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2019年08月14日

遺留分侵害額請求(旧:遺留分減殺請求)を無視されたら|相手が応じない場合の対処法

川崎相続遺言法律事務所
関口 英紀 弁護士
監修記事
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遺言などによって遺留分を侵害されたら、侵害者に遺留分侵害額請求(旧:遺留分減殺請求)が可能です。しかし遺留分を請求しても、相手方に無視されてしまうケースもあるでしょう。そのようなときには、どう対処すればよいのでしょうか?

 

また、相手に無視されている間に遺留分の時効が来てしまったら、請求できなくなってしまうのでしょうか。

 

今回は、遺留分侵害額請求(旧:遺留分減殺請求)を無視された場合の時効の問題や、請求に応じない相手方に遺留分を返還させる方法について解説します。

 

なお、遺留分の請求については「遺留分減殺請求」という呼び名でご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、法改正により遺留分減殺請求は「遺留分侵害額請求」として名前も制度内容も改められますので、ご注意ください(2019年7月1日施行)。

 

参考:民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律について(相続法の改正)|法務省

 

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遺留分侵害額請求が無視されて時効がきたらどうなる?

遺留分侵害額請求をしても相手方が無視したとき、遺留分の時効は成立してしまうのでしょうか?

 

遺留分侵害額請求の時効とは

そもそも「遺留分の時効」とはどのようなことなのか、確認しましょう。

 

兄弟姉妹以外の法定相続人が自分の遺留分を侵害されたら、侵害者に対して「遺留分侵害額請求」できますが、遺留分侵害額請求権には「時効」があります。

 

その期間は、遺留分権利者が「相続と遺留分侵害の事実を知ってから1年間」です。

 

つまり、①被相続人が死亡したことと、②遺言や遺贈などによって遺留分の侵害を受けたことを知ったら、その後1年間に遺留分侵害額請求をしないと遺留分を取り戻せなくなってしまいます。

 

遺留分侵害額請求の時効を中断する方法

遺留分の時効を中断するには、遺留分侵害者に対して「遺留分侵害額請求」をする必要があります。遺留分侵害額請求とは遺留分の返還を求めることですが、その方法については特に法律上の定めはありません。

 

遺留分侵害額請求は自由な形で行うことができます。口頭などでも有効です。

 

ただ、遺留分侵害額請求をした「証拠」を残しておかないと、後になって相手方から「時効が成立している」と主張され、争えなくなる可能性があります。

 

そこで、遺留分侵害額請求をするときには、必ず配達証明付きの「内容証明郵便」を使って遺留分侵害額請求書を送ります。配達証明付きの内容証明郵便を利用すると郵便局と差出人の手元に控えが残るので、確実に時効完成前に遺留分請求を行ったことを証明でき、遺留分請求権を守ることができます。

 

相手方が遺留分侵害額請求を無視した場合も時効は中断する

問題になるのは、遺留分を侵害している相手方が遺留分侵害額請求を無視した場合です。その場合でも遺留分の時効は中断されるのでしょうか?

 

遺留分侵害額請求権の時効は、相手に通知(請求)することによって確定的に中断します。相手が無視するかどうかは関係ありません

 

そこで内容証明郵便を使って相手に確実に遺留分侵害額請求の通知書を送ったら、その時点で遺留分の時効は中断されます。相手が無視しても権利は失われません。

 

遺留分を侵害されているなら、相手が無視する可能性があっても、早期に遺留分侵害額請求書を送付することが大切です。

 

「除斥期間」は10年経つと成立してしまう

遺留分侵害額請求権には「除斥期間(じょせききかん)」があるので注意が必要です。除斥期間とは、その期間が経過することによって権利が消滅してしまうものです。

 

除斥期間には中断もなく、その期間が経過したら強制的に権利が失われます。そして遺留分侵害額請求権にも除斥期間があり、その期間は相続開始後10年間です。

 

そこで被相続人が死亡してから10年が経過すると、その時点で遺留分侵害額請求はできなくなります。あなたが被相続人の死亡の事実や遺言書の存在、内容を知らなくても除斥期間は有効です。

 

遺留分侵害額請求を行わないうちに10年の除斥期間が完成する可能性があるので、早めに遺留分を返還させる必要があります。

 

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相手方が遺留分侵害額請求に応じない場合の対処法

遺留分侵害額請求に応じない場合

遺留分を侵害している相手が遺留分侵害額請求に応じず無視する場合、どのようにして返還をさせればよいのでしょうか?

 

調停の申立てを行う

遺留分について話し合いで解決できない場合には、家庭裁判所で遺留分侵害額請求についての調停を申し立てましょう。これは、家庭裁判所において遺留分の返還方法を話し合う手続きです。

 

調停を申し立てると、2名の「調停委員」が遺留分請求者と侵害者との間に入り、話し合いを仲介してくれます。

 

相手が遺留分返還を拒絶している場合でも、返還義務があることが明らかであれば応じるように説得してくれますし、法律の定めについての説明もしてもらえます。当初頑なだった相手でも、調停委員の説得に納得して遺留分の返還義務があるとわかったら、返還に応じることもあります。

 

遺留分侵害額請求の調停では、遺留分の返還方法も決める必要があります。たとえば不動産などの「物」で返すのかお金で返すのかなどのことです。多くの場合には、遺留分侵害者から権利者に対する「金銭支払い(価額賠償)」によって解決します。

 

調停で合意ができれば調停が成立して、家庭裁判所で「調停調書」が作成されます。その後、相手から約束通り遺留分の返還(多くのケースでは金銭支払い)を受けることができます。

 

遺留分侵害額請求の調停の申し立て方法

調停を申し立てる際の必要事項は以下の通りです。

 

  • 申立先の家庭裁判所

相手方の住所地の家庭裁判所です。ただし、当事者が合意した家庭裁判所でもかまいません。

 

  • 必要書類
  • 申立書と写し           
  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 被相続人の子や代襲者に死亡している人がいる場合、死亡者の出生から死亡までの戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
  • 不動産登記事項証明書
  • 遺言書の写し、遺言書の検認調書謄本の写し

ケースによっては他の書類も必要になる可能性があります。

 

申立書を作成し、当事者目録や土地建物の目録を作成して、上記の書類と共に提出すると申立てができます。かかる費用は1,200円の収入印紙と連絡用の郵便切手代です。

 

参考:遺留分減殺による物件返還請求調停の申立書|裁判所

 

訴訟を提起する

調停で話し合いをしても合意ができず不成立になってしまったら、訴訟(裁判)によって解決するしかありません。

 

家庭裁判所ではなく「地方裁判所」が管轄になるので、注意が必要です。

 

物の割合的返還になって不動産などを共有状態にされると、再度「共有物分割訴訟」などが必要になってしまうので、できればその前に和解などによって解決することが望ましいと言えます。

 

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遺留分侵害額請求にかかる費用

遺留分侵害額請求をするとき、どのくらいの費用がかかるのか、確認しておきましょう。

 

内容証明郵便による請求

内容証明郵便によって遺留分侵害額請求書を送る場合には、内容証明郵便の発送費(郵便費用)がかかります。金額的には1,300~1,500円程度です。郵便局から発送するのか電子内容証明郵便にするのか、配達証明をつけるのか速達にするのかなどで、数百円単位の差が発生します。

 

調停

家庭裁判所で調停をするときには、収入印紙1,200円分と連絡用の郵便切手が必要です。また、必要書類として被相続人の出生時から亡くなるまでの戸籍謄本類なども集めなければなりません。

 

連絡用の郵便切手は1,000~数千円程度、戸籍謄本の収集費用は1通450円、除籍謄本や改正原戸籍謄本は1通750円です。

 

訴訟

訴訟にかかる金額は、請求金額(遺産の評価額)によって異なります。

 

請求金額が大きくなるほど印紙代が高額になります。300万円であれば2万円、500万円であれば3万円、1,000万円であれば5万円の印紙代が必要です。

 

また連絡用の郵便切手として、5,000~8,000円程度の費用が実費でかかります。

 

まとめ

遺留分侵害額請求をきちんとすれば、相手から無視されても時効は中断できるので心配する必要はありません。ただ除斥期間の問題はありますし、時間が経過すると証拠もなくなり遺留分の返還を受けにくくなってしまう可能性が高まります。早めに調停を申し立てて遺留分を返してもらいましょう。

 

自分一人で手続きを進めるのが難しければ、弁護士に相談するとよいでしょう。

 

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【迷っている方へ】弁護士に相談するとどんな風に相続問題が解決する?

 

相続トラブルを解決し遺産を多く受け取る方法とは?

相続トラブルで一番多い金額は5,500万円以下です。

 

これは相続トラブル全体の約75%にあたり、さらに1,000万円以下だけに絞って見ても、全体の32%を占めています。

 

相続トラブルはお金持ちや、ましてテレビの出来事では決してないのです。

 

相続トラブルの金額

<参考資料:平成25年度司法統計>

 

さらに、下の表を見ると遺産分割調停、すなわち遺産分割トラブルが右肩上がりで増えてきていることがわかります。

 

遺産分割に関する調停事件の推移

<参考資料:平成25年度司法統計>

 

 

相続における自己解決と弁護士介入の違いとは?

相続するのはあなただけではありません。相続人の平均人数は3名程度です。

 

相続人の数

<参考資料:国税庁 統計年報>

 

相続人が多いほど、相続トラブルが発生しやすく複雑になるのは避けようのない事実です。

 

トラブル回避のために重要なのは、早めに専門知識のある第三者を介入させることです。一般的に専門知識を持つ代表格といえば相続問題を得意とする弁護士です。

 

弁護士を介入させると費用が高くつくイメージがありますが、結果的にはトラブルを解消できるだけではなく、相続面でも優位に働き、金銭的にもメリットを得られることが多くなります。

 

 

相続に強い弁護士の選び方と相続相談の具体例

相続に際し、雇うのは弁護士なら誰でもいいというわけではありません。
最大のメリットが得られる弁護士の選び方は、以下を参考にしてください。

 

 

  • 1、相続が得意な弁護士を選ぶ

    相続トラブルの解決実績が豊富だったり、相続問題に注力していたりする弁護士を選びましょう。

  • 例えば、医者に「内科」「外科」「皮膚科」「耳鼻科」…と専門分野があるように、弁護士にも「相続」「離婚」「借金」「企業法務」…といった得意分野があります。

  • 相続があまり得意でない弁護士に依頼しても十分なメリットを受けられない可能性があるため、相続を得意とする弁護士に依頼することが大切です。

  • 2、初回相談料の安い弁護士を選ぶ

    初回相談は自分と相性の良い弁護士を選ぶチャンスですので、1件だけではなく複数と話をしてみましょう。

  • 件数を重ねるために初回の相談料を必ず確認しましょう。(相談無料〜3000円程度をオススメします)

  • 3、近隣の弁護士を選ぶ

    相続の弁護士は全国対応していることも多いのですが、やはり対面での関係性構築や急な事態に対応できる近隣の弁護士事務所が最善策といえるでしょう。

 

 

相続で弁護士が介入するデメリットは、あまりありません。

 

あえて挙げるなら、依頼に費用がかかる点でしょうか。

 

しかし、以下の費用対効果の例をご覧いただけば、実際には費用がデメリットとはならないことが、おわかりいただけると思います。

 

不公平な遺言書に対し弁護士を通じて遺留分を主張した例

3,000万円の遺産を遺して親が世を去った。全財産をほかの相続人に相続させる旨の遺言書があり、このままでは自分は一切遺産を受け取ることができない。

弁護士に依頼した結果

遺留分侵害額請求により、自分の遺留分割合である8分の1の遺産を受け取ることができた。

費用対効果

自分が受け取ることができた遺産は375万円。弁護士費用は84万円。そのまま泣き寝入りしていれば1円も受け取ることができなかったが、結果的に弁護士費用を差し引いても291万円を手にすることができた。

また、相続トラブルに関しては、初期費用(着手金)はかかるものの、費用の大部分は成果報酬方式です。


つまり依頼料はデメリットにならないのです。

 

>>費用対効果の高い弁護士とは?

 

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この記事の監修者
川崎相続遺言法律事務所
関口 英紀 弁護士 (神奈川県弁護士会)
遺産分割など揉めやすい問題の交渉、調停、訴訟から、生前の相続対策として遺言や家族信託の活用についてまで幅広く対応。相談者の事情に合わせたオーダーメイドの解決を目指しており、多くの実績がある。

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例えば、下記などが該当します。

・思ったより相続される遺産が少なかった
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・遺言書に他の兄弟姉妹に遺産を多く渡す旨が書かれていた

遺産相続では法定相続分といって、民法で定められている割合の通りに遺産を公平に分割しましょうという一応の定めがありますが、生前に被相続人(亡くなった人)の介護をしていた、被相続人の事業を手伝っていれば寄与分という制度で多くの財産をもらう権利があります。

また、他の相続人が生前に財産を多く受け取っていたのであれば、遺産分割協議の際に相続財産を減らすこともできます。ただ、こういったルールは相続人全員が知っているわけではありませんから、あなたが主張しても聞く耳をもたれない可能性もあります。

その場合、弁護士に相談することで法的な観点から主張をしてくれますし、トラブルになっている場合はその仲裁に一役買ってくれるでしょう。当サイトでは、相続トラブルを1人で解決できるか悩んでいる方へ無料電話・無料相談(一部)を行い、不安解消できるように努めています。

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相護士ナビ編集部

本記事は相続弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※相続弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
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