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有限会社の相続はどうする?手続きの流れと3つのポイントを解説

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被相続人が有限会社(特例有限会社)を経営していた場合、相続人はその株式を相続することができます。

株式を相続する場合は通常の遺産分割手続きに加え、会社に対して名義変更の申請などをする必要もあります。

また、場合によっては相続税がかかることもあるので、節税対策をしっかりとおこなう必要があるでしょう。

本記事では、有限会社を相続しようとしている方に向けて以下の内容を説明します。

  • 被相続人が有限会社を経営していた場合に相続できるもの
  • 有限会社の株式を相続することになった際の手続きの流れ
  • 有限会社を相続する際に押さえておきたいポイント など

本記事を参考に、有限会社を不安なく相続できるようになりましょう。

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有限会社(特例有限会社)の相続とは?相続できるものとできないもの

ここでは、有限会社の相続の概要について説明します。

1.被相続人の所有する株式のみを相続する

有限会社の相続とは、被相続人が所有する株式を相続することを指します。

2006年の会社法が施行されるまでは、有限会社の株式は出資持分と呼ばれていました。

有限会社を相続するということは、被相続人の出資持分を引き継ぐことであるでしょう。

2.有限会社の所有する資産などは相続財産にならない

有限会社が所有する資産は、相続人は相続しません。

具体的には、会社の運転資金、不動産、備品、商品などは相続の対象外です。

また、会社そのものや被相続人の社長としての地位などを相続することもできません。

なお、相続人が有限会社の経営権を得るためには、社員総会で取締役に選任してもらう必要があります。

有限会社を相続する際の大まかな流れ|5ステップ

ここでは、有限会社を相続する際の一般的な流れを解説します。

1.遺産分割協議をおこなう(遺言書がない場合)

被相続人が遺言書を残していない場合は、相続人全員で遺産分割協議をおこなう必要があります。

有限会社などを相続する際は、できる限り1人の相続人に株式を集中させることがポイントです。

株式を複数の相続人に分散させてしまうと、今後の会社の経営に支障が出る可能性があります。

遺産分割協議がまとまったら遺産分割協議書を作成し、全員が署名・押印をします。

遺産分割協議の流れなどは、以下のページで詳しく解説しています。

2.株主名簿の名義を書き換える

遺産分割協議が成立したら、株式を相続する相続人が有限会社に対して株主名簿の名義変更を申請します。

名義変更の際の必要書類は会社により異なりますが、一般的には以下のような書類を提出する必要があります。

  • 株主名義書換請求書
  • 被相続人の除籍謄本
  • 相続人の戸籍謄本
  • 遺産分割協議書 など

会社に連絡すれば必要な書類を教えてもらえるため、その指示に従って名義変更を進めるようにしましょう。

3.社員総会で取締役に選任される

有限会社の経営権を引き継ぐには、社員総会(株主総会)を開いて取締役に選任される必要があります。

社員総会で取締役を選任するための基本的な要件は、以下のとおりです。

  • 議決権の過半数の社員(株主)が出席していること
  • 出席した社員(株主)の過半数から同意を得ていること

なお、社員総会を開催する際は、変更登記をスムーズにおこなうために議事録を作成しておきましょう。

4.有限会社の変更登記をおこなう

社員総会を経て取締役に就任したら、必ず特例有限会社変更登記申請をおこないましょう。

変更登記申請は役員の変更が発生してから2週間以内におこなう必要があり、申請を忘れると代表者に対して100万円以下の過料が科される可能性があります。

特例有限会社変更登記申請書の記載例や必要書類などは、以下の法務局のページで詳しく解説されています。

5.相続税の納付をおこなう

被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10ヵ月以内に、相続税を納付する必要があります。

有限会社の株式は、非上場株式(取引相場のない株式)と同じ方法で評価することになります。

相続財産の合計額が基礎控除額を超えた場合、相続税がかかるので忘れずに申告しましょう。

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有限会社を相続した場合の相続税の計算方法

ここでは、有限会社を相続した場合の相続税額の計算方法について説明します。

有限会社の株式の評価方法

有限会社の株式の評価方法は、以下のように会社の規模によって異なります。

会社の規模

株式の評価方法

大会社

・類似業種比準価額

・純資産価額

上記のうちいずれか低い価額

中会社

・類似業種比準価額×0.9+純資産価額×0.1

・純資産価額

上記のうちいずれか低い価額

・類似業種比準価額×0.75+純資産価額×0.25

・純資産価額

上記のうちいずれか低い価額

・類似業種比準価額×0.6+純資産価額×0.4

・純資産価額

上記のうちいずれか低い価額

小会社

・類似業種比準価額×0.5+純資産価額×0.5

・純資産価額

上記のうちいずれか低い価額

株式の評価方法は非常に複雑なので、税理士などに依頼して計算してもらうのがおすすめです。

また、非上場株式の計算方法や評価方法の意味などは、以下のページで詳しく解説しています。

相続税額の計算方法

株式をはじめ相続財産の評価額を算定したら、これを基に相続税を計算します。

相続人一人ひとりの相続税額は、以下のような手順で計算することになります。

  1. 相続財産(課税価格)の合計額を計算する
  2. 相続財産の合計額から基礎控除額を引いて、課税遺産総額を計算する
  3. 課税遺産総額に各人の法定相続分を掛けて、各人の法定相続分に応じた取得金額を計算する
  4. 各人の法定相続分に応じた取得金額に相続税理を掛けて、各人の相続税額を計算する
  5. 各人の相続税額を全て足して、相続税額の合計額を算出する
  6. 各人の実際の取得割合に応じて、それぞれの相続人に相続税額を割り振る

このようにまずは全体の相続税額を計算し、それから各人の相続税額を計算します。

なお、相続税額の計算方法や計算手順などは、以下のページで詳しく解説しています。

有限会社の相続をおこなう場合の3つのポイント

ここでは、有限会社を相続する際に知っておくとよいポイントを3つ紹介します。

1.法人版事業承継税制を活用する

法人版事業承継税制とは、会社の相続に伴い発生する相続税などが猶予・免除される制度です。

同制度を利用するためには、まず相続の発生から8ヵ月以内に都道府県に対して申請手続きをおこない、都道府県から認定書の交付を受ける必要があります。

そして、認定書の写しを添付した相続税申告書を税務署に提出し、納税額・利子に見合う担保を提供することで、相続税の納税が猶予されることになります。

法人版事業承継税制を活用することで、相続税の負担を大幅に抑えられ、有限会社をスムーズに引き継ぐことができるでしょう。

2.事業を継続しないという選択をする

会社を経営したくない場合は、いったん相続をしてから以下のことを検討するのもよいでしょう。

  • 会社(株式)を第三者に売却する
  • 会社を解散させる

以下では、それぞれのポイントについて確認しましょう。

会社(株式)を第三者に売却する

有限会社の株式を第三者に売却して手放すことが考えられます。

社員総会に出席した株主の議決権の過半数の承認を得られれば、株式を売却することが可能です。

買い手が見つからない場合は、M&A仲介業者に依頼して売却先を探してもらうとよいでしょう。

会社を解散させる

後継者が見つからない場合は、有限会社を解散させることも検討しましょう。

解散手続きをする際は、以下のような手続きが必要になります。

  • 社員総会の開催
  • 解散登記や清算人登記
  • 財産目録・貸借対照表の作成
  • 解散確定申告 など

スムーズに有限会社を解散させるためにも、専門家に依頼したほうがよいでしょう。

3.連帯保証人などがある場合は相続放棄をする

有限会社の社員は間接有限責任であるため、会社の負債額が多くても問題はありません。

しかし、経営者が融資を受ける際に連帯保証人になっているというケースは多くあります。

もし経営者が連帯保証人であり、借金を背負うリスクが高いなら相続放棄を検討するとよいでしょう。

相続放棄をすると、被相続人の財産も受け取れませんが、借金や連帯保証人の地位も相続せずにすみます。

相続放棄には相続があったことを知った日から3ヵ月以内という期限があるため、余裕をもって手続きをおこなうようにしましょう。

さいごに|有限会社の相続のことは弁護士や税理士などに相談しよう!

被相続人が有限会社を経営していた場合、相続人は株式以外の資産は相続しません。

被相続人の社長の地位を引き継ぐことはできないので、社員総会を開いて取締役に選任してもらう必要があります。

有限会社の名義変更や株式の評価方法は複雑な部分も多いので、弁護士や税理士などに依頼したほうが安心です。

手続きに少しでも不安があるなら、ひとりで無理におこなおうとせず専門家に相談するほうがよいでしょう。

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この記事の監修者
ウカイ&パートナーズ法律事務所
鵜飼大 (東京弁護士会)
当事務所は、これまで多くのお悩みを解決してきた中で、高い知識と技術を磨いてまいりました。相続問題のお困りごとは、ぜひウカイ&パートナーズ法律事務所までご相談ください。
ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)編集部
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本記事はベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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