継者

複数の株主から1人の後継者

雇用確保要件

弾力化(雇用維持ができない場合も、一定の書類を都道府県知事に提出すればよい)

承継後5年間
平均8割の雇用維持が必要

事業の継続が困難な事由が生じた場合の免除

譲渡対価の額等に基づき再計算した猶予税額を納付し、従前の猶予税額との差額を免除

なし
(猶予税額を納付)

相続時精算課税の適用

60歳以上の贈与者から20歳以上の者への贈与

60歳以上の贈与者から20歳以上の推定相続人(直系卑属)・孫への贈与

出典:No.4148 非上場株式等についての相続税の納税猶予及び免除の特例等|国税庁
を加工して作成

どの程度の猶予・免除が受けられるのか

特例措置によって、一般措置では総株式数の最大3分の2までの範囲だった納税猶予が全株式で受けられるようになったほか、納税猶予割合も相続では80%でしたが、特例措置によって贈与・相続ともに100%になりました。

以下では、相続による事業承継にあたって、特例措置を利用する場合を念頭に置いて説明します。

特例措置の対象・適用要件

相続による事業承継の際に、事業承継税制の特例措置を利用するにあたっては、以下の条件をクリアしている必要があります。ここでは簡略化して説明しますので、実際に特例措置を利用する際には、弁護士、税理士等の専門家に必ず相談するようにしてください。

先代経営者と後継者の条件

先代経営者と後継者については、以下の条件があります。

先代経営者

  1. 会社の代表権を有していたこと
  2. 2. 相続開始直前に、被相続人の同族で議決権の過半数を保有し、被相続人がその中で最も多くの議決権数を保有していたこと(後継者を除く。)
  3.  

後継者

  1. 後継者が1人の場合
    →後継者の同族で議決権の過半数を保有し、後継者がその中で最も多くの議決権数を保有することとなること
  2. 後継者が2人もしくは3人の場合
    →後継者の同族で議決権の過半数を保有し、それぞれの後継者が10%以上の議決権を保有し、かつ同族の中で後継者よりも多くの議決権を保有する者がいないこと

除外される会社

特例措置は以下の会社に該当する場合は適用されません。
 

  1. 上場企業
  2. 中小企業者に該当しない会社
  3. 風俗営業会社
  4. 資産管理会社(一定の要件を満たした場合を除く)

都道府県都知事の認定

2023年3月31日までに、会社の後継者や承継時までの経営未投資等を記載した『特例承継計画』を策定し、税理士・商工会・商工会議所などの『認定経営革新等支援機関』の所見を記載し、都道府県知事に提出し、確認を受けることで特例措置が受けられます。
 

継続報告5年間は事業の存続が必要

継続報告5年間の間に事業が存続していない場合、猶予税額の全額または一部、および利子税を納付しなければなりません。ただし、やむを得ない理由がある場合には、一定部分の猶予税額が免除される場合もあります。
 

事業承継税制の申請手続きと流れ

特例措置を受けるための『特例承継計画』の策定、都道府県知事への提出・確認を行った後は、
 

  • 相続開始時の都道府県知事による『円滑化法の認定』
  • 相続税の申告期限までに税務署へ制度適用の旨を記載した書類を提出
  • 納税が猶予される相続税額および利子税の額に見合う担保を提供

といった手続きが必要になってきます。その後、相続開始から10ヶ月以内に所管の税務署に相続税の申告を行います。

事業承継による相続対策の相談先とそれぞれのメリット

事業承継の相談先としては、弁護士、税理士・公認会計士などが挙げられます。ただし、それぞれがすべての相談に対応できるわけではなく、業務領域が決まっています。ご自身の事業承継のフェーズに合った相談先を選ぶことが大切です。

法律・相続リスク面|弁護士

事業承継を弁護士に依頼することで、『相続』や『M&A』などに適切に対応することができます。

相続』による事業承継に関しては、特別受益、遺留分、遺言の有効性など、後継者への事業承継を確実に実現するうえで問題となる、様々な法的な問題があります。

また、『M&A』による事業承継についても、適正な利益を確保しつつ、事業承継を確実に実現するため、譲受事業者との条件交渉や契約条項の作成を通じて、法的な問題に適切に対処する必要があります。

事業承継を弁護士に依頼することで、『相続』や『M&A』に内在する法的リスクが実現し、紛争化してしまう前に、法的リスクに適切に対応することができます。

税金面|税理士・公認会計士

税理士・公認会計士は、特例承継税制の適用における税務署への書類の提出や、相続税の申告などの代行をはじめ、実際に事業承継をした後の税務相談にも対応することができます。また、株式や不動産などの評価や、生前贈与対策についても税理士に相談することで、適切なアドバイスを受けることができます。

【関連記事】▶︎相続の無料相談先を比較|問題解決のプロを選ぶ

事業承継の後継者候補に悩むなら

事業承継を検討されている方の中には、親族や従業員が後継者とならず、そもそも後継者候補が見当たらないということで迷われている方もいるでしょう。そのような場合には、後継者候補を探すためのサービスを利用することも考えられます。

ビズリーチサクシードはWeb上でM&A先を探せるサービスで、広く候補者を外部に求めることができるといったメリットがあります。

  

ビズリーチサクシードについてくわしく知りたい方はこちらの記事を参考にしてください。

まとめ

事業承継には、『法律』『税金』など非常に多くの要素が絡んできます。そのため、せっかくの特例税制を活用できなかったり、親族内で争いが起こったりすることも考えられます。事業承継が終わらないと、新しい経営者は会社の経営どころではなくなってしまいます。

また、特例措置が適用できるのにもかかわらず適用しなかった場合、後継者が相続税や贈与税の納税に苦しみ、最悪の場合、会社をたたむといったケースに至ることも考えられます。


会社を健全に存続させ、スムーズな事業承継を行うためにも『弁護士』『税理士・公認会計士』などの専門家にアドバイスをもらうことが大切です。

【関連記事】▶︎事業承継とは|手続きの流れと後継者へ相続する際の手順

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この記事の監修者
虎ノ門第一法律事務所
川上 邦久 弁護士 (東京弁護士会)
相続全般の問題解決で豊富な実績があり、多くの解決パターンを提案できる経験値が強み。税理士など他の士業や専門家とも連携するほか、司法書士資格を持つ弁護士も在籍するなど、ワンストップで対応できる体制。

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相護士ナビ編集部

本記事は相続弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※相続弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
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