【不動産や株式の相続、正しく受け取るために】弁護士 小林洋介（弁護士法人IGT法律事務所）

株式や不動産が絡む相続問題にも強みを持つ、経験豊富な弁護士

穏やかな口調で親しみやすく相談に応じてくれる小林弁護士。株式を含む複雑な遺産分割や、不動産相続についても豊富な対応実績があります。

前職で手がけていた企業の事業再生や、数多くの相続案件に向き合ってきた中で培われた交渉力が、今の業務にも活かされています。

その一方で、これまでの経験から「時には感情を脇に置き、問題の本質に向き合うことが必要な場面もある」と語ります。

今回のインタビューでは、弁護士法人IGT法律事務所の小林弁護士に、ご経歴や相続への考え方を伺いました。

弁護士を目指すきっかけは、父との法律相談同行

――弁護士を志された背景について教えてください。

中学2年生の頃、父の法律相談に付き添って弁護士の先生にお会いしたことがきっかけです。当時はまだ将来の進路について明確なイメージは持っていませんでしたが、「手に職をつけたい」という思いはあったんです。その場で見た弁護士の姿に強く惹かれ、「この仕事がしたい」と思うようになりました。

――中学生で進路を決められたのはすごいですね。

はい、翌年には弁護士になると決意していました。高校では理系科目が得意で、周囲の先生方からは理系への進学を勧められたのですが、「私は文系でいきます」と曲げませんでした（笑）。大学でも法律を学ぶ中で、この選択は間違っていなかったと思いましたね。

――法科大学院一期生とのことですが、当時のことは覚えていますか？

はい、ちょうど制度が変わったタイミングで、私自身も新しい制度の中で学ぶことになりました。

感情を整理し、本質に向き合うことが解決への第一歩

――相続問題に向き合う上で、大変だと感じる点はどこでしょうか？

相続は、法律上の複雑さに加えて、関係者全員の合意が不可欠な点が難しいです。関係者が多い場合や、昔からのわだかまりがあると、本題から外れた感情的な争いに発展してしまうことも少なくありません。

――具体的には、どんな「場外戦」が起こるのでしょう？

たとえば、「昔、進学を許されなかった」とか「兄妹の中で自分だけ扱いが違った」など、過去の積もった感情が噴出することがあります。こうなると、本来の目的である遺産の分け方についての話し合いが進みません。

――そうした場合、小林先生はどう対応されているのでしょうか？

まずは、何が本当に問題なのかを整理することです。感情の問題を全て切り捨てるわけではありませんが、解決を目指すには、ある程度冷静に事実と法的な論点に向き合う必要があります。私の役割は、そうした方向に話を導きながら、最終的にご相談者が納得できる形で解決を目指すことです。

そのため、初回のご相談でも「他の弁護士とも話してみてください」とお伝えしています。長い付き合いになるからこそ、ご自身に合った弁護士と出会ってほしいと思っています。

複雑な株式・不動産相続にも対応

――最近はどのようなご相談が多いですか？

相続に関するご相談が中心ですが、特に株式や不動産が絡む遺産分割のご依頼を多くいただいています。前職で企業再建をサポートしていた経験があり、株式を含む相続の対応には慣れています。

――非上場株や不動産の分割は難しそうですね。

そうですね。たとえば、すでにある建物を「半分ずつ」物理的に分けるのは困難ですから、売却して現金を分配したり、代償金を用いたりと、ケースに応じた対応が求められます。

――代償金とはどういった仕組みですか？

ある相続人が不動産を相続する代わりに、他の相続人へ金銭を支払う方法です。不公平が生じないよう調整する必要があるため、第三者として冷静に全体を見渡せる弁護士のサポートが役立つ場面だと思います。

交渉力の礎は、企業再建での経験

――事業再生では、どのような業務をされていたのですか？

資金繰りが難しくなった企業に対し、債権者との交渉を通じて事業の再建を支援していました。リストラやコスト削減の要請など、利害の調整が求められる場面で、弁護士が間に入ることで双方が納得できる着地点を探る仕事です。

――その経験が今にもつながっている？

はい、交渉力やバランス感覚は、相続における当事者間の調整にも役立っています。どの立場に寄り過ぎることなく、全体を見ながら解決へ導く力は、まさに事業再生時代に培われたものです。

休日は子どもと過ごすリフレッシュタイム

――お仕事がお忙しいなか、休日はどのように過ごされていますか？

面談がない日は家族と過ごしています。小学生と幼稚園の子どもがいるので、よく公園に出かけます。先日は砂場で本気の山づくりをして、翌日は筋肉痛でした（笑）