これまで自分が経営してきた会社を事業承継したいが、事業承継の費用がわからずお困りではありませんか?
事業承継を弁護士に依頼した場合、相談料・着手金・報酬金の主に3つが発生します。
事業の規模や依頼する法律事務所によっても費用が異なります。
そこで、本記事では、事業承継について弁護士に相談・依頼した場合の費用の相場について紹介します。
また、費用面以外にも確認すべきポイントを解説します。
本記事を読むことで事業承継にかかる具体的な費用や弁護士の選び方を知ることができます。
事業承継について弁護士へ相談・依頼した場合の費用は、法律事務所によって異なります。
弁護士費用を算出する計算方式についても、法律事務所によってそれぞれなので一概にいくらぐらいという相場は出せません。
ここでは参考までに、よく使われる「着手金・報酬金方式」という計算方式で算出される場合の弁護士費用の相場を紹介します。
着手金・報酬金方式における主な弁護士費用の項目は、①相談料、②着手金、③報酬金の3つです。
各項目の費用もまた、依頼内容や法律事務所によって異なります。
以下、各費用の詳しい内容について解説します。
相談料とは弁護士に相談したときにかかる費用であり、通常は時間制による料金設定となっています。
30分間に限り無料とする法律事務所もありますが、一般的な相談料は1時間あたり1万〜3万円程度です。
相談料は、依頼の有無にかかわらず、相談時に発生します。
そのため、事業承継を得意とする弁護士を探して相談するとよいでしょう。
着手金とは、対応の結果に関わらず弁護士が依頼に着手する際にかかるファイトマネーのようなものです。
着手金は事案が成功しなかったとしても、返還されることはありません。
また着手金は、次に説明する報酬金の内金や手付ではないので注意してください。
着手金の相場は30万円~で、事業承継の規模や金額などの依頼内容によって異なります。
また、法律事務所によっても金額が異なるため、相談時に着手金についてもどのくらいの金額になるか確認が必要です。
報酬金とは、事案が成功した場合に支払う費用です。
法律事務所によって異なりますが、報酬金の決定方法として、主に①事業承継によって得られた利益により報酬金を決定する場合、②会社の総資産により報酬金を決定する場合の2つのパターンがあります。
実際の金額は、法律事務所ごとに異なりますので、依頼前に確認が必要です。
事業承継はほかの事案と異なり、単発的な対応で解決することはなく、一定の期間をかけ継続的に対応を続ける必要があります。
そういった事案の特徴を踏まえて、法律事務所ごとに計算方式の選定や料金体系の設計をおこなっているようです。
ここでは、事業承継において弁護士費用を算出するために選ばれることが多い4つの計算方式を解説します。
着手金・報酬金方式は前項で紹介した着手金・報酬金による弁護士費用の計算方式です。
すでに解説したとおり、着手金は事案着手時に支払われる弁護士費用であり、金額は法律事務所によって異なります。
報酬金は事案終了時に支払われる成功報酬です。
成功は一部成功も含まれ、成功の度合によって一定割合が支払われます。
一方、完全な不成功(裁判であれば全面敗訴)の場合、成功報酬を支払う必要はありません。
着手金・報酬金方式は、あらかじめ着手金と成功時の費用を把握できるので予算を立てやすいのが特徴です。
報酬金は、弁護士の成果に関する明確なインセンティブとなります。
時間制(タイムチャージ)とは、事案にかかった実際の作業時間に応じて費用を支払う方式です。
1時間あたりの単価に作業時間をかけて弁護士費用を算出します。
時間制報酬方式では、弁護士の稼働時間に応じて適正な弁護士費用を計算できるのが特徴です。
契約書の作成など特定の業務ごとに決められた手数料を支払う方式です。
費用を想定しやすいというメリットがある反面、事業承継に最低限必要な書類作成の対応に限られる場合があるなどの注意点があります。
依頼者と顧問契約を締結し、契約に基づき継続的に業務をおこなう対価として月額などで費用を支払う方式です。
なお、月額顧問料に含まれる範囲外で弁護士に対応を依頼する場合、別途タイムチャージや着手金・報酬金がかかる場合があります。
これらの費用は、顧問契約を結んでいない場合に比べ安くなることが多いです。
事業承継では、会社の状況など時間をかけて見極める必要があり、顧問契約を結び弁護士が継続的に関わることも多いと考えられます。
事業承継の相談先として、弁護士以外に税理士や公認会計士に依頼することやM&A仲介会社に依頼することが考えられます。
そこで、弁護士以外に事業承継を依頼した場合の費用の目安について解説します。
税理士や公認会計士に事業承継の対応を依頼する場合の費用は、実際に依頼する対応の範囲や難易度により大きく異なります。
税理士や公認会計士は、財務会計に関わる専門家です。
そのため自社株の評価や相続税・贈与税の計算など税務面でのサポートが期待されます。
一方で事業承継のサポートを提供している税理士・公認会計士は、会社経営に精通しているケースも少なくありません。
この場合、事業承継に関わる経営計画や事業承継税制に必要な申請書の作成なども依頼可能です。
手数料は依頼内容の難易度によって異なります。
たとえば売却益1億円で、難易度が中くらいの事業承継の場合、可能な限りの業務を依頼した場合の手数料は400万円~450万円程度です。
M&Aを仲介会社に依頼した場合にかかる、主な費用は以下のとおりです。
相談料 |
正式な依頼をする前の相談をした際にかかる。 無料の場合もある一方で数万円程度かかることもある。 |
---|---|
着手金 |
業務委託契約時にかかる費用。 仲介会社によっては無料の場合もあるが、案件の規模によって異なり50万円~500万円程度のことが多い。 |
中間金 |
M&Aの基本合意書を締結した際に支払う手数料。 仲介会社によっては無料の場合もあるが、基本的には成功報酬の10~20%を支払うケースが多い。 なおM&A成約時には、成功報酬から中間金が差し引かれる。 一方、M&Aが成約しなかった場合は、一般的に中間金が返金されることはない。 |
デューデリジェンス費用 |
財務・税務・法務・労務などあらゆる面から会社の実態を調査する際の費用。 中小企業の場合は10万円~200万円程度かかる。 なお調査を依頼するのは買い手なので、この費用は一般的に買い手が支払う。 |
成功報酬 |
M&Aの最終契約締結時に支払う費用。一般的には取引金額に応じてレーマン方式にて算出されることが多い。 同方式で算出する場合、たとえば取引金額5億円以下であれば、取引金額の5%分が手数料となる。 |
なお、M&A仲介会社に支払う費用は、売り手側だけでなく買い手側が支払うことも考えられます。
具体的には売り手・買い手双方が1つのM&A仲介会社のサポートを受ける両手取引なら、双方で費用を支払うわけです。
ただしデューデリジェンス費用については、買い手側が支払います。
売り手・買い手それぞれが、別々のM&A仲介会社と契約する片手取引が選ばれることもあるでしょう。
この場合は、売り手・買い手それぞれがM&A仲介会社に費用を支払います。
事業承継を弁護士に依頼する際に費用面以外に確認しなければならないことがあります。
本記事では、確認すべき3つのポイントを紹介します。
相談・依頼を考えている弁護士に事業承継・M&Aの対応実績があるかどうか、確認しましょう。
企業法務分野に強い弁護士とホームページ上で記載されていても、事業承継やM&Aの対応実績がない場合があります。
いくら企業法務の実績があったとしても、事業承継・M&Aの業務はまったく異なるものです。
そのため、企業法務の中でもとりわけ事業承継やM&Aの解決実績が豊富な弁護士や法律事務所を選ぶ必要があります。
事業承継・M&Aの解決実績豊富な法律事務所を選ぶことで適切なアドバイスをもらうことができ、手続きもスムーズに進みます。
事業承継・M&Aの対応実績については、各法律事務所のホームページなどで確認してみましょう。
自社の業界に関する専門知識があるかどうかという点も事業承継・M&Aで確認すべきポイントです。
たとえば原材料を加工し、製品の開発・生産するメーカーと仕入れた商品を商品者に販売する小売業では、適用される法律も商慣習も異なります。
事業承継を考えている自社の業界に関する専門知識がある弁護士に相談しなければ、話し合いが噛み合わないことがあります。
そのため、自社の業界で顧問をしている弁護士や業界内で事業承継・M&Aの解決実績のある弁護士に相談・依頼することをおすすめします。
どのような業界に精通し、解決実績があるかは、各法律事務所のホームページなどを確認し、解決例や顧問歴などを見てみましょう。
依頼する法律事務所の弁護士と相性がよいか、ということも事業承継には大切なポイントです。
事業承継は、数年単位の長い時間がかかることが多いです。
実績は十分でも相性が悪い弁護士に依頼すれば、やり取りの際にストレスや不満が溜まることも考えられるでしょう。
その結果、スムーズに手続きが進まなかったりトラブルになったりする可能性もあるのです。
スムーズに事業承継をすすめられるように、弁護士との相性もきちんとチェックするようにしましょう。
これまでみてきたように事業承継には、相談料・着手金・報酬金が主に発生し、事業の規模や選んだ法律事務所によって金額がさまざまです。
法律事務所によって、着手金・報酬金方式、時間制、顧問料金制など料金体系もさまざまです。
また、M&A仲介会社が必要になれば、費用が高額になる場合もあります。
費用面ばかり気になるかもしれませんが、自分の大切な会社の行く末を預けることになるため、自分の業界に明るく、自分と相性のよい弁護士を探すようにしましょう。
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