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保証債務・連帯保証債務は相続の対象!相続前後に発覚した場合の対処法を解説

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被相続人に保証債務があることが発覚し、どうすればよいか悩んでいる方もいるでしょう。

「保証債務は相続財産に含まれる?」「相続したくないときはどうしたらよい?」などの疑問や不安を抱えている方もいるのではないでしょうか。

本記事では、保証債務の相続について解説します。

保証債務を相続したくない場合の対処法や、予期せず相続してしまった場合の対応も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

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保証債務は原則として相続の対象になる|債務の内容ごとのポイント

保証債務は、原則として相続人が相続しなければなりません

まずは、債務の内容ごとに相続時のポイントを解説します。

1.保証債務|相続の対象になる

保証債務は相続の対象です。

保証債務とは、主債務者が返済できないときに保証人が代わりに返済する債務のことです。

債権者は、まず主債務者に返済を請求し、主債務者が返済できなければ保証人に返済を求めます。

原則として、相続人は被相続人の全ての財産を相続するため、保証債務も相続しなければなりません

主債務者が返済できない場合は、相続人が新たな保証人として返済義務を負うことになります。

2.連帯保証債務|相続の対象になる

連帯保証債務も相続の対象です。

連帯保証債務とは、主債務者と保証人が連帯して返済義務を負う債務のことです。

債権者は主債務者と連帯保証人のどちらに返済を求めてもよいので、連帯保証人にいきなり返済請求がくることもあります。

保証債務の場合と同様、被相続人に連帯保証債務があった場合も相続人が相続することになります。

3.身元保証債務|相続の対象にならない

身元保証債務は相続の対象になりません

身元保証債務とは、雇用されている人の債務不履行・不法行為によって雇用主が被った損害を、保証人が賠償する債務のことです。

身元保証債務は、雇用されている人と保証人の個人的な信頼関係によって成立するのが一般的で、保証期間があいまいであるケースも少なくありません。

身元保証契約を相続の対象と認めてしまうと、相続人に思いもよらない損害が生じるおそれがあるため、身元保証契約は相続の対象外と解されています。

ただし、身元保証人が亡くなった時点で雇用主が損害を被っていて、保証債務が具体的に発生している場合は、相続人が債務を負担することになるので注意しましょう。

保証債務・連帯保証債務は法定相続分に応じて分担するのが基本

保証債務や連帯保証債務は、法定相続分に従って相続人に分割されます。

法定相続分とは、民法で定められた相続人ごとの相続割合のことです。

ケースごとの各相続人の法定相続分は下表のとおりです。

【ケース別の相続人それぞれの法定相続分】

相続人

法定相続分

配偶者のみ

配偶者が全て相続

子どものみ

子どもが全て相続

親のみ

親が全て相続

兄弟姉妹のみ

兄弟姉妹が全て相続

配偶者と子ども

配偶者:1/2、子ども:1/2

配偶者と親

配偶者:2/3、親:1/3

配偶者と兄弟姉妹

配偶者:4/3、親:1/4

たとえば、相続人が配偶者と子ども3人で、被相続人に1,200万円の保証債務があった場合、配偶者が600万円、子どもたちがそれぞれ200万円の債務を相続することになります。

保証債務・連帯保証債務を相続したくない場合に検討すべき2つの対処法

保証債務や連帯保証債務を相続したくない場合は、以下の方法を検討しましょう。

1.相続放棄|保証債務を含めて財産を一切受け継がない

相続放棄とは、被相続人の財産を一切相続しないことです。

相続放棄をした場合、相続人としての権利が全てなくなるので、債務を負う必要もなくなります。

ただし、預金や不動産などのプラスの財産も相続できなくなるので、プラスの財産額が大きい場合は慎重に検討しましょう。

また、相続放棄をするとほかの相続人が代わりに債務を負うことになるため、トラブルにつながるおそれもあります。

相続放棄をする場合は、自己が相続人となって相続が開始したことを知った日から3ヵ月以内に家庭裁判所に申し立てましょう

2.限定承認|被相続人の財産を上限として債務を受け継ぐ

限定承認とは、プラスの財産の範囲内で債務を相続することです。

プラスの財産額が債務額よりも大きい場合に有効な方法といえるでしょう。

限定承認は相続人全員が共同で手続きする必要があり、1人の相続人が単独でおこなうことはできません

相続人全員の合意を得たうえで、相続開始から3ヵ月以内に家庭裁判所に申し立てをしてください。

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相続後に保証債務・連帯保証債務が発覚した場合にとれる3つの対処法

遺産を相続してから保証債務・連帯保証債務の存在に気づいた場合、以下の方法を検討するとよいでしょう。

1.債務整理|直接交渉や裁判手続きを経て債務を減らす

債務整理とは、借金を減額したり返済を猶予したりして債務を減らすことです。

任意整理・個人再生・自己破産の3種類があります。

債務整理の種類

概要

任意整理

債権者に直接交渉し、毎月の返済負担を減らす

個人再生

裁判所に借金の返済が難しいことを認めてもらい、債務を大幅に減額する

自己破産

裁判所に借金の返済が難しいことを認めてもらい、債務の返済義務を免除してもらう

どれが最適な方法かはケースにより異なるため、弁護士に相談するとよいでしょう。

2.時効の援用|返済義務や保証債務などを消滅させられる

保証債務の時効が成立している場合は、時効の援用をすることで債務をなくすことができます

時効の援用とは、「時効が成立しているので返済義務を負いません」と主張することです。

保証債務の時効は最後に返済したときから原則5年ですが、場合によっては時効が延長されていることもあります。

時効の援用を検討している場合、まずは時効が完成しているかを確認しましょう。

3.求償権の行使|債務を負担してから主債務者へ請求する

求償権とは、主債務者の代わりに債務を返済したあと、主債務者に対して支払いを求めることです。

求償権を行使したい場合は、借金を代わりに返済することを主債務者に事前に伝えておきましょう。

借金を返済することを伝えていないと、あとで主債務者に支払いを求めたときにトラブルになる可能性があります。

内容証明郵便などを使って、忘れずに通知しておきましょう。

相続前に保証債務・連帯保証債務がないかを確認する5つの方法

遺産を相続する前に、保証債務・連帯保証債務がないかを確認する方法を5つ紹介します。

1.被相続人宛の郵便物を確認する

被相続人宛の郵便物をチェックしましょう。

金融機関や消費者金融から郵便物が届いていた場合、連帯保証人かどうかを確認できることがあります。

また、親族や友人からの郵便物のなかに賃貸借契約書や金銭消費賃借契約書の写しが入っている場合もあるので、漏れなく確認しておきましょう

2.メールなどやりとりを確認する

メールやLINEなどのやりとりも確認してみましょう。

「連帯保証人になってほしい」と頼まれていたり、賃貸借契約書が添付されたりしていたら、連帯保証人になっている可能性があります

3.預金口座の取引履歴を確認する

預金口座の取引履歴から、保証債務の有無を確認できることがあります

使い道のわからない高額な出金があった場合、債務の返済に充てている可能性があるので、振込票などで振込先を特定しましょう。

通帳だけでは詳細な取引がわからない場合は、金融機関に問い合わせれば過去10年分の取引履歴を見せてもらうことができます

取引履歴を請求する際は、相続人であることがわかる戸籍謄本などが必要になるので、忘れず準備しておきましょう。

4.信用情報機関に情報開示請求をする

債権者が金融機関や消費者金融である場合は、信用情報機関に情報開示請求をするとよいでしょう。

開示請求をすると、被相続人の債務の内容や支払い状況などを確認できます。

信用情報機関ごとの開示請求方法は以下の表のとおりです。

信用情報機関

開示請求の方法

公式サイト

CIC(株式会社シー・アイ・シー)

インターネットもしくは郵送

https://www.cic.co.jp/mydata/index.html

JICC(株式会社日本信用情報機構)

郵送

https://www.jicc.co.jp/kaiji/31

KSC(全国銀行個人信用情報センター)

インターネットもしくは郵送

https://www.zenginkyo.or.jp/pcic/open/

5.故人が経営者の場合は会社の関係者などに確認する

被相続人が経営者だった場合、会社の関係者に問い合わせるのもひとつの方法です。

事業資金の借入のために、被相続人が個人で連帯保証人になっている可能性もあるので、会社に契約書などが保管されていないか確認してもらいましょう。

さいごに|保証債務・連帯保証債務の相続で困ったら弁護士に相談しよう

被相続人に保証債務や連帯保証債務があった場合、相続人が返済義務を負わなければなりません

債務を相続したくない場合や、思いがけず保証債務を相続してしまった場合は、弁護士に相談するのがおすすめです。

とくに相続問題に注力している弁護士に相談すれば、ケースに応じて適切な方法を教えてもらうことができます

保証債務・連帯保証債務の相続で少しでも悩んでいるなら、ぜひ一度相談してみてください。

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この記事の監修者
磯野・熊本法律事務所
熊本 健人 (大阪弁護士会)
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ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)編集部
編集部

本記事はベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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