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代襲相続のトラブル事例8つと対策まとめ | トラブルを防ぐ・解決するためには?

下地法律事務所
下地 謙史
監修記事
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代襲相続とは、被相続人(故人)が亡くなった時点で、本来相続人となる人がすでに亡くなっている場合、死亡した相続人の代わりに遺産を取得する権利を引き継ぐことをいいます。

たとえば、被相続人の子が被相続人よりも先に亡くなっているケースであれば、被相続人の孫(相続人の子)が代襲相続人として、相続人の地位を承継します。

とはいえ、遺産相続や代襲相続に関するルールは複雑で、遺産相続がスムーズに進まなくなってしまったり、よくわからないまま代襲相続人になってしまうことで、トラブルが起こることも考えられます。

本記事では、代襲相続に関するさまざまなトラブル事例を紹介します。

トラブルを防ぐためのポイントや解決するための方法についても紹介するので、ぜひ参考にしてください。

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目次

代襲相続でよく起こるトラブルの例8つ

代襲相続に関するトラブルには、さまざまなものが存在します。

以下では、代襲相続に関してよくあるトラブルの事例を8つ紹介します。

代襲相続人にとって不利な内容の遺産分割協議書へ強引に署名させようとする

代襲相続人が絡んだ遺産相続においてよくあるトラブルのひとつに、ほかの相続人が、自らが有利に遺産相続できるよう遺産相続の内容に無理やり合意させるといったものがあります。

遺産相続においては、法律で定められた遺産相続の割合(法定相続分)が定められていますが、相続人の合意さえ得られていれば、その割合を無視して遺産相続をおこなうことが可能です。

そのため、相続人によっては自身の感情や金銭的な利益を優先し、代襲相続人にとって不利な内容で遺産分割協議書に署名をさせ、相続内容に無理やり合意をさせることがあります。

代襲相続人を無視して、遺産分割協議をすすめる

遺産分割協議書に強引に署名させるケースと同様に、相続人の感情や利益の面から、代襲相続人を無視して遺産分割の内容を定めたり、相続財産の開示を拒否したりするケースがあります。

代襲相続人があらかじめ遺産の全容(預金や財産はどのくらいあるか、不動産を所有していたのか)を把握していることは考えにくいため、遺産分割における交渉の際に不利になることが考えられます。

代襲相続人が非協力的で相続手続きがすすめられない

遺産分割協議をおこなう際には、相続人全員が参加し合意を得る必要がありますが、代襲相続人が被相続人と疎遠な場合、忙しさや面倒くさいという理由から相続手続きに非協力的であることが考えられます。

代襲相続人の合意が得られないとほかの相続人が迷惑してしまうことや、遺産分割協議は対面での話し合いに限らず、メールや書面でのやりとりが可能なことを伝え、スムーズに協力してもらえるよう促しましょう

代襲相続人に相続させたくないために相続財産を隠す

代襲相続人による相続を快く思わない相続人により、相続財産をわざと隠すことで相続をさせないこともあります。

相続財産を隠す行為には罰則はなく、代襲相続人が遺産の調査をおこなう必要が出てくることから、必要以上の時間や費用がかかったり、相続人間の関係性が悪化したりすることが考えられます。

被相続人の近くにいた相続人のさまざまな事情を、代襲相続人が理解してくれない

代襲相続人によっては被相続人との関係性が稀薄であり、相続人による被相続人への生前の貢献(財産管理や介護など)を正しく理解していない場合があります。

遺産分割においては、被相続人への生前の貢献を分割内容に反映することで公平性を保つことも考えられますが、代襲相続人からの理解を得られず、交渉が長期化してしまうケースも見られます。

代襲相続人との関係が希薄で、なかなか連絡がとれない

代襲相続人が存在することは把握していても、被相続人との関係性が稀薄だったことから、連絡先がわからなかったり、遠方に住んでいてスムーズにコミュニケーションがとれないケースも見られます。

遺産分割協議は相続人全員が参加する必要があるため、代襲相続人とも何かしらの方法でコンタクトを取る必要があります。

戸籍の附票を取得することや弁護士を通しての連絡をすることによって進展する可能性があるので、弁護士に一度相談してみるのもひとつの方法といえるでしょう。

被相続人が借金をしていて、その借金を互いに押し付け合う

被相続人が生前に借金を抱えていた場合、その借金を巡って相続人間で借金の押し付け合いが発生することがあります。

相続人によっては、代襲相続人が不利になるような内容で無理やり遺産分割の合意を得ようとしてくることが考えられます。

事情の知らない代襲相続人が、被相続人の借金を背負ってしまう

被相続人が生前に借金を抱えており、その負債を相続する必要がある場合にはトラブルになることが考えられます。

相続放棄の手続きを正しくおこなえれば、代襲相続人が借金を負うことはありませんが、被相続人の借金を把握していないケースや、そもそも代襲相続人であったことを知らなかったケースでは、意図せず負債を相続してしまう可能性があるため注意が必要です。

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代襲相続によるトラブルを防ぐ方法4つ

代襲相続人によるトラブルを防ぐためには、以下4つの方法が考えられます。

被相続人との生前のコミュニケーションが必要になるものもあるので、あらかじめ確認しておきましょう。

あらかじめ財産目録と遺言書を作成しておく

被相続人によってあらかじめ財産目録と遺言書を作成しておいてもらうことで、被相続人が亡くなったのちに改めて財産を調査したり、遺産分割の方法で改めて協議をおこなったりする必要がなくなります。

ただし、遺言書の内容で合意が得られず、改めて遺産分割をおこなうことや、遺言書の内容が遺留分を侵害していた場合など、そのほかのトラブルが生じる可能性はあります

被相続人の生前からほかの相続人や代襲相続人とコミュニケーションをとっておく

代襲相続人に関するトラブルの原因になりやすい要因には、代襲相続人と被相続人やほかの相続人との関係性が稀薄であることが挙げられます。

普段からコミュニケーションを取るようにしておくことや、万が一の場合に備えてあらかじめ連絡先を交換しておくだけでも、トラブルに発展する可能性は小さくできるでしょう。

相応の事情があれば、代襲相続人の権利をはく奪することはできる

代襲相続人に相続をおこなわせたくない相応の事情がある場合は、相続廃除をおこなうことができます。

ただし、相続廃除をおこなうためには以下いずれかの要件を満たしている必要があるほか、被相続人による手続きが必要となります。

相続人個人による感情的な理由を基に相続廃除することはできないため注意してください。

【相続廃除が認められる要件】

  • 被相続人に対する虐待や重大な侮辱がある場合
  • 推定相続人にその他の著しい非行がある場合

遺贈か死因贈与で相続財産を減らしておく方法もある

遺産相続に伴うトラブルを減らすためには、第三者である他人に対して遺贈や死因贈与などの贈与をおこなっておくことで、相続財産をあらかじめ減らしておく手段が考えられます。

ただし、遺留分を加味できていないと新たなトラブルに発展する可能性があるため、あらかじめ弁護士などの専門家に相談のうえおこなうことをおすすめします。

代襲相続のトラブルが発生したら、どうすればよい?ポイント7つ

代襲相続に関するトラブルが発生してしまったら、以下のポイントを参考にしてみてください。

代襲相続人の法的な権利について正しく理解し、互いに尊重し合う

これまで関係性が稀薄だった代襲相続人が突然現れ、相続の権利を主張されると混乱してしまうこともあるでしょう。

しかし、代襲相続は法律で認められた権利であり、相続人としてカウントしなくてはいけません。

お互いに相続人という同じ立場を有するものであることを理解し、協力・尊重したうえで必要な手続きを進めていきましょう。

相続遺産の内容をはっきりさせる

納得感のある遺産相続を進めるためには、相続する遺産の全容を相続人全員が把握する必要があります。

代襲相続人は被相続人との関係性が稀薄だったケースや、遺産の把握ができていないことが多いと考えられるため、財産目録などの資料をもとに適切に情報共有することが大切です。

遺産分割協議書にはきちんと納得してからサインする

遺産分割協議書に署名をおこなった場合、記載された遺産分割の方針に合意したことになります。

また、遺産分割協議書に一度署名をしてしまうと、基本的にあとから内容を覆すことはできません。

そのため、遺産分割協議書に署名する際には内容を確認し、正しく理解したうえでおこなうようにしましょう。

どのくらいの遺産を相続する権利があるか把握する

遺産相続をおこなう際には、自分やほかの相続人がどのくらいの遺産を相続できる権利をもっているのかを正しく把握する必要があります。

そのためには、まずは法律で定められた相続の割合(法定相続分)を理解し、寄与分や生前の贈与などについての取り決めを把握しておかなければいけません。

専門的な知識がない場合や、確認したもののいまひとつ理解できないという場合には、専門家である弁護士に相談するのもひとつの方法といえるでしょう。

お互いの主張・事情を理解してよく話し合う

遺産相続においてあらかじめ法律によって相続割合が定められていますが、これを無視して遺産分割をおこなうことも可能です。

被相続人の生前に介護を献身的におこなっていたケースなど、被相続人への貢献を加味して遺産分割をおこなうことも十分考えられます。

法定相続分を正とするのではなく、お互いの主張や事情をそれぞれ理解し、納得しあったうえで遺産分割の方針を定めることが大切です。

被相続人の借金が大きいときは相続放棄も検討する

被相続人に借金があり、遺産相続をおこなうと負債を抱えてしまう場合は、相続放棄を検討することをおすすめします。

ただし、相続放棄をおこなう際の注意点として、手続きの期限が相続の開始を知ったタイミングから3ヵ月以内と定められています。

手続きをおこなわなかった場合、相続を承認したと自動的にみなされてしまうため注意してください。

大きなトラブルとなる前に弁護士へ相談する

遺産相続に関するトラブルは、相続人それぞれの事情や相続に関する制度などさまざまな要素が絡み合い、複雑になることが考えられます。

また、そのトラブルを放置してしまうことで、相続に関する諸々の手続きに遅れが出てしまったり、親類間の関係性が悪化してしまったりすることもあるでしょう。

そのため、遺産相続に関するトラブルを抱えてしまった場合は弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士に相談することで、遺産相続に関するアドバイスや遺産分割協議のサポートなど、さまざまな支援をお願いできます。

代襲相続の問題はなるべく早く弁護士に相談すべき理由4つ

代襲相続や遺産相続に関するトラブルは、弁護士になるべく早く相談することが大切です。

以下では、その理由についてそれぞれ解説します。

法的な知識を背景に、最適な解決策をアドバイスしてくれる

代襲相続について弁護士に相談することで、法的な知識やこれまでの経験から、最適なアドバイスを提供してもらえます。

遺産相続に関するトラブルは、さまざまな制度について把握したうえで、相続人全員が納得できる落としどころを見つけなくてはいけません。

弁護士に相談することで、さまざまな選択肢のなかから最適なものを選択できるようサポートしてくれるでしょう。

仲裁役として、誰もが納得できる解決へ導いてくれる

遺産分割協議は、被相続人への想いや金銭的な話が含まれることから、つい感情的な議論に発展してしまいがちです。

弁護士に遺産分割協議をサポートしてもらうことで、第三者の仲裁役として冷静な話し合いになるよう努めてくれるため、相続人間の大きなトラブルが生まれることなく遺産分割協議をおこなえることが期待できます。

代理人として、交渉を有利にすすめてもらうこともできる

遺産分割協議において遺産分割の内容がなかなかまとまらないとき、相続人間による交渉がおこなわれます。

しかし、交渉がそもそも苦手な方もいるでしょうし、親類間で交渉をおこなうことで遠慮がなくなりヒートアップしてしまうケースもみられます。

弁護士に依頼することで、代理人としてほかの相続人との交渉を担ってくれます

また、交渉の際には法的根拠をもとに冷静な対処をおこなってくれるため、トラブルが発展してしまう可能性をなくすことができるでしょう。

煩雑な遺産相続の手続きをまとめて依頼できる

遺産相続に関する手続きには遺産分割だけでなく、名義の変更や相続税の申告、遺族年金の申請などさまざまな手続きをおこなう必要があります。

弁護士に依頼することでこれらの手続きを代行してもらうことが可能な場合もあります。

相続に関する手続きは煩雑なものが多くありますが、法的な知識や対応経験が豊富な弁護士に依頼することで、時間と労力を節約できるでしょう。

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代襲相続についてよくある質問

最後に、代襲相続についてよくある質問とその回答を紹介します。

代襲相続人を無視して相続手続きを進められますか?

代襲相続人は、法的に相続の権利を認められた法定相続人のひとりです。

そのため、そのほかの相続人と変わらない権利を有しており、代襲相続人を無視して相続手続きをおこなうことはできません。

なお、遺産分割協議書には相続人全員の署名と押印が必要です。

この相続人には代襲相続人も含まれますので、代襲相続人を無視して遺産分割協議書を作成したとしても、その協議書は無効とされます。

ほかの相続人が相続財産を隠している場合はどうすればいいですか?

相続財産を隠している場合、こちらから改めて相続財産の調査をおこなうことがおすすめです。

相続財産は、調査がおこなわれなければ発覚する可能性は低いですし、開示する義務もありません。

相続財産の調査をおこなう場合は弁護士に依頼することがおすすめです。

預金や不動産など多岐にわたる調査を自分で時間をかけることなくおこなってくれるうえ、もし隠されていた相続財産が見つかった場合の手続きも一任できます。

さいごに | 代襲相続のトラブルは弁護士に相談を!

代襲相続に関するトラブルは、法的な知見が求められることが多く、また相続人間で交渉をおこなうことでより大きなトラブルにヒートアップしてしまうことが考えられます。

そのため、代襲相続や遺産相続のトラブルが発生しそうであれば、弁護士に依頼しましょう。

相談する弁護士を探す際には「ベンナビ相続」の活用がおすすめです。

ベンナビ相続では、遺産相続問題に強みをもつ弁護士を、法律事務所の所在地や相談内容から絞り込むことができます。

本記事や弁護士からのアドバイスを参考に、代襲相続に関するトラブルは早めな対応を心がけてください。

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この記事の監修者
下地法律事務所
下地 謙史 (第一東京弁護士会)
慶応義塾大学法学部より、慶應義塾大学法科大学院へ飛び級入学。司法試験に合格後、都内の法律事務所勤務を経て下地法律事務所を開業。(※本コラムにおける法理論に関する部分のみを監修)
ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)編集部
編集部

本記事はベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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